コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


夜の住人
◆会話
草間 武彦は通りすがりに見かけたBARに立ち寄った時、不思議な男に出会った。
男はNight・・・ナイト、夜と名乗った。

「へぇ、探偵なのか、あんた。」
ナイトは草間に渡された名刺をいじりながら言う。
どこかで見たような気がする・・・草間はふとそう思ったが、よく考えるとわからない。
「面白いことを教えてやろう。この先・・・この繁華街を通り抜けると小さな廃ビルがある。」
ナイトはコースターの裏に簡単な地図を書く。
「ここのビルには「夢見る者」が集まる。」
「夢見る・・・者?」
「そうだ、魂の半分を失い、その残り半分も奉げんと夢うつつの足取りで彷徨う者たち・・・つまり吸血鬼の犠牲者たちだ。」
ナイトはえらく芝居がかった手振りで言う。
「吸血鬼は狙った獲物を一回で食べ尽くしはしない。日をあけて、再び自分の元に呼び寄せるんだ。その狙われた犠牲者たちが・・・夢見る者と呼ばれる。」
「つまり、そこには吸血鬼の犠牲者たちが命を捧げに集まる・・・と?」
草間は半信半疑でナイトに言う。
確かにこの街には奇怪な事件が多い。しかし、吸血鬼?なんだか話が出来すぎな気がする。
「伝承の人物は信じないのかな?怪奇探偵ともあろう人が。」
草間の訝しげな様子を見てナイトはクックッと喉の奥で笑う。
「しかし、俺が話してるのは真実だ。なんせ、俺も吸血鬼だからな。」
そう言うと、ナイトはニヤリと唇の端を上げる。
そこに光るのは人間ではありえないほどの鋭さを持った犬歯・・・
草間は咄嗟に身構えた。
「おっと、そう焦るなよ。俺は人間は食わねぇ。グルメなんでな。」
ナイトはおどけた仕草で草間を制す。
「でも、この廃ビルに居る奴は人間が大好きだ。毎夜のように「夢見る者」たちがビルの中へと消えてゆく・・・」
「・・・」
「どうだい?怪奇探偵としちゃ面白い話じゃないか?」

犠牲者が食われてゆくのを黙ってみているのか?

ナイトは暗にそう言っているのだ。
吸血鬼・・・
その犠牲者が毎夜消えてゆく廃ビル・・・
目の前の男・・・
草間に叩きつけられた挑戦状なのか?

ふと、草間が顔をあげるとナイトの姿は店の中になかった。
「今の男は?」
バーテンにたずねるとバーテンは「お帰りになりましたよ。」とだけ言った。

テーブルの上には廃ビルの位置が示された地図だけが残っていた・・・

◆行方不明
事務所に戻った草間は事務所にきていたメンバーにこの話をした。
吸血鬼・・・すこし突拍子も無い話しかと思ったが、皆は興味を引かれたようだ。
「最近、その廃ビルがある近隣で行方不明者が増えているようです。主な行方不明者が不法就労や不法入国の外国人であるために表立って話題にはならないようですが・・・。」
なにやら調べていた宮小路 皇騎がプリントアウトされたデータを提示する。
「行方不明者のほとんどが10代後半から20代の若い人がほとんどです。それに女性も多いですね。」
「Hyuu♪ますます吸血鬼っぽいって所か・・・」
軽く口笛を吹いて言葉をはさんだのは紫門 雅人。
「で?どうすんの?やっぱり吸血鬼退治と洒落るワケ?」
「しかし、今回は吸血鬼退治を依頼されたわけじゃないしな・・・」
草間は何処となく乗り気でないのか言葉を濁す。
「だからって、犠牲者が出ていて、そこに犯人が居るのを黙ってみているわけにも行くまい?」
黙ってやり取りを見ていた大塚 忍が冷ややかに言う。
「正義の味方を気取るつもりはないが、黙ってやられているのを見ているほど人でなしでもないぞ。」
「俺も。退治に行くならひとくちのるぜ。」
紫門も大塚の言葉に同意する。
「宮小路、キミはどうする?」
草間はモニターを見つめたままの宮小路に聞く。
「私は最初からそのつもりです。」
宮小路は今更・・・といった風にさらりと答える。
それ以外に、宮小路にはこの話を持ちかけてきた奇妙なナイトという男に興味があった。
「じゃ、決まりだな。他にもやりてぇって奴は居ると思うぜ。」
「む・・・そうだな。」
紫門の言葉に草間もうなづく。
「では、善は急げって所か。俺はその廃ビルの方へ行ってみるぜ。」
「あ、じゃぁ、俺も一緒に行くよ。車で来てるんだ丁度いいだろ。」
部屋を出て行こうとする紫門を追いかけながら、大塚はちらりと宮小路を振り返った。
「私はもう少しデータを集めます。無理して突入しないで下さい。何かわかり次第連絡しますから。」
軽く微笑んでそう言うと宮小路は再びモニターに向かった。

