<聖獣界ソーン・PCゲームノベル>


伝言レシピ


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■AM:8:30

「…んん?」

筋骨逞しい筋肉を保つため、日々欠かさぬ早朝トレーニング中。オーマはふと其れを止め、頬に流れる汗を手の甲で拭う。

うんうん…こりゃあ、何かあるな…?

オーマの脳裏に何やら不穏なものを受信したらしい、早速出かける支度をすれば、不穏な空気を感じるのは青い大きな鳥の知り合いの研究所のような…、オーマは野生の勘をフル活用して全身で感じ取る。
そう言えば、今日は用事もあったのだった。その知り合いに頼んでいたものを受け取る日だということも思い出せば、確認すべくブーツの踵を鳴らしながら足を進めた…。



■AM:9:10

苦悩する少年少女の二人、少年は頭を抱えながらも珈琲色に染まった、青いメモを読み取ろうと必死。ぐぐぐと見ている目には力が篭りすぎているようで…やや血走ってしまっている。
そんな少年の横では只管おろおろ、何をすればいいのか分かっていないらしい侍女姿の少女。あーでもないこーでもないと少年へ提案を向けるが聞かれてはいないのだった…。

「だー!やっぱり見えない!どうしよう……、ああ、おいら、破門…?」

師が帰ってきた時間を思えばシードルの血の気の無い肌は更に赤みを薄れて行く…。嗚呼、嘆くなかれと侍女が励まそうと肩に手を置いた。

「大丈夫ですよ…シードル様っ!破門になっても、シードル様ならそのまま海で暮らせます…!」

それはフォローに成ってない…っ!シードルは力なく呟いた。己の将来は此れで水の泡…まさに人魚姫の如く短く儚い人生だったな…。フ、どことなく己の悲劇に寄っているような自嘲の笑みを浮かべる…その時だった。

バーン!

二人が途方にくれているその時、大きな影が研究室の扉を豪快にあけられる。思わず驚きに目を見開いて、振り向く二人の目に飛び込んできたのは…幾度か、研究室で青い鳥と話しているのを見かけたことが在る、何と言ったか…。

「あ、え、えーと、エルヴィンせんせの…お友達?」
「おう、ちびっ子。今日はエルヴィンはいねーのか?」

薬品臭い研究室を見回せど、いつも隅で見る丸い青い鳥は目の端にも映らない…あのような巨体が目に入らない、という事は留守にしか違いなく。それにしても、迎え入れた二人の様子が何やらおかしい。
オーマは膝を折り、二人に目の高さを合わせれば…気まずそうにふいっと二人とも顔を背けてしまった。…にこり、オーマは笑って二人の頭を掴み、ぎぎぎと此方へと向かせて小首を傾げた。

「で、何かあったのかな〜?俺に一発話してみろよ。楽になるぜ?」

豪快なオーマの言葉、シードルとアマルベルガは二人で顔を見合わせて…。なにやらごにょごにょと内緒話、相手の正体が微妙に不明である限り、何だか不安なものを覚えているのだろうか…。

(どー思うよ…言っちゃって大丈夫だと思うか?)
(そーですねえ…、せんせのお友達さんだとしたら…。っは!お薬に詳しい方かもしれませんよ!)

なるほど!シードルは思わず声を張り上げてしまう。当のオーマといえば、すべて話は聞こえてしまっているらしい。にやにやと二人の会話を楽しむように様子を眺めている。
やっと其処で勢いを手に入れたシードル。ここぞとばかりに、相手に事情を話し出す。それは侍女の行動やらの愚痴も交えながらのもの、時間制限があるのも忘れ饒舌に喋るシードルにオーマは軽く苦笑を浮かべてしまった。



