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【スポーツの秋! 鬼ごっこは危うい遊戯の香りを漂わせて】
■切磋巧実■

<ラム/神魔創世記 アクスディアEXceed(w3j060ouma)>
<倉見・織/神魔創世記 アクスディアEXceed(w3f726maoh)>
<ミリート/神魔創世記 アクスディアEXceed(w3g680ouma)>
<葵・純/神魔創世記 アクスディアEXceed(w3e098maoh)>
<八神・猛/神魔創世記 アクスディアEXceed(w3a943maoh)>

●フィールドに集う5人
 ――秋の深緑に彩られた大自然に、国内最大級のフィールドアスレチックコースが存在していた。
 ロープに掴まって飛び、網を登り、穴の中を掻い潜る事もあれば、丸太の橋を滑る等、多彩なバリエーションで来場客を愉しませて盛況だ。
「「「「鬼ごっこ(にゃ)(だう)? 」」」」
 葵・純が満面の笑みを浮かべる中、四人の男女が素っ頓狂な声を重ねた。ボサボサ黒髪の一見冴えなそうな細身の青年は、提案を補足する。
「はい、鬼は男性陣3名で、女性陣を追い掛けて捕まえるのです」
「‥‥ッ!! 面白そうじゃないか! 俺は乗ったぜ!」
 八神・猛が鋭い眼光をギラつかせ、親指を突き出すと共に不敵な笑みを浮かべた。鬼ごっこと聞いた直後は精悍な風貌に不満の色を覗かせたが、彼の直感が閃いたらしい。
「どうして鬼が決まっているの?」
 純の青い瞳が疑問を投げた逢魔・ミリートを映す。彼女は幼さの残る愛らしい風貌に訝しげな色を浮かべていた。細身を何故か着物に包んでおり、鬼ごっこには不向き‥‥というか、そもそもフィールドアスレチックコースを訪れる服装とは言い難い。まあ、普段からなら仕方がないとしよう。
「な、なんか邪な事を考えてないかな?」
 ミリートの円らな瞳が直感と共に青年を覗き込んだ。純は狼狽も見せず答える。
「フィールドアスレチックコースを周るだけでは面白くないと言うから、私は提案しただけです。他に提案があれば聞きますよ」
「‥‥だう〜」
 尤もらしい返しに、ミリートが上目遣いで呻いた。事実、アイディアを求めたものの誰も発言しなかった為、彼は熟考の末に提案した訳である。煩悩の塊などと言われる事も珍しくないが、鬼ごっこをするか否かは意見次第だ。
 僅かな沈黙が流れる中、逢魔・ラムがブルマから曝け出した白い太股を屈伸させながら愛らしく微笑む。金髪のポニーテールを背中で弾ませる少女は、臨戦態勢も整っているようだ。
「いっちにー‥‥いいんじゃないかにゃ? ボクは鬼ごっこでいいよ♪」
「え〜っ!? ラムさんがいいなら‥‥。あ、でも」
 共に鬼から追われる立場に快諾されては、ミリートも異議は無い。しかし、警鐘を鳴らす直感は相変わらず不安を駆り立てる。意を決して唇を開こうとした時だ。
「ただのレースより面白そうだな。それじゃ始めようか、考えている時間が長すぎたからな」
 こげ茶の瞳が倉見・織を捉える。腰ほどに届く長髪を束ね、運動着の胸元に垂らしているスレンダーな容姿は、一見『追われる役』側に見紛う中性的な色香を放つ端整な風貌の青年だ。
 ミリートは愛らしく頬を膨らました後、再び口を開く。
「ねえ、聞きたいん‥‥」
「それもそうだ。よしッ! サクっとスタンバイに入ろうぜ!」
「ミリートさん☆ 頑張って逃げようにゃ♪」
「う‥‥うん‥‥」
 またしても今度は猛に阻まれ、挙句はラムに流れを持って行かれてしまった。
 各々がフィールドに向かう中、背中を向けた純が壮絶なほど邪に唇を歪ませ微笑む。
 ――フッ、全て計画通り‥‥。

●逢魔のフェロモンが狂わせたのか?