◆廃ビル
「・・・ここにも邪業の徒が・・・」
夕焼けに紅に照らされる廃ビルを見つめている影一つ。
神への信仰を一部の曇りもなく抱きつづけているロゼ・クロイツだった。
厳粛な教えに盲目なまでに従う彼女にとって、最も忌むべき存在がこの地に居る。
吸血鬼・・・神の祝福を拒み、邪悪な闇に住まう者。
「・・・見よ、闇は地を覆い、暗黒が人々を包む。しかし、あなたがたには主の輝きが宿り、主の栄光が頭上に輝く・・・」
聖書の一説を口ずさむ。
「神の深き御心と御慈悲を・・・AMEN!」
墨染めの衣の裾を翻しながら、ロゼは躊躇いのない一歩を踏み出す。

「おいっ!チョット待てよ!」
ビルの中へ入ろうとしたロゼの肩がつかまれ、ビルの外へと引っ張り出される。
「一体何考えてるんだ?まだ日が昇ってるとは言え、女の子一人で入って平気な場所じゃないぜ。」
ロゼを呼び止めたのは紫門 雅人。
ロゼは紫門に冷ややかな一瞥をくれると、再び無言でビルの中へと戻ろうとする。
「あ、おいっ!ちょっと!人の話聞いてるのか!?」
再び紫門もロゼを呼び戻す。
「手を離せ。妨害することは許されない。」
ロゼは抑揚のない冷たい声で告げる。
それは警告というに相応しい響きを持っていたが、紫門にはまったく聞かなかった。
「危ないってわかっててほうって置けるかっ!」
そう言うと強引に腕を掴み、ぐいぐいと建物の裏手へと引っ張っていってしまった。

◆情報
「何か動きはありましたか?」
ビルの裏手に集まって様子をうかがっていた4人に、駆けつけた宮小路 皇騎が声をかけた。
「まだだ。話にあった「夢見る者」も見かけない。」
紫門は向うをうかがいながら言う。
廃ビルの正面は固くシャッターが閉ざされ、調べてみたところ錆も浮いていてここしばらく使われた形跡はない。
正面以外には裏口の通用口と元非常階段であっただろう朽ちた鉄製の階段の上にある鉄製のドアだけだった。
そのどちらもがここから良く見える。
「何か情報は?」
大塚が宮小路に聞く。
「いいえ、これといって特には。」
宮小路は静かに首を振る。
「しかし、ガセとは考えられない。何らかのモノが関わっているはずです。」
「俺もそう思う。草間が会ったって男は多分この件を誰よりも知ってるはずなんだ。」
大塚の気持ちの中にも引っかかっていた。ナイトという男。
以前、あったことのある男と同じ人物であれば、吸血鬼を嗅ぎつけていても不思議ではない。
同族食い・・・吸血鬼を食らう吸血鬼だといっていたのだから。

