シナリオ名 【地下特別室】顧―かえりみ―
オープニング
 過去を顧みることができる。
 耳に入ってきたのは、そんな簡単な噂だった。
 けれど、それに興味が沸いて。詳しい事情を知る人間に話を聞けば。

「過去とは所謂記憶の羅列です」

 にこり。痩身の男が人の良さそうな笑みを浮かべて語る。そうして、ゆっくりと踵を返した。
 それに続くように歩を進めて。気が付けば、仄暗い廊下を抜け、階段を降り、質素ながら丁寧に造られた扉の前に立っていた。

「そしてその羅列は、小さな箱庭の中に仕舞い込まれています」

 扉を開ければ、視界を埋め尽くすほどの蔵書。その中から一つを手に取り、男は語る。
 自分はその箱庭に続く鍵を開けられる。
 けれどその鍵は、他ならぬ貴方自身が持っている。

「その箱庭へ至る前に。三つばかり注意事項が」

 一、貴方の意思で戻ることはできません。
 一、箱庭を変えることは決してできません。
 一、箱庭の中心人物との会話はできません。

「それでも、入りますか?」

 己の過去に、何かを顧みたいと思うのであれば。
 例えそれを変えることが叶わずとも、得るものはあるだろう。
 頷きを返せば、男はまた、にこり、微笑んだ。

「それでは、あなたの過去へ……よい旅を」
オープニング

自称『箱庭の主人』、叶による過去への旅。
ただし本当に顧るだけで、過去の者に触れる、話すなど、過去を変える要因になりえる事は出来ません。
興味を示された方は、過去のどの場面を覗きたいかを記してください。

募集人数:1人
完全個別納品。場合によって二人以上の個別集合納品も可能。
基本的に同行者を記載頂きましても、箱庭へ入る直前までしか描写できません。
が、同じ時を過ごしたあの場面へ、と言うご指定であれば、同行可能です。