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<PCパーティノベル・セフィロトの塔>


第一階層【ショッピングセンター】もう新人じゃない
白神空の推理

ライター:高原恵

 よし、お前さんがルーキーじゃないって所を見せる機会が来たぞ。
 目差すのはショッピングセンター。過去に大量の商品が詰め込まれた宝箱。だが、同時にタクトニム共の巣でもある。
 ショッピングセンターは巨大な建物だ。道に迷う事だって有る。
 生きて帰ってこれれば一人前だ。帰ってきたら、とっておきの一杯を御馳走してやる。

●危険度高し
 セフィロト第1階層――ヘルズゲートをぐくった先はもう、タクトニムたちの徘徊する地域である。つまり、巨大な門1つ隔てただけで危険度が跳ね上がるという訳だ。
 そしてヘルズゲートの先の危険度は、地区によっても変わってくる。例えば居住区であれば、おおむね危険度は低い傾向にある。逆に都市中央警察署の辺りなんかは、タクトニムたちが活動の拠点としているのか危険度は正直洒落にならない。
 それではショッピングセンターの辺りはどうなのだろう。実は……結構微妙な所である。いやいや、危険な場所であることには変わりがない。未だ多くの物資が残るこの場所にビジターたちが多く訪れるため、タクトニムもそれだけ多く集まってくるのだから。
 じゃあ、ビジターがやってこなければタクトニムも来ないのか、という疑問が出てくるが残念ながら今はそれを確かめる術はない。宝の山を目の前にして、みすみす見逃すような者は数少ない訳で……。
 ともあれ、ショッピングセンターの内外では訪れるハンターの数に比例するかのごとく、タクトニムたちの姿を目撃することが出来る。ほら、今だってショッピングセンターの裏口付近で、身体が白銀の獣毛に覆われたようなタクトニムの姿が見られる。
 ――ん、白銀の獣毛? いや……これはどうもタクトニムではないようだ。何故なら、筋肉が剥き出しになったかのような異様な外見のモンスターが近くを通った時に、わざわざ物陰に隠れていたのだから。仲間であるなら、このような行動を取るはずがない。
(今のはケイブマン……)
 顔以外が白銀の獣毛に覆われた狐耳の獣人――白神空は、たった今目撃したタクトニムの姿を物陰に隠れたまま自らの持つ知識と突き合わせていた。
「……ケイブマンは確か、俊敏で力が凄まじく強いはずよね……」
 気付かれぬよう、非常に小声で自問自答する空。もしケイブマンと格闘戦になったなら、それなりの強敵になることは間違いないだろう。
(数が居ないといいけど)
 そんなことを祈りつつ、空はショッピングセンターの裏口から中へと入っていった……。

●AだからB、ゆえにC
 空が今の姿でショッピングセンターを訪れているのは、戦闘を避けるための隠密行動であるからだ。そのため、狐の獣人に変身する『玉藻姫』の能力を使用したのである。
 空の隠密行動の目的は2つ。ビジターたちがこぞって探している上層に通じているであろう高速エレベーターの発見と、それを使用するための『パス』の確保だ。もっとも後者に関しては、空の推測であって実際にそういう物があるのかどうかも一切分からないのだけれども。
 しかし何故ショッピングセンターなのか。それには、空のこんな推理があった。
(これだけの設備だもの。上層に食糧生産プラントなんかがあって、それと繋がる物資運搬用のエレベーターが絶対あるはず)
 そもそもここは、居住する人間が生存に必要な物全てをその内部で賄える高層立体都市として建設されたという話である。ならば食糧生産のためのプラントの1つや2つあっても、おかしくはないかもしれない。そしてそういった物があるのであれば、当然運搬手段は必要となる訳で。生産した物は、それを必要とする者の所へ届かなければ何ら意味ないのだから。
 ショッピングセンターの中へ入った空は、周囲の気配に注意を払いながら外壁部に沿って探索を始めていた。探しているのは、倉庫や事務所であった場所である。それは何故か?
 答えは簡単、そこになら『パス』があっても不思議ではないと空が考えたからだ。
(……運搬用のエレベーターなんて、一般人が簡単に使えるような物じゃなかったでしょうしね)
 それは一理ある。誰でも彼でも使えたのでは、たまったものではない。そのために『パス』に相当する物が使用されていたと考えるのは、ごく自然な流れであろう。
「あ」
 外壁に沿って進んでいた空は、思わずつぶやきを漏らしていた。行く先に道がない――上層から崩れたのか通路が塞がれてしまっていたのだ。天井付近まで確実に塞がれていたため、これでは先に進めない。
(反対側に回らないと、これ)
 仕方なく空は、来た道を逆に戻って反対回りに進むことにしたのだった。
 探索の敵は、タクトニムだけではないのだ――。