「あ・・・来た・・・」
一番最初に異変者に気がついたのは想司だった。
足取りも普通にすたすたとビルに向かって歩いてくるのが見える。
「なんだありゃ・・・」
しかし、その目はかたく閉じられている。かたく目を閉じたまま、何の障害に躓くこともなくまっすぐに廃ビルを目指してくるのだ。
気がつくと日が暮れて、辺りは薄闇に包まれている。
その薄闇の中から一人・・・また一人と夢見る者たちが現れる。
「道を見失いし哀れな羊に御慈悲を。」
ロゼが静かに祈りの言葉を読み上げると、すっくと立ち上がった。
「Glory to God in the highest, and peace on earth, goodwill towards men !」
(高き場所に居られる主よ、栄光あれ、地には平和を、人には善を与えたまえ!)
そして通用口から廃ビルの中へと姿を消した「夢見る者」たちの後を追う。
「あ、おい!一人じゃアブねぇって!」
紫門が制止するが今度は振り返りもせず、ロゼは建物の中へ入っていった。
「あの人はプロだから平気じゃないの?なんか人じゃない見たいだし。」
想司が慌てる紫門にさらっと言う。
「私たちも行きましょう。」
宮小路も立ち上がった。
「夢見る者たちが建物に入ったということは、中に吸血鬼が居るということです。」
「そうだな。」
大塚も同意して立ち上がる。
「じゃぁ、僕とこのお兄さんは二階から行くよ♪お後はよろしく〜☆」
そう言うと想司は不平を唱える紫門の腕を掴んでズイズイと非常階段へと向かった。
「では、俺たちは下からだ。彼女の後を追おう。」
「はい。」
大塚と宮小路も各々の武器を確認すると素早く建物の中へと滑り込んだ。

◆迷宮
「なんで俺がお前と組むなんてことになってるんだ?」
階段を上り扉の様子を探っている想司に紫門は不平を漏らした。
「それはお兄さんがド素人だからだよっ♪」
想司はまったく紫門の方を見もせずに、鼻歌交じりで扉のチェックをしている。
「なんだと?素人だぁ?」
紫門はカッと想司に毒づく。
確かに吸血鬼との対決などした事はなかったが腕に覚えがないワケでもない。
「ドッ素人だよ♪武器も持たないでどうするつもりだったの?」
「何を?武器ならあるぞ!ほら!」
紫門はジャケットの裏から革のサスペンダーに納められた銀のスローイングダガーを取り出してみせる。奮発して手に入れた純銀製のものだ。
「ふーん、一応銀なんだ。でもダメだよ。それってちゃんと教会で祝福してもらった?」
「・・・う。」
紫門は言葉に詰まる。
「やっぱり吸血鬼のことは吸血鬼屋に任せなさいって☆」
「なんだよ、吸血鬼屋って・・・」
ブツブツ言う紫門の横で、想司が背負っていたバッグの中をごそごそとはじめた。
「はい!これ。お兄さんの武器ね。貸してあげる♪」
そう言うとドサリと重いタンクのようなものを渡す。
「何だコリャ・・・」
「それを背中に背負って、手にはこれを持ってね♪」
言われるままにタンクを背負い、手渡されたステッキを握る。
そのステッキはタンクからホースがつながっているのだが・・・
「なんなんだよ・・・このデザイン・・・」
「あ、これも忘れないでね。究極の新兵器!吸血鬼のチャームの呪文を弾く優れもの!」
「うへェ・・・」
「今日のコーディネイトは魔女っ子黒猫大作戦!僕が魔女!お兄さんが黒猫♪」
紫門は自分の頭上に納められた猫みみと手に握らされた魔女っ子デザインステッキ(可愛く羽根と星のシンボル)を呆然として眺めた。
気がつくと想司はちゃっかり着替え、原色きらきらなユニホーム姿だ。そして手には同じステッキと頭には猫みみ・・・
「本気か・・・本気なのか・・・」
展開について行けず、頭を抱える紫門の腕を引っ張り、またもやぐいぐいと建物内へと侵入する想司なのであった。

