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■エストリエの棺■

緋烏
【1416】【ダージエル・ー】【異世界の神様】
嫌な天気だった。

うす曇りで空気も少しじめついている。

とある教会に召喚されたオニキス神父は、少し浮かない顔をして扉を開けた。

「待ってましたよ」

「御久しぶりです、本日はどういった御用向きで…?」

「ああ、そう固くならずに。貴方の御連れのことではありませんから。

むしろそちらにとって有益な情報ですよ?」

その言葉にオニキスはハッとした。

「まさか」

「…まぁどちらにせよ教会に仇なす者であり信仰の敵。非公式ではありますが…お願いできますね?」

願いという名の命令。

だがそれに否と首を横にふることはない。

「…わかりました。しかしどちらにせよ…とは?相手が何か判明していないのですか?」

すると仲介者は苦笑した。

「エストリエの可能性があります。まだ悪魔とも吸血鬼とも断定できません」

オニキスの目の色が変わった。

「わかりました。その点に関してはこちらで臨機応変に対処いたします。つきましては、もしもの場合を想定して…

助っ人を頼もうと思うのですが…」

「いいでしょう。こちらから口が固くて実力のある者を手配致しましょう」


仲介人が教会を出ると、入れ違いにリージェスが入ってきた。

「…オニキス、さっきの人…」

「ああ、大丈夫ですよ。貴女が心配する内容ではありませんでしたから…それより、御仕事ですよ。リージェス」

気がつけば、外は雨が降り出していた…