<PCクエストノベル(1人)>


「得する時は、得をする!〜チルルカ遺跡〜」


【冒険者一覧】

【1856 / 湖泉・遼介 / ヴィジョン使い・武道家】



□ 序章
 パシンッ
 その音が聞こえたのは、ヴィジョン相手に模擬戦をしている時だった。
遼介:「……な、何か変な音がしたよーな」
 恐る恐るその発信源へと目を向ける。その発信源を見て、遼介は微妙な顔をして項垂れた。
遼介:「――― そろそろこれも潮時なのかなぁ……」
 その視線の先には所々かけてしまっている自分の剣。今まで随分と無理をしてきたからなー……、とその剣を見つめながら遼介は大きくため息をついた。
遼介:「仕方ない、長い間付き合ってもらったコイツには悪いけど新しいのを探さなきゃな」
 むんっ、と気合を入れ剣を鞘に収める。そしてヴィジョンを元に戻すと、近くに脱ぎ捨ててあった上着を掴んでその場を後にした。


□ 本章
 チルルカ遺跡。その遺跡の地下には人口で作られた巨大な洞窟がある。噂では、はるか昔ここは城であり、この洞窟はそれが沈んで出来たものではないか?等と言われていた。
 丁度その遺跡の近くまで来ていた遼介は、この噂を聞きつけすぐにこう考えた。
遼介:(城…って事は、お宝とかがあるかも!んでもって剣の1本や2本落ちてんじゃないかっ!)
 そしてそんな噂を聞いた翌朝、まだ何処の店も開いてないような時間に遼介は宿を出た。


 少し歩くとすぐに遺跡の入り口へと着いた。ご丁寧に看板まで立っていて「チルルカ遺跡へようこそ」なんて文章が書いてある。遼介はその看板を見て、小さく笑った。
遼介:「んじゃ、お邪魔するぜ〜」
 もう少しで使わなくなるだろう剣の柄をぽんと叩きつつ、薄暗い遺跡内へと入っていった。

 ぴちゃん ぴちゃん
 歩く度に洞窟特有のじめじめした空気が纏わりついてくる。遠くの方からは雫の落ちる音が聞こえてきていた。……ちなみに、ちょっとばかし気の弱い人であればすぐさま悲鳴を上げて倒れてしまいそうな程、怖い雰囲気である。
 けれど遼介はそんな雰囲気さえも楽しいようだ。
遼介:「いいねぇっ、こう何か出てきそうな感じで!」
 手に持ったカンテラを掲げて周りを見渡す。だがカンテラの光はその全部を照らすほど強い筈もなく、3メートルもいけばほとんど見えない状態だった。
遼介:「ちょっと暗いのが気に食わねーけど……、ま、剣さえ手に入れりゃ関係ねっか!」
 出来れば魔法とかそーゆーのが欲しいよな〜、と独り言を呟きながら薄暗い洞窟内を進んでいく。

 少し歩くと、道は二手に分かれていた。

遼介:「ふむ。どっちにしようかな」
 立ち止まり、腕を組んで双方を交互に見る。片方は今まで歩いてきたようなじめっと暗〜い典型的な“洞窟”の道。もう片方はそれよりも若干明るかった。たぶん何かしらの仕掛けか、光ゴケの一種でも生えているのであろう。
遼介:「どっちかっつーと、カンテラ使わなくて済みそうなこっちがいいけど……」
 少し明るめの道 ――― ちなみに遼介から見て右手にある ――― を見る。確かにこの位の光があればカンテラは必要ないだろう。
遼介:「よしっ、んじゃこっちの道にすっか!」
 ぽんっ
 遼介はカンテラを落とさないように軽く手を叩くと、右の方へ向けて足を踏み出した。……が、10歩程進んだ所で立ち止まる。そして何故か眉間に皺を寄せた。
遼介:「――― あ゛ーっ、だめだめ!全っ然面白くねぇ!」
 そう言ったが早いか、すぐに踵を返して分岐点の方へと戻っていく。そしてそこまで戻ったとき、後ろの方で突然大きな音 ――― 何かが落ちてくるような音が聞こえてきた。
 ガチャンッッ
 思わず立ち止まって後ろを振り返る。見るとそこには、さっき遼介が進んでいた辺りにやたら綺麗に磨かれている鉄の檻が落ちていた。そこに立っていたら十中八九、閉じ込められていただろう。
遼介:「……なんですと?!」
 流石に遼介も驚いたのか、一瞬顔が引きつる。けれどすぐにそれが仕掛けられた罠だと気づき、周囲を見渡した。1度出会ってしまったら全てが胡散臭く見える……のだが、遼介は罠に関しての知識を持ち合わせていなかった。
遼介:「罠、か。 ――― ……ま、なんとかなるか!」
 真剣に考えるかと思いきや。遼介はにぱっと笑うと、左の ――― 檻が落ちていない方の道を進んでいった。

