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【巻き込まれ少女・未亜〜レオタードパニック〜エクササイズスペース編】
■切磋巧実■

<早春の雛菊 未亜/聖獣界ソーン(1055)>
<ヒト族の忍者・楓/武神幻想サムライキングダム(w2z010)>
<シノビ族の忍者・紅葉/武神幻想サムライキングダム(w2z085)>

 ――よしっ!
 小柄な少女は円らな赤い瞳に『エクササイズスペース』と刻まれた表示板を映した。
 あどけなさの残る愛らしい風貌に決意の色を浮かべ、ぐっ☆ と握った拳に力を込める。
 ――がんばろうっ!
 早春の雛菊 未亜は、左右の手足を同時に出しながら、緊張の面持ちで一歩を踏み出した。
 首の後ろで結った若草色のツインテールが背中を追う中、『練習場』に入ってゆく――――。

●あれっ!?
 レンタルのレオタードに細身の白い肢体を包みながら、中途半端な状態で未亜は手を休めた。ロッカールームの鏡に全身を映し、呆然とした色を浮かべる。頬にタラリと汗が伝う心境だ。
「気のせい、かな? なんか、キツイよ」
 エクササイズスペースを利用しようと思いついたものの、個人のレオタードなど持ち合わせていない為、貸し出しサービスを希望した訳である。もしかすると係員がサイズを聞き間違った可能性もあるだろう。しかし、裏地に記された印は確かに自分の要求したサイズ。傍からみれば着るのか脱ぐのかハッキリしろと告げたくなる様相の中、愛らしい風貌が困惑の色に染まる。
「うーん、まさか太ったなんて事は‥‥」
 少女はダイエットの一環で訪れた訳ではない。日々の疲労の所為か、最近身体が少し硬くなったように感じた為、運動で柔軟性を取り戻そうと考えた訳だ。こんな所で立ち止まっている場合ではない。
「うわっ」
 未亜が素っ頓狂な声をあげた。レオタードに着替え終えた少女は、頬を桜色に彩り躊躇いを浮かべている。先ほどから暫く佇んだ鏡に向けて背中を映すと、ピッチリとヒップラインを浮き上がらせていた。頬を汗が伝う中、改めて向き直る。胸の膨らみはキュウキュウに締め付けられ、スレンダーな肢体を際立たせた。
「み、みんな、こんな衣装で練習しているのかな? は、恥ずかしいよぉ」
 胸元で両手を固め、周囲を見渡すものの、ロッカールームで着替えている女性は明らかに自分のレオタードとバリエーションが異なる。
 ここは秋に彩られた寺根町にオープンした巨大スポーツレクリエーション施設。
 恐らく売店でレオタードを購入した上でエクササイズスペースを訪れたのかもしれない。
「ダメだよっ! 次にいつ着るかも分からない衣装を買うなんてっ、未亜にはできないよぅ」
 ブンブンと首を横に振り、浮かんだ考えを掻き消す。興味本位半分で訪れたに過ぎないし、日常に戻ればエクササイズの時間も取れるか難しい。
「う、運動するだけだもんっ、身体のラインなんか誰も気にしないよっ」
 覚悟を決めると少女は更衣室を後にした――――。

