<聖獣界ソーン・黒山羊亭冒険記>


光の花散る思い出話

「異国の風、ですよねぇ――えぇっと、何て言いましたっけ? ゆか、えっと、ゆか――」
「浴衣、ですわよ、ヴァレンティーノ神父」
「そうだぞ、毎年毎年着ているクセに、どーしてサルバーレは忘れっぽいかな……前の年も忘れてたよな。浴衣、って単語」
 呆れるように首を振ったのは、白衣姿の医者であった。
 その目の前に、だって、と、立ち竦む神父と、腕を組んだ態度の大きな女牧師が立っている。
 ――黒山羊亭の、常連客達。
「エスメラルダさんも聞いていらっしゃるのではありませんでして? 私(わたくし)は初めての経験になりますけれども」
「そうね。天使の広場での夏祭りは有名だけど……マリーヤ牧師にしてみれば参加するのは初めてになるのね」
 カウンター越しに、エスメラルダがこくりと頷く。そういえば、この牧師がエルザードに赴任してきてからまだ一年と経っていない。
 とりあえず、カウンターにでも座ったら? というエスメラルダの誘いに、ようやく三人が椅子へと腰を下ろした。適当な飲み物の注文を受けながら、
「……で、今回はどんなトラブルを持ち込んできたのよ?」
「持ち込んできただなんてそんな、それじゃあまるで、私達が疫病神みたいじゃないですか」
 食い下がる神父に、
「あら、だってそうじゃない。全く、毎回毎回トラブルばかり持ち込んでくれちゃって、」
「違うよ、エスメラルダちゃん。トラブルを持ち込むのはコイツだ、コイツ」
 医者が、神父の長い耳を思い切り引っ張りながら言う。いてててて、という涙声も無視して、
「で、遊びに行こうと思ってるわけだ――と、言いたいんだけど」
 そこでふぅ、と一つ、溜息をついた。
 白衣の色が正され、ふと消毒液の香りが漂う。どうやらつい先ほどまで、医者は仕事をしていたらしい。
「今年はちょっと事情が違うんだよ、事情が。なんてったってこの不幸なサルバーレ・ヴァレンティーノ司祭サマがね、見事に貧乏くじを引き当ててくれちゃって、」
「び、貧乏くじってっ?! わ、私はただ、少しでも困ってる人の助けになれればなぁ、だなんて――!」
「どうも祭りの出店数が足りなかったとかで、主催長から出店を出すように頼まれて引き受けちゃったらしいんだよね、コイツ。しかも、俺達の事をきっちりと巻き込みやがった」
 曰く、おかげで一緒に出店を出すことになってしまったのだと言う。
 うわ、この神父、まぁた不幸を背負ってきたわ……。
 エスメラルダが、頭を押さえる。いつもの事ながら、どうしてこの神父は面倒ばかりを背負ってくると言うのだろう。
「けれどもクレープ屋さんだなんて、楽しみですわね」
「マリーヤちゃんにとってはね。だけどね、俺は面倒が嫌いなんだよ……! どうして愛想笑い振りまいてクレープなんか売らなくちゃならないんだっ!」
「まぁまぁ、これも神の思し召し、という事で――しょうがないじゃないですか! 人数が足りなかったんですもんっ! そりゃあ、勝手にスタッフ名に名前を書き加えたことについては謝りますけれどっ!」
「謝る、謝らないの問題じゃないっ!」
 神父の言葉が気に障ったのか、むっとしてテーブルの上の拳を握り締める医者。
 このまま放っておけば、きっと神父はボロ負けに負ける。
 それはあまりにも可哀想だろうと、ふ、と、エスメラルダがカウンターに肘を付きながら助け舟を出した。
「で、その手伝いを募集すれば良い、って事ね――」




