<聖獣界ソーン・PCゲームノベル>


【炎舞ノ抄 -抄ノ肆-】聖都奇談

 ――――――…聖都の夜に黒い炎の化身が現れる。

 そんな話が聞こえてきた時点で、一気にそちらに意識が向いた。
 黒山羊亭、カウンター。聖都エルザード最大の歓楽街ベルファ通りにある古い酒場。店の主人にして踊り子のエスメラルダは近隣の『顔』でもある。
 それなりの情報が――噂が集まってくるのも道理の場所。
 俺はだからここに居た。…いや、ここに限らず、あちこちの酒場に出向いて情報を集める事をしている。勿論『この件の関係者』が確実に居る白山羊亭にも行ってはみたが、そちらでは結局蓮聖――風間蓮聖と朱夏の父娘がまた例の鬱陶しい空気を振り撒くだけ振り撒いている上に肝心なところを聞いても殆ど反応無しと言う面倒な状況が相変わらず続いていて改善される気配無し。…それでも辛抱強くしつこく突付けば何かしら出てくる可能性はあったが、そんな事をしていたらむしろ自分の方がキレそうだったので避けた。…己の精神衛生上明らかに悪過ぎる。
 だからこそ、俺は白山羊亭以外の店――取り敢えず今は黒山羊亭に来る事を選んでいる。直接『あの二人』に聞かずともそれ以外に情報だってあるかもしれない。…秋白の言っていた事が――獄炎の魔性を連れ戻して人間に戻してやろうとしている人間、がソーンに他にも来ていると言うのが――事実なら、別の関係者が見付かるかもしれないし別の角度からの情報だってあるかもしれない。そもそもこないだの石柱の件だってある。当の『獄炎の魔性』が少し動いただけで起きているとんでもない場所での破壊と殺戮の件もある。
 …俺の知ってる『関係者』以外が何か情報を持っている可能性は低くない。
 そう思い、あちこちうろついていたところで耳に飛び込んで来たこの話。

 黒い炎の化身。
 戻って来てるんじゃないかって話。
 …行方が知れないって言う、件の蓮聖様のお弟子さんだったりしない?

 エスメラルダがそこまで口に出していた事にはさすがにちょっと驚いた。
「…あんた蓮聖知ってんのか」
 その『弟子』も。
 と、急に横から話に入って来た俺に対しても、エスメラルダは気にせず頷いて来る。
「ええ。蓮聖様は元はうちに良く来てたから。今はとんと御無沙汰だけどね。…本当は『ここ』に居る筈の無い娘さんが居るとかで、今は白山羊亭に居っ切りらしいって聞いてるわ」
「それは言うな。…あの鬱陶しさを思い出す。それより…その『黒い炎の化身』って奴の噂、俺にも詳しく聞かせろ」
 知る限りの噂の出所。目撃者。目撃場所。何でも良い、片っ端から。
「…ええ、それは良いけど…ねぇリルド、何かあったの?」
「ちょっとな。俺もその『黒い炎の化身』って奴に用があるんだよ。…てかエスメラルダよ。まずあんたはどの程度蓮聖とその弟子――佐々木龍樹の事知ってんだ?」
 黒い炎の化身の噂、の前に。
 エスメラルダ当人がどの程度蓮聖と龍樹の事を知っているかで、その噂と彼らを繋げたエスメラルダの発言の信憑性も見極められる。
「んー…そうねぇ。今言った通り蓮聖様は以前はここに良く来てたわ。で、お弟子さんの話も良く聞いてたの。あたしは直接は会った事無いけどね。…エルザードから少し外れた丘の近く、人里を避けたところで平屋の一軒家構えて古道具屋してたって。それから…もう結構前になるけれど、ここでお弟子さん絡みの依頼を仲介した事もあるわ」
「弟子絡みで依頼だって?」
「ええ。確か…お弟子さんの『魔性』を抑える『封印の鎖』の効能が薄れて来たとかで、取り替える新しい『封印の鎖』を取りに行っている間、お弟子さんの様子を見ていてもらいたい、って依頼だったわね」
 封印の鎖。
 それは――こないだ蓮聖が言っていた、龍樹の『魔性』暴走をある程度抑える事が出来ていた制御の為の補助具、の事か。…『今』の状態になる以前の龍樹の話。
 なら、そこまで承知のエスメラルダが、龍樹とこの噂を繋げて考えている以上は――『黒い炎の化身』とやらが奴当人である可能性は、高いと見て良いだろう。
 そう判断しておく。



