<聖獣界ソーン・PCゲームノベル>


聖者の石


▲序

 石屋、エスコオド。聖都から離れた森の中にあるというそこには、本来ならば路傍の石にしか過ぎぬ石が、所狭しと売られている。
 世界中から様々な石を仕入れてくる店主エディオンは、肩からかけている袋から一つの石を取り出した。
 真っ黒なその石は、見ているだけで禍々しさを感じるほどだ。
「これはまた、ロウエイ石としても見事ですね」
 エディオンは苦笑し、石を見た。見ていると、ふわりと黒の霧が浮かんで来た。そしてそれは、エディオンに向かって掴もうとする手のような動きを見せた。エディオンは苦笑し、その手をひらりとかわす。
「貪欲ですね」
 エディオンはそう言うと、ポケットから水晶のように輝く石を取り出す。そこから光が放たれ、黒の霧は石へと戻っていった。護身用の結界石だ。
「とりあえずはこの石で封じて……鎮めて貰うしかなさそうですね」
 結界石を黒い石の隣に置いて呟き、エディオンはそっと黒い石に触れる。そこから読み取れたのは、泣いている尼の姿だった。
 尼は泣きながら呟いている。
『愚かな、愚かな私。ああ、どうか……』
 エディオンはそれを確認し、依頼書を書いた。泣いている尼を見た事、彼女がしきりに『愚かな』と石に向かって呟いていた事。そして最後に、この石を取ってきたのがカルブ村の教会近くだと言う事を付け加える。
「比較的最近に出来たらしい石ですから……まだ、あの尼は生きているかもしれませんね」
(もっとも、自らを愚かだと言った事を忘れているかもしれませんが)
 エディオンは呟き、完成した依頼書を入り口に設置してある掲示板へと貼りに行くのだった。


▲集

 心地の良い森の中、シルフェはゆったりと歩いていた。自然の中というシチュエーションに相応しく、清浄な空気が充満している。
(気持ちいいですね)
 シルフェはすうっと息を吸い込み、微笑む。どうしてこの森の中に足を踏み入れたのかは、よく分からない。ただ足の赴くままに進んでいった結果がこの森なのであり、またこうして清浄な空気に触れる事が出来た。全く以って、素晴らしい事だ。
「あら」
 そんな中、シルフェはふと足を止めた。そして、小首を傾げる。
「あんな所に、お店が……」
 森の中に、店が建っていた。シルフェは小首を傾げたまま、ゆっくりとその店に近付いた。
 石屋エスコオド、と書いてある。
 店の入り口付近には、掲示板があった。そして、件の依頼が書かれている張り紙も。
「石屋さんというと……様々な石を売ってらっしゃるのでしょうね」
 おっとりとシルフェはいい、微笑んだ。更に、件の依頼を見てじっと考え込む。
(わたくしにも、力になれますでしょうか)
 シルフェは少しだけ考え、意を決したように店の入り口を開けた。
「いらっしゃいませ」
「あなたが、店主様ですか?」
「そうです。エディオンと言います」
 にこ、と笑いながらエディオンが答える。シルフェはそれに笑い返し、口を開く。
「外の掲示板を、見たんです。エディオン様、あの依頼はわたくしにもお手伝いできましたら……」
「有難うございます。……では、こちらに」
 シルフェの申し出にエディオンはそう言い、店の奥へと誘った。
「後で、詳しい説明をします。もう少ししたら休憩を入れますので、それまで待っていただけますか?」
「構いませんが……休憩時間を決めてらっしゃるんですね」
 シルフェが不思議そうにそう言う。一人でやっているのならば、休憩時間などあってないようなものだ。すると、エディオンは微笑みながら首を振る。
「私の道楽でやっているのではないので、それは出来ないんですよ」
「それは、どういう……?」
 シルフェは尋ねたが、エディオンは答えなかった。そして「それでは」と言って店のほうへと行ってしまった。
「わたくしには量り知り得ないことが、あるのでしょうね」
 シルフェは店の方へと去って行くエディオンの後姿を見つめて呟いた後、案内された奥の部屋のドアをそっと掴むのだった。