 各自スタンバイに入り、鬼ごっこは始まろうとしていた。
 純、猛、織の男性陣が運動着姿で身構える中、前方に捉えるのは、走る体勢で背後を窺うブルマのラムと、何故着替えない? 換えの服を用意していなかったのか? 着物姿のミリートだ。
「こちらは3人だから、ハンデとしてラム達がスタート宣言してくれ」
 織が数メートル先に声を響かせた。カーレースではないが、競技としてスポーツマンシップに乗っ取って行いたいらしい。尤も、割とドス黒い彼が寛容な態度を見せるのは、ターゲットを狩る事を困難と感じていない顕れとも窺えた。
 ラムとミリートが互いに眼差しを交錯させ、真剣な面持ちで頷き合う。
「いっくにゃー!」「よーい‥‥」
「「どんッ!!」」
 ターゲットが走り出した刹那、鬼が同時に駆け出す。
「この手のフィールドは山育ちの俺にとっちゃ子供の遊び場だぜ! どっちを狙う?」
 ニヤリと微笑みながら猛が確認を促した。相手は2人。魔皇とはいえ人化を解かねば見失う可能性も否めない。誰を狙うか互いに把握していた方が戦術的にも都合が良い訳だ。
「私は運動が得意な方ではありませんから、着物のミリートさんを追います!」
「なるほど、選んだ理由はそれだけか? 純がそっちなら俺はラムを追おう。猛はどうする?」
「決まってるじゃねぇか! 狩りは困難なほど楽しいってもんだぜ!」
 互いに不敵な笑みを浮かべ、野郎共が疾走してゆく。まるで可憐な娘達を毒牙に掛ける悪役だ。
 一方、鬼の追跡から逃れるべく、彼女達も意見を交し合っていた。ラムがポニーテールに弧を描かせ、肩越しに背後のミリートに視線を流す。
「そろそろボク達も二手に分かれた方が良いと思うにゃ」
「ハァハァ‥‥そ、そうだね。一網打尽は、避ける、べき、だよ、ね」
 茶のショートヘアーを揺らす娘は、呼吸が荒い。運動が苦手という訳ではないが、やはり着物姿では走り難いのだ。少女は愛らしい風貌に不安を覗かせ、咄嗟に足を止めた。
「ボクが惹き付けるから、ミリートさんはそのまま急いで森に逃げ込むにゃ!」
「ラムさん‥‥捕まっちゃ駄目だからねっ」
 一瞬、躊躇いの色を浮かべたが、足手纏いになる訳にはいかない。ミリートは着物の裾をたくし上げ、足早に先を急いだ。
「無事にゴールで再会しようにゃ‥‥ッ!」
 駆ける背中を見送ると、ラムは瞳を研ぎ澄まして視線を流す。瞳に映るは、砂煙を巻き上げる勢いで疾走して来る魔皇三人衆だ。
「来たにゃー! ほーら☆ こっちだにゃー♪ 3人まとめて相手するにゃー☆」
 少女は鬼に背中を向けると、腰を反らしながら大胆に尻を突き出し、猫の尻尾があるかの如くフリフリと左右に揺らし挑発した。ブルマ属性があれば撃沈ものだろう。あどけない笑顔で危うい色香を放つ少女の姿を捉え、猛の眼光が滾る。
「発育途上の薄い肉を振りやがって、挑発してるつもりかよ! うおぉぉぉッ!!」
 ‥‥すっかり挑発に乗り、長めの前髪に風を浴びながら、一気に速度を増す青年だった。取り敢えず織も連携すべく合わせる中、ラムがギリギリまで間合いを計って駆け出す。
「な、なんか怖いにゃ‥‥! にゃにゃッ!?」
 ミリートを逃がすべく挑発したものの、コースを変えた少女は背後を窺い、素っ頓狂な声を張り上げた。背中を追って来るのは二つの影。遅れている訳でもない。
「純さんが来てないにゃ? ‥‥あのロープは!」
 視線を前方に戻すと、視界に一本のロープを捉えた。行く手に道は見えず、眼下にマットの敷かれたクッションが窺える。
「掴まってより遠くまで飛べば振り切れるにゃ! せーのッ」
 タン☆ と地を蹴りロープに掴まった刹那、宙に浮いた身体が不意に体勢を崩す。少女を強襲したのは、背後からブルマを引っ張られるような感覚だ。吊るされたロープがラムを向こう岸まで導こうと作用する中、やや上の方向から掛かる引力が紺色の布地を食い込ませる。
「ひっいいぃぃッ! な、なにゃ? ‥‥ッ!?」
「つ、捕まえたぜ‥‥」
 背後に流した視界に映るは、逃がすまいと滑り込んで崖から腕を伸ばす猛の姿だ。同時に青年の腕が掴んでいるブルマが、悲鳴をあげそうな程に伸びている状況が飛び込む。少女の眼差しが戸惑いと驚愕に泳ぐ中、猛の傍で織が微笑みながら様子を窺っていた。抵抗できないだけにかなり恥ずかしい。羞恥に頬を染め、声を荒げる。
「ち、ちょっとッ、放すにゃッ!!」
「放したら逃げちまうじゃねぇかよ! 待ってろ、引っ張り戻してやるぜ。それッ!」
「ひやんッ! んんッ、引っ張っちゃダメぇっ」
 ラムは小刻みに震えながら瞳を潤ませると切ない声を洩らした。思わず猛が息を呑む。
「な、なんて声だしやがるんだ‥‥」
「どうやら1名確保のようだな。俺はミリートの追跡に加勢するか。純が追い着く保障はない」
 ――拙いにゃっ!
