コミュニティトップへ




■NEMUS ―trial and error― act.5■

ともやいずみ
【3525】【羽角・悠宇】【高校生】
 館の住人たちが消えた中、客人たちだけが静かに眠る。眠りに抗うことができる者はいない。
 一階は客のために使用され、2階は女主人の私的な部屋ばかり。3階は子供部屋や勉強部屋。地下は館で働く使用人たちの生活の場。
 2階も3階も地下も、人の姿は見えない。
 気配もない。物音もしない。



 主人たちに料理を用意した後、使用人たちは遅い夕食だ。夕食は質素そのもの。いっそ、パーティーでも開いてくれないだろうか? そうすれば自分たちも豪華な食事にありつける。はめを外して酒も飲める。
 窓の外をぼんやり眺めていた執事の少年に、メイドの一人が声をかけた。
「奥様とお嬢様はどうでした?」
「……今朝ほどは機嫌は悪くなかったですよ」
 硬質な感じのする口調で、眼鏡を押し上げながら彼はこちらを振り返る。絶世と言ってもいいくらいの美貌の持ち主だ。だがメイドは彼に対して、執事以上の感情を抱くことはない。
「今朝?」
「パンを投げつけられました」
「あなたもだけど、もう一人の彼もなんだかよくお嬢様にいじめられてるわね。好きなのかしら?」
 年上と、こちらのほうが古株ということもあって、メイドの女は苦笑する。
 彼は視線をさげた。
「……そういうものではないと思いますが」
「あのくらいの年頃の女の子って、そういうものよ」
「……そうですか」
 関心がないように呟き、彼は窓の外を見る。広がる砂漠の景色だが、メイドは近づいて肩越しにそれを見る。
「ほんと、こんな森の奥深くに住むなんて……滅多にお客様が来ないのも納得できるわ。馬車でここに来るまででも一苦労だもの」
「…………そういえば、誰も訪ねてきていませんでしたか……?」
「来てないわよ、ここ最近はね。あら……? 最近だったかしら? うーん。あんまり憶えてないけど、まぁお客様の姿なんて、見てないわねぇ」
「そうでしたか……」
「もっとシャキっとしたらいいと思うんだけどね、あなた」
 別のメイドが少年を呼びに来た。彼を女主人が呼んでいるそうだ。
「あらら〜。奥様はあなたたちがお気に入りなのね。まぁ、わかる気もするけど」
 彼女の言葉に彼は反応しない。ただ、呼びに来たメイドに「すぐ行きます」と返しただけ。
「今夜はお茶の相手? それともチェス? まさかと思うけど、何かよからぬことの相手はしてないでしょうね?」
 からかい口調の彼女に、彼は視線だけ向ける。
「……まさか。何もしていません」
 そう言うと、彼は颯爽と歩いて行ってしまった。残された彼女は窓の外を見る。
 延々と続く砂漠。けれども――――。
「あ〜、なんか幽霊とか出てもおかしくないわよね。もうちょっと道を綺麗にすればいいんだけど……」
 呟くと、きびすを返して歩き出す。手に持つ蝋燭の明かりが、とても頼りない。
NEMUS ―trial and error― act.5