 その後、エスメラルダや周辺で話していた連中から『黒い炎の化身』についての情報を聞くだけ聞いて、黒山羊亭を後にする。一番近い目撃情報があったと言う場所は店のすぐ裏の通り。ひとまずはそこに出る。黒山羊亭の裏手――繁華街の裏手。人通りは少ない。幾分人目には付き難い場所。
 …奴の――龍樹の気配を拾えるかどうか。集中し周囲を探ってみる。…良くわからない。まぁ、確かにここで目撃されたと言うのは比較的早い段階の情報らしかった。今探るには少々前過ぎるかもしれない。なら、それ以外の気配は無いか。…俺の中にある竜の部分で感じるところは無いか。火の気の強い中戦ったあの時の感覚――いや、あの時とは違うかもしれない。先日の『石柱の件』もある。…秋白は龍樹に遇い、襲われた。あの時痕跡から拾った気配からして――それに対する蓮聖らの反応からして俺にはそう思えてしょうがない。その上に、さっき聞いた龍樹と思しき『黒い炎の化身』の噂――なのに今度はそれらしい被害の欠片も無いと言う事実。ならば、今は奴の『獄炎の魔性』は鳴りを潜めている。その可能性は高い。
 …当の奴と話が出来る可能性がある。
 この機会を逃す手は無い。
 ただ闘り合うだけならば奴の『獄炎の魔性』は外せないが、今となってはそれより先の事がある。…初めの内は奴とはもう一度闘れりゃ良いとだけ思っていたが――こないだの件で気が変わった。『それだけ』じゃあもう気が済まねぇ。訳がわからねぇままこんだけ巻き込まれてるとなりゃ、その『訳』くらい知りたくもなる。
 だから、こんな面倒な真似まで、わざわざする気にもなる、って事だ。

 …まだこの場では取り敢えず何も出そうに無い。諦めて別の目撃された場所に向かう。何処かで奴の気配が感じられるまで――奴の姿が見付かるまで、連夜でも街中見て回ってやる。そう決める。
 暫く歩いていて不意に気付く。最近。…別に裏通りに限らずとも、どうもこのところ人出が少なくなっている…ような気がするのは気のせいか。本来まだ繁華街に繰り出す者が数多居ておかしくない時間帯。なのに、疎ら。…ならばこの『聖都の夜に現れる黒い炎の化身』の噂が影響している、と言う事もあるのかもしれない。人の少なさもまた繋げて考えてしまう。
 まぁ、言ってみりゃあこれは気味の悪い噂にもなる。…心当たりが無ければまず好んで会いたいと思うようなものでも無いだろう。…ただ逆に、心当たりがあればわざわざ噂の主を捜そうとする俺みてぇな物好きも居るかもしれねぇが。
 …まず恐らくは、蓮聖も動いているだろう。…まさかあの男がこの噂を龍樹と繋げて考えない筈が無い。…朱夏の方はどうか。可能性はある。…またあの二人が組んでいるところにでもぶつかったら鬱陶しい事この上無い気もするが――逆に彼らは別行動をしている可能性もあるか。…先日の石柱の件で共に行動した時は、わざわざ白山羊亭の依頼を建前として使った上で同行しているようにも見えたから。…あの様子だと、何も無ければ共に行動したくない――っつぅか共に行動出来ないっつぅか、とにかく手前らで何か色々理屈こじつけて、白山羊亭と言うあの場所以外ではなるべく別行動を取りたがっているんじゃないか――っつぅような、そんな気がしてならない。
 噂の話に頭を戻す。…『黒い炎の化身』が建物の屋根に軽々跳び上がって消えた、まではまだ良い。実際に闘り合った時の経験からして、龍樹にそのくらいの身体能力は軽くあると実感はしている。が、水面を沈むように地面に潜ってそのまま消えた、とまで言われると――何だそれはと言う気もする。
 魔法無しではまず有り得ない移動の仕方。それは自分も初めの内は龍樹の――獄炎の魔性の事は『火の気を持つ魔族』と見てしまった訳で、少なくとも魔法と無縁だとは思っていない。が、同時に――魔法的な攻防力はあっても「魔法」として、何かの術として構成されているのともどうも違う気がしている。むしろ、剣気の延長。噂されている通りに本人が既に炎の化身。『力』そのもの…どうも上手くは言い表せないがそんな気がしていた。
 どちらにしろ、地に沈んで消えてしまうような魔法と繋がるところがあるのか、となるとどうも違和感が拭えない。極力冷静に思い返そうとする。…火の気――いや、それだけじゃない。思い至る――自分と反属性だったから火の気ばかりが印象に残っているだけだ。あの炎の中には土の気、も無い訳じゃなかった。それでこそのあの異様な色。
 …となれば、地に消えた方はそちらの力で、だろうか。

 荒れ狂う圧倒的な、火の気。
 …思い返す。
 初めて闘り合ったあの時の。
 一つの街を焼いた、あの。
 土色の炎。
 と。
 そこまで思い返して――ついでにあのぎりぎりの感覚をも思い出し身体の奥が疼いてきたところで。

