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■狛鬼使い〜雨音の記憶〜■

緋烏
【1657】【二見・桐香】【女子高校生(隠れ魔族)】
どんよりとした空が広がっている。
「…嫌な天気…また事件が起こるかも…」
ここ数日、奇怪な事件が管轄内で発生しているのだ。
雨の日の通り魔事件。それは雨の日に限って起こること以外殆ど情報のない不可思議な事件だった。
目撃者も被害者も、犯人の姿を視認していないのである。
もし雨合羽をかぶっていたとしても、そのことだけでも答えられる筈なのに、誰一人として犯人の外装を確認できていないのだ。
「…警察官の手前、他の人に手を借りたくはないしなぁ…」
派出署内でそんな風にぼやいていた時、嘲笑交じりの声が聞こえてきた。
「怖がりのくせによくもまぁ…こんな事件に首突っ込むな。氷雨」
「善さん!?何でここに!!」
新庄家から出たことは知っている。
だからこそこんな目と鼻の先にいきなり現れるなんて、と雪野はいぶかしんだ。
「事件に首突っ込むのは警官として当たり前でしょ。善さんこそ、一般人なんだから危ない真似しないでよ」
すると善は噴出し口元を抑えた。
「何よ!?」
「いや…なぁんにもわかってねぇんだな。まぁいい、今知り合いと一緒にこの一連の通り魔事件に関して調査してるところだ。なんならお前もくるか?」
「!?ばっ…馬鹿にしてる!!?」
善の言い回しにむかっ腹が立ってしょうがない雪野だが、それでも管轄内で起こる事件を早急に解決したい思いが専行した為、雪野は善達に協力することにしたのだった。