シナリオ名 独りきりの街、鳴り響く竪琴
オープニング
 愛してるの、と少女が泣いた。
 きらきらと銀色のハープが囁くように月光を照り返す。
 コンクリートに囲まれた血の海の中、華奢な腕が動かなくなっていった。
 黒い目からは涙がただ滴り落ちるだけ。

 ◆

 ふ、と顔を上げる。
 暮れかけた空には薄白い満月。
 そんな空から、漣のように、音が聞こえた。酷く哀しい曲が。
 だが、響く琴の音に誰も気が付かないように、街行く人々は少しも表情を崩さない。
 この音が、聞こえないのだろうか。こんなにも哀しげな演奏なのに。
 そう思いながら、仕方なく再び顔を元に戻すと、目の前に少女が立っていた。
 細いのに癖毛らしく、ピンク色に染められた長い髪は大きく膨らんでいる。緑色の目は、年齢をわからせない奇妙な輝きに満ちていた。
 明らかに彼女の小さな体には合っていない大きな白衣が風にあおられてバタバタとはためく。
 そして少女は、静かな声で、こう訊いた。
「貴公、この音が聞こえるのであるな? ……この、悲劇の音色が」
 こちらに何の問いも許さないまま、少女はさらにこう言った。
「ならば手伝うのである――たった一人の少女の絶望を終わらせるために」

オープニング

・切ない系です。悲恋です。趣味が大炸裂です。
・冒頭の女の子がエネミーです。元々は単なるハープ奏者の女の子でしたが、好きだった男に殺されて以来悪霊になって街の中を彷徨っています。
・基本的にバトルは無いです。ただ説得をしなければなりません。説得に失敗すると残念ながら戦闘です。戦うと色々後味が悪いと思われますので、出来れば説得を頑張ってみてください。
・優しく接してあげれば説得内容はあまりにも酷くないかぎり何でも大丈夫です。
・少女は『竪琴』や『哀願』による音波攻撃が主です。直撃すると二メートルくらい吹っ飛びます。
・行動は深夜です。
・ドロテアはサポートとナビ役です。
・ではどうかこの女の子を助けてあげてください。