 不意にぴくりと感覚が跳ねた。
 思わず息を呑む。俺は今何を感じた。その感覚は何処から来たか。自分を探る――同時に周囲にも注意を広げる。夜の道、周囲の暗闇。何かあったのか。今俺は何に反応した。俺の中の半分――水竜の部分が感じたか。そう仮定する――いや、それだけでも無い――『感じた』のは人の部分も竜の部分も『両方』だ。即座に確信に変わる。感覚の種類、僅かな揺らぎ。探った時点でもう何事も無かったように元に戻っているが、確かに今のは『そう』だった。何か、ざわつく感じ。反射的に否定したくなる感覚――『怯え』も混じっているが決してそれだけではなくて、焦燥感と昂揚感の方が余程強い。血に酔い動き出したくなる――それを感じさせた相手に触れたくなる疼きと避けた方が逃げた方が良いと判断したがる本能。相反する拮抗した感情が同時に来るその形容し難い感覚は――以前にも感じた事がありまるっきり同じで。

 ――――――獄炎の魔性と、対峙した時。

 そう頭に閃いていた時には、自分の意識はとある一点に向いていた。自分が歩いている道の先、数軒先になる建物の屋根の上。軽く腰掛けてこちらを見ている人影――いつの間にそこに居た。
 俺が気付いたところで、その人影の――奴の声がした。ただ、実際に話しているだろう口許は見えない――黒血で染めたような濃い赤色の襟巻で殆ど隠されている。…その襟巻は、前に対峙した時には無かった。
「半人半竜の魔法剣士さんでしたね。いつぞやは。御無沙汰しております」
 …少し、驚いた。
 口調が違う。声質が違う。…それは同一人物の声だとは頭の何処かでわかってはいるが、気持ちの方で同じ人物が出している声の気がしていない。
 奴の――佐々木龍樹の姿が、屋根から俺と同じ高さにまで降りて来る。腰掛けていたところから当然のように自然な仕草で屋根から飛び降りていた。…今のその身には土色の炎は無い。
 あまりにも普通に近くまで来られてしまって、却って反応に遅れる――反応に遅れた事で相手に対して何処か構えてしまっていた自分に気が付く。…構えてしまっていると、戦意が全く見えない相手に対するには少し調子が狂ってしまう。
 けれどそんな自分を表に出す――こいつに見せてやる気など更々無い。
 それら諸々を皮一枚の下に押し殺して、努めて普段通りに口を開き龍樹と対峙する。
「…おいおい。こっちは長丁場覚悟してたのに随分あっさり声掛けて来やがったな。…アンタ、名前、佐々木龍樹ってんだっけ? …それとも獄炎の魔性っつった方が良いのか」
 俺ァあれから蓮聖やら秋白やらに色々聞いたんだがな。
 その上で、聞きたい事がある。