 このまま織が加わればミリートが逃げ切れる確率は低い。まして、このままでは自分とて精神的にも疲弊してしまう。ラムはロープを握り締め、瞳に力を宿すと宙でうつ伏せの体勢を取るように下半身を振り上げた。慌てたのは猛だ。
「お、おいッ、危ないだろ! なにぃッ!?」
 少女がしがみ付くロープがゆっくりと対岸へ向けて揺れる。同時に青年が渾身の力で掴むブルマがズルズルと脱げ始めた。猛の視界は大変な光景を瞳に焼き付けた事だろう。
「そ、そこまでして逃げ切るつもりかよ! おおッ!」
 鋭い眼光が驚愕に見開く中、ブルマをキャストオフしたラムが頬を真っ赤に染めながら、愛らしく舌を出して遠ざかる。青年の手には、ホクホクのブルマだけが残った。
「ぬ、脱ぎたてのブルマが俺の手に‥‥」
「こらこら、イメージが崩れるぞ。それにしても、これほど本気でやられたからには何としても捕まえたいものだな‥‥。猛、先に行くが‥‥1人だからと‥‥否、信じている!」
 見目麗しい青年は薄く微笑むと、ラムを誘い戻って来たロープへ掴まり宙を舞う。
 風に長髪を棚引かせ振り返る中、膝を折ったまま紺色の布地を見つめる青年が遠ざかってゆく‥‥。
 猛、信じているぞ――――。

 ――その頃、ミリートは森の中を駆け回り、純の追跡を逃れようとしていた。
 コースを逸れて鬱蒼と茂る森を逃げ惑う中、背後から人影が追い掛ける光景は、まさにホラー映画かサスペンス劇場の様相だ。走り難い事も相俟って、余裕の無い娘は戦慄の色を放ち振り返る。
「ハァハァ‥‥はやぁ〜ッ、きょ、距離が‥‥何かな? 捕まったら絶対ダメな気がするよ‥‥」
「ターゲットロックオンです!」
 地を蹴った純が一気に飛び込む。グンと伸ばした先に捉えたのは、茶髪の揺れる着物の襟元だ。刹那、ミリートは背後から急激に引っ張られ、前へ重心を掛けた勢いのままにスルリと合わせが肌蹴る。
「はにゃあぁんッ!? だう?」
 前のめりに半身が傾く中、娘は頬を染めながら驚愕に瞳を見開いた。無理に着物を酷使した所為か定かでないが、同時に帯びの結びが解けたのである。忽ち衣から柔肌が覗き、袖元が肩を滑ると、木漏れ日の陽光が肢体を照らし出す。もはや鬼ごっこのレベルを越える様相だ。
 間合いを誤った純が倒れる中、体勢を崩したミリートも前のめりに転倒する。
「きゃうッ」
「はっ! 着物が脱げたという事は‥‥!」
 手中に剥かれた着物が残る中、ミリートの悲鳴を聞いた青年は突っ伏したまま期待の視線をあげた。
「な、なんですと!?」
 瞳に映ったのは一糸纏わぬ裸体ではなく、下着姿の娘だ。細身ながらも艶かしいラインを模る肢体が半身を起こし、愛らしい風貌を真っ赤に染めて羞恥に彩る眼差しを向ける。
「いったぁーい。そ、そんなに見ないでよぉ‥‥ひんッ!?」
 むくッと項垂れたまま立ち上がる純。まるで墓穴から現れた生きる屍のようだ。
「‥‥なんて‥‥着物に下着なんて‥‥着物なら何も着けないものでしょう! 邪道です!!」
「ばっ、ばかな事いわないでよッ、そんなの知らないもんッ。わたしの負けでいいから‥‥それより早く着物を返してっ」
 胸元を右腕で庇いながら、ミリートは左手を差し出し要求した。立ち上がらない様子を窺うに、ゲームオーバーと諦めたようだ。しかし、青年の見下ろす眼光は煩悩の炎を滾らせてゆく。