 朝、目覚めた初瀬日和は、自身の手帳に目を遣る。そういえば手帳を見なければならなかったような気がする。だがなぜ?
 ぼんやりとした視線を室内に向け、まだ眠っている羽角悠宇を見つめる。
 そういえば今日は何日だっただろう?
 手帳に手を伸ばして開いてみる。自分の字だ。
 書かれてることを目で追って読み、日和はなるほどと納得した。ここに来た目的はまだ覚えてはいるが、今日が何日なのか全くわからなくなっている。
 手帳に記されていることが真実だとすれば、自分たちはこの館に入って二日目の朝を迎えたということだろう。
(私は初瀬日和、よね)
 自身に確かめるように心の中で囁く。どうしてここまで不安になっているのだろう。やはり遠逆和彦のことがあるからだろうか。
 専門家の彼でさえ……。そう思うと……。
「悠宇、起きて」
 声をかけると、隣のベッドに寝転がっていた悠宇が寝返りをうってこちらを向いた。
「ん……?」
「おはよう」
 声をかけると彼は瞼を擦り、欠伸をひとつ。
「んー。おはよ、日和」
「髪、はねてるよ?」
「あ、ほんとだ」
 上半身を起き上がらせ、彼は頭に手を遣った。
「悠宇、私は日和、よね?」
「ん? そりゃそうだろ」
「今日、ここに来て何日目か覚えてる?」
「…………三日……、いや、五日?」
 首を傾げている悠宇の言葉にやはりと思い、手帳を閉じた。
「記憶が曖昧になっていくんだ、やっぱり。私たちが微妙に覚えていないのはまだ日数くらいね」
「…………ああ」
 真面目な表情になって悠宇は頷いた。
「朝食の後でもいいから、私……和彦さんと話してみたい」
「なにを?」
「……自分が誰なのか忘れているんだったら、私たちが探している人なんですって説明しても聞き入れてくれないだろうから……。
 とりあえず世間話を」
「そっか」
 悠宇の笑顔に安心させられる。
 やってみよう、やれるだけのことは。



 朝食をとる大広間に向かいながら、菊坂静は考えていた。ここに入った日数は完全にわからなくなってしまった。時間感覚が一番最初に麻痺してしまうようだ。他のことはまだかろうじて覚えている。
(……自分が誰かわからなくなるんじゃなくて……この館の人になるんだったら……)
 館の住人としての「自分」が上書きされるだけだ、きっと。
(梧さんは絵を見つけたと言っていたけど……。写真ならともかく、完成に時間がかかる絵が出来ていたってのは……。なにか変だ。なんだか夢の中にいるみたいで、誰かの都合のいいことがお膳立てされて、僕たちはその中にいるみたいで……)
 気持ち、わるい。
 気がかりなのはやはり欠月のつけているブレスレットだ。彼は装飾品をつけるのを嫌っていた。仕事上、アクセサリーなどは自分がケガをする元になるので、つけない主義なのだ。
(もう一人の執事さんもつけていた……執事の印なのかな……。それとも何か別の意味が?)
 外して欲しい、あんなブレスレット。



 朝食をとった後、各々で行動を開始することにした。
 梧北斗は裏手にあるという庭に向かっていた。
(庭なんてマジであるのかな……。砂漠っぽいのに。でも手がかりになるなら! 欠月たちの中では多分時間がすごく経ってるんだと思うし……俺らもこれ以上の長居は危険すぎるからな)
 焦れば焦るほど、失敗してしまう。落ち着け。
 歩きながら深呼吸。ん。たぶんこれでまぁ、さっきよりは落ち着いただろう。
「……そういえば、俺たちをどうにかするならとっくにやってるよな……」
 強引にこちらをどうこうしようという気配は感じられない。
(館自体に何かあるのかもしれない……)
 裏手裏手と歩いていた北斗は館の、ちょうど裏側の廊下に出る。おお、こっちは来たことないなと窓から外を見た。
 やはり砂漠だ。どこにも庭らしきものは見えない。
(?)
 腕組みして首を傾げる。庭師が存在しているのに庭がないとはどういうことなのか。
(誰かに話を聞いてみるべきかな、やっぱ)
 窓から外をじろじろと見ていた北斗は、掃除をしているメイドを発見してそこに駆けていく。
「あのー!」
「はい?」
 おさげ髪のメイドは笑顔をこちらに向けてくる。
「裏に庭があるって聞いたんだけど、どこ?」
「え? そこから見えません?」
「どこに?」
「ええ? ちょっと嫌ですよ、お客様。すぐそこ。見えてるじゃないですか」
 窓から外を見るメイドに倣うが、どこにも庭なんてない。広がるのは砂漠だけ。
「ほら」
 ほら、と言われても。北斗は曖昧に「うん」と応えておいた。どうやらメイドには庭が見えているが、自分には砂漠にしか見えていないということらしい。