「――――――アンタいったい、何やってんだ?」

 あの町で。一番初めに遭った時と同様に、けれど今度はあの時とは違う意味を籠めて再びそう問うてみる。
 …先日の石柱が抉られていた事件。秋白は龍樹に遭い、襲われた。俺はそう見た。その仮定から龍樹に確かめたい事は多々ある。けれどそれらを一つ一つまだるっこしくぶつけていたら、噂からしてもいつ消えられちまうかわからねぇ。ならどう切り出せば核心を衝ける。こいつの興味を引ける。繋ぎ止められる。…考えた結果がこの単純な切り返し。
 今のこの男ならこれで通じる。言葉じゃなく『俺』を見る。この質問を投げても逃げるような事はしない。言葉通りの単純極まりない意味に受け取って――例えば「今現在俺の前に居て話している」とか、そういうふざけた答えは返って来ないとだけは思える。
 前の時は奴の方が正気じゃなかった。けれど今は違う――殆ど勘の領域の話。けれど俺は――たった一度だけだがこいつとガチで闘り合っている。刃を交わせば互いの事は理屈じゃなくそれなりにわかるもの。こいつは――少なくとも蓮聖や秋白みてぇな下手な言い逃れや誤魔化しはしない。
 …もっと俺に近い。
「答えろ」
 促す。
 と、龍樹は思考するように黙り込む。黙りはしたが逃げる態度じゃない。そう見て取れたから取り敢えずその時点ではそれ以上促す事はしない。
 暫くして、龍樹の声が続いた。
「何をやってる…何をしているのかと問われれば、私の中に生まれたこの強い『衝動』の理由を探す為――つまりは『魔性』が膨らみ荒れ狂う理由を探す為、当の『魔性』に身を任せてみている…と言えますね。貴方と刃を交わしたあの時もそうでした」
「…。…それでなんで秋白追う事になるんだ。あのガキがその原因だってのか」
「…貴方もそこに辿り着いていますか」
「あ? 「も」ってなんだよ「も」って。アンタも何かしらの経緯があって秋白に辿り着いたって事かよ。…つかこないだのよ、街の外れで石柱抉られてた件から見た気配の痕跡と…色々聞いた話を考え合わせてたら、どうもテメェが秋白襲ったんじゃないかとしか思えなかったんだよ俺には」
 だから今そう聞いた。
 そう、続けたら。
 ふざけた事に、龍樹が軽く微笑むのがわかった。
 ああン? と思う。
「…あれが、私と、わかりましたか。…貴方には」
「どういう意味だよ」
「いえ。嬉しかっただけですよ。貴方は『魔性』抜きでも私に気が付いた。またいつか『あの時』のように手合わせ願いたい気がして来ました」
 返された科白にまたも少し調子が狂う。
 まぁ、手合わせと言う点については俺も同意見ではあるのだが。
「…あれは、アンタなんだな」
「逃げられてしまいましたがね。やはり難しい。これ抜きでは更にね」
 と、龍樹はこちらに見せるようにして軽く右手を中空に翳す。…その時点で、ざ、とほんの僅かだけ土色の炎がその手を舐め、すぐ消えた。
「…けれどこれが在る限りは秋白にはすぐ私の存在が気取られてしまう上に、上手く理性が利かない。だから『魔性』を起こした状態では秋白を追えない。もどかしいですよ。やっと見付けたのに」
 見付けた。
 …それは、その見付けたものが――秋白が――龍樹の目的だった、と言う事か。
 そう思った時点で、読まれたように頷かれた。
「少なくとも私の中の『魔性』はそう確信しています」
「…。…何かいまいちはっきりしねぇな。初めっから秋白が目的だった訳じゃねぇのか?」
 アンタが『そう』なっているのは。
「違いますよ。あくまで、その姿を見付けて――私が探していたのは「これ」だったのだ、私の為すべき事は「これ」の排除だと確信出来ただけです。…秋白と言うその名前もごく最近知りました」
「…。…何か蓮聖も似たような事言ってたな」
 存在に心当たりはあるが、具体的にそれが誰なのかは知らない…とか何とか。
「…そうなのですか」
「アンタは生命の意味についてどう思う」
「…え?」
「焦がれてやまないもの。どうしても欲しいが手に入らねぇもの。愛しくて仕方無いからこそ憎くて堪らないもの。…秋白ってガキがそんな事言ってやがったんだよ」
 ただの戯言ってんじゃなく、何か本気らしく――切実な激情にさえ聞こえた言葉。
 秋白を狙っているのだとなれば、龍樹には何かそれらしい心当たりは無いか。排除すべき「目的」として龍樹が秋白に反応したのは、秋白が言っていたこの事が関係はしないか。
 気になって直接ぶつけてはみたが――ぶつけた時点で違うとわかる。龍樹の表情、目の色。…この反応は、わかっていない。何も知らない。
 ただ、俺の言葉を受けて――何か引っかかる事があったのか、龍樹はまた考え込んでいる。