■AM:10:30

「…なーるほどな、三時までに、その客用の睡眠薬をつくらねえといけないわけか…。」

オーマの手は何時の間にやら腰にあてられ、長らくかかったシードルの話をフンフンと聞き終わればふーと一つ、納得しながら息を吐く。そりゃ、どう見ても若い二人に、調合なんざ無理な話だな。心中そう思えば、心なしか…
…にやり、口端を上げ顎を撫でる仕草は何だか悪人のよう…。一抹の不安がシードルとアマルベルガによぎるも、今の事態は緊急にも程がある!猫の手どころじゃない、悪人の手だって必要だ!などと思っているとはオーマに一片も見せまいと、にこにこと何とか笑顔を持続させる二人。
そんな事は微塵も知らないオーマは、つかつかとファイルが重なっている机へと歩み寄り、一つを手にすればぺらりと捲る。其処には、少々汚い字で名前、職業、種族、症状、通院している病院名などが記されている…顧客名簿だ。シードルは慌てて其れを取り返そうとファイルへと手を伸ばすも。背は圧倒的にオーマのほうが高い。跳ねようと背伸びしようと手を持ち上げられてしまえば届くわけもなく。

「ちょ、ちょっとー!さすがに、個人情報は!睡眠薬を作るだけの話で…!」
「なーに言ってんだよ。顧客情報調べねえと、分かるモンもわからねえだろ?睡眠薬って言っても、色々あるんだぜ?」

にやりと笑うオーマの言葉、さしものシードルも言葉が詰まってしまう。相手の言葉は最もだと受け入れたのか、シードルも手伝いだした。しかし、其れはまた膨大な量で…とても二人では中々終わりそうもないが、頭脳労働はでは無さそうなオーマは既に三冊目に目を通している。シードルは手際のよさに少々呆気に取られつつも、我に返れば自分の仕事をやり遂げようと必死で名簿と睨めっこ。
…さて、アマルベルガといえば、事の発端となった珈琲を注いでいた。シードルとしては、今日はもう見たくない飲み物一位なのだが、アマルベルガはそんな事気付きはしない。カップに注ぎ終わればお盆に乗せて運んで遣って来る。

「アマルベルガ…こ、今度は零すなよ…。」
「まっ!失礼ですね!二度もしませんよ!」

思わず侍女に注意を促してしまう、二度も被るのはごめんだとファイルを高く掲げながらカップが置かれるのを見守って…無事置かれれば、ほっと一息。しかし、流石にシードルの態度はアマルベルガはお気に召さなかったらしい。むっと唇を尖らせ不機嫌そう。しかし、オーマに対応するとなれば、よそ行き用の声を用いてカップの乗ったお盆を差し出している。

「はい、お友達様にも〜。熱いのでお気をつけてっ。…あ、そうそう、お友達様のお名前は?せんせに言っておかないといけませんので…。」

オーマに対してはよそ行き用の対応を示す侍女、シードルはその逞しさにまた息を吐き出した。オーマは香ばしい匂いを放つカップを手に取れば、軽く上に上げてにこりと笑う。

「こりゃ悪いねー、珈琲なら俺も淹れたのに…って、ああ、俺はオーマ。オーマ・シュヴァルツ、宜しく言っといてくれよ。ああ、因みに医者、病院経営してる。」

侍女は畏まりました、礼儀正しく対応し忘れないようエプロンのポケットに入れておいた若草色のメモ帳へと名前を書き記す。さて、まだまだ顧客名簿のファイルは山のよう…此れから、どうやって客を断定するか…。
ぱたん、いつのまにやらオーマが全ての顧客名簿を読破していた。閉じられたファイルは最後の一冊。
オーマの心中にはある一つの確信が芽生えていた。

客は恐らく……イケイケ親父臭がする!!

「よし、俺が薬作り手伝って遣ろうじゃねえの!」

俺の鼻は確かだ!言い張るオーマに何のことやら分からないのか首を傾げる二人。少なくとも二人よりかは経験豊富なオーマが何だか頼もしく見えて来る。と、言う事で、オーマの言葉を信じ早速調合へと取り掛かる事に。



■AM:10:50

まだまだ時間はたっぷりある。だが、ゆっくりもしていられない…、シードルは調合用の白衣に着替え…オーマとアマルベルガ、の文の白衣など無論あるわけがなく…。
アマルベルガはエプロンそのままで仕方なく参加、オーマと来れば…

「何か、これから料理教室するみてえだな!!」

至って本人はノリノリだが、ピンクの可愛らしい割烹着。それは師が良く愛用していたものだったりするのだが…、はしゃぐオーマの姿にシードルは本当に医者なんだろうかと、考えてしまう…。
そんな失礼な考えをもたれているとは知らず、オーマは至ってご機嫌にまるでファッションショーの如くアマルベルガの前でくるくる回っている。アマルベルガも可愛い可愛いと連呼し、一緒にはしゃぎ…シードルが一つため息を零す…未だ幼さを残す少年の将来は苦労人と予想される1シーンなのだった。