 後日、神父の旧教教会に集められた面々に、
「――勝負に、してみませんか?」
 テーブルの上のアイス・ティーを片手にした、新緑色のワンピース姿の一人の少女が――マリアローダ・メルストリープが、青い瞳を走らせた。
 窓を開け放った聖堂の長椅子を上手く利用し、円卓状に並んだ仲間達≠ノ、
「折角前半部と後半部にわかれるんでしたら、担当の時間の売り上げを競ってみません? 負けた方が、黒山羊亭で奢る、という条件もつけて」
 ただクレープを売るだけより、気合も入ると思うし、ね。
 自慢の長い金髪を、やわらかくかき上げた。
「そうだね……マリィの提案、面白そう☆」
 その横でぴっ、と手を上げたのは、琥珀色の瞳に紅茶を思わせる髪の良く似合う少女、アデーラ・ローゼンクロイツであった。
 お気に入りの薔薇のネックレスが、その表情豊かな動きにあわせて揺れている。
「ねぇ、メイちゃんはどう思う?」
「え、あ、あたし、ですか――?」
 突然話をふられ、純白の一対の翼を持つ戦天使・メイ――青銀色の腰までの髪を白いリボンで括った、小柄な軽戦士風の少女――が顔を上げる。伏せ目がちに輝く紫銀の瞳で、俯き気味に周囲を見渡すと、
「悪くは、ないと思います――」
 争い事は嫌いだが、こういう勝負を否定しようとは思わない。
 思いながらにも、周囲の出会ったばかりの人達の視線によって帯びた熱を、慌ててアイス・ティーで飲み込んだ。
 そんなメイの様子に、小さく、安堵感を与える微笑を向けたのは、
「私も別に良いと思います。――その方が、寄付金も増えると思いますし。ですよね、司祭様」
 エルフの少女、セリア・パーシスであった。エルフ独特のとんがり耳に、どこか秋の森を連想させる色彩の服装。肩までの金髪に、碧眼が鮮やかに神父の方へと視線を向けた。
 そういえば、セリアさんもエルフなんですよねぇ、と、話を聞きながら適当な事を考えていた、事の依頼者でもある神父が、
「え、あ、いえ、別に良いと思いますけれど」
 慌てて頷く。
 その様子に、横から教会の居候にして神父を最も良く知る人物の一人、オンサ・パンテールが溜息を付いた。
「……結局、お任せで良いんじゃないのかい? 神父は」
「おや、そんな事ありませんって。その方が楽しそうですしって、思っただけですよ」
 とてもそうは思えないけど。
 褐色の肌に、良く映える純白の入墨。木の幹にも似た強い光の瞳に、同じ色の長い髪がするりと揺れた。森の戦士の証でもある入墨を、隠そうともしないその姿は、けれども健康的に、オンサの野性的な美しさを醸し出している。
「それじゃあ、決定って事?」
 オンサの言葉に、マリィの隣からすっと問うたのは、近くの屋敷の令嬢、テーアことテオドーラ。その横から、そういう事じゃないですかね、と、その執事のエドことエドモンドが付けたした。
 その向かいで話を聞いていた医者が、
「「それじゃあ、早速組み分けを――」」
 不意に、牧師と声をハモらせた。
 ――黒山羊亭で手伝いを募った所、参加してくれる事になった面々に、神父がざっと説明を終えた後の話であった。
 どうやら、クレープの中身等、全てにおいてまだ何も決まっていないらしい。それを一から決めるため、全員はここに集まっているのだが。
 ……それじゃあ、まずは組み分けから、ですね?
 ふ、と。
 教会の外から話を聞いていた女性≠ェ、では、と呟いた。
「クジならここにあります。組み分けでしたら、クジが一番良いのではないかと」
 聖堂に、窓からやわらかな声音が響わたる。全員が立ちあがり、窓の方へと集まった。
「さすがソウセイザーさん。では、お願いできます?」
「ええ、」
 窓から、影が差し込む。刹那するりと神父の目の前に現れたのは、小さな箱を載せた、大きな金属でできた指先、であった。
 ――ソウセイザー。
 全長五十七メートルのロボットにして、命を労わる優しい心を持つ、エルザードでは有名な福祉活動員≠ナあった。
「ありがとうございます」
「いえ」
 空高くを見上げてお礼を言うと、神父は全員に順々にクジを引いてもらうべく、箱を差し出していった。
 そうして、結果――