 考え込んでいると言う事は、自分の中で纏まっていない――纏めた状態で外に向かって表現出来ないと言う事にもなる訳で。…それで、排除が目的って言い切ってるってのはどうなんだ。…何か感覚的な――本能的な問題なのか?
 思い、様子を窺いはするが、龍樹はそのまま動かない。
「…おい」
「…。…秋白は、つまり何がしたいんでしょう」
 待ち切れず声を掛けた途端、そう返ってきた。龍樹の声。言われて、思わず思考が止まる。…それだけ聞くならテメェが他人の事言えるのかよと逆に突っ込みたくなるような素朴な疑問。けれど同時に何か重要な、核心のような気がする疑問――俺にはそう聞こえてしまった。
 その事に気付いているのかいないのか、龍樹の科白が続く。
「私の中の『魔性』は秋白の排除が必要だと確信しました。ですが、その理由が上手く言えません。ただ、秋白が『あってはならないもの』だと確信しているだけで」
「…おいおい。あってはならない、っつったらあんたの『獄炎の魔性』の方が余程だと思うがね。あんたがぶっ壊してきた場所の連中は皆そう思うだろうぜ。…っつかだいたい『魔性』って何なんだ。秋白にも蓮聖にも聞いちゃみたがどうもはっきりしねぇ。今のアンタは前ン時とは全然違うしよ…あの時の暴走っぷりが今はそんな簡単に止められるもんなのかよ。それに起こすとか抜きでとか…扱い切れてるみてぇな言い方に聞こえるぜ」
 その、『魔性』を。
「それは。『目的』が見付かったら、こうなっただけですよ。…『あの私』ではなく、『今の私』で無いと秋白には辿り着けないと『魔性』の方で判断したのだと思います」
「だからその『魔性』ってな『何』なんだ」
「…。…その辺は、本人が一番わからないって場合もあるんですけどね」
 またか。
 舌打つ。
「…結局そうなのかよ」
「残念ながら。…取り敢えず、私の中にあり、私が使える力だと言う事だけは言い切れますが…確かな事はそのくらいで。ただ、何か『悪いモノ』だとはどうしても思えないんですよ。…貴方の仰る通り、誰が見ても『あってはならない』――そう見られるでしょうが。ですが私にはそうは思えない。…あちこちであれだけの事を為していてそう言える時点で、私も自分で最低だとは思うんですがね」
「…そうかよ。ま、俺ァあの状態のアンタとはまた闘れりゃ良いとも思ってるんでね。最低とかその辺のこたァどうでもいいんだけどよ…けどアンタらの事情についても無視出来ねぇくらい巻き込まれちまってもいるんだよ。もう」
「確かに。あれから今に至る間に――いつの間にやら随分色々と御承知のようだ。…私の行為で貴方のお心をも煩わせてしまいましたか」
「別に。…煩わされちゃいねぇよ。ただ、こんだけ巻き込まれてんのに何も知らねぇまんまじゃ納得行かねぇ――俺が思ってんのはそれだけだ。…初っ端のテメェは問答無用だったろ、その上にあの後遇った連中――秋白やら蓮聖はそこに絡めていちいち思わせ振りな事言って来やがるし。どうせ朱夏も何か関係あんだろ。…蓮聖の娘であんたの許婚だったって言う」
「…その話も蓮聖様から聞きましたか」
「アンタが暴走したのがソーンに来て朱夏に遇った時からだ、って事はな。…俺が言いたいのァそれだけじゃねぇ、そもそも朱夏っての、秋白と同じ気配持ってるだろ」
 どういう理由でか、朱夏の方は――激した時しかそれがはっきりたァ出て来ねぇが。
 そう続けたら、龍樹が、す、と目を細めていた。表情が剣呑になる――とは言っても『獄炎の魔性』の時程じゃない。同じ件を突付いた時の蓮聖の制止ともまた違う感じがした。
 それよりもっと、何か、心当たりがあるような――腑に落ちたとでも言いたげな。
 そんな表情に見える。
 が。
 転瞬、弾けるように龍樹は顔を上げた。それで襟巻に埋もれていた口許まで漸く見える事になる。
 かと思ったら――ふ、っと龍樹の身体が低く沈められ、次の瞬間には伸び上がっていた――地面を蹴って屋根の上にまで飛び上がっていた。軽々と。そしてそのまま――迷いなく走り出す。
 もう、俺の事など見ていない。
「! …っ! テメェおい待てッ!!」
 殆ど反射的に俺もその場から――龍樹を追って駆け出した。何が何だかわからないがこのまま龍樹を見失う訳には行かない。まだ話は終わっていない。道を追い掛け走りながら風を呼び、その風に乗ると同時に建物の壁面を数歩踏み台にしつつ屋根の上に移動する。龍樹の姿。まだ確認出来る。けれどもう思ったより離れてしまっている――速い。その向かう先。…見た時点で思わず足が止まりかけた。が、ぎりぎりでそうせずに済む。
 秋白が居た。もう気配でわかる。その時点で俺の中の竜の部分が一気に反応する――近付くのを躊躇う本能が顔を出す。けれどそれを無理矢理抑え込んで見極める。そこに居るのは秋白――だけじゃない。少し遅れて気付く。もうひとり、秋白同様、闇の中に浮かぶ白が居る。
