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<東京怪談ウェブゲーム アトラス編集部>


只今実験中!

 ****

都内某所、
あきらかに怪しげな研究所で日々実験に励む二人の博士と助手がいた。

「やったぞ!ついに完成だ!」

白衣を着た青年が嬉しそうに声をあげた。
金髪で青い瞳の彼、カイ博士は27歳の若き天才科学者(自称)である。
彼は『世界征服』という巨大な夢のために日々努力と研究を重ねている
少々変わり者である。
その傍らで、助手として彼をサポートしている後輩のオベはそんな何処
からどう見ても怪しい先輩を大層尊敬していた。

「先輩!おめでとうございます!」

縁無しの眼鏡を取ってハンカチで涙を拭き一緒に喜んでいる辺り、彼も
やはり変わり者なのかもしれない。二人とも黙っているとイイ男なのに
勿体無い限りである。

「オベ君。これならばきっと私の夢も叶うぞ!はっはっはっ!」

高らかに笑う博士の手には、超胡散臭そうなそしてものすごく怪しげな
物体があった。



 ****

と、いう情報が手に入った。
彼らの実験が何であるのか、スクープもしくは独占取材を敢行してもら
いたい。取材のアポは既に取ってある。
噂では『霊的兵器』とか『化学兵器』など胡散臭い噂が囁かれているら
しい・・・。

 ****

閑静な住宅街のど真ん中にその研究所はあった。
編集部から渡された住所を頼りに、志神みかね(0249)と影崎雅(0843)
は研究所を探していたのだったが・・・

「これなら地図無くても大丈夫だったかも。」

志神みかねは辿り着いた先に見えるモノを借りてきたカメラで撮影しな
がら小さく呟いた。

「確かに。ココ意外に怪しいところって無さそうだもんなぁ」

その横で影崎雅も呆れた様に溜息を吐いた。
目的地は意外にも簡単に見つかった。
その場所は周囲に「胡散臭さ」をかなりの濃度で醸し出してた。その周
囲を木々が取り囲み、突如森が出現したかのような一種異様な光景が広
がっていた。塀は無いがあきらかに怪しいオレンジ色の金属製の糸が周
囲に張り巡らされており、よ〜く見るとメタリックな球体がそこら彼処
に浮遊していた。
まさにこの一角がデンジャラス・ゾーンである事は間違いなさそうだ。
そして…鬱蒼と茂った木々の間から激怪しげな標札が覗いていた。

<<秘密結社・研究所>>

「………」
「………」

志神は目が点になり、影崎は片方の眉がピクリと動いた。

「俺、取材しないで帰ってもいいか?」

「あ!駄目ですよ!碇編集長に怒られちゃいますよ!」

踵を返して帰ろうとする影崎を志神は腕を引張って止めた。本当は自分
も帰りたいなぁ…なんて思ったけれど…。
編集長の名前を出され、影崎も渋々と言った顔で思いとどまる。
二人は門の前に足を進め、門に手をかけるとどうやら鍵が掛かっている
ようだった。中を覗くと50メートル先辺りに屋敷とも研究所とも判断
がつかない建造物が見えた。ここから叫んだとしても声が聞こえる可能
性は低い。門を飛び越えて入ったとしても、この怪しげな敷地内にどん
な仕掛けがあるとも知れない。ウカツに進入する事は避けたい。

「…呼び鈴とかあるんでしょうか?…あ、」

探し出した呼び鈴を押そうとした志神の手の動きが止まった事を不審に
思い、影崎は後ろからそっと覗き見て自分も動きを止めた。

「…………」
「…………」

<<御用の方は非常識>>

―−―と、書かれた非常口のマークっぽいヤツがそこにはあった。
しかも緑色と白色では無く紫色に黄色。
人物は何故か紫で顔はマスク、手には『チェンソー』を持っていた。
何とも怪しげな、というよりもかなりアホな呼び鈴“もどき”がそこに
あった。