I

 前半のチームは、マリィ、セリア、ソウセイザー、そうしてテーアにその友人のセシール、牧師の面々となった。
「上手い具合に別れてくれましたわね。男は全員あっちのチームに……! これはもう、女の強さを見せ付けてやりましょう。主もそうせよと仰っていますわ!」
「先生、神様は、そんな事言ってないと思う……」
 ガッツポーズで叫ぶ牧師に、テーアの友人、セシールがぽつり、と指摘を入れた。その傍から、
「ああでも、これもきっと神様のお導き。神に使える方のお役に立てるだなんて、幸いです――それに、困った方を助けるのは、当然の努め。売り上げの一部が寄付金になると言えば、尚更の事です」
 精霊や神を強く敬うセリアが、胸の前に手を組み、瞳を閉ざした。
 しばし黙って祈りに没頭する彼女に、
「セリアさんは、ずいぶんと信仰心に富んでいらっしゃりますのね。――関心してしまいましたわ」
「当然の事です。精霊も神も、常に私達の事を見守って下さっています。日ごろから感謝の心を忘れるべきではありませんもの」
「その通りですわ、セリアさん。共に頑張りましょう!」
「ええ、頑張らせて頂きます……!」
 二人の会話を見つめていたマリィは、思わず苦笑してしまう。
 ……なんか絶対、どこか間違ってると思うのよね……。
「ねぇマリィちゃん、どうしよっか、クレープ。マリーヤさんとかもさ、お祈りに没頭すると、暫くこっちの世界に戻ってこないから」
 不意に、テーアに肩を叩かれ振り返る。
「あたしはフツーのクレープで良いと思うんだけどな〜。エドだったら何か気の効いた案、出してくれたかも知れないけど」
 今回は離れ離れになってしまった恋人の名前を挙げて、うーん、とテーアが考え込む。
「マリィちゃんは、どう思う?」
「私は――そうね、テーアさんの意見に賛成、かな?」
「へ?」
 マリィなれば、もう少し面白い案を出してくれるのではないかと睨んでの質問だっただけに、テーアは思わず、間の抜けた声をあげてしまっていた。
 しかし、マリィはぴっと指をおったてると、
「でも、全て手作りなの。クリームも、ジャムも――手作りの美味しさって、きっとわかってもらえると思うのよね」
 市場に出れば、ジャムにしろクリームにしろ、美味しいものが売っているのは知っている。しかし、やはり直接作った手作りの味は、それとは又違う美味しさを持っている筈なのだから。
 ううん、そうだからこそ――
「そうじゃないと、好きな人に手作りの料理を食べてもらいたい、だなんて、皆考えたりしないって、そう思うもの」
 私もシンに、いつか料理、食べてほしいな、って……。
「それも、そうよね」
 そう、思ってるから。
 不意に思い出した想い人の姿に、マリィは慌てて首を振った。物思いの底に落ち込みそうになった心を引き上げるかのようにして、
「という事で、ソウセイザーさんとかは、どう思ってるのかな?」
 元気に駆け出し、窓の外から大きなソウセイザーの方を見上げた。
「聞えてました?」
「ええ、聞えてましたよ、マリィさん。あたしもそれで、良いと思います。ただ――」
「ただ?」
 ソウセイザーの声音が、やわらかく微笑んだ。
「季節的に暑いので、アイスクレープもどうでしょうか。アイス・バナナですとか、キウイですとか……あとは、アーモンドナッツですとか」
 クレープを直接屋台で焼くことはできないので、あたしは作り方の教授やメニューのアイデアしか出せませんけれどもね、と、小さく謝罪を付け加える。
「アイスクリーム程度なら、体内の家庭科室区分で作れますし――手作りのアイスクリームですとかも、良いのではないかと」
「それは良いアイディアですね!」
 ソウセイザーの声音に駆けつけてきたのは、祈りを終えたばかりの、セリアと牧師であった。
 セリアはぐぐっと窓の外へと身を乗り出すと、
「私も、森の幸を活かしたブルーベリーやお芋を使ったクレープも良いな、って思っていましたから……アイスやジャムにすると、きっと美味しくなると思います」
 森を愛するエルフらしく、森の恵みに感謝して。
「……私(わたくし)も、それで良いと思いますわ、皆様――それじゃあ、これで決定、ですのね?」
 総括した牧師の横で、
「セシールもそれで良い?」
「うん、ボクは別に構わないよ」
 テーアに問われたセシールが頷いた。


II

 材料集めに、全員が天使の広場に広がる市場を走り回った。
 どうやら祭りの期間に限って、この場所にも市場が出ているらしい。様々な果物や、材料。小麦粉から牛乳、クレープの中身まで、マリィもセリアも、気合を入れて厳選して選んでゆく。
 そうして、全ての材料を集め終え、メニューも決まった頃。
「それじゃあ、まずはアイスクリームから、ね」
 ソウセイザーの体内にある、家庭科室にて。
「えぇっと、苺にチョコに、バナナにキウイ……アーモンドナッツ、それから、ブルーベリー、お芋のアイス……バニラも忘れちゃいけませんよね。どれから作ります?」
「お芋のアイスから作ってみません? どんなのができるか、少し楽しみで」
 白いフリルのエプロンを身に纏ったマリィが、ベージュのエプロンを着こなすセリアの方を見上げた。
 エプロンと同じ色の三角巾を頭に結びながら、
「でも、調べてみたら、色々とアイスになるんですね。図書館、とっても大きくて吃驚しちゃった」
 同じく、ソウセイザーの中にある図書館から借りてきた本を一瞥し、マリィがふ、と、頬を綻ばせた。
「ジャムの作り方も色々とありましたよね。ジャムはとっても、森の幸を活かし易いものですから、」
 森には、多くの精が住んでいる。その力の宿る、優しい果実。
 セリアはさて、と気合を入れると、ざっと周囲を見渡した。
 広い家庭科室。鍋やヘラも冷蔵庫も、十分なだけ備わっている。
 さて、これから一仕事――ですね。
「それじゃあ、マリィ様はアイスクリームをお願いできますか? 私はジャムを作ろうかと思います」
「はい、お願いします。……えっと、」
「あたしはアイスにするわ。面白そうだし♪」
「それじゃあ、ボクはセリアさんを手伝う」
「……私は、適当にお手伝い致しますわ」
 マリィの視線に、テーア、セシール、マリーヤと続けた。
「あたしは、アドバイスくらいしかできませんけれど……できる限りの事はさせて頂きます。あ、部屋ですとか、暑かったら言って下さいね? 温度の方を調節させていただきますので」
「お気遣いありがとうございます、ソウセイザー様」
 直接部屋の中に響き渡るソウセイザーの声に、セリアが上を見上げて微笑んだ。