 秋白と対峙しているのが蓮聖だと気が付いた。
 俺が気付くのと前後して、一足飛びに龍樹が加速し――秋白に躍り掛かっている。躍り掛かった時点で秋白も動いていた――迎え撃つ形で秋白も一気にその身を翻している。白い袖や裾、披衣がはためき、何をしたのか一瞬の交錯と同時に激しい火花が散った。かと思うと、次の瞬間には秋白の姿が忽然と消えている。
 それを見届けてから、龍樹は蓮聖の前に――嘘のように静かに着地している。殆ど同刻、蓮聖が何処からともなく得物を取り出しているのが見えた。鈍く光る青緑をした長大な薙刀。俺がそう判別出来たのと、それが振るわれていたのがこれも同時――青銅色の軌跡が龍樹の居た場所を薙いでいる。けれどその場にはもう龍樹は居なかった――けれど普通に退いた訳でも無かった。ただ、蓮聖の握るその薙刀の風圧に掻き消されるようにして――振り抜いた長柄に少しだけ纏わりついた後、奴そのものであろう土色の炎が上方へと細く伸び消えていた。
 その時点で俺は自分の足が止まってしまっていた事に漸く気付く。今現在の位置関係。蓮聖の居る位置。声は届く。そう判断出来た時点でそれ以上の事を考えるより先に腹の底からの自分の声が出ていた。
「おい!!!」
 怒鳴ると同時に、蓮聖が弾かれたように俺を見た。…あの蓮聖が、その反応かよ。思うがそれより今目の前で起きた事。…この蓮聖が秋白と居た事、龍樹がそこに割って入って――秋白を強襲、秋白が退いた。代わりに現れた龍樹と対峙する蓮聖。…問答無用だった。たったあれだけの間。まず確実に、ろくに言葉も交わしていなかった。見ていてわかる。蓮聖は、初手から龍樹を本気で獲りに行っていた。
「おい蓮聖アンタ今のどういうこった!?」
 怒鳴りつつ今度こそ蓮聖の元へと急ぐ。コイツにまで消えられる訳にゃいかねぇ。いやそれ以上に『今』のは、無視出来ない。辿り着くなり蓮聖の胸倉を掴み上げる――相手が蓮聖。掴み掛かっても簡単に透かされてしまうかと思っていたが、意外にも実行出来た。…となれば、蓮聖が俺から逃げない事を選んだ、と言う事にもなる。癪には障るし納得もしたくねぇし表に出す気も全く無いが、こないだの件からしてこいつとはそのくらいの実力差がある事は理解してはいる。
 …蓮聖は俺に胸倉掴まれたままで、それでも何でもないみてぇに小首傾げていやがった。
「何がです? …いえ。それより――何故貴殿がここに?」
「てめ『今』のはそういう問題じゃねぇだろ!?」
「そういう問題じゃない? …ですから、何の話ですかと」
「――っ」
 なんだこの反応は、と思う。
 これまでは――少なくとも前に遇った時までは皆まで言わずともこちらの言い分を殆ど完璧に読んで来るような蓮聖だったのに、本気なのかはぐらかしているのか、不自然なくらいこちらの話がまるで通じていない。
 どう問い詰めるべきなのか、俺の方が俄かに混乱した――頭の中で少し整理して、『今』あった事の問題点を二つ弾き出す。
 蓮聖は龍樹を――今の龍樹は話が通じる可能性があると承知している筈なのに――殺そうとした。
 そして、何者か心当たりはあるが面識の無い知らない筈の相手である秋白と話していた。
「っておいテメェ、あの野郎の事は連れ戻すって話じゃなかったのかよ。つぅかそもそも秋白とは面識無ぇっつってたよなぁ…!?」
 じゃあ今のは何なんだ。
「ああ…秋白とは今さっきここで初めて遇い面識を持った、それだけの事です。あの莫迦については…殺す気で――いえ、それ以上の覚悟で行かないと到底止められないと言うだけの事で。機会が訪れたなら実行するのみ。何か問題がありますか?」
 そこまで言われた段階で、腹の底がひやり、とした。
 …同時に、俺の中の竜の部分が――怯えたと言うより、ぎょっとした気がする。
 何故か今までずっと気付かなかった『何か』に、たった今気が付いた――そんな気がした。
 が、何に気が付いたと言うべきか、上手く言い表せない。
 けれど、絶対に無視してはいけない自分の感覚からの警告のような気がする。
 が、今この場面で――その感覚に素直に従う気にもなれなかった。
 …従ったら、俺じゃねぇ。
 何故か、そんな気がした。
 その妙な感覚を頭の中から無理矢理振り払い、蓮聖の胸倉を掴む手に力を籠め直す。
「何か問題がって…そうじゃねぇだろ! これァやっぱり秋白が怪しいって事じゃねぇのか!? 実際、今だっていきなり龍樹の野郎は秋白狙った。龍樹がテメェの意志で『魔性』を暴走させてるってんなら、その理由はやっぱり秋白にあるって事なんじゃねぇのか!? そんな秋白とアンタが仲良く話してるってなァ何だ!?」
「別に仲良く話をしてはいませんよ」
「だからそういう問題じゃねぇっつってんだよ!」
 と。
 切り返したところで。

