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【深夜TVドラマ「ザ・DOG−2007−」第1話出演者募集】
■有天■

<古河 甚五郎/Beast's Night Online(fa3135)>
<伊達 斎/Beast's Night Online(fa1414)>
<稲森・梢/Beast's Night Online(fa1435)>
<鬼塚孝太郎/Beast's Night Online(NPC)>

 嘗てTOMI-TVの地上波に「潜入捜査官─ザ・DOG─」という番組があった。深夜番組らしくマニアな内容で、悪事を捌く『犬』と呼ばれる潜入捜査官が敵組織に潜入し悪事を白昼の元に暴くという内容であったが、時には人として葛藤する捜査官の姿と激しい迄の暴力シーンに視聴者の賛否を別けたが、この夏1stシーズンが無事終了した。2ndシーズンはCS放送の深夜となり、国際犯罪組織との戦いを中心とし、更にマニア度が上がっている。
「『ハッキングされるハッカー』から『やもめの中間管理職』ですか‥‥」
 1stシーズンで『篠塚弘毅』を演じた伊達 斎(fa1414)が、ディレクターの鬼塚から渡された『「ザ・DOG−2007−」第1話「新体制の犬に容赦なく圧掛かる国際凶悪犯罪。一家強殺事件を追う篠塚、朝倉、窪田は苦悩を超えて悪を討つ」』という長いサブタイトルが書かれて台本を見て、大きな溜息を吐く。
 1stシーズンで犬(潜入捜査の実動部隊)達のリーダー兼バックアップサポートとして登場したキャラクター『篠塚弘毅』は、2ndシーズンでは複数の犬チームを取り纏めるブリーダーもしくは『犬飼』と呼ばれる管理職になっていた。
「娘の反抗期とか‥この後、あるのか?」
 1stシーズンの最終回、篠塚は国際犯罪組織に狙われた少女を養女としている。
 只でさえ苦悩する役であったが、2ndシーズンでは犬と父親として、更に苦悩する役である。
「しかし、このサブタイトルは2時間ドラマの様だな‥‥」
 まだ第1話目であるが、先々を思いやると頭が痛くなる斎。
「『篠塚』は基盤が出来ているからまだいいですよ。私の『朝倉洋子』は、いきなりリーダーなんですよ」
 稲森・梢(fa1435)が溜息を吐く。
 梢の演じる『朝倉』は、1stシーズンのスペシャル番組「春の大爆発SP」の『脇』として登場したキャラクターである。
「でも『朝倉』は、元公安でしょう? それに正義感も強くて、リーダー向きですよ。それにしても自分はセット仕事で呼ばれたと思ってましたよ。ガムテの」
 ガムテ職人である古河 甚五郎(fa3135)が、溜息を吐く。
 本職の裏方ではなく、役者で呼ばれてしまったのは、裏方として少し悲しい事である。
 それもレギュラーで『篠塚』を助ける潜入官(牙)の中でも重要な、新前リーダー『朝倉』のサポート役であり、片腕的な存在『窪田亮』。嘗て赤畑の名で篠塚の下で潜入官として働いた事がある男の役である。
「そりゃあ、たしかに前の時も何時の間にか役者していましたが‥‥」
 立っている物は、裏方でも使う。それが番組プロデューサーの方針であった。
「それの挙げ句に、空いている時間は裏方の手伝いをしろと言うんですからタイト過ぎです」
 一癖も二癖もある番組プロデューサーの元、更に鬼塚ディレクターを始めとする制作サイドは三癖、四癖もある人物が揃っていた。
 裏方・役者らは『犬』の撮影現場にいる限り、鬼塚ディレクターの罵声と溜息が尽きないのである。
「手前ぇら、何時迄廊下で喋っている! 休憩はお終いだ。『読み(台本の読み合わせ)』の続きをするぞ!」

 ***

 組織との癒着をしていると思しき警部との接触方法を模索する犬達。
「警察に行く前に骨でも折ってもらい‥‥いや、駄目ですね。うん」
 飄々とした表情で言う亮。
「そうね‥‥このタイミングだと、かえって警戒されるかもしれないわ」

『カット!』
 撮影が一時中断する。
「コガにコズエ! 手前ぇら、もっと真面目にやれ! コガはワザとらしいし、コズエ、そんな在りきたりな表情でどうする! もっと苦悩しろ、苦悩を!!」
 最早何回目かカウントしたく無い、撮り直しである。
「1話目で『ガツン!』と視聴者に『朝倉』と『窪田』がどんな人物か判らせないでどうする!」
 鬼塚の駄目出しが続く。
「休憩入れますか?」
「んなもの(撮影時間が)押しているんだ。必要ない! もう一度だ!」
 いつもであればここで脚本家の『ちゃちゃ』が入り、『休憩』となるのだが、いないのだからしょうがない。
「テイク20、いきまーす」
 鬼塚を除いたスタッフ全員、ヘロヘロになりながら現在の時刻深夜3時。
 まだまだ犬達の隠れ家シーンの撮影は続く。

 ***

 篠塚の自宅シーンをようやく撮り終えた斎は、大きな溜息を吐く。
 子役とのやり取りが、どうも納得行かないのである。
 だが子役の体力を考えれば、OKが出たあの演技で妥協しなければならない。
 義父である篠塚の側、ソファーの上で青い縫ぐるみを抱え丸々様に眠る演技をしていた子役の少女は、本当に疲れて眠ってしまっていた。マネージャーである母親に抱きかかえられてスタジオを後にする姿を横目で見乍ら、『父親』の演技の難しさを斎は実感していた。
「まあ子供でもできれば違うんだろうが‥‥まだ嫁さんの方が可愛い時期だからな」
「う‥‥」
 鬼塚に新婚ホヤホヤを突っ込まれる斎。
「お前も嫁さんとの間に出来た子供だと子役を思えば楽だろう?」
「想像はするんですが、まだ役が掴めず苦労します」
 苦笑する斎。
「鬼塚さんのお子さんは、子役の子位でしたよね」
「おお、子供は良いぞ。仕事に張りが出る」
 鬼塚は顔に似合わぬ子煩悩で知られ、携帯電話の待ち受け画面は嫁と子供との3ショットである。
 斎に「早く子供を作れ」と言う鬼塚。
「はあ‥まあ、将来子供が出来たら鬼塚さんの家に遊びに行きますよ」

「明日の休みは、家族サービスだ」
 鬼塚は、家族で時代祭を見に行くのだと言う。
「週末を堪能して下さいね☆」
 打ち上げもそこそこに、嬉しそうに帰る鬼塚の後ろ姿に手を振るコガ。
「家では、いいお父さんなんでしょね」
 鬼塚の怒鳴っている姿しか知らない梢が言う。


 ──後日、それが鬼塚を見た最後の姿となった事を知らされた3人は愕然とする。
「‥‥‥誰か手伝える人、いる? 鬼塚の『敵討ち』がしたいのよ‥‥」
 電話を受けたコガは「勿論です」と言った──。




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この小説は株式会社テラネッツが運営するオーダーメイドCOMで作成されたものです。

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