 それからすぐに、試食会となった。
「もうちょっと砂糖が多目の方が良いですね――でも、とっても美味しいです。本当に」
 できたばかりのアイスを皿に盛り、突付きながら、セリアが小さく唸る。
 マリィも同じアイスを口にしながら、
「でもちょっと……お芋の味も濃いかも知れないですね。でも、お芋のアイスクリームって、結構美味しいんですね」
 意外な展開に、驚きながらに付け加えた。
 まさか、芋を使ったアイスがコレほどまでに美味しいものだとは、
 ――思っても、いなかったものね。
「ちょっと改良した後、これにチョコレートソースかけたら、とっても美味しそうです」
 それから、生クリームと。
 全部食べ終え、ご馳走様でした、とセリアが次のアイスを試食する。次は定番の、チョコレートアイス。
「……ん、美味しい」
 この上なく幸せそうな笑顔で、皿をテーブルに置く。
「本当に美味しいですよ、マリィ様。甘くて、ふわっと溶けるような感じがとっても……」
 甘い物は大好きです。
 優しい気持ちに、なれるよう。
 実はセリアは、少しだけクレープの試食も楽しみにしていた。元々甘い物が好きで、お菓子作りを嗜んだりもする程なのだ。
 本当に、幸せです――こういうのが、大好きですから。
「折角ですから、ミントを加えたものも作ってみてはいかがでしょう? チョコミントは、なかなか美味しいそうですから」
 あたしにはちょっとわからないんですけれどもね、と、苦笑の色を秘めたソウセイザーの声音が響き渡る。
「それも良いかも知れませんね。後で別に作ってみましょう」
「差出がましくてすみません」
「私もチョコミントのアイスは食べた事がありますけれど、とっても美味しかったです。きっとクレープにも、あうと思います」
 ソウセイザーとの会話の一方で、次のバニラアイスの試食に、セリアが手を伸ばした時、
「はい、ジャムの方も冷えましたわ。ブルーベリーに苺、それから、オレンジ、ですわね。とりあえずコレだけですけれども、試食してみます?」
「はいっ、是非!」
 牧師がテーブルに置いたジャムを、セリアはバニラアイスの上にそっと垂らす。
 まずは、ブルーベリーから頂きましょう。
 自分で作っただけに、それなりの自信はあった。ただ、微妙な味具合は季節にもよりますものね……と、セリアがスプーンを置いた瞬間、
「それからあたし、ためしに紅茶アイスを作ってみたんです。右から三番目の冷凍庫の中に入っているのですが、お口に合うかどうか……」
 ソウセイザーの、照れたような声音が響き渡った。巨体でも、料理はソウセイザーにとって得意な事の一つであった。近くに座っていたテーアが、その声音に冷凍庫を開ける。
「……う、わぁ」
 同時に漏れる、感嘆の声。様々な材料や調味料の入っている中にあるのは、
「これって、手作りのクッキーですよね? うわ、美味しそう……」
 形を整えられ、冷凍保存されているクッキーの生地。このまま焼けば、ふんわか美味しいクッキーになるのだと、彼女の執事も良くやっている保存方法であった。
「そうだ、クッキー砕いて入れたらどうかしら? 美味しそうじゃない?」
 冷凍庫から紅茶アイスを取り出し、マリィに渡しながらうきうきとテーアが問うた。
 皿の上に盛りつけながら、マリィもこっくりと頷き、
「そうね、とっても美味しそうだと思う――ソウセイザーさん、あのクッキー、焼いてもらっても良い、ですか?」
「ええ、構いませんよ。少し待ってて下さいね――暫くしたら、そこのオーブンから出てきますから」
「ありがとうございます! とっても楽しみ……」
 胸の前で手を合わせてから、マリィはアイスの上に、セリアの作った苺ジャムを垂らした。
「あ、美味しい……」
 先にアイスを口にし、隣で思わず呟いたセシールに、
「そうよね……甘くて、でもあっさりとしてて――それに、この苺ジャムも、とっても美味しいです。ソウセイザーさんもセリアさんも、本当に料理が得意なんですね」
「ありがとうございます。あたしも……皆さんの料理が食べれないのが、とっても残念です。でも、香りですとか、美味しさですとか――そういうのは、何となくわかりますよ。心が篭もってて、暖かいというか……」
 ソウセイザーの言葉に、セリアとマリィとが顔を見合わせる。
 微笑みあった途端、オーブンの方から、甘い香りが漂い始めた。
「……美味しいだなんて、そんな。ありがとうございます」
 少し遅れて、セリアがマリィに目礼する。
 どうやら事は、このまま順調に運びそうであった。