●うぅっ
 エクササイズスペースと謳うだけはあり、様々な器具や道具が用意されていた。
 区画毎に体操やヨガ、ジャズダンスに西洋ヨガと云われるピラティスとスペースバリエーションも幅広く、室内の壁一面は鏡張りになっており本格的だ。
「すごいなぁ‥‥えっと、何から始めようかな?」
 暫し圧倒されつつも、未亜はキョロキョロと眼差しを泳がせると、バランスボールを捉える。たたたっ☆ と小走りに駆け寄り、我が身の半身はあろうかと思われる巨大なボールを抱えて場所を確保した。先ずは床にバランスボールを置いて安定性を確かめる。自分が乗らずに動いてしまうようでは不安が残るというものだ。
「うん、大丈夫みたいだね‥‥さてっと♪」
 少女はボールに背中を向けると躊躇いの色を浮かべた。このまま腰を下ろして尻を預けたものか、それとも跨ってみるべきかと一見挙動不審だ。そんな中、きゅん☆ と躯が警鐘を鳴らす。
「このレオタードで跨るのは止めよう‥‥なんか大変なことになりそうだよっ」
 未亜はゆっくりと腰を下ろすと、両手を広げ、次いで両脚を浮かせた。刹那、グラリと体勢が傾き、視界が天井の照明を仰ぐ。同時に響き渡ったのは甲高い悲鳴だ。
「うぴゃっ」
 緑色の髪を揺らし、少女は仰向けに転んでいた。ボールが支えているような状態の中、腰を折ったまま両脚を放り投げた恰好は、未亜の柔らかさを垣間見せると共に若干恥ずかしい有様だ。
「いたた‥‥」
 しなやかな脚の合間から覗かせる顔色は、じわりと涙を浮かべて紅潮していた。周囲を窺いながら半身を起こし、何事も無かったように立ち上がる。赤い瞳が神妙な色でボールを睨んだ。
「‥‥や、やっぱり最初はうつ伏せでボールに覆い被さろうかな? うんっ」
 今度はボールにしがみ付いて挑戦。深く覆い被さらなかった為、何度も足で床を蹴っては下半身の重みで重心が安定せず、ピョンピョンと奇妙な運動を繰り返していた。やがて十分に腹ばいとなり、再び足に弾みを効かせてボールに身を委ねる。
「ふわあっ!」
 バランスボールは名前とは裏腹に安定を崩し転がった。視界に床が迫る中、赤い瞳を固く閉じて衝撃に備える。
 ――ごつっ★
「はううぅぅ」
 その後も未亜の孤独な闘いは続く。対戦相手はバランスボール。果敢に挑む少女は真剣そのものだが、傍から見れば子猫がボールにじゃれて何度も転がっているような光景だ。
「ひやああぁぁぁぁっ!」
 挙句はボールに転がされているようにも窺える‥‥。
 倒れ込んだ未亜の背中をボールが転がる中、聞き覚えのある少女の声が呆れた響きで耳に届く。
『‥‥何をしているの?』
「ふえっ?」
 涙に潤む瞳に映ったのは、自分を見下ろすシノビ族の忍者・紅葉とヒト族の忍者・楓だ。紫色の長髪をポニーテールを結った細身の少女は、レオタードに年相応(17歳)の陰影を浮かべており、勝ち気そうな深紫の瞳に微笑みを描いている。紅葉の傍に佇む少女は、短めの茶髪から覗く憂いを帯びたような凛とした眼差しを僅かに和らげ、むっちりと肉感的な肢体のラインをレオタードから浮き上がらせていた。胸の膨らみなど未亜の何倍に値するだろうか。
「‥‥楽しそうだな、未亜」
「楓さん‥に‥紅葉さん‥‥どうしてここに‥‥?」
 うつ伏せに倒れたまま、愛らしく小首を傾げる未亜。見兼ねた紅葉が腰を屈め、手を差し伸べる。
「そんな事はいいから‥‥ほら、立てる?」
「う、うん‥‥あれ? なんか変‥‥かな?」
 佇む幼さの残る少女を呆然とした色で見つめる紅葉と楓。深紫の瞳が舐めるように未亜のレオタード姿を流してゆく。
「‥‥う、後ろから見た時も思ったけど‥‥或る意味犯罪的ね」
「いつから痴女になったのだ? 未亜」
「ちっ‥‥そ、そんなじゃないよっ! だってレンタルで渡されたものが‥‥ひぐっ」
 あーあ‥‥泣かせてしまった――――。

●えぇっ!?
「なるほどねー、そんなの取り替えて貰えばいいじゃないの?」
 事情を聞いた紅葉が溜息を吐きながら促す。容姿的に似ている部分は皆無に等しいが、雰囲気的には世渡りの苦手な妹に世話を焼くお姉さんのようだ。
「だって、サイズに間違いはないし‥‥洗う手間を考えちゃうと‥‥」
 涙を指で拭いながら未亜は答えた。彼女は12歳にして一人暮らしが長い。家事全般が得意なだけに苦労も察してしまうのかもしれない。薄く楓が微笑む。
「‥‥未亜は優し過ぎるからな。薄布が1枚増えようが負担に変わりあるまい」
 二人の意見を聞いた未亜の表情に花が咲く。
「うん☆ じゃあ交換してもらって来るよっ」
「待ってっ」
 踵を返して駆け出そうとした少女の腕を徐に掴む紅葉。未亜は困惑の色で腰を捻って振り返った。刹那、深紫の瞳が恍惚とした色を湛えて潤む。
「‥‥このライン‥‥いいわねぇ☆」
「えっ? な、なにかな?」
 訝しげな少女に紅葉が愛らしい顔を寄せる。彼女の背後で楓が諦めにも似た溜息を洩らしていた。
「未亜ちゃん? あと2時間‥‥ううん、1時間もすれば閉館時間よ? きっと店員さんだって帰り支度にウキウキしている筈だわ」
「‥‥だ、だから‥‥何なのかなー?」
「こんな時間にサイズが合わないので交換して下さい、なんて言われたら迷惑だわ。うん、あたしなら迷惑よ。なにそれ? 今更? 洗濯が増えるじゃないって腹が煮え繰り返るわ!」
「‥‥えぇっ!? さっきと言ってる事が違うよぉ」
 ‥‥同感だ。しかし、話術も武器に等しいもの。紅葉の邪オーラを漂わす説得が続く。
「あれは直ぐの状況だったとしたらの話よ。こんなに汚しちゃったら交換なんてしてくれないわ」
 ボールと格闘の末に床を擦った布地の痕に、つつッと指を滑らす紅葉。緑の髪を軽く浮かせて少女がプルプルと戦慄く。
「わっ、わかったよぉ。恥ずかしいけど、が、我慢するからっ‥‥ゆ‥‥っ」
「あら? ごめんなさい。我を忘れていたわ☆」
 ‥‥おい。呆れた色を浮かべながら、楓が未亜の傍に寄る。
「‥‥取り敢えず、身体が硬くなった事を危惧したのならば、柔軟体操が効果的だろう」
「柔軟体操?」
「‥‥案ずるな、一人では無理できないが‥‥仲間がいれば効率的に出来るというものだ」
 驚愕の赤い瞳が見開き、未亜の表情が笑顔を綻ばす。視界に映る楓と紅葉は微笑んでいた――――。

