賑やかな声がする。幼子たちのさざめきのようだ。
庭を囲う垣根の上からこっそりと覗き込めば、そこに繋がるガラス扉を開け放ち、やれやれと言うように腰を下ろした少年と目が合った。
「ねぇ、暇?」
率直な問いかけに、一瞬の思案を展開させた後、頷けば。少年は嬉しそうに微笑み、立ち上がった。
ちりん――。
首元に提げられた淡黄色の鈴が、まるで飼い猫のそれのように、小さく鳴り響く。
同時に、ガラス扉の向こう――低い本棚の並んだ広いホールから、ひょっこりと顔を覗かせる、幼子たち。
背後にあるその気配に気付いているのだろう。少年は小首を傾げ、笑う。
「俺は沙羅樹。後ろの子達はみんな俺が連れてきた子。暇だったらさ、遊んでってあげてくんない?」
沙羅樹の仕草に合わせて。また、鈴が鳴った……。
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