通用口から入り、一番最初のドアを開いたその先・・・大塚と宮小路の目の前に現れたものに二人は息を飲んだ。
「・・・なんだこれは・・・」
建物の構造的にはそこは店舗の中だと思うのだが・・・
「桜・・・?」
宮小路が目の前にあるそのままを呟く。
「何故、こんなところに桜が・・・」
部屋の四隅もわからぬ暗闇の真中に、月の光を湛えたような薄紅の輝きを放つ花が爛漫と咲き乱れている。
風があるはずもないこの建物の中で、その花弁はハラハラと散り、二人の足元に吹き寄せた。
見上げると天井があるはずの場所に壁はなく、もっと高いところに晧々と月が輝いている。
美しい・・・圧倒されるような光景だった。
月の光がまるで重みを持って二人に降り注いでくるようだ。
「綺麗・・・」
大塚が目の前に吹き散る花弁に手をのばす。
その花弁は指先にとまり、ほんのりと甘い香りを漂わせた。
「あ・・・!」
そして、その花弁が再び風に飛ばされ、桜の樹の前に吹き寄せられると、そこに一人の女性が現れた。
「ようこそいらっしゃいました。」
桜の花から現れた女は大塚と宮小路に深々と頭を下げる。
「お待ち申し上げておりました。」
「あなたは・・・?」
宮小路が言葉少なく問う。
「私はこの土地に封印された精霊でございます。」
「精霊?」
「はい。こうして月の光が届く時だけ、姿を現すことができるのです。」
精霊だという女性が楚々と微笑む。
「待っていたって言うのはどういうことなんだ?」
大塚が疑問を口にする。
「はい、私を解放してくれる方をお待ちしておりました。」
女性は自分の側に伸びる桜の枝にそっと触れ、その花弁をハラリと散らす。
「この花が人を集めてくれましたが・・・やっと私を解放してくださる力のある方がお見えになられました。」
「・・・」
「どうか、ここへ来て私を自由にしてください・・・」
女性は真摯な瞳で二人を見つめそう言うと、もう一度深々と頭を下げた。

◆真実
「自由って・・・」
大塚はフラフラと女性の方へ近寄る。
何だか頭がぼうっとした。
「大塚さん・・・」
宮小路が声を搾るようにして呼び止める。
不自然なものを感じていた。
しかし、体が思うように言うことを聞かない。
女性の指先が大塚の体に触れる・・・

「そいつに触っちゃダメだーーーっ!」
頭上から声が響く。
それと同時に雨のように冷たい水が降り注ぐ。
「!」
その水に濡れ体の自由を取り戻した宮小路が頭上を見上げると、吹き抜けになっているフロアの2階部分らしいテラスに奇怪な格好をした想司と紫門が立っていた。
「吸血鬼の魅了の呪文だよっ!」
半分やけになりながら紫門もタンクの中に納められた聖水を振りまき、階下の床をびっしょりと濡らした。
その聖水に洗い流されるように、部屋の中の現状が明らかになる。
朽ちた壁が剥き出しのビルの中に宮小路は立ち尽くしていた。
「大塚さんっ!」
宮小路ははっと我に返り、桜の樹があったほうを振り返る。
「!」
そこにはもうあの幻想的な桜の姿は微塵もなく、朽ちた柱の側に女と大塚が立っていた。
大塚は意識を失っているのかぐったりと女の腕にも垂れている。
「聖水なんで小癪なマネをしてくれるね。でも、今の信仰心の薄い連中の唱えた祝福の水なんて私には鬱陶しい雨程度でしかない。」
女はにやりと笑みを浮かべると、くっくっと喉の奥で笑う。
「私を退治しようって?無駄な事はあきらめるんだね。この娘がどうなってもいいのかい?」
大塚の喉元に鋭い爪が当てられる。その爪先がすっと触れただけで血が赤く筋を引いた。
「!」
「この娘は巫女か。面白い。異教徒の巫女は食べたことがなかったからねぇ・・・」
そういってその唇をを喉元に近づけた。
その時。