「俺、やっぱ帰るっ!!」

「あっ!だ、駄目ですっっ!」

額に血管を浮かせて再び帰ろうとする影崎を必死で止め、志神はようや
く呼び鈴を鳴らした。
呼び鈴“もどき”を押すと、暫らくして一人の青年が建物から出てきた。
白衣をまとい縁無しの眼鏡をかけた一見する所かなりの美青年である。

「お待たせしました。」

そう言ってニッコリと笑顔を浮かべ門を開け二人を中へ導きいれた。

「…意外とマトモそうだな。」

「…本当。」

建物の外観もそうだが、内装も特別変わった風もなく、意外と上品な感
じを受ける。応接室へ案内され総革張りのソファーへ腰をおろした二人
は意外そうに周囲を見渡した。

「なんかさ、話に聞いた俺的イメージと違うんだけど。」

「確かに、ここって研究所には見えませんよね…」

コンコンと扉をノックする音に振り向くと、先程の青年、オベがトレー
を持って入ってきた。
テーブルにケーキと紅茶を並べ差出し、オベはニッコリと笑った。

「すみません、お飲み物は紅茶で宜しかったでしょうか?珈琲やジュー
スが宜しかったらお取替えいたしますが?」

「あ、あっ、いえ、いいです!有難うございます!」

「カイ先輩は今ちょっとラボに入ってまして…もう暫らくしたらこちら
に参ると思います。折角、取材に来て頂いたのに御待たせしてしまって
申し訳ありません。」

本当に申し訳無さそうに頭を垂れるオベに対して、二人は少々困惑気味
だった。
『怪しげで危ない人物’s』を想定していたにも拘らず、今目の前にい
るオベは何処からどう見ても礼儀正しい青年だったからだ。

「いいトシこいたドリームバッケンレコードな連中を想像してたんだけ
どなぁ…意外とマトモでなんか逆に腹たつな…」

ボソリと呟いた影崎の耳にいや〜な高笑いが聞こえてきた。
横の志神を見ると気がついていない様で、ケーキを美味しそうに食べて
いる。その高笑いはどんどん近づいて来ている。
ふと目の前のオベと視線が合うと彼は苦笑いを浮かべていた。

