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■八角地質調査研究室〜欠片をあつめて〜■

柿花 凛
【0086】【シュライン・エマ】【翻訳家&幽霊作家+草間興信所事務員】
■八角地質調査研究室・高良■
「そもそもの原因は、その部屋の主らしいんです」
高良…と思しき青年、いや少年は幾分幼さの混じる声でそう告げた。

「部屋の主は現在、すでに亡くなっています。生前は能力のあった方らしく、ご本人は
そのつもりではなかったようなのですが、残留思念として一部が部屋の中に残ってしまっています」
高良少年はいつもより若干低い目線で、しかしいつもと変わらない調子で続ける。
「どうもそれに触れると、外見の時間が遡っちゃうみたいなんですよね〜。こんな風に」
つまりは若返りですね、と高良は自分と、隣に立っている仏頂面の青年―恐らく八角だ―を指差した。
「勿論外見だけですけどね。中身は変わってません。ホラこのとおり横に立ってるこのコワモテの人の性格も」
「無駄口叩くんじゃねぇ!」
いってぇ、と呟き、叩かれた後頭部をさすりながら高良は説明の続きを口にする。
「子供のころにやりたかったことを、心に残したまま亡くなってしまったんですね。
なので、皆さんに代わって達成して頂こうという訳です」

欠片を集めるのだ、と高良は言う。小さな欠片のひとつひとつ。それを集めて、この地を沈静化させるという。
「貴方が若いころ叶えたかったささやかな願いを、教えて下さい」