「父と精霊の御名において・・・」
ひゅうぅっ!と風を切る音共に、女の前にロゼ・クロイツが舞い降りた。
「邪業の徒よ、塵に還れ!」
そう言うとためらわずにその腕を横に薙いだ。
ロゼの指先から銀糸が迸り、女は間一髪それをよけ顔面のすれすれを掠る。
「鬱陶しい傀儡風情が!」
女は大塚を抱いたまま、物凄い跳躍力で吹き抜けの天井高くへ飛び上がる。
そこにはさっきまで月のように見えていたシャンデリアが輝いている。
「逃がさない。」
「待って!」
女を追おうとするロゼを階下に降りてきた想司が引き止める。
「人質が居るじゃないか!」
「関係ない。」
ロゼはそんな事は顧みず、天井に向けて手を掲げると、再び銀糸を放った。
銀糸はまるで生きもののようにシャンデリアを絡めとリ、女と大塚ごとその場に縛り付けた。
「くっ!」
糸は食い込むように体を締め付けている。
「この女も一緒に切り裂けるわよっ!それでもいいのっ!」
女は絶叫に近い声で叫んだ。
「やめろ!」
「待つんだ!」
宮小路と紫門も一緒に叫ぶ。

「はい。そこまで。」
どこか暢気な声が終わりを告げた。
二階のテラスのところに黒尽くめの男が立っている。
「お前はっ!」
想司と宮小路が叫ぶ。
そこに立っていたのは見覚えのある男だった。
「どーも。お疲れさん。手間かけたなね。」
ナイトはそう言って笑うとロゼの張り巡らした銀糸の上をゆっくりと歩き、シャンデリアへと向かう。
「久し振りに飯にありつけたな。こんなんでも好き嫌いは言えねぇからな。」
「な、何をする気だっ!」
女はニコニコしながら近づいてくるナイトに本能的な恐怖を感じる。
「また利用されたわけですか・・・。」
宮小路は頭上のナイトに言う。
「そこに居る女性は助けてもらえますね。」
「あぁ、もちろん。前にも言ったっけ?俺はグルメでね。人間は食わねぇんだよ。」
そう言うと銀糸を握り締めブチブチと引きちぎった。
大塚の体がぐらりと揺れ、銀糸の上を滑るように下に落ちる。
「うはぁっ!」
それをそばに居た紫門がぎりぎり抱きとめた。
ナイトは無事?大塚が仲間のもとへもどったのを確認すると、その赤い唇をチロリと舐めた。
「俺は失礼してこいつを戴かしてもらうよ。」
ガッと開いた口には遠めにも鋭い歯が並び、おびえて言葉もない女の喉元に牙をつきたてた。

◆吸血鬼
「じゃぁ、またどこかで。」
食事を終えたナイトは悠々とまた銀糸の上を歩き出す。
「逃がすか!お前も吸血鬼ではないかっ!」
ロゼは自分の銀糸の上を歩くナイトを握った銀糸を巧みに操り捕獲した。
ナイトは少し窮屈な格好で何もない空中に縛り取られた。
「塵より出でしものよ!塵に還れ!」
そう言うと銀糸を握ったのとは逆の手で、銀の短剣をナイトに向けて放った。
「甘い。」
ナイトは銀の短剣が己を貫こうとする寸前、さあっと空気に溶けるようにその姿を霧に変えた。
その霧は風に流れるように二階のテラスまで流れると、再びそこで逆再生されるビデオのように形を取り戻した。
「夜の住人を舐めたらダメだぜ。神様が空に輝いた瞬間から俺たちはその影に生まれたんだ。人間程度がかなう相手と思っちゃダメさ。」
そして、再び溶けるように今度は暗がりへと姿を消した。
高らかな笑い声だけを残して。

四人はその高笑いを聞きながら、黙ってその影を見送った。

The End ?
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

0795 / 大塚・忍 / 女 / 25 / 怪奇雑誌のルポライター
0423 / ロゼ・クロイツ / 女 / 2 / 元・悪魔払い師の助手
0461 / 宮小路・皇騎 / 男 / 20 / 大学生(陰陽師)
0424 / 水野・想司 / 男 / 14 / 吸血鬼ハンター
0873 / 紫門・雅人 / 男 / 19 / フリーター

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

今日は。今回も私に依頼をお引き受けくださり、ありがとうございました。
トンビに油揚げを掻っ攫われるようなラストになってしまいましたが・・・如何でしたでしょうか?
折角用意した高価な武器に文句をつけた上に、コスプレまでする羽目になってしまいましたが・・・今後の活躍を期待しております。頑張ってください。
それでは、またどこかでお会いしましょう。
お疲れ様でした。