 ある程度進むと、洞窟はじめじめ〜っとした雰囲気から少しばかり涼しげな感じになり、もっと進むと、岩肌はいつの間にか丁寧に補整されてきていた。
遼介:「うあ、なんじゃこりゃ」
 まるで洞窟からそのまま何処かの建物に入ったような感じだった。補整された岩肌は既にどう思っても人口の物としか思えない造りの壁に変わっていた。
 しかも、2メートル置きくらいに松明まで灯されている。
遼介:「……噂は本当だった、って事か。にしても、すげぇなぁ」
 灯していたカンテラの火を消し、油の漏れなどがないようにきっちり確かめてからカバンの中へしまった。そして右手に剣を、左手に鞘を持ったいつもの戦闘態勢を保ちつつ、道を行く。

 運が良いというか、勘が鋭いというか。
 念のため、という気持ちで剣を抜いていたのが功を奏したらしい。岩肌が壁に変わった辺りからモンスターとは呼べないが、聊かよろしくないコウモリやら何やらが出てきたのだ。
 そのコウモリ達は特殊な環境のせいなのか、普段見るような ――― と言っても、普段見るような人は少ないと思うが ――― ヤツと違い、でかかった。普通のコウモリは特別な種類以外、羽を広げない状態だと20Cmを超えるものは少ないだろう。が、ここのコウモリは羽を広げない状態でも30Cm……いや、40Cmはある。その巨体を飛ばせるための羽も、当然大きい。
遼介:「ちぃっ……! 突然わらわら沸いてきやがって! ちったぁお客様を敬えっつーの!」
 わけのわからない事を言いながらも、戦える事が嬉しいのかにかっと笑いながらばったばったとなぎ倒していく。
遼介:「っしゃぁ! これでも食らえぇっ!」
 ブオォンと空気が振動するような音が聞こえたかと思うと、持っていた剣から突然何かが噴出した。そしてモンスター達を襲っていく。
遼介:「へへっ、一丁上がりっ!っと」
 ……剣から噴出した“何か”はモンスター達を襲い、すぐにその息の根を止めていった。遼介はその様子を見て、軽く頷くとまた剣を右手、鞘を左手に持って先へと進んでいった。


 そしてそれから少し進んだとき、遼介は如何にも、な扉を発見した。所謂「宝物庫」な匂いがぷんぷんなヤツだ。
遼介:「お……おぉ!めっちゃ当たり、って感じなんじゃないのー?」
 思わず緩んでしまう頬をぱちぱちと叩き、鞘を帯に指す。剣は念のため、まだ持っておくことにしたようだ。そして周囲を見渡し、何も居ないのを確かめて ―――
 ギ ギギギィ ……
 ――― 開いた先は。
遼介:「うっわぁ……すげぇっ!!」
 金、金、金ぴかぴん。
 それはもう、凄かった。
 大昔にあったとされている城、それの宝物庫にビンゴしたようだ。金銀財宝、盗賊なら風呂敷抱えてスキップしながら駆け回っちゃうような感じだった。
 だが、遼介の目的はあくまで「剣」。一瞬その財宝に目が眩んだりもしたが、またそこまで欲は出ていなかったようだ。すぐにキョロキョロと見渡して、お目当てのものがないかと探し始めた。
遼介:「んー、剣、剣、剣、剣……っと。 ねーのかなぁ……?」
 ガチャガチャ、と。剣以外はどうでもいいのか、世の私欲むき出しなヤツ等が見たら悲鳴を上げるような扱いを平気でする。あ、今も純金で出来ていると思われる兜を放り投げた!
遼介:「兜……?ってことはそろそろ剣とかも ――― あ、あったぁっ!!」
 兜やら鎧やら(殆どが純金だと思われる)の下に、お情け程度の箱が。そしてその上に、またまたお情け程度の布切れがかかっていて……剣はその中にあった。
遼介:「剣だ!剣だーっ!!」
 遼介は布切れを剥ぎ取ると、その箱を持ち上げて幾分他の所より広い場所へと出た。そしてるんるん気分で物色を始めた。

