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■【ボトムラインアナザー≪battle2:bloody≫】■
切磋巧実
【0351】【伊達・剣人】【エスパー】
 ――フェニックス。
 アメリカ南西部ソノラン砂漠の中心にある町である。
 太陽の谷とも呼ばれたこの町を訪れる者は様々だが、皆どこかに焦燥感を持っている者ばかりだ。中でも、戦場の硝煙の匂いと緊張感が忘れられない者が多く訪れる。
 ――ボトムライン。
 かつて警察の賭博だったモノが何時の間にか広まったMS(マスタースレイブ)バトルだ。
 何ゆえ金色の大海に囲まれ、気温は40度を越える町で開催されているのか定かでないが、密かな話題になっていた。

 この物語は、硝煙の匂いと鋼鉄の弾け合う戦いを忘れられない者達が、トップ・ザ・バトラーを目指して戦い合う記録である――――

「ハァーイ☆ ボトムラインフリークの皆さん元気にバトってるぅ? いよいよボトムラインGPセカンドバトルの開催日が決定したわよー♪」
 インディアンルックの金髪美女が、身振り手振りを交えて開催を告げる姿が大型モニターが映し出される。
「セカンドバトルは、ブラッディバトル! つまり銃器の使用もOK、格闘武器の使用もOK、ぶっちゃけて言っちゃえば何でもアリってバトルよ☆ 但し、事故だとしても死亡させちゃ駄目なのがGPのルールだから、その辺はスポーツマン的に対応して頂戴ね。基本的にはコロシアムの舞台はファーストバトルと同じよ、障害物も無いから立ち止まったらヤラレちゃうと思った方が良いわね。それじゃ、参加を待ってまーす♪」

 やたらと明るい美女の開催告知を、赤毛の少女はTVモニターで観ていた。MSサーキュラーのバトラー、キサト・テッドである。食い入るように画面を見つめ、豊かな胸元の前で、レースの施されたシーツ越しに隠れた両手に力を入れているようだ。純真そうな緑色の瞳は真剣そのものである。
「よーし! 次は頑張るもん☆ とにかく1回戦で敗退だけは突破しなきゃダメダメだよね!」
 少女は椅子を反対に腰掛け、決意を呟く。そんなキサトの背後に佇むのは白いスーツに身を固めた一人の青年だ。
「次も出場されるのですか?」
 不安気な表情を浮かばせる彼に、少女は頬を膨らます。
「何よ、そろそろ期待に応えなきゃダメダメでしょ?」
「しかし‥‥」「そうしてもらいたい所だな」
 青年の澄んだ声と同時に飛び込んだのは冷たい響きのある男の声だ。青年が視線を研ぎ澄まして瞳を流すと、開いたドアを背に立つサングラスの男が映った。キサトは笑顔を浮かべて見せる。
「先生!」
「先生は止めて欲しいな、白衣は着ているがね」
「何か用ですか? キサトちゃんの身の回りの世話は、私の仕事です」
 少女の前で青年は攻撃的な口調でサングラスの男に近づく。男は相手にせずにキサトにサングラスを向ける。
「キサト、大丈夫なのだな? おまえが駄目なら」
「大丈夫だよ! 私、頑張るから! まだ、やれるもん!」
 キサトは椅子を倒して男の膝元にしがみ付く。シーツが床に落ち、手足の先が欠如した姿が曝け出される中、少女は必死の形相で哀願するようにサングラスに隠れた瞳を見つめた。
「わかった。次のバトルエントリーを済ませて置こう。私もおまえには期待しているのだよ」
 男が白衣を翻して踵を返すと、キサトは支えを失い倒れ込んだ。慌てて青年が少女を抱き起こす中、サングラスの男は部屋を後にした――――。
【ボトムラインアナザー≪battle2:bloody≫】

・第1バトル
■チーム名:銀狼(MS名:Katze)
■チーム名:大っきいわんこ(MS名:SilveWolf)

・第2バトル
■チーム名:ブレーヴハート(MS名:護竜)
■チーム名:アークエンジェル(MS名:紫電改)

・第3バトル
■チーム名:アライブプラン(MS名:サーキュラー)
■第2バトル勝者

・ファイナルバトル
■チーム名:銀狼(MS名:Katze)
■第3バトル勝者

●決意と秘策と可能性
「今度こそ1回戦、勝つぜ」
 日本風鎧武者のシルエットを描く緑に染められたMS――紫電改に乗り、伊達剣人は精悍な風貌に磨きを掛けた。
 鈍い轟音と共に割れて行く扉。照明に浮かび上がるは、恐竜を模したシルエットだ。
「あの機体は‥‥またアイツか!?」
 脳裏に浮かぶは前回のピットファイトバトル。初戦敗退という苦汁を飲まされたMSだ。早くも観客達の中には落胆の声が溢れ、チケットを捨てる者さえいる。
「おいおい‥‥やってみるまで分からないぜ?」
 青年は不敵な笑みを浮かべていた。
 ――そうだ。やってみるまで分からないぜ。
 なんてったって、前回の優勝者が早くも敗退したんだからな!

