火宮神社の蔵に収められているものの何割かは、若宮海斗がどこからか拾ってきた妙なモノである。ゴミ同然のガラクタからそれなりの値打ち品まで、それらはすべて一緒くたに突っ込まれている。
「ちょっと、いつの間にかまた増えてない? 海斗の【お宝】」
「……増えてるな、明らかに」
うんざりと溜息をつきながら、清水天音と各務樹は事務所の倉庫として使っている蔵を見やった。油断すると、すぐに怪しげなモノで埋まってしまうのだ。
年末の大掃除並みの装備で蔵に踏み込むと、二人は目に付いた端からゴミ袋へと放り込んでいく。
ゴミ袋が半分ほど埋まってきた頃、不意に派手な倒壊音が響いた。思わず動きを止め、二人は顔を引きつらせる。
音は【魔境】と呼ばれる、捨てるに捨てられないヤバイモノを纏めて突っ込んだ一角から響いてきた。――いや、今もなお、音は続いている。
「だから妙なモノ拾ってくるなっていつも言ってるのよ、バカイト――ッ!」
「今度は何なんだ! 妖刀か、それとも封印された鬼か!?」
悲痛な悲鳴をかき消すように、一際大きな倒壊音が轟いた。
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