 也沢閑は話しかけたメイドを探しに、染藤朔実は朝食と昼食の際に見かける執事を探していた。
(どっちでもいいんだけど……んー、頼みやすいのは黒髪の人のほうかなっ)
 見かけたメイドに声をかけて、呼んできてもらうことにした。
 やってきたのは黒髪に眼鏡をしたあの執事。無表情のくせに美形だ。こんな人間も居るものなんだなあと感心してしまう。
「何か御用ですか?」
「俺、今働き口を探してんだけど、ここで雇ってもらえませんか?」
 いつもより抑えて尋ねると、少年は無言で返す。
「できれば奥様かお嬢様に取り次いで欲しいんだけど……。雇われる上で、何かしなきゃいけないこととか、身に着けなきゃいけないものとかある……のかな?」
「……さぁ。それは奥様にでも訊いてみてください。雇われるのは難しいとは思いますが、奥様に伝えておきましょう」
「もし雇われるなら、俺って執事とかになっちゃうのかな?」
「……それはないと思いますよ。執事は人数が足りていますので」
 彼は淡々と言って、きびすを返した。
「奥様からの言葉を訊いてから、後で返答をいたします。それでは」
「ありがとう。よろしくね」
 ややいつもの口調を抑えたのだが……どうだろう。手応えはあまりない。



 閑は自分が声をかけたメイドを探している。仕事の管轄はそう変わらないだろうから、きっと自分が話しかけた辺りに居るはず。
 あ、いた。
「やあ」
 声をかけるとメイドの娘はこちらを振り向いた。
「あら。お散歩ですか?」
「まあね。昨日声をかけたの覚えてる?」
 昨日、で合っていただろうか? 時間がはっきりしない。
 メイドの娘は首を軽く傾げる。
「お声をかけてもらったのはもう二週間ほど前ですけど」
「そうだっけ……。
 そうそう、ここって庭とかあるかな? 散歩したいんだけど」
「ありますよ、裏手に」
「案内してくれるかな?」
「いいですよ」
 笑顔で歩き出した彼女は、閑の『囁き』に対してなんの反応もしない。どうやら閑の能力はここではあまり役に立たないようだ。
 案内されたのは裏手の廊下側。そこから見える砂漠の景色を指差し、「ほら、どうですか?」と言ってくる。どうやら彼女には違う光景が見えているようだ。
 朔実との待ち合わせは正面扉の前。後で落ち合って報告しよう。



 悠宇は日和と行動を共にしていた。
 彼女を大事だと思う気持ちだけは、最後まで忘れたくない。それに、きっと日和と居れば自分が誰なのか忘れないはずだ。
 日和の目的は和彦だ。彼を見つけて話しかけることにする。
「あ、あの」
 もどかしそうな仕草で和彦を見上げる彼女はどう話そうか迷っているようだ。
「なんでしょうか?」
「……少し話しをしたくて」
「私にですか?」
「……こんな怪談話、知ってますか? 入った瞬間に外から隔絶されて、徐々に自分が誰であったのかさえ忘れさせられていってします館があるって……。そんな場所に閉じ込められたら怖いですよね」
「そうですね」
 さらりとそう返され、日和は言葉に詰まる。そして瞳を伏せた。
 彼女は何を感じているのだろう。こうなることはわかっていた。和彦は自分たちのことがわからないのだ。
(きっと和彦と出会って、今まで積み上げられてきた色んな思い出とか、それが全部消えるのが悲しい……のか?)
 目尻に涙を浮かべる日和から視線を外し、悠宇は和彦を観察した。出会った時とは違う、徹底した無表情さ。黒の執事服。きっちりと着ているところは、本人の性格も反映されているのだろう。
 手首にあるブレスレットに気づき、悠宇は怪訝そうにした。執事なんて仕事をする際に身に着けるのはおかしくないか?
(外せと言っても聞くかわからないし……)
 ……やってみるか。いちか、ばちか。
「ありがとうございました」
 ぺこっと頭をさげた日和はもう耐えられないようで一時的に引き上げる気らしい。
「いいえ、こちらこそ。話し相手には不向きでしょうから」
 彼はこちらに背を向ける。悠宇は咄嗟に手を伸ばした。転んだふりをしてもいい。不自然なアクセサリーを外させたくて。
 手首を掴んで引き止める。彼はこちらを不審そうに見てきた。
「あ、や……綺麗なブレスレットだな」
「……奥様からいただきましたから」
「ふぅん」
 悠宇は手を離すふりをして、そのままブレスレットを指で引っ掛けて引っ張った。あまりにも簡単に、とれる。
(え、うそ)
 もっと抵抗があるとか、もっと何か起こるとか、考えていた。
「悠宇?」
 心配そうにこちらを見る日和を一度振り向き、それから和彦を見た。彼は目を見開き、それから顔を強張らせた。