遼介:「やった、2本もあるじゃん〜っ」
 どうやら剣は2本あるらしい……が、次の瞬間 ―――
 ボロッ
遼介:「………」
 ……。
遼介:「なななななな、なっ、何いいぃぃぃぃっっっ?!?!?!」
 箱から剣を取り出そうと柄を持った瞬間、その内の一本はいとも簡単に崩れ去ってしまった。
遼介:「ちょ、ちょ、ちょっと待てぇ! 幾ら年月が経ってるからって……崩れるこたねぇだろっ?!」
 若干涙目になりながらへにゃへにゃとその場にへたり込む。埃の積もった床はその反動で埃を撒き散らした。
遼介:「……まぁ、崩れちまったモンはしゃーねーかな。でも ――― うぅ、ショックだなぁ」
 そう言いながらもう1本の(無事だった方)剣を手に取った。
 その剣は実に素晴らしいものだった。長い間放置されていた為なのか、鞘は風化してぼろぼろになってしまっていたが本体はほぼ無傷。柄部分には何だかよくわからない文字が刻まれている。そして剣部分にも……。
遼介:「すっげ……これってもしかして魔法剣とかいうヤツ?」
 確かに欲しいと思っていた。しかし、本当に手に入るとは思っていなかったらしく、遼介はその剣をまじまじと見た。柄部分に刻まれた文字 ――― 読めはしないが、こういう噂がある。
 ――― 柄に刻まれた文字は魔法を放つ、と。
 とどのつまり、柄に何かが刻まれた剣は“魔法剣”だということだ。……と言っても真相は未だ不明、噂は噂に過ぎないのかもしれないが。
遼介:「どうしよ、めっちゃ嬉しいかも」

 ちゃき、と構えてみる。金の中で反射する光がその剣に当たり、神々しいまでに光り輝く。そう、効果音は“きっら〜んっ”な感じである。
遼介:「よし、んじゃこれ貰っていこう! へへっ、儲け〜っ」
 すりすりと頬擦りをする。勿論、刃の方にはしないが。元々の ――― そろそろお別れする方だ ――― 剣を鞘に仕舞うと、らららん♪なステップで入り口へと向かう。そして扉を開け出ていこうと……
 ガチャ
盗賊:「へっへっへ、命惜しけりゃ有り金全部置いてきなっ!」
 ……出ていこうと、したのだが。
 遼介と同じように(目的は若干違うと思うが)お宝目当てでやってきたと思われる盗賊さん。頬に傷なんか作っちゃっていかにも、な感じのヤツだ。そしてお約束、に薄ら笑いを浮かべている。
遼介:「るるんら、るるんら〜♪」
 だが盗賊が居ることさえ気づいていないのか、魔法剣が手に入ったことでかなり浮かれている遼介。その場を普通にスルーしようとしている。
盗賊:「……って、おぃ!人の話聞いてんのか!?」
 がしっ
遼介:「るるんら、るるんらあぁぁっ?!?! ――― っっとぉ、ビビったぁ……。ん? おっさん、誰だ?」
 やっと気づいたらしい。遼介は掴まれた腕を振り解くと、盗賊を見た。それから自分の持っている剣を見る。
 ――― きゅぴーんっ!
盗賊:「けっ、最近の子供(ガキ)は人の話を聞かねーから……ってそうじゃなくて! 有り金全部置いてきなっ!」
 一人ブツブツと愚痴っていた盗賊、はっと我に返って遼介に詰め寄る……が、時既に遅し。
 遼介は早速剣の切れ味を試せるぞ☆、なんて星マークを飛ばしながら剣を構えていたのだから。
盗賊:「な、な、何しやがるっ!?」
遼介:「いやぁv」
 ずびっ ずばっ    ずしゃっ
盗賊:「ま、まいった……頼むからもうやめ…… ――― 」


□ 終章
 遼介はあれからすぐに遺跡を出て、入ったときには居なかった盗賊さん(元)を引きつれ帰ってきていた。目当ての剣も手に入ったし、正義の仕事も出来たし〜、とかなり上機嫌なようである。
 「正義の仕事」とは。……実は遺跡の中で遼介が“剣の切れ味試し”に使った(?)盗賊さん ――― 人間ではなく、ゴブリンの類だったらしい ――― なんと、懸賞がかけられていた悪いヤロウだったのだ!なのでソイツを縛って連れ帰ってきた遼介は、懸賞金がっぽりv宿代タダvという素敵な報酬を得ることが出来たのだった。
遼介:「でも、ま。 これも俺の人柄の成せる業ってヤツかな〜」
 宿の一室で新しく手に入れた剣の手入れをしながら、遼介は一人、頬を緩ませていた。



■ ライターより

初めまして、ライターのれんたです。
この度はご依頼ありがとうございましたv

ギャグ・コメディ大歓迎、と言ってくださったのでかなり嬉しかったです。
色々とソレっぽい風にしてみたのですが、……お気に召して頂けると幸いです。

それでは、このへんで失礼致しますね。
ご依頼、本当にありがとうございました。^v^