III

 そうして、夜に鮮やかな光の照り映える、祭りの当日。
「さぁ、やるったらやるわよっ! 勝負って燃えるわよね! あ、もしかしてマリィちゃんもそのクチ?」
「ただやるだけじゃあ、ね。やっぱり、そうした方がやる気が出ると思って」
 颯爽と気合を入れているテーアに、マリィはにっこりと微笑みかけた。二人の心が、ひっそりと通じ合った瞬間。
「ほら、セシールも頑張るわよっ! 一日中フルート吹きっぱなしで疲れると思うけど」
「ううん、大丈夫。こういうのには、慣れてるから……」
 楽壇は、テーアの思っているほど甘い世界ではない。兄が生きていた頃から、一日中フルートを手にしているような生活には馴れてしまっている。
 ちなみにサルバーレは、現在この祭りでの公演準備の為に席を外していた。
 セシールは、テーアに思い切り叩かれた肩を抑えながら、
「えっと、ボクは客寄せだよね……フルートを吹いてれば良いの?」
「私も時間がある時には歌を歌うから――宜しくね、セシールさん」
「うん……マリィちゃんも一緒に頑張ろうね」
 上目遣いに、マリィを見上げる。
 その時不意に、フルートをきゅっと握ったセシールの鼻腔をついた。
「……あ、」
 振り返ったセシールに、
「もう準備、始めた方が良いかなぁ、と思いまして」
 微笑みかけたのは、黄色の朝顔模様の浴衣の袖をたすきでたくし上げたセリアであった。魔法で熱した丸い鉄板の上に生地の素を垂らし、ヘラで広げてふんわりと焼いてゆく。
「そうよね! 早く売らないと、売り上げ負けちゃうだろうしっ!」
 セリアの言葉に、テーアがくるりと踵を返した。その勢いを利用して、
「で、何を持って来れば良いの?」
 自分が料理をできない事くらい、痛いほど良くわかっている。
 まぁ、だったらやれる事やった方が、良いだろうし?
 マリィもセリアも、料理を得意としているらしい。更にマリーヤもいれば、これだけで十分に調理役はまかなえてしまうだろう。
「……それじゃあ、とりあえずアイスクリームを一通りお願いね。私もジャムとか取ってこなくちゃ」
「それじゃあ、一緒に行く?」
「うん」
 頷いたマリィの手を取って、テーアは勢い良く駆け出した。宣伝塔代わりとなり、大きな札を手にするソウセイザーの所で立ち止まると、
「ソウセイザーさんっ! アイスはできてます?」
「はい、できてますよ。チョコレートアイスにバニラアイス、チョコチップ入りのも苺アイスもできてますね」
 ソウセイザーは、手の平を静かに下ろし、マリィとテーアに乗る様に促す。
「家庭科室の場所は、」
「えぇっと、何となく覚えてるので、多分大丈夫だと思います――ね、テーアさん?」
「うーん、マリィちゃんに任せるわ。迷ってもソウセイザーさんが案内してくれると思うし……ね? ソウセイザーさん?」
「はい、安心してください。中で迷子になる事はありませんから」
 マリィとテーアの返事に、微笑を孕んだ声音で告げると、体内への入り口を開けた。
 ソウセイザーの中は、とてつもなく広い。何度入ってもわくわくできるような場所への入り口に、マリィとテーアとの話し声が消えていった。
 二人が無事に入っていった事を確認すると、ふ、と、ソウセイザーが、
「セリアさん、牧師さん、他に準備するべきものがありましたら、準備させていただきますけれど」
「ん、多分ないと思います。材料さえ揃えば後は焼くだけ……ですよね、マリーヤ先生?」
「ええ、すみませんね、お気遣いいただいてしまいまして――ソウセイザーさんのおかげで助かりますわ。アイスクリームなんて真夏に外においておけませんものね」
「いえいえ、こちらこそ、色々と事細かに聞いてしまってすみません」
 ぺこり、と頭を下げた大きなその姿に、セリアと牧師は知らず微笑ましさを感じていた。外見によらず、とても優しいソウセイザーの心に、
「ソウセイザー様は、本当に優しいんですね」
 次々と生地を焼きながら、そっけなくセリアが呟いた。ソウセイザーの聴覚が、その小さな呟きを拾う。
「――いいえ、」
 少しだけ、照れくさそうに、
「そんなは、ありません」
 首を振った彼女に、
「ほら、やっぱり」
 見上げてセリアは微笑んだ。
 最初は正直、あまりの大きさに、最初はかなり吃驚してしまったのだが、
 やっぱりこういうのは、外見にはよらないもの、ですよね。
 また面白い人≠ノ出会えたのかもしれませんね――と、セリアの心はほのかな暖かさを感じていた。