 欠月を見かけた静は声をかけた。
「ブレスレット、汚れていますよ」
「え?」
 欠月は足を止め、自分の腕を見遣る。
「どこがでしょうか?」
「見ますよ。外してください」
 静の声に彼は首を振った。
「奥様からいただいた大事なものなんです」
「……そうですか」
 差し出した手を下ろし、静は欠月から視線を逸らす。やはり変だ。
「じゃあ僕は部屋に戻りますね」
 そう言って歩き出した静は、10歩ほど進んだところで欠月を振り向いた。
「あ! すみませんっ、訊きたい事が」
 きびすを返して欠月のところまで駆け戻った静は見事に彼の前で転倒する。わざとだ。
 欠月を巻き込んで倒れた静はそのドサクサに紛れてブレスレットを奪い取る。
(やった!)
 期待を込めて欠月を見ると、彼は打ったらしい後頭部を擦りながら上半身を起き上がらせた。
「いってー」
「……欠月、さん?」
「ひどいな静君。でもありがとね」
 にこっと微笑んだ彼に、静は気が緩んでその場にへたり込む。それから涙をぽろぽろ零した。
「う、うぅ、よ、良かっ……ひっ、く」
「おいおい。まだ泣いちゃいかんよ。終わってないからね」
 欠月が立ち上がると目から何かを取り出す。コンタクトだ。片目だけ色の違うそれは、間違いなく欠月のものだ。
「しかしまぁ、よくもやってくれたよ。おかげでこの館の従業員になるところだった」
「欠月さん、やっぱりこの館が……?」
「んん? チッチッチッ」
 彼は人差し指を、涙を拭う静の前で振ってみせる。
「館が原因じゃないよ」



 正面玄関の前には朔実がいた。
「あ、閑くんっ」
「朔実、どうだった?」
「雇ってはもらえないみたいだよっ。ダメだった。そっちはどう?」
「こっちも収穫はいまいちだね。やはり夜になる前にそこのドアを開けてみようか」
「今は開かないみたいだよっ。窓もね!」
 ではやはり夜になる直前に試してみよう。
 玄関ドアの正面にある二階に続く階段から、館の女主人の娘が降りてきていた。珍しい。食事の時以外は姿を見せなかったのに。
 長い髪をツインテールにした、十代前半の少女。彼女はこちらを冷たく見て近づいてくる。
 朔実と閑は顔を見合わせた。嫌な予感がする。
「今回入ってきたネズミはしぶといわね。まぁ、まだ少ししか経過してないから仕方ないけど……」
 気づけばバン! と正面ドアに叩きつけられていた。見えざる力による攻撃だ。
 ドアに押し付けられるように、まるで標本の蝶のように二人はドアにはりつけられていた。
「そこにそうやってなさい。後でまた来るから」
 娘はそう言ってこちらに背中を向け、階段をあがっていく。
 身動きがとれないまま、ただただ息苦しい圧迫を加えられ続ける二人は、何も言うことができなかった。



 うろうろしていた北斗は、館の執事以外の働き手が装飾品をつけているのを見かけなかった。
(そりゃ仕事中につけて動き回るヤツはいないよな)
 こういうタイプの仕事だからなぁ。
 二階に行ってみようかなと正面玄関を通りかかった北斗はぎょっとしてしまう。
 床から30センチは浮いたまま、ドアに押し付けられている閑と朔実の姿が目に入ったのだ。
「お、おい! どうしたんだよっ!?」
 問いかけるが彼らは喋る余裕がないようだ。北斗は舌打ちした。何かが起こっている!