●だっ、だめだよっ!
 こうして未亜の練習を手伝うという形でエクササイズは繰り広げられる事となる。
 先ずはどれ程に身体が硬くなったのか確かめる必要があった。指導役は紅葉が率先して担う。
「それじゃ、立った状態で半身を曲げて、指先が床の届くか試しましょ☆」
「‥‥えっと、紅葉さん‥‥どうして未亜の後ろに‥‥屈み込むのかな?」
 困惑の色で背後を窺う少女。紅葉は太股に肘を立て頬杖を着いている。
「知らないの? こういう体操はお尻の筋肉が重要ポイントなのよ? ほら、始めるっ!」
「そ、そうなんだ‥‥えいっ‥‥ん、んんーっ‥‥れ、レオタードがッ、き、きついよぉーっ」
 切なそうな声をあげながらも、必死に腕を伸ばす。両脚がプルプルと震える中、指先が床に着いた。未亜の表情が安堵に染まる。
「あ、着いたよっ☆ 紅葉さん指が着きました♪ 楓さ‥‥ん‥‥」
「‥‥うむ、こ、これ以上は‥‥無理だな‥‥」
 既に掌を着いた楓で更に記録更新に肢体を戦慄かせていた。どこまで曲げるつもりか知らないが、両足の間で圧迫される膨らみが辛そうだ。
「うぅ‥‥未亜のレベル‥‥低いなぁ」
『そんな事ないわよ。うん、いい眺めだわ☆ 寧ろ触れたい衝動に駆られるわ♪』
「‥‥な、なんの話をしているんだよぉ」
 紅葉が背後で残念そうな声をあげる中、未亜は頬を染めながら半身を戻した。フンフン♪ と人差し指を振るポニーテールの少女は、前に周り込むと次の体操を告げる。
「さてと、前屈の限界が分かったから、身体の強制開発に入るわよっ☆」
「‥‥き、きょーせーかいはつ‥‥?」
 何やら危うげな響きに色濃く不安を浮かべる未亜だった――――。