「‥‥何を言っているのですか? 私が掴んだのは着物‥‥ミリートさんではありません」
「ち、ちょっと待って! 純さん? だ、ダメだよっ、続けるなら‥‥せめて着物を‥‥」
 これから掴みますと予告する如く、青年は荒い息を弾ませながら両手を突き出しゆっくりと迫って来た。流石に愛らしい風貌を動揺と不安が彩り、半裸の娘は怯えながら瞳を潤ませる。
「純さん? こ、この指の動きは‥‥な、なに掴む気、かな? ね、落ち着いてよ‥‥」
 円らな瞳が戦慄く中、危うい色香に理性を吹っ飛ばしたような純が映り出す。
 深緑でミリートの悲鳴が響き渡り、掻き消すように鳥達が一斉に羽ばたいた――――。

 ――そんな中、ラムの逃走は続く。
 少女は白い体操着の裾を引き伸ばして必死に駆け回ると、前方に斜面を描く網を捉えた。
「えぇッ!? 今度は網ー!?」
 素っ頓狂な声をあげ、視線を泳がせるものの、迂回できる場所が見当たらない。戦慄の色で背後を窺えば、何故か織までも血走った眼光で爆走して来るではないか。遅れてブルマを握り締めた猛が興奮気味に後を追う姿を捉えた。
「もぉー、せめてボクのブルマはポケットにでもしまってよーっ! えぇいっ、ままよっ」
 ここまで逃げた以上、捕まる訳にはいかない。幸いコースに他の人影は見当たらないと察すると、両手を裾から開放して網の斜面に挑んでゆく。下から見上げられれば同じ事だ。ならば登り切って直ぐに降りた方がいい。
「これはこれは大胆な‥‥」
「織! 何だか分からねぇが、身体が熱く滾るぜ!」
 直ぐに追い掛けて来る野獣の如き野郎共。ラムは切迫した色を放ち、形振り構わず頂上を目指す。 辿り着いた先から眼下を窺うと、滑り台のようになっていた。少女の表情に花が咲く。
「ラッキー☆ これで一気に! そぉーれッ♪」
「もう逃がさないぞ!」
 ――にゃ!?
 両腕をあげて楽しそうに滑り台へ飛び込んだ刹那、織の手が今度は体操着の襟元を掴んでいた。勾配に身を任せる中、一気に衣服がたくし上げられ、白い腹部が陽光に晒される。
「ひ、ひにゃあぁッ」
 両手をパタパタと泳がせるものの、体操着の裾も青年の腕も掴めず、一瞬視界を白い布地が遮った次の瞬間、上着すらもキャストオフしたラムが涙を散らせて悲鳴と共に滑り落ちた。
「猛‥‥俺は体操着をゲットしたぞ。欲しいか?」
「なにぃ! じゃあ今のラムはッ!! でえぇぇぇいッ!!」
 青年は血走った鋭い瞳を眼下に流すと、腰も下ろさず斜面を駆け下りてゆく。
 流石は野生児! 何が彼をそこまで突き動かすのだ!?
「にゃああぁぁァァァ〜ッ! ひぃんッ、お、お尻がぁ、んあッ」
 あられもない恰好の少女が切ない声を洩らしていた。薄布一枚で硬質な斜面を滑るのだから、摩擦や食い込みも相当なものだろう。
「いやいやッ! もうだめぇ! ひんッ‥‥‥‥‥‥きゃんッ☆」
 勢い余ったラムの肢体は終点に到着すると、軽く宙を舞い、数メートル先のマットで激しく弾んだ。
「いたたた‥‥やーん、お尻がヒリヒリするよ〜。‥‥ひっ!?」
 四つん這いのまま尻を擦る少女が戦慄の色を浮かべる。視界に映ったのは常識を超越した運動力で斜面を疾走する猛の姿だ。遅れて美青年が片膝を着いた体勢で迫る。
「し、信じらんない‥‥この執念ってなに!?」
 ――こ、これは!?