 ――フェニックス。
 アメリカ南西部ソノラン砂漠の中心にある町である。
 太陽の谷とも呼ばれたこの町を訪れる者は様々だが、皆どこかに焦燥感を持っている者ばかりだ。中でも、戦場の硝煙の匂いと緊張感が忘れられない者が多く訪れる。
 ――ボトムライン。
 かつて警察の賭博だったモノが何時の間にか広まったMS(マスタースレイブ)バトルだ。
 何ゆえ金色の大海に囲まれ、気温は40度を越える町で開催されているのか定かでないが、密かな話題になっていた。
 この物語は、硝煙の匂いと鋼鉄の弾け合う戦いを忘れられない者達が、トップ・ザ・バトラーを目指して戦い合う記録である――――

●鎧武者の恐竜狩り――紫電改vs護竜
「行くぜ! 紫電改!!」
 けたたましいサイレンが鳴り響き、バトルは開始された。
 しかし、銃口を向ける前から、敵機は掻き消えていたのだ。慌ててセンサーを確認すると視界を流す。
「相変わらず、すばしっこいじゃねぇか! くそッ! 当った!」
 視界に捉えると共に、護竜が幾つものバレルからマズルフラッシュを迸らせた。次々に着弾を知らせる衝撃が剣人を襲うものの、未だ瞳は死んでいない。
「遠距離戦なら撃ち捲るだけだぜ!」
 紫電改が向けたアサルトライフルが火を吹く。薬莢が次々と転がり、コンクリートの床に落下音が響き渡る。
「何なんだよ! あんたッ!」
 鎧武者の銃撃は恐竜に当る事が無かった。護竜はベイルを掲げて、銃弾を弾きながら動き回っているのだ。正確に言えば、ベイルは保険といえよう。操縦技術と銃器の扱いに、圧倒的な差があった。況して相手の得物は7.62mmバルカン。高速回転しながら放たれる銃弾に、鎧が悲鳴をあげる。
「チッ! やばいな! アレを使うか!」
 剣人がマスターアームに包まれた左手に意識を集中させてゆく。刹那、出現したのは一丁のモーゼルだ。しかし、青年は誤算に気付く事となる。
「おいおい、中で出現しても仕方ねぇだろうよ!」
 サイコキネシスかタイムESPかの一つと思われる超能力だが、このESPは本人の手に出現するもの。つまり、MSに搭乗して行使したとしても、結果が変わる事はないのだ。
 ――僅かな隙を突き、恐竜は目前に迫っていた。
 このまま撃てばマスターアームが破壊される。そればかりか、左腕を失う可能性だって否定できない。
「チッ! 接近して来るなら相手してやるぜッ!!」
 護竜を捉え、紫電改は左腕に装備されたランスシューターを突き出す。
「ゼロ・インパク‥‥ッ!!」
 視界から恐竜が消えた。脳裏に甦る悪夢――――
「うおあぁぁぁッ!!」
 強烈なインパクトがコックピットを襲った。視界が傾き、強かに背中を打ち付ける。次に望遠カメラが捉えたのは、目の前で拳を握る護竜の姿だ。
「‥‥やっぱ、コレかよ」
 刹那、コックピットを立て続けに衝撃が襲う。叩き込まれる鉄拳に、鎧武者が悲鳴の如く、打撃音を響かせた。軋む装甲から観客の声援が洩れる。
「あー、降参だ降参! っておいッ! いつまで殴りやがる!」
 マウント体勢で攻撃を止めるのは難しい。生身なら割れた皮膚から鮮血を噴き出したり、気絶する事で判断できるが、強固な装甲に身を固めたMS戦で、降参の意思表示は難しい。勝利を確信できる手段があるとすれば、武器損失を含む機能停止か頭部のカメラアイの破壊だ。
『チーム名、ブレーヴハート! ウィナー護竜!!』
 望遠カメラが砕けた瞬間、勝敗は決した。
「うーん、悔しいが俺も修業がたりん。 ん、通信だと?」
『大丈夫かい? しこたま殴ったから‥‥』
 飛び込んだのは青年の声だ。確かバトラーの名は、神代秀流――――。
「ああ、気にするなって、‥‥毎度の事だぜ」
 苦笑して応える剣人。本来なら「ふざけるな! いつまで殴りやがる」と怒鳴りたい所だが、それほど子供じゃない。
「なあ、神代」
『‥‥どうかしたか?』
「次こそ勝たせてもらうからな」
 剣人の闘志は未だ消えやない――――。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/クラス】
【0351/伊達剣人/男性/23歳/エスパー】
【0577/神代秀流/男性/20歳/エキスパート】
【0580/高桐・璃菜/女性/18歳/エスパー 】
【0634/キリル・アブラハム/男性/45歳/エスパーハーフサイバー 】
【0552/アルベルト・ルール/男性/20歳/エスパー】
【0656/クリスティーナ・クロスフォード/女性/16歳/エキスパート】
【0592/エリア・スチール/女性/16歳/エスパー 】

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■         ライター通信          ■
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 この度は御参加ありがとうございました☆
 お久し振りです♪ 切磋巧実です。
 続けての参加とても嬉しく思っています。
 始めに『この物語はアメリカを舞台としたボトムラインです。セフィロトにボトムラインはありませんので、混同しないようお願い致します』。また、MSの演出面もオフィシャルでは描かれていない部分を描写したりしていますが、あくまでライターオリジナルの解釈と世界観ですので、誤解なきようお願い致します。
 現在サイコマスターズワールドで、MSに適応するESPはありません。また、使い手の意思で威力の調節や弾道操作などは、ボトムラインというステージにおいて、適しておりませんので、また参加して頂ける場合はお気をつけ下さい。ハッキリ言えば判定が出来ません(苦笑)。他のPCさんにも設定上、作られた武器等がありますが、同様の理由で適応されない事になっていますので、ご理解頂けると幸いです。え? NPCですか? そりゃNPCですから(笑)。フラグを立てて戦闘を『演出』しているだけです。気になるのでしたら、今後のシナリオをお待ち下さい。次回頑張って下さいね。
 尚、今回からチーム名もPCプレイングデータとの事ですので、ノベルに登場していないPCも名前を一覧に記載してあります事をご了承下さい。
 楽しんで頂ければ幸いです。よかったら感想お聞かせ下さいね。
 それでは、また出会える事を祈って☆