「う‥‥んんっ、あぁっ、だめだよっ、未亜、もう耐えられないよぉっ」
 頬を紅潮させた少女が苦悶の色を放って哀切な声を響かせてゆく。細い眉が悩ましげにハの字を描く中、緑色に照り返す髪を左右に振り乱しながら、汗と涙の雫を散らしていた。切迫した表情の未亜が濡れた眼差しをあげる。赤い瞳に映るのは、細い両手首を掴んで引っ張っている楓だ。
「‥‥未亜、弱音を吐くのではない。まだいける筈だ!」
 彼女は床に腰を落としており、大開脚の両足裏で、未亜の細い両脚を軋む程に押し広げていた。苦悶の呻きを洩らす少女の背後では、紅葉が微笑みながら肩に手を掛けており、二つの膨らみを未亜の背中に当てながら身体全体で押している。
「ほらほら☆ 駄目? もう駄目なの?」
「んあっ‥‥んっ」
 くいッ、くいッ、と背中を押す力を込める度、堪え切れず声が洩れた。紅葉はとても楽しそうだ。
「でも‥‥未亜ちゃん本当に硬くなったんじゃない? やっぱりレオタードがきつい所為かしら? ‥‥♪ 楓、腕を放してあげて☆」
 何かを閃いた少女は未亜の腕を開放するよう告げた。瞳に映る楓が訝しげな色を浮かべる。
「‥‥もう止めるのか? 紅葉らしくないな」
「あ、違うのよ。良い考えが浮かんだのよね♪ 楓はもっと未亜ちゃんの股関節を広げて頂戴☆」
「‥‥良い考えだと? 大抵はろくな考えではないが‥‥承知した」
 茶髪をサラリと揺らし、少女は腰の後ろに両手を着くと、体勢を安定させた上で更に未亜の両脚を押し広げてゆく。大抵は反射的に痛む部分に手をあてがうものだ。緑の髪を舞い躍らせ、少女は弾けるように腰を反らす。
「んああぁッ! さ、裂けちゃうよぉっ! ひやゃんッ!?」
 素っ頓狂な声が響いた刹那、未亜の意識は痛みとは別のものに向けられた。少女の肩が降りた瞬間、紅葉は未亜のレオタードネックを広げると、なだらかな白い肩を曝け出させたのである。
 ――ど、どうして剥かれる必要があるのかな?
 困惑の色を浮かべ、赤い眼差しを背後へ流す。
「え、えっとぉ‥‥紅葉さん、何のつもり、かな?」
「分からない? もっと動き易くなるようにしてあげているんじゃない♪ 早く袖を脱がなきゃ身動き取れなくなるわよ☆」
「み、みうごきとれない‥‥?」
 思えば着る時も小さいながら伸縮性抜群のレオタードに肢体を締め付けられた気がする。このまま脱がされたら両腕の自由が効かなくなる可能性は否定できない。相手は悪戯好きの紅葉だ。そのまま立ち上がらせた挙句、『今度は背筋を伸ばしましょうね☆』等と理由をつけて背中に乗せられる場合もあるだろう。様々な危うい光景が脳裏を過ぎり、瞬く間に未亜は真っ赤になって戦慄に染まる。
「だっ、だめだよっ! 誰かが来たら見られちゃうよぉ‥‥ひっンアッ!」
「‥す、済まない‥ちょっと力を入れ過ぎたか? だが見てみろ未亜、こんなに柔らかくなったぞ」
 仰け反る未亜が戦慄きながら視線を下ろすと、彼女と楓の脚はピッタリと密着しており、互いにT字を描いていた。一瞬股関節が外れてしまったのか青くなったものである。思わず脱ぎ掛けの手を休めた紅葉が愉快そうに微笑む。
「凄いじゃない☆ こんなに密着して、体操選手並よ♪ これで屈伸も胸が床に着けば完璧ねっ!」
「ひやああぁぁッ」
 一気にレオタードを剥かれると、未亜は慌てて両腕を袖から脱いだ。悲鳴と共にグンと半身を折り曲げた刹那、柔らかい楓の谷間に頬が埋まる。
「はうぅぅ‥‥ご、ごめんなさい‥‥」
「‥いや、構わないが‥しかし惜しいな。かなり曲がれたかもしれぬぞ」
 荒療法と例えれば良いのだろうか? 未亜の表情は複雑だ。そんな中、楓が薄く微笑む。
「‥‥未亜、恥ずかしいか?」
「あ、当たり前だよぉ‥‥っ!? か、楓さんっ?」
 赤い瞳が困惑と驚愕に染まる。茶髪の少女は徐に立ち上がり、豊満な肢体を包むレオタードに手を掛けると、自ら脱いでゆく。楓曰く、『未亜だけに恥ずかしい思いをさせる訳にはいかない』らしい。背後では紅葉も肩を曝け出している最中だ。
「仕方ないわね☆ みんな一緒なら良いでしょ?」
「い、いい訳ないよっ! 人が来たら大変だよぉっ! え? ‥‥えぇっ!?」
 未亜が慌てる中、汗を含んだ二着のレオタードが次々と床に放り投げられた。頬を染めながら混乱する少女の前に、楓と紅葉が佇む。
「‥‥その時は‥その時だ!」
「さ、次は未亜ちゃんの番だからね☆ 体操はまだ終わらないんだから♪」
 ――そ、そんなバカなっ!?
 だが、彼女達は未亜の為に真剣になってくれているのだ。そう‥‥思いたい‥‥。
「‥‥う‥‥うん‥‥」
 パサリと未亜を包んでいたレオタードが床に落ちた――――。



●ライターより
 この度はイベント発注ありがとうございました☆ お久し振りです、切磋巧実です。
 いかがでしたでしょうか? 先ずは一度撃沈されています。遅くなり申し訳ありません。いつも楓と紅葉をお誘い頂き、有り難うございます。
 バランスボールに逆に転がされる未亜ちゃん(笑)、微笑ましい限りです。いったいどんな材質のレオタードなんだ? という感じですが、もしかすると、別空間に迷い込んでしまったのかもしれません。恐らく、エクササイズスペースも既に閉館時間となっているのでしょう。そんな事は知らず、三人のエクササイズはその後も暫く続くという何時ものオチです。
 今後、未亜ちゃんはどんな巻き込まれ方をするのでしょうね(笑)。
 楽しんで頂けたら幸いです。最後となるかもですのでよかったら感想お聞かせ下さいね☆




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