 怯えながら小刻みに震える少女を捉え、青年が獰猛な眼光を見開く。ラムのパンティーは摩擦で所々が解れており、マットに落下した反動で緩やかな胸の膨らみがチラリと覗き、更に理性を吹っ飛ばす。
 ――ぷつんッ!
 何かが猛の中で弾けた。
「ラァァァァムウゥゥゥーッ!!」
「ひいいぃぃぃッ!」
 青年は宙を舞い、合わせた両手を額に翳して頭から少女目掛けて飛び込んだ。トランクスとブリーフがスルリと脱げて逆光に靡く中、ラムは慄き、思わず半身を起こして向き直る。震える肩からブラの紐が滑り落ちる中、鮮血を吹き散らす猛が白い肢体にダイブした。
 後に響き渡ったのは、けたたましい悲鳴だ――――。
「う、うぅん‥‥んあっ‥‥にゃぁん‥‥くすぐったい‥‥よぉ‥‥」
 ケダモノの猛攻を受けたラムは、ゆっくりと意識を取り戻す。朦朧とする中、瞳に覗き込む織の端整な風貌が映る。
「大丈夫か?」
「ん‥‥あ‥‥猛さんは?」
「‥‥彼なら、ラムの上で気絶しているが‥‥気付かなかったのか?」
「ふえ? ‥‥ひッ、ひにゃっ!?」
 下ろした視線が鮮烈な色を放つ。彼女の視界に飛び込んだのは、ブラの中に潜り込み、小さな谷間に鼻血と涎を垂れ流す猛の恍惚とした寝顔だ。ガクガクと震える中、振動に青年が目を覚ます。
「ん? 俺は天国で女神に抱かれているのか? それにしても‥‥!」
 ズズズとギコチナイ動作で顔をあげる猛が、真っ赤に染まったラムと視線を交錯させた。
「‥‥よ、よお」
「いっ‥‥いやああぁぁんッ!! なに考えてるのよ! ケダモノ! 悪魔! ヘンタイッ!」
 ポカポカと左右の拳を叩き込まれながら、青年は痛みと愉悦を満喫したという――――。

 ――さて、ここにも一人なに考えているのか分からない者がいた。
 深緑の中、切ない悲鳴が小さく洩れ聞こえる。
「ひゃんッ! い、今、わたしに触れたよね? やッ、もうわたしの負けでしょ?」
 ミリートと純の攻防は未だ続いていた。逃げ切れないと察した娘は胸元を庇いながら身構え、青年の伸ばす手を必死に躱してゆく。何度か柔肌に触れられたが、鬼は諦めていない。
「何か勘違いしていますよ? 私は捕まえると告げた筈です! 触れる範囲は勝利条件とならないでしょう?」
「や、やっぱり邪な思惑があったんだね? はやぁ〜、あの時わたしが疑問点を確認していればッ‥‥やんッ、どこ触っているんだよぉ」
 キッと怒りを放つものの、愛らしい風貌は純の洗礼を受けた途端に頬を染め、困惑の色へ転ずる。
「ハァ、ハァ、ち、ちょっと‥‥捕まえる気、あるの? 状況を、正当化して、愉しんでない?」
「キミが逃げるからじゃないですか? と、言いつつ隙ありです!」
 疲弊の色を察した純は、ミリートの肢体へ一気に飛び込んだ。彼女は懐に抱きつかれ、体勢を崩す。
「はっ!? はやああぁ〜ん!!」
 雑草のベッドへ倒れ込む鈍い音が流れる中、青年は柔肌の温もりを満喫していた。ミリートは真っ赤に染まりながら必死に彼を引き剥がそうと努める。
「も、もう捕まえたんだもん‥‥お終いだよね‥‥は、離れてよ!」
「60秒ルール‥‥いえ、3分‥‥6分だったでしょうか? それまで離さなければ‥‥」
「な、なに、いい加減なルール作っているんだよ! もお‥‥っ、いいもんっ」
 離れないならばと腰に回された青年の腕を緩め、ミリートはクルリと体勢を変えた。結果的に純の身体を背負う形と化すが、腰を起こせば少しは楽だし、逃げるチャンスも得られる。
 ――ズリズリズリ‥‥。
 と、予想通りに青年は両手を組んだまま摺り落ちた。同時に曝け出された肢体を外気が擽る。
「はやゃあんッ! なに? このスースーする感覚‥‥ひんッ!?」
『‥‥邪魔した、か?』
 驚愕に見開いた瞳を青年の声に流し振り向くと、呆然とする織と猛、そして捕まったラムが映った。ミリートは仲間達の視線を追い、ゆっくりと眼差しを下ろす。刹那、彼女は我が目を疑った。視界に飛び込んだのは、愛らしく曝け出したヒップラインだ。
「ふえぇっ‥‥ラムさん‥‥」
 じんわりと涙を浮かべて真っ赤に染まる中、ミリートの尻下で疲れた純が寝息を洩らしていた。
 こうして、鬼ごっこは幕を閉じたのである。

●ここまでやったら○○です魔皇様っ!