「ハイハイ!二人とも!ちゃんと始めましょうよ!」

『ハーイ』

ぱんぱんとシードルが水かきの在る手を叩き、はしゃいだままの二人を現実へと何とか引き戻す。はしゃぐ二人は同時に手を上げ、良い子な返事。其れを耳にしたシードルはまた深く、はあ…と、ため息を吐く。しかし、調合の仕方が書いてある紙が虫食い状態では自分のみではどうともならず。
医者と名乗る目の前の男しか頼るすべもない。何とか3時までには出来上がらせる…と、ぐっ!握る拳は硬く重い。そうして、ようやく調合へと三人は取り掛かるのだった。



■PM:13:30

男のきびきびとした指示と、何とか詰め込んでいたシードルの薬草知識で工程は恐らく半分ほどまで進んだろうか。ビーカーに入れられた透き通った水色の薬…になるはずの物は、ことこととアルコールランプで煮詰められている。侍女は、実を言うと早々に侍女長に掃除を手伝わされに連れ去られていた…。
シードルはぶつぶつと文句を言っていたが、オーマは生来の性格ゆえか、手伝おうかー?などと言って付いていこうとする…も、それはシードルに阻止され事なきを得た…。今ここで一人にされれば何が出来るかわからない、というのがシードルの本音。
しかし、何とか二人でここまでこぎつける事が出来たのをシードルは十字を切って感謝を示しながら、次の工程はなんだったかと思い出すように小首を傾いで。

「で、後は何が必要なんでしたっけ…」
「ああ、魔法薬なんだから、お前の魔力も入れるんだろ?」

ああ!シードルは今思い出したのだろう、大きく声を上げて手を叩く。そうだそうだと、口の中でもごもごと繰り返しながらも、中々行動に移さない。オーマは器用に片方の眉を吊り上げる。

「どうしたよ…あ、まさか、やった事ねえとか…?」

にや、またもオーマに腹黒い笑みが浮かぶ。くくっと小さく笑っているのが、シードルは何とも癪に触るらしい。ぐっと眉間に皺を寄せ、オーマを威勢よく睨みつけられるのはまだまだ世間知らずの子どもだからなのだろう。

「いつもは、エルヴィン先生が遣ってくださるからですっ!お、おいらだってこのくらい」

そう言うシードルの手は、少しほど緊張で震えている。眉根にはぐっと皺を寄せ、まるで怒っているような顔…オーマは一つ息を吐く。シードルの髪がくしゃっとなったのは、オーマの大きな手が乗せられている。

「そんなんじゃ、客も安眠できないだろ?落ち着いて遣れよ。」
「…オーマさん…、はい、分かりました…!」

何となし、シードルは二人目の先生が出来た気分だった。性質は全く違うが、頼りがいのあるところは似通っている。少しほど息を吐き出せば、幾分落ち着いた顔で再度挑む。両手からは淡い水色の光が漏れ、それはビーカーの中へと入っていく。ビーカーの中の液体は大分水色へと近くなっていた。
そこでバンと開く扉の音、シードルは肩を跳ねさせ両手を思わずしまってしまう。オーマはゆるりと振り返り、軽く手を上げにやりと笑う。

「よう、お嬢ちゃん。掃除は済んだか?」



■PM:14:40

オーマの言葉に侍女は返答しない。まるで追っ手から逃れる逃亡犯の如く、扉の隙間から外をうかがう。…暫くすれば、ほーっと安堵のため息。

「抜け出してきたんです…、この事はどうかご内密に…!」

しーっと、まるで親が子どもに言い聞かせるような仕草。唇に指を当てて、二人にひそりと小さく声を投げ掛けた。行動からして抜け出してきたのだろう、シードルはそんな侍女の姿をため息交じりで見遣る。
オーマはからからと豪快に笑い、侍女を此方へ。と、手招きをした。侍女の目の前へと差し出すのはビーカー。シードルは思わずぎょっと目を見開き、オーマとビーカーを交互に目線を散らばせた。

