<PCクエストノベル(1人)>


稼ぎは上々!〜貴石の谷
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【冒険者一覧】 整理番号 / 名前 / クラス

 2425 / レイリス・オーヴ / 道化師
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 貴石の谷と呼ばれる洞窟の深部には、そこでしか採取できない魔法石がある。
 かつては宝石採取のためにつくられた坑道であったが、モンスターが出現するようになって廃棄された場所でもある。
 坑道ゆえに道は縦横無尽に掘り進められ、一旦迷えばそのまま地の底から出られなくなる可能性も高い。そしてまた、当然ながらモンスターも襲ってくる。
 だがそんな場所でも、冒険者や学者はその目的を達するために集うのだ――。

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 薄暗い洞窟の中に明るい雰囲気を振りまいて少年は、鼻歌混じりに奥へ奥へと進んでいた。
 少年の名はレイリス・オーヴ。芸を披露して生計を立てる道化師であるが、副業でアイテム店を開いて商売したり、自宅で農業をしたり、戦ったりなどなど。なかなか手広く働いている。
 そんなレイリスの今回一番の目的は――

レイリス「虹の雫で装飾品を作って〜、僕の店に置くんだ〜♪」

 機嫌よく歌っている歌詞のとおりであった。
 左手にランタン、右手に護身用の鍬。それから背中のバッグには三時のおやつが入っている。
 本当は女の子と一緒に来られればもっと嬉しかったのだけど、残念ながら同行者を雇うお金はなかった。

レイリス「お金も経験値も、いっぱい稼げると嬉しいな〜♪」

 やはりひとりだと口が寂しいのか、なかなかに即物的な歌詞の歌が延々と洞窟内に響いていた。
 こんなことをしていてはモンスターを呼び寄せるようなものだが、それも目的のひとつ。
 暗い横道の向こうでガサゴソと動く気配を見つけて、レイリスはニッと強気な笑みを浮かべた。

レイリス「ふふ〜。どんな相手かな。経験値いっぱい稼げるといいなあ☆」

 一応警戒しつつも、しかし傍目には酷く無防備に、レイリスはひょいと横道の方を覗きこんだ。
 そこにいたのは鼠がそのまま大きくなったような姿のモンスターだった。
 ランタンの光に照らされて、鼠もどきはすぐさまレイリスに気付いて襲ってくる。

レイリス「そんな猪突猛進じゃあ、僕には当たらないよ〜♪」

 飛翔の魔法で天井スレスレまで浮かび上がったレイリスは、次の瞬間、

レイリス「ウィンドスラシュっ!!」

 魔法による真空派を鼠もどきに向かって放った。
 上からという不意の攻撃に、鼠もどきは避ける暇なく風の刃に傷つき倒れた。

レイリス「これだけかなあ?」

 もう一度横道を確認してみるが、どうやらここにいたのはこの一匹だけらしい。

レイリス「……うーん、安全に奥に進めるならそれにこしたことはないんだろうけどね☆」

 別に大量殺戮をやりたいわけじゃないから自分からわざわざ探しに行こうとは思わないが、どうせだったらもうちょっと経験値を稼ぎたかった気もする。

レイリス「ま、奥に行けばもっとたくさんいるよね、きっと♪」

 のんきに強気に呟いて、レイリスはさらに奥へと歩を進めた。


 迫り来るモンスターをばっさばっさと薙倒すのは、魔法と鍬の攻撃である。

レイリス「そうれっ、もういっちょう〜っ♪」

 軽い声音で鍬を振り下ろし、避け切れなかったモンスターが倒れる。
 持っているものがものだけにまるで農作業をしているかのような雰囲気もあり、見ている者がいたらさぞやツッコミたくなることだろう。
 しかし現在ここにいるのはレイリスひとりだからして、ツッコム人間も皆無。
 普段は暗く陰気な雰囲気さえ漂う洞窟内をひとりで明るくしつつ、レイリスはひたすら奥へと進んで行く。

 どれくらい、そうやって進んだだろうか。

 ふいに、レイリスの目の前に、虹色が飛びこんできた。
 ランタンの光に触れて、白い半透明の石が虹色に輝いたのだ。

レイリス「やったぁっ。虹の雫、みーっけっ♪」

 ランタンとともにレイリスが一歩一歩石に近づいて行くと、光の当たる角度が変わって虹色が様々な色へと変化を見せる。

レイリス「目標、げっとっ。へっへ〜。高く売れると良いなあ♪」

 そんなことを言いながらも、レイリスは高く売る気満々である。
 ちょこっと大袈裟な謳い文句をつけて、ちょこっと高値に設定してやろうと計画していたのだ。
 ご機嫌な笑顔で虹の雫を手にしたレイリスは、もと来た道を戻り始めた。

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 ところ変わってレイリス宅。

レイリス「さーて、お立会いっ。今日の新作は珍しい虹の雫を使った装飾品ですよ♪」

 少々大袈裟なパフォーマンスと、

レイリス「貴石の谷の奥の奥、並居るモンスターの襲撃を乗り越えて採取した、最高の虹の雫っ。今ならちょっとお安く提供しますっ」

 洞窟内でのことをちょっと大袈裟にして。

 安くしておくなんて言いつつ、実は相場よりちょっと高かったりもするのだが、装飾自体にもそれなりに凝っているのだ。
 ま、よほど目の利く人間でなければ見ぬけないだろう。

 その日の店じまいが終わってから。
 レイリスはニッと悪戯っぽい瞳で上機嫌に笑みを浮かべた。
 稼ぎは上々、目標達成、万々歳!

レイリス「さ〜て、次は何やって稼ごうかなあっ☆」