 再び、奥の部屋にエディオンが現れた時には、四人になっていた。皆、石屋エスコオドの依頼を引き受ける者達である。
「全員で四名ですね。では、ここにいる四人の方にお願いします」
「そりゃあ構わねぇが……よくもまあ、こんな辺鄙な所に四人も来たよな」
 オーマ・シュヴァルツがけらけらと笑いながら言うと、隣にいたキング=オセロットが「全くだ」と頷く。
「それも、同じような時期に。気が向いたから、来ただけだと言うのに」
「まるで、何かの運命のようですね」
 にこ、と柔らかく笑いながらシルフェが言う。
「そういうのはあるかもしれない。引き寄せられるみたいに」
 リージェ・リージェウランも、シルフェに同意しながら頷く。そこで四人は顔を見合わせて考え込むが、やはり答えは出ない。エディオンは「まあまあ」と言って苦笑する。
「ある意味、そういう運命にあったんですよ。それよりも、依頼についてお話ししますね」
 エディオンはそう言い、コト、と音をさせて机の真ん中に石を置いた。
 見ているだけで禍々しい、真っ黒な石である。
 そしてその隣にすぐ、また違う石を置いた。こちらは水晶のような輝く石であり、隣に置いてある黒い石を封じ込める為の結界を張るものだと、すぐに分かった。
「これが、ロウエイ石か?」
 黒いほうの石を見つめながらキングが尋ねると、エディオンは頷いた。
「あまり近くに寄らない方が良いでしょう。一応封じてはいますが、それ以上に貪欲かもしれませんから」
「わたくしにも手を伸ばすかどうか、試してみたいのですが……」
 シルフェがいうと、エディオンは「駄目です」とシルフェを制する。
「恐らくは、あなたにも手を伸ばすでしょう。危険です」
「貪欲、とは物騒な話だな。一体何に対して貪欲なんだ?」
 オーマが尋ねると、エディオンはゆっくりと首を振る。
「詳しい事は、私にも読み取れませんでした。ただ、何かを掴もうと……得ようとしているのは間違いないようです」
「その何かというのは、具体的には何なのでしょうか。表の張り紙には、泣いている尼の方が関わっているとありましたが……」
 シルフェが言うと、エディオンは一つ頷く。
「愚かな、とも言ってました。何かがあるのは間違いありませんが、それがどういうものなのかは良く分かりませんね」
「つまり……直接カルブ村に行かなければ分からない、という事?」
 リージェがいうと、エディオンは「そうなりますね」と頷いた。四人は顔を見合わせ、一つ大きく頷きあった。
 目的地は、カルブ村であるという確認だ。
「おっと、その前に」
 オーマはそう言い、袂から一本の花を取り出した。偏光色に光るその花をそっと黒い石に近づけると、花は赤黒い色となった。
「何ですか?それ」
 シルフェが尋ねると、オーマは「心を映す花だ」と答える。
「人の思いを映し見て輝く、ルベリアの花っていうんだ。……こんな色になっちまったがな」
 オーマは赤黒く染まった花をひらひらと振る。それが人の心を映したのだとすれば、中々にして禍々しい色であった。


▲村

 カルブ村は、田園風景が広がる平和な村だった。農作業に勤しむ人々の姿は好感を与え、時折そこらを駆け回っている子ども達の姿も愛らしい。
「平和な村だ。……とても、いい村だな」
 リージェは呟き、微笑む。その横でシルフェが大きく伸びをしている。
「本当に、気持ちのいい村ですね」
「村を堪能するのはその辺にして、さっさと取り掛かろう。ここからは手分けをし、情報を集めるのがいいと思うんだが」
 キングがいうと、オーマが「賛成」と言ってにやりと笑う。
「それで、また集合して情報交換と行こうぜ。そうすりゃ、早く解決する事も可能だろうしな」
 四人は互いに顔を見合わせ、再び中央広場に集合する事を決める。そして、それぞれが情報を集めるために別れていくのだった。