「お嬢ちゃんの魔力も入れたほうが良い、森の精は癒しの力だからな」

オーマの言葉にアマルベルガは大きな目を瞬かせた、嬉しそうに笑えばビーカーをオーマの手から受け取る。少し照れくさそうに首を傾いで「失敗しても知りませんよ」なんて、冗談交じりに。
アマルベルガはシードルとは違い、ビーカーに手を添えたまま祈るように身体を屈めた。暫くして全身が光りだす、薄緑の新緑を思わせる色がビーカーへと降り注いだ。…だが、まだまだ薬は出来ていないらしい。少し色は緑に傾いている。

「よーし!仕上げは此れだあ!!」
「…何です?」

オーマが取り出したのは一つの小瓶、其れをきょとんとした眼差しでシードルが見つめた。にやりと笑うオーマの顔、それには一抹の不安を覚えているも、オーマの笑顔は何処となく自身にあふれたもののように見える。

「特製!親父愛まぜまぜマッチョスパイスだ!!!」
「…なんですか其れ。」
「ふふ、見てな」

黒髪を揺らし高らかに言うは、恐らくの所薬品の名なのだろうか。シードルとアマルベルガは呆気に取られてオーマを見遣る。イマイチ理解できていないのか、鼻歌を歌いながらスパイスをビーカーに振り入れる。
ビーカーの底から空気が発生し、其れは繋がり輪となって、ぽんと飛び出すのは…何だか逞しい人間のようにも見える…湯気のような、煙のような。

「さ、こーれで、完成だ!寝てるだけで筋力アップなんてお得な代物だぜ…。客が来るのが楽しみだな!なっ!」

嬉々として喋るオーマの手の内に有るビーカー、液体の色は何故だか赤色になっている…。あんな刺激色で果たして客は満足してくれるのだろうか…。シードルは頭痛を覚え、ふるふると緩く頭を振るった。
そんな中、ふと天を仰ぐオーマ。思い出したように懐をあさり、取り出すは何らかの粉末。少し口端を上げて笑ったオーマは、二人の目の前でその粉末を振るった。

「これ、入れといてやろう。きっと良い評判になるぜ、良い夢が見られるだろうからな…」

粉末が溶けた液体の色は、とても優しげな水の色へと変化していく。透き通った水色は、窓から指す木漏れ日を透かし、机の上に影と共に水色が遊んでいた。



■PM:15:46

「こねえな」
「来ませんね」
「来ないですねえ」

研究室で待てば約束した時間より、かれこれ40分以上経過している。さすがに椅子に座っただけではオーマもつまらない、椅子を揺らして天井を仰ぐ。…ん?何か、目の端を青いものが過ぎった様な。

「キミタチ、お客様にお薬は渡しましたカ?」

のっそりとした喋り方、くちばしが合わさる音。どこぞで聞いた…ああ、これは…。

「せんせー!!!」
「おっ、邪魔してるぜ、エルヴィン」

片手を上げ、迎えるオーマに今にも泣きつきそうな子供たちに大きな青い鳥は、ゆるりと大きな手を上げて少し頬を掻いた。ぺたぺたと、尾羽を振り振り向かうのは薬の方で。ふむ、一つ息を吐いて薬を見る。

「此れは見事な調合ですネエ。…オーマクン、手伝ったでしょう」
「…」

師の言葉に子どもたちはだんまりをしてしまう、オーマといえば依然笑みを続けているのだが、エルヴィンは困ったように見たのはオーマのほうだった。

「モウ、お客が手伝ってどうするのデスカ。シードルに初めて薬を作らせようと思ってイタノニー」

「……お客?」

はて、何処だろう、そんな人物に手伝ってもらったかな。子ども二人と一緒にオーマも研究室内を見回す仕草。それを止めたのは師の指でオーマの額が弾かれた音だった。

「子どもをからかっちゃいけませんヨ」
「へっ?」

オーマのグラスは少しずれた、エルヴィンの言葉に三人とも目が点になっているのは見れば分かる事。どうやら、客人は約束を忘れてしまっているらしい。エルヴィンはしょぼしょぼと、老いを感じさせる皺の寄った瞼で瞬きを繰り返す。