IV

 ソウセイザーのライトの光の下、お洒落なワンピースに着替えたセシールが、ぺこりと一つお辞儀した。
 セシールには、この後フルートの公演予定がある。サルバーレの指導する聖歌隊との共演で、旧教と新教との共同企画でもあるのだが、
「……え――と、」
 それまでの間には、しばしの時間があった。その時間を利用して、セシールがこの場所でフルートを吹く事は、客寄せと同時に彼女のフルートの練習にもなる。
 その上、セシールは結構なあがり性でもあるのだから、
「な、何て言えば良いのかな……」
 本番であがらない為のちょっとした訓練代わりにもなる。
 セシールはおどおどと周囲を見回しながら、ソウセイザーのスピーカーによって周囲に拡大される自分の声に、酷く戸惑っているようだった。
 大きなソウセイザーの姿と、その元の少女の姿とに、何だ何だと人も集まり始めている。
 世界が、回っているかのようだった。
「……ぼ、ボク――、」
 何が何だか、わからなくなってくる――。
 知らぬ間に、反射的にか、セシールは手の内でうっすらと濡れていたフルートを構えていた。
「――セシールさん、」
 励ますかの如く聞えてくる、優しいソウセイザーの声音に、
 ……えぇいっ、なるようになれっ……!
 小さな一歩の勇気と共に、フルートに息を吹き込んだ。
 Do Re Mi Fa So La Ti Do――と、一気に一オクターブを駆け抜け、音だしをすると、ゆっくりと息を整えた。
 振り返る人々の視線が、セシールへと集中する。
 これでもう、後には引けない――、
 と、その時。
 不意にその姿≠認め、落ち着かされたようにして、セシールが目の前においておいた譜面台の楽譜を捲った。
 一息つくと、笛に指を当てる。
 ひと時の独奏旋律に、
「♪Ma bouteille m'est fid`ele...♪」
 透き通った声が、歌を重ねた。
 胸に手を当ててゆるりと歩みを進める、一人の少女。
 月光の影に、長い金髪がするりと輝き――やがて、光の元に静々と降臨する。
 立ち止まった人々の、息を呑む音が響き渡った。
 空間を刹那、音楽が抱き抱えたかのように、
「♪Ma ma^itresse ne l'est pas――♪」
 優しく駆け抜けてゆく。
 歌を愛する少女の言葉を、とりどりに角を欠いたやわらかな音が彩り、より鮮やかに染める。
 ……ソウセイザーが、ライトの色を薄く、闇へと近づけた。
 さながら新月の夜の、蝋燭の光のような優しさに、
 ――まあ、
 心の中で、ソウセイザーが呟く。
 高く見渡す視線のその先には、ずらりと並ぶ列のその先で、こちらへと足を向ける人々の姿が映し出されていた。
「……どうやら、忙しくなりそうですね」
 人々の流れが変わったのに気がついたのか、セリアがふ、と呟いた。
 次々と注文通りの品を渡していく牧師の姿を眺めながら、次々と生地を焼いていく。
 その後ろでは、テーアが不器用ながらにも、必死になってクレープの上に中身を載せていた。
 残り数枚を焼き上げて、十分、と感じた所で、テーアの横につく。
「大丈夫ですか? テーア様」
「うーん……ちょっと大丈夫じゃない、かもしれません……」
 ぺたぺたとブルーベリージャムをつけながら、テーアがむぅ、と一つ唸った。
 ――口には出さずとも。
 その様子を上から覗き込み、セリアは思わず絶句してしまっていた。
 く、クレープの中身って……見えなくて、良かった、ですね……。
 どうやらテーアの不器用は、根っからのものらしい。
「っと、サツマイモクレープ一つ、それから、チョコアイスクレープを一つ、お願いいたしますわ」
「はーい!」
 牧師の言葉に、セリアは横から一枚生地を取り出すと、手際良くその上に中身を乗せていく。てきぱきと包んで、牧師にお願いします、と差し出した頃、
「……はやぁいですね……」
 テーアはまだ、先ほどのクレープを不器用にたたんでいる最中であった。
 小さく苦笑すると、
「え、と、こっちを先に折ると良いと思います。それから、ここはこう折ると上手く行くかと……それから、中身はこの辺までにしておかないと、包みにくいですよ?」
「あ、なるほど。それじゃあ、こーすれば良いのかな?」
「ええ」
 素直に従うテーアに、にっこりと頷いてみせる。
 クレープを包む紙を差し出しながら、ふ、と視線を牧師の方へと巡らせれば、どうやら屋台には列ができているらしかった。
 ……ちょっと、嬉しい事ですよね。
 瞳を細めたセリアの耳に、マリィの歌声が心地良く届いた。