 シルフェは南の方に向かって歩いていた。南のエリアは役所や集会所といった、村を統治する為のものが多い。そのためか、のんびりとした村ながらも慌しく動き回る人が結構いた。
「あの、すいません」
 そんな中の一人を捕まえ、シルフェは話し掛ける。話し掛けられた中年の男性は「ん?」と快く答えてくれる。
「こんな村に旅人とは、珍しいな」
「ちょっと聞きたいことがあるんですが……いいでしょうか?」
「勿論だ。何でも聞いてくれ」
 気持ちのいい喋り方をする男性に礼を言いつつ、シルフェは言葉を続ける。
「この村に教会があると聞いたのですが……」
「ああ、尼さんが一人でやっているところだな」
「一人で、ですか?」
 シルフェがいうと、男性は「ああ」と頷く。
「何か、その方が嘆くような出来事がありましたか?」
 シルフェの問いに、男性は沈痛な面持ちになって頷いた。
「旅人に言っていいのか分からないが……実は、一年前に酷く落ち込んでいてね」
「一年前……ですか?」
「ああ。その頃、旅人の男がこの村に訪れてな。教会に身を寄せてたんだよ。我々はてっきり、そのまま彼は尼さんと結婚してこの村に住むのだとばかり……」
「そんなに仲が良かったんですか?」
「ああ。本当に、見ているだけでほのぼのとするような感じだったよ。私らの前では、そのような素振りは見せなかったけどな」
(一年前……。多分、その尼の方に間違いないでしょうね)
 シルフェは考え込む。
(心の底に気持ちを仕舞い込まれていますかしら……)
 旅人との気持ちを、心の奥底に。だが、何故「愚か」と繰り返したのだろうか?
(旅人の方が関係しているのでしょうが)
 自分を愚かだと繰り返したのだ。石に向かって、何度も何度も。それこそ、石がロウエイ石となるくらいに。
(癒す事が出来れば、いいのですが)
「それで、その旅人の方はどうなったのですか?」
「気付けば、この村からいなくなっていたよ。風の噂では、もう亡くなったとか」
「亡くなった……」
「あくまで噂だが。……旅先で病気になったという、そういう噂だ」
(噂が、もしも本当ならば)
 村人が感じるくらい仲良くしていたというのならば、尼はその事実を知って相当ショックを受けただろう。そして、何気ない理由を以って自分を責めたかもしれない。
 例えそれが、尼には何の責も無いような事柄であったとしても。
(わたくしに、できることは無いでしょうか)
「ところで、何かあの教会に用があるのかね?なんなら案内するが」
「いえ……大丈夫です。有難うございました」
 今にも案内をしそうな男性に頭を下げ、シルフェはその場を後にする。
(それでも……旅の方を求めたのではないでしょうか?)
 シルフェはふと考える。手を伸ばしてきた黒い霧が、尼の思いを代弁しているとしか思えないのだ。いなくなった旅人を、亡くなってしまった旅人を。それでも愛しているから求めてしまうといったような、気持ちを。
「まずは、皆さんと合流しないといけませんね」
 シルフェは呟き、皆と待ち合わせている中央広場に向かう。
(でもそれは……愚かじゃない筈です)
 心の中でそっと呟き、シルフェは足を速めるのだった。