「…自分で頼んだのに…忘れたんデスカ?」
「………………。」

眉根に皺を寄せ、顎に手を添え考える仕草。・・・時間が止まったように感じたが、数十秒は経っていただろう。そこでやっとオーマの目はかっと見開かれ、声を上げた。

「…ああっ!!!そーだった、そうだった。序でに受け取ろうと思って来たんだったよ」
「は、早く言ってくださいよーー!」

シードルが叫ぶ中、はっはと穏やかな笑い声が飛ぶ。オーマも緩く手を振って、良いじゃねえかとシードルを宥めているような…からかっているような。
エルヴィンはそれでも、一生懸命調合した弟子と、其れを手助けしてくれたオーマへの感謝しているらしい。笑いながら細めた目を少しほど開ければ、熟したブルーベリーのようなつぶらな瞳が光を反射している。

「ですが、オーマクン。とても助かりましタ、よって、このお薬のお代金は頂きマセン」

オーマクンが作ったようなものですシ。小さい手の人差し指、ぴんと立てて振るう。ビーカーを手に取れば、状態を目に通してから匂いを嗅ぐようにくちばしを近づける。

「ン、よい薬ですネ。ああ、後、此れも差し上げまショウ」
「ありがとよ…あ?」

鳥が差し出すのは一包の薬。粉薬のようで…色は淡い青色、鳥の羽と酷似した色合いを見せている。それはさらさらと、半透明の包みの中で流れ、紙の折り目に留まる。

「何の薬だ?怪しげなもんじゃねーだろな」
「いえいえ、ちょっとしたお礼、デスヨ」

勘繰っているのか、楽しんでいるのかは分からない、オーマはにやりとした笑みを浮かべてエルヴィンより受け取った薬を軽く振るう。其れに対し、エルヴィンもまた笑顔で答えた。効果は奥様にお話しておきまショウ、一言付け加えて。

「…?まあ、良いや。じゃ、俺も。薬の礼に一服どうだい?」

オーマのジェスチャーは煙草ではなく何か飲むもの、シードルは思わずお酒は飲めません。きっぱり声に出して拒否をするも、オーマは其れを聞いてからからと笑い出した。

「ちげーよ…良いお茶があるんだ、飲ませてやるよ」


■PM:16:10

庭のテーブルには椅子が四つ、それぞれにシードルとエルヴィン、オーマが座っている。かちゃかちゃと音を立てて茶器を運ぶ侍女アマルベルガ。ことんとテーブルに置かれたのはまだ注がれていないカップ四つとティーポット。何ともかぐわしい匂いが鼻腔を突く。

「変わったお茶だ、見てみな」

ティーポットを取ったオーマから注がれるお茶は赤色、何とも情熱的で魅惑的だ。其れを見れば満足そうに頷いて、カップの取っ手を持ち口をつける。

「やってみろよ、思いで色が変わるんだ」

オーマの言葉に三人は顔を見合わせる。…どきどきしながら淹れたシードルは青色。わくわくしながら淹れたアマルベルガは淡いピンク色。そのままいつものように淹れたエルヴィンは黄緑色。
本当に三者三様、色が違う。おおと、声を出しオーマにこの色の意味はと問いただす声は一斉に出された。
そのまま楽しいお茶会と相成ったのだろう、日が傾き、庭に濃く影と赤い陽が落ちるまで、話し声は庭から消えなかったという。




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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号:1953/ PC名:オーマ・シュヴァルツ/ 性別:男性/ 年齢:39歳(実年齢999歳)/ 職業:医者兼ヴァンサー(ガンナー)腹黒副業有り】


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■         ライター通信          ■
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■オーマ・シュヴァルツ 様

こんにちは、初めまして、発注有難う御座います。左改めまして、ひだりのです。
とってもギャグ要素の強いオープニングだったので、いろいろな意味で楽しかったです(笑)
色々と弄ってしまい申し訳ありません…。オーマ様にも楽しんでいただけると幸いです。
腹黒というよりは頼りがいのある兄貴分、という感じになりましたがどうでしょうか?
感想など御座いましたら何卒宜しくお願いいたします。
では、今後とも何卒宜しくお願いいたします。