「…どういうつもりですかね蓮聖様」

 やけに近い位置から声がした。
 また別の。
 と、その声が聞こえたかと思ったら――今度は蓮聖が声のした方を見た。その時点で声の主に気付いている――かと思ったら、蓮聖は俺が胸倉掴み上げていたところからあっさり抜け出していた。
 …それで、何事も無かったみてぇに立ち直して――声の主に向かって呼び掛けている。
「慎十郎」
「…あんたは最後の最後には龍樹の側に付く人だと思って居やしたが。買い被りでしたかね」
「あの程度で龍樹は死ぬまいよ」
「だったら尚更でさァ。何であんな誤解を招くような形で無駄とわかってる真似をしたんです?」
「…。…龍樹にあれを獲らせる訳には行かない。あのくらいやらなければ、あの莫迦には届かない。それだけだ」
 そう続けると、蓮聖は声の主――慎十郎と呼んでいた――との話を切り上げ、そのまま去ろうとする。
 勿論いきなり話をぶった切られた以上、俺はこのまま黙って見送るつもりはない。待て、と肩でも掴んで止めようとは思ったが、今度こそ透かされると思い直し――ここは声だけを掛ける事にした。
「アンタの言う、あれ、ってのは秋白の事だな」
 蓮聖は答えない。
 が、それでも言うだけは言っておく。
「…アンタは秋白を龍樹に殺させる訳には行かない。龍樹が『魔性』をテメェの意志で暴走させてるのは秋白を排除する為。…相変わらず具体的な理由が見えねぇが、まァた色々面倒臭ぇ話が出て来やがったな。まぁどっちにしろ俺は今度こそ直接聞くぜ。アンタが隠してる事、敢えて言わない事も――知ってるだろう当事者に、な」
 そこまで言った時点で、蓮聖の足が俄かに止まる。が、それはほんの僅かな間の事で――それが気のせいだったかのように、蓮聖は再び歩を進め出した。
 少しだけ行ったところで、屋根から軽々と飛び降りる。
 追い掛けるか否か。少し迷ったところで――蓮聖に慎十郎と呼ばれていた声の主の方が屋根の上に飛び移って来た。…そいつが何処に居たのかと思えば、どうやらすぐ側にあった街路樹の枝葉の影の中。
「ったく何やってんだあの御仁は」
 声の主はぼやくように悪態を吐きつつ屋根の上に着地する。姿は一見して全体的に黒く、また、和装――連中と同郷の奴な気がした。後ろで一つに軽く括ってある黒い長髪。単衣の黒い着物を着流した――俺より少し上程度の歳頃の男。
 その男は、ち、と舌打ちをしつつ、蓮聖が去った方角に意識を向けている。…それでも追い掛けはしない。
 ただ、ひとりごちるようにして口を開いている。
「…こりゃひょっとすると根っこンとこじゃ蓮聖様までイカれてるって事もあるンかもしれねぇな。…いや、まさかな…」
 と、そこまで言った時点で――漸くこちらを見た。
「どうやらあんたも確り巻き込まれちまってるクチらしいが。…あんた、龍樹と蓮聖様…だけじゃねぇ、あの秋白にまで心当たりがありやがるだろ」
 あっさりそこまで続けられ、一気に警戒心が増す――殆ど無意識の内に腰に下げている剣の柄に手が伸びる。
「…アンタ何者だ、どっから見てた」
 言った時点で、蓮聖に慎十郎と呼ばれていたそいつは俺から飛び退る――こちらの警戒に即座に気付いている。それなりの手練。闘り甲斐のありそうな。身ごなしで即座にわかる。…自分の警戒が間違っていない事を確信する。
 そいつは、唇を湿らせるように一度舐めてから、すぐにこちらの問いに答えて来た。
「見てたのは恐らくはあんたと同じところから。蓮聖様と秋白の話の内容までは聞けなかった、てぇところだな。…剣は抜かねぇでくれ。こちとらやる気は全く無ぇんだよ。むしろあんたに手を貸してぇと思ってな。つぅか、こっちが手を貸して欲しいっつぅ方が正しいか…どっちでも同じかも知れねぇ、ってなところの立場に居るモンだよ。おれァな」
 と、なると。
「…アンタも関係者って事なんだな」
「ああ。あんたは龍樹追っかけて来て『今の』を見て、蓮聖に食って掛かった。その時点で――おれァあんたが敵だとは思えねぇ。少なくとも今の蓮聖様よりは信用出来ると見た。おれァ夜霧慎十郎ってモンでね。佐々木龍樹を連れ戻す為にソーンに来たモンだ。あんたの名前を聞いても良いかい」
「…リルド・ラーケンだ。俺ァ自分が巻き込まれてるこのワケわかんねぇごたごたはいったい何なのかがはっきり知りてぇだけでね。連れ戻すとかそういう事に興味はねぇ。…まぁ、龍樹の野郎とはまた闘り合ってみてぇとは思うが」
「…また。か。てぇ事は…一度は闘りなすったと」
「街道沿いの田舎町でな。で、最近のエルザードの噂を追って漸くさっき再会出来てな」
 少し話もしたんだが――『今』のでもう消えられちまった。
「…ってこの件言う限りじゃあ、俺はアンタの敵だと思うがね?」
 龍樹とまた闘り合いたい、なんて言う以上はな。
 そう挑発してはみるが、慎十郎の方はゆっくりと横に頭を振る。
「いや。…あんたの言い方聞く限りァそうでもねぇよ。相手の力認めりゃ手合わせの一つや二つ望むなァ自然なこったろ。剣士ならそのくらい思われる方が本望さ」
 挑発には乗って来ない。
「そうかい。…なかなか話わかるじゃねぇかアンタ。…で、だ。…アンタは龍樹の『魔性』に絡むこの件、何処まで説明出来る?」
 手を貸すと言うならそのくらい聞かせてもらう。
 話はそれからだ。
 思い、そう返すと――慎十郎はそう来たか、とでも言いたげな顔で小さく息を吐いていた。
「今の時点でおれがあんたに説明出来る事は多分無ぇな。…今の蓮聖様との遣り取り聞く限り、下手すりゃあんたの方が俺より知ってる。まぁ、ソーンに来る前の事やら蓮聖様の事、昔の龍樹の事やら…おれの知ってる限りの事の始まり程度なら幾らでも話しちゃやれるが…と。今は俺の方に時が無ぇんだった。おれァ昼間はアルマ通りの裏通り、シェリルの店に程近い場所に当たる看板の無い店に居る。気が向いたら顔を出してくれ。…おれァ今はもう少し用があるんでね」
 と、そこまで言ったかと思うと、慎十郎は再び元居た街路樹に飛び移り――元居たように影の中に姿を消してしまった。そしてそのまま、どうやら降りて行ってしまっている。
 慎十郎のものと思しき気配が遠退いた。
 その時点で、俺の方でも溜息を吐きつつ、どかりとその場に座る――その間に頭を片手でぐしゃりと掻き回す。短い間に色々起き過ぎて、少し混乱している…気がする。それに、最後に現れた慎十郎と言うあの男。あいつなら何か整理してくれるだろうかと言う気はしたが、それでもやっぱり、今までの事からして――言い切れない。

