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<アナザーレポート・PCゲームノベル>


【ボトムラインアナザー≪battle2:bloody≫】

●訪問者はナイスバディ
「おーい、キリル! いるんだろ? 早く開けろよ!」
 ドンドンと先ほどから喧しくドアが叩かれた。キリル・アブラハムは口髭を弄りながら、ゆっくりとドアを開ける――と、相手を確認する前に勢い良く開け放たれ、長身の金髪美女が乗り込んで来た。身長は190cmはあるだろうか。壮年の男は頬をヒクつかせる。
「‥‥アルベルト、何ですか突然」
「誰に口聞いてんだよ? 俺はベラ・ルールだぜ? 誰よ、アルベルトって」
 ショートブロンドを揺らし、振り返るベラ。魅惑的に腰を捻って妖艶に微笑むものの、キリルは無言のままジトリと瞳を細める。
「‥‥まあ、良いでしょう」
「何だよ、その興味なさ気なリアクションはよ! こんなナイスバディの美女が押し掛けメカマンとして来てやったんだぜ? 少しはハナの下を延ばしたり、興奮ぐらいしやがれよな」
 確かにベラの身体は、出る所は出過ぎるほど膨らんでおり、腰は細く縊れ、ヒップは艶かしい丸みを想像させる。健康な男なら撃沈間違い無しだ。やはり、歳を取れば性的興奮も低下するのか。
「‥‥押し掛けメカマンと言うのは聞いた事ないですよ。第一、なんで女装なんですか」
 キリルは力なく溜息を吐く。異議を唱えるは金髪美女だ。
「うっせいッ! 女装じゃねーよ! これは能力の有効的な使い方だぜ」
 彼‥‥もとい、彼女はボディESPを行使するエスパーである。訳あっての肉体変化だが、キリルに説明するつもりは無いようだ。
「さて、どうするよ? AIで連動するサブアームをいっぱい着けるってのは、どーよ?」
 男はイメージして見た。愛機Katzeが蟹モドキになった姿を。
「‥‥嫌です。勘弁して下さいよ。絶対に嫌です!」
 べラは緑の瞳をキリルに流し、唇を尖らせる。
「‥‥ケチ」
「そういう問題ではありません。兎に角やめて下さいよ」
 哀願するような切実さが醸し出される声だった。
「わかったよ! んじゃ、マジに考えてやっか」
 押し掛けメカニックは細い腕を組み、バリエを見上げる。その眼差しは真剣だ。
「ふーん、Katzeは元々機動力を重視しているけど、足を強化するって、どーよ?」
「足、ですか? 具体的にどんな風に強化するのです?」
「そうだなぁ。足裏にローラーを着けて、高速移動ができるようにするか‥‥。平地ならず、足場の悪い場所でも走行や急速方向転換が可能ってよくねぇ?」
 肩越しに妖美な風貌を向け、べラが不敵な笑みを浮かべた。
「‥‥ふむ。裏はマズイですね。安定感に自信が持てません。シュペールのように脚部の横はいかがでしょうか?」
「つまんねぇなぁ」
「‥‥いえ、そういう問題ではなく」
「まあ、いっか。後は元々戦争屋だし、俺の出る幕じゃないよね」
 どうやら納得してくれたようだ。
 ここからは彼女の仕事である。図面を作成し、寸法を計り、必要な工具を算出しては、外へ出掛けたりもしていた。溶接で済むなら越した事はないが、ヒートプレス等の大きな機械が必要な場合は依頼した方が早い。
「どーよ、悪かないだろ?」
 数日後、脚部にローラーを装備したバリエ――Katzeが完成したのである。
「はい、思ったよりいいですね」
「そう? ならお礼にキスでも★」
 瞳を閉じて顔を寄せるべラ。男と分かっていても、一瞬色香に惑わされそうになる。
「冗談は止して下さいよ」
「ちぇッ。さてと、じゃあ俺はエントリーして来ようかな♪」
「‥‥エントリーですか? メカニックなら済ませましたが」
 ノンノン★と人差し指を振って彼女はウインクした。
「ラウンドガールに決まってるじゃん♪」
「はい?」
「心配すんなって、バトルの時はメカニック務めるからよ」
 ポンポンと肩を叩き、彼女はガレージを後にする。

●決勝戦の前に
「アルベル‥‥べラさん」
 言い直してキリルはボソリと話し掛ける。『彼女』は「なんだよ?」と先を促がした。
「俺のチーム名は銀狼ですが、Katzeは猫なのですよ。‥‥ラウンドガールの方に教えた方が良いでしょうかね」
「あん? どうでもいいじゃねーの? でも猫じゃ恰好つかないよな〜、あんたが猫なのは知ってるけどよ」
「‥‥うむ、考えて置きますか。それでは行って来ます」
「ああ、優勝期待してるぜ★」
 キリルは機体を前進させると、重厚な扉が左右に割れた――――。

 ――フェニックス。
 アメリカ南西部ソノラン砂漠の中心にある町である。
 太陽の谷とも呼ばれたこの町を訪れる者は様々だが、皆どこかに焦燥感を持っている者ばかりだ。中でも、戦場の硝煙の匂いと緊張感が忘れられない者が多く訪れる。
 ――ボトムライン。
 かつて警察の賭博だったモノが何時の間にか広まったMS(マスタースレイブ)バトルだ。
 何ゆえ金色の大海に囲まれ、気温は40度を越える町で開催されているのか定かでないが、密かな話題になっていた。
 この物語は、硝煙の匂いと鋼鉄の弾け合う戦いを忘れられない者達が、トップ・ザ・バトラーを目指して戦い合う記録である――――