V

 そうして、長いようで短い時間の後、後半部に、クレープ屋を引き継ぎ。
「セシールさん、本当に良かった……! 月並みな言葉しか言えないけれど、本当に感動したもの」
「そんな、褒めないでよ、マリィちゃん――楽長がすごいだけで、ボクは楽長の指示に従っただけ――」
「神父さんはあれでいて結構放任主義な所があるから、結構セシールさんに任せてたんじゃないのかな? 曲の雰囲気とか、吹き方とか」
「まぁ、確かにそうだけど……」
 丁度それから暫くしてはじまったのは、神父率いる聖歌隊と、その他の楽団との共同演奏会。
 今は、それに参加していたセシールを迎えに行き、セリアも含めて三人で、出店を眺めている最中であった。
「私も吃驚しました。セシール様は、本当にフルートがお上手なんですね」
 浴衣に挟んでいた団扇を仰ぐセリアの言葉に、夜の光の下でもはっきりとわかるほど、セシールが赤面してしまう。
 そんなセシールを、優しい視線で見つめると、
「それにしても、人間の街に出て日が浅いのですが――こういうお祭りは、良いですね」
 ふ、とその暖かさを、周囲へと転じた。
 光の溢れる、出店が並ぶ。
 人々の活気と、笑い声。
「そこにいるだけで心が躍ると言うか……本当に、心地良いです」
「私もこういうお祭りは好きです。でも、」
 でも正直、シンと一緒だったらなって――そう思っちゃうから、少し寂しいけれど、ね。
 でも、と言葉を飲み込んで、自分を励ますかのようにマリィは微笑を浮かべた。いつまでも会えない想い人と共に、いつか、
 いつかこういう場所を、一緒に歩けたら良いな……。
 テーアの事を、思い出す。
『あたし、エドの事引っ張って遊びに行こうかなって、そう思ってて――』
 セシールと入れ替わるようにして、どこかへ駆けて行ってしまった彼女。
 今頃エドさんと一緒に、どこかの出店にでもいるのかな……。
 と、
 途端。
 空を、轟音が引き裂いた。
「「「……あ、」」」
 並んだ三人の影が、空を、見上げる。
 石畳の上に立ち止まり、光に溢れる空を見上げた。
「……はじまった、」
 呟いたセシールに、
「行きましょう! もっと近くで見れば綺麗なはずです!」
 二人の手をとって、下駄を履いたセリアが器用にも走り出した。
 夜を彩る明かり。石畳が暖かな色に染められ、空には光の花が咲く。
 今日だけは彩られた闇の奏でるゆるりとした時間を、駆け抜けて、駆け抜けて。
「うわぁ……綺麗……」
 立ち止まり、マリィが呟いた。
 人気の薄れた静かな場所で、冷たい夜風をするりと感じ、
 もう一度、轟音。
 輝いた光が、地面に降り注いでいた。
「シン……くん、」
 轟きに掻き消える声音に、セリアもセシールも気がつかない。
 一方で、
「……やはり世界は、素晴らしいです」
 セリアの言葉も二人には届かない。
 そうしてこの時、黙り込んだセシールが思い出すのは、数ヶ月前に死別した兄の事であった。
 それぞれが、それぞれの想いで、空の花を見上げる。
 儚く散り行く一瞬の輝きを、じっと、そっと、見つめる事しかできずに――。




「――売り上げの集計結果が出ましてよ」
 祭りも終わった、その夜中。
 今度は牧師の新教教会の礼拝堂に集められた面々の目の前で、
「皆さん、本当に今回は感謝してます。出店の主催長からも宜しくお伝え下さい、との事です――寄付金も、大分出ますしね。本当に大助かりでしたよ。ありがとうございました」
 牧師の言葉に続けて、神父が丁寧にお礼を述べた。
「いえ、私も神に仕える方のお役に立てて、本当に幸いです」
 胸に手を当て、精霊達に祈りを捧げるかのようにセリアが言う。続けてメイも、
「あたしも……沢山の方々の笑顔を見れて、本当に嬉しかったです」
 こちらこそありがとうございました、と付け加えた。
 そんなメイの隣から、
「で、売り上げ競争はどっちが勝ったの?」
 結果が気になる、と言わんばかりに、アデルが手を上げて言った。
 マリィもマリィで、アデルと気持ちを同じくしているらしい。身を乗り出しながら、神父の言葉を待っていると、
「――それがですね、どうやら今日は、奢りとかなんとか、そういう必要は無さそうなんですよ」
 祭りの会場とは違う、やわらかな光の下で神父が微笑んだ。
 その横から、オンサが説明を加える。
「ソウセイザーが、打ち上げなら家庭科室でどうですか? って」
 ソウセイザーの体内は、学園のような構造になっているらしい。その上ソウセイザー自身も、家事手伝いに料理は得意であった。今回はその大きさが故にクレープ作りの手伝いはできなかったものの、
「――ちょっとしたお料理を用意させていただきました。気に入って頂けるかどうかは、わかりませんけれど――」
 開け放った礼拝堂の窓から、響き渡るソウセイザーの声。曰く、家庭科室には、もう料理が準備してあるのだと言う。
「それから、ソウセイザーさんに聞いた話によりますと、調理場を貸していただけるそうなので、ね。私もエド君とマリーヤ先生と一緒に、皆さんに料理を奢らせて≠「ただきますよ。アデルちゃんにも、クレープを作ってもらうように約束してありますしね」
「ちょっとマテ、俺は――」
「リパラーレは駄目。絶対台所に立っちゃ駄目」
 浴衣姿のままで、神父が医者の言葉を珍しく強く却下する。
 がっくりと項垂れた医者の言葉を取っ払うかのような、
「そーだね、それも面白そう! あ、でもサルバーレ、あんた、後できちんと売り上げの内訳とか公表しなさいよ?」
「わかってますって。きちんと前半分、後半分共に整理してありますよ。それは義務みたいなものですからね」
 不意なテーアの指摘に、神父がくるりと振り返る。
 そのままそれじゃあ、と、全員に移動を促した。
「あっと、そういえば神父さん、あたし、皆の分の金魚取ってきたんだ! メイちゃんが手伝ってくれたの☆――どうしよっか?」
「――とりあえず、向こうに水槽がありますから、そちらに袋ごと入れておいて下さって構いませんわ。帰り際に配られると良いかと思いますわ」
「うん、それじゃあそうするね」
 大量の金魚袋を手にするアデルに、牧師が近くの一室を指し示す。
 その一方、並んで玄関に向いながら、マリィがセシールに微笑みかけた。
 ――祭りの後の静けさは寂しいけれど。
「花火、綺麗だったね」
「うん。ボクも又見たいな」
 玄関の扉を開けて、空を見上げる。
 満天の星が、今日の笑顔の数を表しているかのような錯覚に、
「……私、こういう楽しい雰囲気は、大好きなんです」
「あたしもです、セリア様。又いつか、こういう日が来ると……嬉しい、ですね」
 その横に並んだセリアもメイも、知らず微笑んでいた――。