▲尼

 再び皆に合流し、情報を交換し合う。皆、同じような情報であった。
 教会には尼が一人だけいて、一年前に旅人である男性と仲良くしていたという事。そして、その男性は風の噂によると病気で亡くなっているとの事だ。
「似たような情報だな」
 キングがいうと、リージェは「という事は」と続ける。
「それだけ確かな情報だという事にもなる」
「そうですね。そして、これ以上はご本人に聞くしかないという事ですね」
 シルフェがいうと、皆が頷く。
「ともかく行ってみようぜ。なるべく慎重に、刺激をしないようにな」
 オーマの言葉に、皆は再び頷いた。情報を得た時、皆一様に感じたのは尼に対する気使いだった。尼が抱いている思いの裏にあるのは、哀しい現実なのではないだろうかと皆が思っているのである。
 教会は、中央広場から少しだけ歩いたところにあった。ぽつんとそれだけしか建物はなく、周りには何も無い。あるといえば、恐らく教会が世話をしているだろう小さな畑と花壇だった。
 四人が扉に近付くと、扉は開放されていた。誰でも自由に入れるようにという、計らいなのかもしれない。
「こんにちはー」
 シルフェが声をかけると、中から一人の尼がやってきた。年は30歳くらいだろうか、全体的に柔らかな雰囲気を持っている女性だ。
「こんにちは。ええと……皆さん、旅の方ですか?」
「ああ。ここは、あんた一人でやってるのかい?」
 オーマが尋ねると、尼は「ええ」と言って微笑んだ。
「私一人ですから、中々手の回らない部分もありますが」
「あたし達のような旅人は、あまり来ないのかな?」
 リージェが尋ねると、尼は「そうですね」と言って微笑む。
「小さな村ですから。長く滞在される方も、いらっしゃいませんね」
 尼の言葉に、四人は顔を見合わせる。一年前の、旅人に着いては全く触れていないからだ。やはり、忘れているのだろうか?と互いの目線で話し合う。
「そう言えば……この教会にはご神体みたいなものは、あるかな?」
「ご神体、ですか?」
 キングの問いに、尼は小首を傾げる。
「例えばそう……石とか」
 キングの言葉に、皆がはっとした顔をし、続けて尼を見た。尼は一瞬身体をびくりと震わせた後、小さな声で「いいえ」と答える。
「石に、何か心当たりでもあるのでしょうか?」
 シルフェがやんわりと尋ねると、尼は目を大きく見開いたまま「いいえ……」と首を振り、すぐに「違う」と呟く。
「石……私は、知っている……?石……」
 尼は何度も呟き、そして小さく「愚かな」と呟く。
「何が愚かなのだ?」
 キングが尋ねると、尼は「私が」と答える。
「何故だ?俺ぁ、全くあんたが愚かだ何て風には見えねぇぜ?」
 オーマが言うと、尼は何度も「違う」と呟く。
「何が違うんだ?何でそう言う風に、愚かだ何て言うんだ?」
 リージェが尋ねると、尼は頭を抱えてその場にしゃがみ込む。
「私は愛してはならなかったのに」
「どういう事ですか?……一年前に来たという、旅人の方ですか?」
 シルフェが尋ねると、尼ははっとした表情をしてゆっくりと顔を上げる。
「そう……そうだわ。私は神に仕える身だから……。あの人を愛してはならなかったのに」
「そんな事はないだろう。そのような戒律がある訳でもないのに」
 キングはそう言い、続けて「人は皆平等、が教えなんだろう?」と続ける。
「私もそう思っていました!だけど……だけど……!」
「病気、か」
 ぽつりとオーマがいうと、尼はこっくりと頷いた。
「私は愚かなのです。あの方を愛し、この村にひきとめようとし、更にここには残れないといったあの方を恨んでしまったのです!」
「でもそれは、単なる偶然でしょう?そんな事で、旅の人は病気になった訳では……」
 シルフェがいうが、尼は何度も「違います」と言って泣き叫ぶ。
「私があの時、あの方を愛さなければ!恨まなければ!あの方は……」
「そんな事、関係ない!あんたがそう言う風に思う必要は、何処にも無い」
 リージェがいうが、尼は「いいえ」と繰り返す。
「私は愚かなのです!……愚かな、愚かな私」
「……あんたは、それを分かったじゃねぇか。それで、いいじゃねぇか」
 オーマはそう言い、袂から花を取り出す。赤黒く染まっている、ルベリアの花を。元となっている尼が近くにいるためか、更に色は濃く光っている。
「これは……?」
「あんたの歪んだ気持ちが、こんな禍々しい色にしちまってるんだ。あんたの愛した旅人は、あんたがこういう色の気持ちを持つことを願ったのかい?」
 オーマの言葉に、尼は口を噤む。
「もう、許してやっても良いのではないかな?石も、あなた自身も」
「許す……?」
 キングはそう言い、尼の肩を優しく叩く。
「あなたは石に罪を告白した。告白した罪は、許される」
「許される……。私の罪が……愚かな私の……」
「それでも、愛していたんですよね?旅の方を。求めていたんですよね?」
 シルフェがいうと、尼は黙ったまま涙を流す。
「あなたが愚かだと呟き続けた石は、何かを掴もうとしていました。それは、それでも旅の方を愛していたからではないでしょうか」
「それでも……愛していたから……?」
「あたしも、そう思う。それは決して変な事じゃない。だから、もういいんだ」
「もう……いい……」
 リージェは頷き、歌を歌う。優しく響く調べ、柔らかな空気が包む声。尼の心を、溶かしていくかのように浸透する。
「私は……私の罪は……いいのでしょうか?」
 尼は小さく呟いた。その言葉を聞き、四人はそっと頷いた。尼は四人を見回し、そっと微笑む。
「ほら……あんたの心が綺麗になったから、花も色を変えたぜ?」
 オーマはそう言い、花を尼に差し出す。具現の力を応用して輝石化させた花の色は、柔らかな薄紅色。淡い色は、優しさを思い起こさせた。
 尼はそれを受け取り、大声で泣き叫んだ。魂が震えるような、声だった。