「さぁーて、レディースあーんどジェントルマーン!」
 スポットライトを浴びたテンガロンハットの美女が両手を広げると、周囲で歓声を響かせる観客達に声を響かせる。
「これよりボトムラインGPセカンドバトル『ブラッディバトル』決勝戦を行いまーす♪」
 スポットライトが切り替わり、艶消しブラックと灰色に染められたバリエと、尻尾型スタビライザーに大きく裂けた口が古代の恐竜を彷彿とさせるエリドゥーが照らし出された。尚も司会は声を響かせる。
「ボトムラインフリーク達よ、狼は再び帰って来た! チーム名! 銀狼!! Katze! なんと今回はファーストバトル優勝者を初戦で敗退させた、いぶし銀の風格漂わすオジ様、キリル・アブラハム!!」
 MSからライトが集束し、茶髪をオールバックに流した男を捉えた。小麦色の肌と広い額が照り返す。口髭が渋さを強調するナイスミドルだ。キリルは軽く手をあげ、声援に応える。
「さすがオジ様、渋い! 無口な所が大人だぞキリルさん!」
 拳を滾らせ褒め捲る金髪美女。次にライトは反対側で機体から集束し、バトラーを照らし出す。
「チーム名! ブレーヴハート!! 護竜! ティラノザウルスよ、おまえは戦いに飢えていたのか!? ここでも覇者の王冠が欲しいというのか!? バトラーは未だ幼さの残る青年よ☆ 長髪とヘッドギアがチャームボイントなのかしら? 神代秀流!!」
 声援が飛ぶ中、長身の青年は観客達を見渡し、笑顔で手を振る。どちらかと言うと、子供達や女性の応援が多いようだ。
「この2名のバトルによって、優勝者が決定します! 今度こそ狼が勝利の遠吠えをあげるのか!? それとも、決勝でも抜群の操縦技術で覇者となるのか!? ボトムラインフリーク達よー、その目に新たな歴史を刻み込むがいいッ! それじゃ行くわよ♪ ボトムライン! レディィィゴーー!!」

●読まれる戦い――Katzevs護竜
 サイレンが響き渡ると同時に動いたのは護竜だった。しかし、相手はバリエ。機動力ではキリルが優っている。脚部ローラー音を響き渡らせると、Katzeは動きながら、7.62mmバルカンの鈍い銃声を奏で捲った。しかし、恐竜は簡単に狩られはしない。
 護竜はベイルを構えながら、7.62mmバルカンのバレルを回転させた。艶消しブラックと灰色に染められたバリエが装甲に火花を迸らせる。
 Katzeは牽制のバルカンを放ちながら旋回し、次第に距離を詰める。護竜は後退するものの、軌道が分かっているかのように、狼は恐竜に食い付いてゆく。バルカンの牽制を続けながら距離を詰めると、ランスシューターを打ち込んだ。
 放たれた鉄槌は装甲に食い込むと共に、機体の破片を舞い飛ばし、青年の身体を傷付ける。鮮血が流れる中、激痛が襲い、意識が遠退く。護竜は遂に膝を着いた。
 ――場内にけたたましいサイレンが鳴り響く。
 この瞬間に勝敗が決したのだ――――。
「ふふん♪ まあ、こんなもんだろ」
 べラは優勝を果たしたKatzeを眺め、満足そうに微笑む。
「しかし、キリルのヤツ、何やってるんだ?」
 場内は歓声にウェーブに包まれているというのに、バトラーは一向にコックピットから出て来ようとしていないのだ。
「しゃーねーな」
 歓声に陽気な笑みを浮かべ、まるで主役の如くコロシアムに手をふりながら歩いてゆく。目指すは佇むKatzeだ。
 ――ドンドン★
 鈍い音がコックピットに響いた。視界を流すと映ったのは、魅惑的な容姿の金髪美女だ。見下ろす形のカメラに、爆裂的な双谷が覗くものの、キリルは深い溜息を零し、仕方ないとばかりに胸部ハッチを開いた。飛び込むのはベラの声だ。
「優勝者が何時までも閉じ篭ってんじゃねーよ! 観客に愛想振り撒けって! ほら、さっさと降りて来やがれ! 劇的なハグで舞台を飾ろうぜ♪」
 両手を広げて待つ長身の美女。クライマックスを彩るシチュエーションに期待し、観客の歓声もヒートアップだ。
「‥‥いえ、遠慮しておきます」

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/クラス】
【0552/アルベルト・ルール/男性/20歳/エスパー】
【0634/キリル・アブラハム/男性/45歳/エスパーハーフサイバー 】
【0577/神代秀流/男性/20歳/エキスパート】

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■         ライター通信          ■
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 この度は御参加ありがとうございました☆
 はじめまして♪ 切磋巧実です。
 始めに『この物語はアメリカを舞台としたボトムラインです。セフィロトにボトムラインはありませんので、混同しないようお願い致します』。また、MSの演出面もオフィシャルでは描かれていない部分を描写したりしていますが、あくまでライターオリジナルの解釈と世界観ですので、誤解なきようお願い致します。
 優勝おめでとうございます☆ これもメカニックの効果かもしれませんね。因みに足の裏ローラーは技術的に困難であり、安定感も取れませんので、シュペールのようなローラースケート型に致しました事を御了承下さい。
 さて、‥‥女体化ですか(笑)。ラウンドガールも参加者がいなければ出来ない訳ではありませんが、台詞が重要です。切磋のイメージで台詞が演出されてしまいますので、現在のラウンドガールの台詞を確認して、表現方法を変えたのでしたら、採用させて頂きますね。可能なら衣装とか明記して頂けると助かります。尚、口調ですが、設定にべラさん時のものが明記されておりませんでしたので、そのまま不良っぽくしています事も御了承下さい。
 楽しんで頂ければ幸いです。よかったら感想お聞かせ下さいね。
 それでは、また出会える事を祈って☆