Finis



□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
            I caratteri. 〜登場人物
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

<PC>

★ メイ
整理番号:1063 性別:女 年齢:13歳 クラス:戦天使見習い

★ マリアローダ・メルストリープ
整理番号:0846 性別:女 年齢:10歳 クラス:エキスパート

★ ソウセイザー
整理番号:0598 性別:女 年齢:12歳
クラス:巨大変形学園ロボットの福祉活動員

★ アデーラ・ローゼンクロイツ
整理番号:0432 性別:女 年齢:10歳 クラス:エキスパート

★ オンサ・パンテール
整理番号:0963 性別:女 年齢:16歳 クラス:獣牙族の女戦士

★ セリア・パーシス
整理番号:1087 性別:女 年齢:117歳 クラス:精霊使い


<NPC>

☆ サルバーレ・ヴァレンティーノ
性別:男 年齢:47歳 クラス:エルフのヘタレ神父

☆ リパラーレ
性別:男 年齢:27歳 クラス:似非医者

☆ テオドーラ
性別:女 年齢:13歳 クラス:ご令嬢

☆ エドモンド
性別:男 年齢:15歳 クラス:執事

☆ マリーヤ
性別:女 年齢:25歳 クラス:女牧師

☆ セシール
性別:女 年齢:12歳 クラス:フルート奏者



□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
          Dalla scrivente. 〜ライター通信
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

 まず初めに、お疲れ様でございました。
 今晩は、今宵はいかがお過ごしになっていますでしょうか。海月でございます。今回はお話の方にお付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。又、いつもの事ながらに、締め切り当日の納品となってしまいまして、本当に申し訳ございませんでした。
 突然ですが、どうでも良い話になってしまいますが、今回の台風はかなり大きいですとかで、普段は台風に嫌われている蝦夷ですら、雨がざんざんぶりだったりします(ちなみに台風自体は温帯低気圧に変わり、本日はそこそこ晴れていますが/笑)。しかも、日々凄まじく蒸し暑いんですよね(汗)実は今回のお話を書かせていただくにあたり、あたしの手元にあるのは保冷剤だったりします。このままでは干からびて死んでしまうわ……と、本州の方からはお叱りを受けてしまいそうなのですが……(苦笑)
 今回のお話には、ちらっと伏線を張らせていただきました。エド(執事)とテーア(令嬢)の関係についてなのですけれども、この件を取り扱うのは、次回の黒山羊亭での受注予定話『肩並べへの間奏物語』となります。宜しければ、ちらりとでも覗いてやって下さいましね。

>マリィちゃん
 結果的に微遅刻となってしまい、大変申し訳ございません(汗)今回はマリィちゃんのやる気がひしひしと伝わるプレイングをありがとうございました。読んだ瞬間「燃えていらっしゃる……!」と、こちらにまで気合が入ってしまいました(実話)
 愛情たっぷりな料理は、とっても良いものだと思います。あたしは料理がさっぱりできないのですが(少々お菓子が作れる程度でして……/汗)マリィちゃんにはお料理をしている姿もとってもお似合いですし……。
 話は変わりますが、ケーキ作り、とても可愛かったです。あの苺があれからケーキを鮮やかに飾るわけですよね……あたしも食べたい所です♪

>セリアさん
 お初にお目にかかります。今回はご参加、ありがとうございました♪
 セリアさんは信仰深いとの事で、とても書いていて楽しかったです。もう少し神父と一緒にいる時間が長ければ、別の会話もできたのでしょうけれど……。神父とは同じエルフ同士なので、受注が来た時には吃驚してしまいました。ソーンでエルフさんに出会うのはこれが初めてでしたので。
 お祭りは、あたしも大好きだったりします。日常とは切り離されたような、不思議な感覚がなんとも言えないような気がします。屋台の香りですとかも、いつもとは違いますし……。もうお祭りの時期も終わってしまいますので、少々寂しい所です。

 では、乱文となってしまいましたがこの辺で失礼致します。
 PCさんの描写に対する相違点等ありましたら、ご遠慮なくテラコンなどからご連絡下さいまし。是非とも参考にさせていただきたく思います。
 次回も又どこかでお会いできます事を祈りつつ――。


11 agosto 2003
Lina Umizuki