 正気に戻った和彦の話によると、あのブレスレットが「敵」の受信機となって抵抗力を弱めていたらしい。
 彼はカフスボタンなども外す。これも受信機になっているらしい。
「俺と欠月は専門家だから、こういう補助道具がない限り精神汚染はされないからな。
 この館に入ると最初は客扱いだが、徐々に時間の感覚が麻痺してきて、自分が元々ここに居たような気分になるんだ。
 ここの従業員は全員、この館に入った者たちばかりだ」
「その人たちは助けられますか?」
 日和は胸元のピンバッチも外している和彦に尋ねる。どうやら静の予想は見事に的中していたようだ。
 彼はコンタクトを外し、桃色の瞳で日和を見据える。
「残念だが、もう助けられないだろう。俺たちのような人間ならともかく、一般人にこの精神攻撃はひとたまりもないはずだ。
 強制的にしているのではなく、ゆっくりと精神を汚染していくんだからな。一度に攻撃すると普通の人間は精神が崩壊する恐れがあるから」
「……では、もう」
「手遅れだっていうのかよ」
 悠宇の言葉に和彦は沈黙で返した。
「欠月は『核』である絵を破壊に向かっているはずだ。こちらは脱出する手筈を……」
 彼はハッとして動きを止めた。
 曲がり角から現れたのは女主人の娘だ。
「せっかく可愛がってあげてたのに。どうしてここまで強情かしら。全員逃がさないわよ……!」
「二人は先に行け! 俺は後から行くからっ」
 娘の攻撃に身構える和彦の言葉に従い、悠宇は日和の手を引っ張って走り出した。



 玄関前に集合した全員が、それぞれ事情を話す。
 ドアに押し付けられたままの二人は、途中で拘束していた力が消え、床に落ちた。
 階段を駆け下りてきたのは和彦だった。彼は衣服がぼろぼろだ。
「出入口は欠月が絵を破壊すれば開くはずだ」
「もう開く! 急げ!」
 欠月も傷だらけになって駆け下りてきた。
 北斗と静が二人でドアに体当たりをして開ける。悠宇は閑に肩を貸して外に出た。
 館はぐらぐらと揺れている。崩壊寸前のように。
 和彦が朔実を引っ張りあげてそのまま外に出る。日和と静がそれに続く。
「欠月! 急げっ!」
 北斗がドアのところで欠月に叫んだ。

 全員が外に出る。外は夜だ。空には星が静かに輝いている。
 館は完全に倒壊していた。
 欠月は大きく息を吐く。
「疲れた……。もう二度とあんたとの仕事は御免だね」
 和彦はそれに対し、涼しい顔で無言を返した。
 悠宇は日和の肩を軽く叩いた。日和は彼を見返して、頷く。悲しそうに目を伏せて。
 静は欠月に抱きつく。北斗は腰に片手を当てて嘆息した。閑と朔実は疲労で座り込んでしまう。
 奇妙な館は崩壊し、今後ここに迷い込む者もいないだろう…………だが、こんな館はまだ存在しているだろう。きっとまだ、どこかに――。



□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

【5566/菊坂・静(きっさか・しずか)/男/15/高校生、「気狂い屋」】
【3524/初瀬・日和(はつせ・ひより)/女/16/高校生】
【3525/羽角・悠宇(はすみ・ゆう)/男/16/高校生】
【5698/梧・北斗(あおぎり・ほくと)/男/17/退魔師兼高校生】
【6370/也沢・閑(なりさわ・しずか)/男/24/俳優兼ファッションモデル】
【6375/染藤・朔実(せんどう・さくみ)/男/19/ストリートダンサー(兼フリーター)】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

 最後までご参加ありがとうございました、羽角様。ライターのともやいずみです。
 和彦を正気に戻すことができたようです。いかがでしたでしょうか?
 少しでも楽しんで読んでいただければ幸いです。