▲結

 哀しい影を持ちつつも、すっきりした表情になった尼に見送られ、四人はカルブ村を後にした。辛いという傷は当分癒えないだろうが、それを乗り越えられる事だろう。
 彼女は、自覚をしたのだから。
 そして再び石屋エスコオドに到着したのは、既に日が落ちかけている頃だった。
「皆さん、お疲れ様でした」
 エディオンはそう言って四人を出迎え、同じように奥の部屋へと案内する。そして四人が何かを言う前に、机の上に黒い石を置いた。既に隣に結界石を置くことは無かった。そうしなくとも、石からは禍々しさを感じる事は無かったからだ。
「お陰で、この石はちゃんと売り物とする事が出来ます」
「売り物って……尼の想いは浄化されたんだろ?」
 オーマがいうと、エディオンは微笑みながら「ええ」と頷く。
「ですから、穏やかな気持ちを得る石となりました」
「穏やかな気持ち?」
 キングが尋ねると、エディオンは石をキングに差し出した。
「どうぞ、触れてみてください。心が落ち着くような、穏やかな気持ちになるはずです」
 エディオンから石を受け取ると、確かにそのような気がしてきた。持っているだけで、やんわりとした気持ちが広がる。
「落ち着きますが……どこかしら、哀しい気持ちも思い出させますね。じんわりと、自分の持っている罪を思い出させるかのような」
 シルフェもキングの次に石を持って、そのように呟く。エディオンは「そうですね」と言って、苦笑する。
「それは、仕方の無い事でしょう。彼女が作り出した、石なのですから」
「この石、誰が欲しがるんだ?欲しがる人がいるのか?」
 リージェが尋ねると、エディオンは「勿論です」と言って微笑む。
「自らの罪を、静かな心で見つめたい方がいらっしゃるでしょう。言うなれば……聖者となりたい人の為の石なのです」
 エディオンの言葉に、四人は顔を見合わせた。
 聖者の石。
 確かにこの石は、そう呼ばれてもいい石なのかもしれない。四人は妙な納得と共に、自分たちを見送ってくれた尼の顔を思い返した。
 自らの抱え込む罪の意識を、静かに見つめる事のできる尼の顔を。

<聖者の石は静かに存在し・了>

□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【 1953 / オーマ・シュヴァルツ / 男 / 39(999) / 医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り 】
【 2872 / キング=オセロット / 女 / 23(23) / コマンドー 】
【 2994 / シルフェ / 女 / 17(17) / 水操師 】
【 3033 / リージェ・リージェウラン / 女 / 17(17) / 歌姫/吟遊詩人 】

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
 お待たせしました、コニチハ。霜月玲守です。この度は初ゲームノベル「聖者の石」にご参加いただき、本当に有難うございます。
 ヒントが少なかった中で、皆様がしっかりと動いてくださって嬉しいです。分かりにくくて申し訳ない、とびくびくしていましたが、いらぬ心配だったようです。
 シルフェさん、初めてのご参加有難うございます。尼の心を癒したい、と仰ってくださって嬉しいです。
 今回、個別の文章を交えております。宜しければ他の方の文章も併せて読んで見てくださいませ。
 ご意見・ご感想等、心よりお待ちしております。それではまたお会いできるその時迄。