●ビジターは1人だけではない
「……こっちもっ?」
 反対回りにやってきた空は、驚きの声を発してしまっていた。いや、そうしたくもなるだろう。だって、またしても行く手が塞がれてしまっていたのだから。同様に、上層から崩れたか天井付近まで……。
(この一帯が崩れてる?)
 考えられない話ではない。いつ崩れたかは知らないが、何かの拍子でその一帯が崩れていたとしてもおかしなことではないだろう。ビジターとタクトニムの戦闘で、瓦礫は増えることがあっても決して減りはしないのだから。
 ここまで進んできた途中に、倉庫や事務所らしき部屋を発見することは出来なかった。ということは、探す部屋は崩れた先にあるのだろうか?
(先に進めないんじゃお手上げだわ。この様子だと、運搬用のエレベーターも……塞がれた向こうにあるのかも)
 客の移動用ならともかく、運搬用のエレベーターが建物のど真ん中にあるとは考えにくい。どこか建物の端の方にあると考えるのが自然だ。けれども、今まで回ってきた外壁部の所には見当たらなかった。そうすると、崩れて塞がれた向こう側にあるかもしれないとなるのも自然な流れである。
「どうしよう……」
 思案する空。思わず視線を床に落としてしまう。と、その時だった。視線の先に、1枚の汚れたプレートが落ちていたのは。何やら、文字が書かれているようだ。
「!」
 はっとして、空はプレートに近付き手に取った。ごしごしとプレートの汚れを手で落とす。文字がはっきりと読み取れた――『OFFICE』と。
「……ここ?」
 プレートの落ちていた辺り、目の前に扉があった。先に行く手が塞がれていることに目がいってしまったため、気付くのが遅れてしまったようだ。
 慎重に扉を開く空。そこはまさしく事務所であった。倒れていたりもするが、スチールのデスクがいくつかある。そして何より、奥には金庫の存在が――。
(あそこにあるの?)
 期待に胸踊らせ金庫の前へ駆け寄る空。しかし、期待はすぐ落胆へ変わった。金庫の扉が少し開いていたのである。
 空は一息に金庫を開けた。案の定、中は空っぽであった。元から何も入ってなかったとは考えにくい。誰かが――恐らくは先に足を踏み入れたであろうビジターだと思われる――中身を持っていってしまったのだろう。
「今回は空振り……かぁ」
 大きく溜息を吐く空。まあ、そうそう簡単に行くとは最初から思っていなかった。今回だって、下調べをするつもりで乗り込んだようなものなのだから。
 ひとまず、落胆するのはこの辺で切り上げた方がよさそうである。部屋の外で、何やら気配がしてきている。ショッピングセンターを徘徊していたタクトニムが、空の存在に気付いたのかもしれない。
 さあ、ここからどうにか脱出しなければ――。

【END】


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┃登┃場┃人┃物┃紹┃介┃
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【整理番号(NPCID)】 PC名:クラス

【0233】 白神・空:エスパー


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┃ラ┃イ┃タ┃ー┃通┃信┃
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・『サイコマスターズ・アナザーレポート PCパーティノベル・セフィロトの塔』へのご参加ありがとうございます。本パーティノベルの担当ライター、高原恵です。
・高原は原則としてPCを名で表記するようにしています。
・大変お待たせさせてしまい申し訳ありませんでした。ここにショッピングセンター探索の模様をお届けいたします。
・さて、探索の仕方はよかったと思います。着目点は悪くなかったです。しかし、高速エレベーターの発見はなかなか難しいと思われます。不可抗力などもありますからね。ちなみに、無事に脱出は出来ておりますので。
・感想等ありましたら、お気軽にテラコン等よりお送りください。きちんと目を通させていただき、今後の参考といたしますので。
・それでは、またお会いできることを願って。