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■ワタシノ ココロヲ ツタウモノ■

angorilla
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
ワタシノ ココロヲ ツタウモノ

 都内某所にひっそりと佇む小さな博物館は、いつもと変わらず閑散としていた。
 特別展と称して本物か偽者かも分からない曰くつきの奇怪な美術品や生物標本を展示してはいたが、そこを訪れるのは物好きか子供、もしくは好奇心に駆られた一部の客だけであった。
 そんな細々ながらものんびりと運営していたその博物館に、少々不吉な噂がまとわりつき始めていた。
「どうもですねぇ、うちの博物館で人が消えるみたいなんですよ。日が暮れる頃に来てくれたお客さんがねぇ、いくら待っても出てこない。探してもいない。どこ行ってしまったんでしょうかねぇと……」
 草間興信所を訪れた年配の館長は、そうしてのんびりと困っているようなどこか余裕がありそうな不可思議な表情で経過を語った。
 噂の発端は、うっかりものの職員が何も入っていないかのように見えるホルマリンの瓶を落として割ってしまったことに由来するらしい。
 彼女の証言では、ガラスの中に入っていたホルマリンは本来水分を弾くはずの床に一瞬で吸い込まれてしまったという。
「それ以来ですね、建物の雰囲気も微妙におかしい。どこがとは言えないけれど、とにかく違和感がある。逃げたホルマリン液さえ見つかればまた別なんでしょうけど……」
 館長の言い回しに、草間が眉をひそめる。
「逃げたホルマリン液……何が入っていたんですか?」
「さあ?バケモンだという話だったんですけどねぇ……どうなんでしょうねぇ?まあ、そんな状態でして、いなくなった人と博物館を救っていただきたいと、そういうことなんですよ、探偵さん」
 草間は怪奇の類は取り扱っていないなどお決まりの抵抗を証と口に出しかけたが、ぜひ我々を助けてください、頼みます、よろしくお願いします……となんども深く頭を下げる彼に押し切られ、
「わかった。その依頼、引き受けよう」
 結局承諾の意思を伝え、黒電話の受話器に手を伸ばす。

 そうして、草間から声を掛けられた調査員が、特別展示物だけでなく建物そのものが曰くつきとなってしまった博物館へと向かうこととなった。
 訪れた夜の世界に雨が降っている。
 ひそやかに蔓延る妖を模して、ソレはゆるゆると仄暗い水で辺りを包み込んでいた。



 アナタはわたし。ワタシはあなた。わたしはアナタの心を映す鏡。あなたが抱いている闇を見せて。アナタの心、ワタシが掴まえていてあげる―――

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コラボ企画第2弾です。

今回は、博物館を舞台にした、戦闘メインのシリアスです。
全ページモノクロで、PC描写を重視した長編になる予定です。
プレイングはご自由に推測して決めて頂いて構いませんが、
シリアスメインですので、ギャグ系のものは反映されにくいと思います。

OPは加工されています。完成版OPは異界ページを参照ください。

募集期間:6月15日 0:00 〜17日まで
募集人数:1〜4人
追加日数:7日
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設定文章:高槻ひかる
コミック:矢高あとり