 女子更衣室の一郭から湯気が発ち昇り、小気味良い水飛沫の音が奏でられていた。
 ラムとミリートは、鬼ごっこの汗を流すべくシャワーを浴びている。湯気に浮かぶ幼さの残る容姿は、一見あどけない少女のようだ。二人は互いに度を越した鬼ごっこの惨状を語り合う。
「もう‥‥胸元で血と涎を垂れ流してるなんて信じられるにゃ?」
「忘れてしまいたいよう‥‥皆にお尻みられちゃったもん‥‥思い出すと恥ずかしくてッ‥‥」
 衝立の向こうから響くラムの経緯を聞きながら、ミリートは再び真っ赤に染まった顔を両手で覆って答えた。そんな中、スと彼女を何者かの手が撫でる。思わず声をあげて肢体を弾ませると、肩越しに流した戸惑いの瞳が映したのは、隣でシャワーを浴びていた筈の少女だ。
「ラ、ラムさんっ!?‥‥どうして‥‥」
「ねぇ? 彼が疲れて眠っていなかったらどうなってたんだろうね♪ 撫で回されていたかも知れないにゃ☆」
「も、もお‥ん、悪戯しちゃダメだよぉ。ラムさんだって‥‥」
「にゃにゃ!?」
 ミリートは眼差しを蕩けさせて微笑むと、スルリと少女の背後に周り込む。先手を取られたが身長はラムよりも高い。恍惚とした色を浮かべ、耳元で囁く。
「ショックで気を失っていなければ、どうなっていたのかな〜♪」
「いにゃんっ、そんな事いわないでったらぁ。織さんもいたから‥‥」
「彼、弄られるタイプみたいだけどー、弄る方が好きなんだって☆ 2人に迫られてたら‥‥」
 外見上は兎も角、年上の娘が囁く中、身を委ねていたラムが濡れた長髪を翻してミリートに向き合った。彼女の肩に手を当て、クンと爪先を伸ばすと潤む瞳を寄せる。
「純さんなら‥‥捕まえた弾みを利用してミリートさんにキスしてたかもしれないにゃ」
「こんな風にかな? ん☆」
 シャワーの音色と湯気が艶かしく唇を重ねる少女たちを霞ませる中、天井から覗くレンズが輝いた事を知る由もなかった。
「‥‥私達をオカズに女性同士で盛り上がるなんて不健康ですよ」
「堪えろ、飛び出したら言い逃れはできないぞ」
「俺達も盛り上がれるんだから良いんじゃねぇの? おぉッ!」
 その後、覗き撮影した画像が映っていたかは定かでない――――。



●ライターより  この度はイベント発注ありがとうございました☆ 切磋巧実です。
 いかがでしたでしょうか? 先ずは一度撃沈されています。遅くなり申し訳ありません。
 頑張って引っ掛からないように努めさせて頂きました。故にシャワーシーンの百合は‥‥過去に引っ掛かった経験がある為‥‥き、厳しいですっ。
 とくに魔皇様方が『なに? この外道なケダモノ』って感じに尋常じゃない有様ですが、イメージを壊していなければ幸いです。外伝とか番外編みたいな感じに捉えて頂ければと‥‥(苦笑)。
 楽しんで頂けたら幸いです。最後となるかもですのでよかったら感想お聞かせ下さいね☆




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この小説は株式会社テラネッツが運営するオーダーメイドCOMで作成されたものです。

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