 取り敢えず今の時点で――自分で整理してみる。

 …龍樹が『魔性』をテメェの意志で暴走させてるのは秋白を排除する為。…龍樹当人がそう言っていた。
 …蓮聖は秋白を龍樹に殺させる訳には行かない。…これも蓮聖当人がそう言っていた。
 この時点で、両方のやってる事は相容れない。

 …蓮聖や朱夏は龍樹を連れ戻す事を目的にしている。
 …朱夏は秋白と同じ気配を持っている。…どうも、基本的には巧妙に隠されてるような感じがあるが。
 …秋白は、あの様子だと龍樹を連れ戻す、と言う方には興味は無い。むしろ龍樹の『魔性』については面白がっているようにさえ感じた。
 …龍樹と朱夏は元々許婚だった。
 …朱夏は蓮聖の娘で弟子で、龍樹は蓮聖の弟子。
 …龍樹と秋白は、どうやら、相容れない。

 秋白と朱夏、蓮聖に…龍樹の関係は何なんだ?
 深く関わり合ってはいそうなのに、どうも微妙に噛み合わない。噛み合いそうになると、矛盾が起きる。味方だと思っていた者が敵だと思える者に何らかの形で繋がっている。繋がりが見出せる。…その逆も然り。
 どうも、単純に敵味方で分けられない。
 そして――その枠から微妙に外れたところに居るのが、慎十郎と言う事だろうか。

 …結局『魔性』ってな何だかよくわからねぇ。
 …そして――『秋白は何をしたいのか』。…生命の意味に対する秋白の妙な回答を伝えた時、龍樹が漏らしていた、疑問。

 …。

 整理しようとしてみたが、考えれば考える程よくわからなくなってくる気がした。
 が、それでも、ここまで来て面倒臭ぇと放り出す気にもなれねぇ。

 このままナメられっぱなしで終わる訳には行かねぇからな。

【了】

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    登場人物(この物語に登場した人物の一覧)
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 ■整理番号/PC名
 性別/年齢/職業

■PC
 ■3544/リルド・ラーケン
 男/19歳/冒険者

■NPC(手前→■/公式→□)

 □エスメラルダ

 ■佐々木・龍樹(獄炎の魔性)
 ■風間・蓮聖
 ■夜霧・慎十郎

 ■秋白(ちらっとだけ)

 ■朱夏(名前のみ)

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          ライター通信
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 いつも御世話になっております。
 今回は【炎舞ノ抄】四本目の発注、有難う御座いました。
 何か展開遅くてしみじみ申し訳無いです。

 プレイングとにらめっこしていたら、どうも事態の急転ぽい感触?になってしまいました。
 が、それにしてはプレイングで幾つも書いて頂いた疑問の答えは恐らく一件だけ、それも新たな疑問付きでしか回答されていないと言うどうにも非道な状況…。秋白とは話す余裕までは取れませんでした。反面、龍樹がやけに素直に色々話している気もしますが…これは「彼方の嵐」でリルド様とやり合った影響がこの辺りで出て来た感じです。
 今回、蓮聖が何か微妙に不穏な動きを取ってたりもします。それに伴い『今回は』竜の部分が蓮聖に反応している節がありますが…この辺の加減もやっぱりリルド・ラーケン様のPCデータ内の何処かが理由です。
 取り敢えず、夜霧慎十郎との面識、と言うフラグが立つ事にはなりました。

 また、プレイングの「蓮聖に考えを伝える」に当たっての「もう一人の当事者」をどう取るべきかこちらでちょっと混乱してしまったので…こんな感じで纏めておいてみました。

 そんなこんなで今回、結果的にプレイング外になってしまった部分が多い気もしています。
 如何だったでしょうか。
 少なくとも対価分は満足して頂ければ幸いなのですが。

 では、また機会を頂ける事がありましたら、その時は。

 深海残月 拝