「…カイ先輩が来たようですね。」

派手な音がして扉が開いたと思ったら、白衣を着た金髪の美青年がそこ
に立っていた。何故かピンライトと高笑いと共に…。
薔薇を背負ってないだけましかもしれない。

「やぁ!みなさん、お待たせしたかな?」

やけに爽やかにそう言ったカイに二人は一瞬固まった。

「さて早速だが我らの素晴らしい発明をラボへ見に来てくれたまえ!」

人の話を聞かないカイ博士は、現れたかと思ったら直ぐに踵を返して二
人を無視してさっさと歩き出していた。影崎は無言でオベを引張った。

「おい…何時もコレか?」

「え?そうです…ね。大体何時もこんな感じでしょうか。」

「…疲れねぇか、お前。」

その質問にはオベは曖昧に笑った。

「あ、待って下さいっ!」

志神も慌てて二人の後を追いかけてきた。

「さて。ラボは何処にあんの?」

「地下2階です。行きましょうか。」

「いよいよ取材開始ですね!」

志神は期待に胸膨らませ、一方影崎はウンザリした面持ちでオベの後を
続いて地下にあるというラボへと足を向けた。


 ****

地下へ下りた三人をカイはラボの扉の前で待っていた。
そしてふと、志神を見てなぜか眉根を寄せた。それに気がついたオベが
カイに問い掛ける。

「どうかしたんですか?」

「オベ君。…そちらの方は女性だよね?ここは危険だから女性は入らな
い方がイイと思うのだけど…」

「え?私、入っちゃ駄目なんですか?」

志神は凄く残念そうな顔をしてガックリと肩を落とした。

「はっはっはっ。レディに危険な真似はさせられないからね。」

「まぁ確かに色んな意味で『危なそう』だよな。ココ。」

影崎は胡散臭そうな顔をしてカイを見ていたが、その視線に気がつく彼
ではなかった。当然、彼の言葉も耳に届いてない。

「悪いけど、オベ君。キミはこの女性の方のお相手をお願いする。口頭
での取材はオベ君の方が適任だと思うしね。」

「んじゃ志神、取材文は任せたぜ?俺は『物体ちゃん』担当するからさ。」

そうして、志神はオベ、影崎はカイ博士とそれぞれ担当を決め取材を開
始した。


 ****

ラボの扉を開け二人は中へと入っていった。
志神から預かったカメラを首からかけ、影崎は周りをグルリと見渡した。
やはりと言うか、なんと言うか…『いかにも!』な室内に影崎は溜息を
吐いた。訳の解からない機械とか変な瓶詰めとか色々あって、まさにそ
こは映画などでよく見る近未来的な例のアレであった。

「さぁ!コレが今回の発明だ!」

カイは中央に置かれた『物体』を指差し偉そうに腰に手を当てて立って
いた。興味なさそうにそれを見ていると、カイはカメラでの撮影を顎で
催促した。
絶対後でぶっ壊す!と心の中で悪態を吐きながら影崎はカメラを構えた。
それに満足したカイは徐に物体に掛けられていたシートを剥した。
目の前に現れた『物体ちゃん』を見た影崎は思わず我目を疑った。何故
ならば何処をどう見ても某有名猫型ロボット漫画のロボットに酷似して
いたからだ。しかし微妙におかしな部分がある。身体は青色ではなくて
紫色だし、頭には変な触覚の様なものがあるし…何よりもその皮膚感が
妙に生々しくて機械と言うよりも『生物』っぽかった。
その形状は怪しい、と言うよりも不気味だったし、ハッキリ言ってしま
えば、気色悪いの一言だ。

「なんか…コレってパクリじゃねぇのか…」

「まぁ参考にはしたけどね。でも基本的な部分が違う!」

「っつーか完全なパクリじゃねぇかよ。」

「失礼な!あっちは機械で、我らの発明品は『生物兵器』だ!世界各地
のUMAと呼ばれる異形の遺伝子を使用しているんだぞ!一緒にしても
らっては困るな。」

そのカイの言葉に影崎は納得した。先程気持ち悪いと思ったのはそのせ
いだったのだ。しかし…なんでそこで猫型なんだ?そんな疑問が浮かぶ。
目の前では延々とウンチクをたれているカイを横目で見て影崎は小さく
溜息を吐いた。やっぱコイツ、イカレテル…そう思いながら。

「あ〜…あのさ、あんた大丈夫?」

「完璧な発明だと思わないか?」

「いや、だからさ。」

「しかし、実は後一つ足りないものがあるんだ。」

「もしもーし、聞いてるか?」

「是非、キミに協力をしてもらいたい。」

「ってゆーか人の話聞けってっ!……は?」

人の話を聞かずにどんどん会話を進めるカイに切れかけた影崎は、ふと
告げられた言葉に顔を上げた。目の前のカイはニッコリと笑顔だ。
気がつけば彼の手には激怪しげな赤色の液体の入った注射器があった。

「人の細胞が必要でね。いや、何、直ぐ済むから。」

「じょ、冗談じゃねぇぞっっ!!」

持っていたカメラを投げつけその注射器を粉砕する。それがそのままの
勢いで実験機器に当たり、バチッと嫌な音がした。

「あっ」

小さな火花が出てヤバイ!と思った瞬間凄い音がしてそれが爆発した。
それを見たカイは据わった目で影崎を見た。

「なんて事するんだ!仕方ない、ロボD出撃だ!」

「げっ?!ソイツ動くのかヨ?!」

何とも表現しにくい気持ち悪い動きで近づく物体に嫌悪感を覚えるが、
当初の目的通りぶっ壊す事も視野に入れて危険回避と動く。
思いっきり殴り倒すと、それはその後ろに立っていたカイに当たってそ
の周りにあった実験機器を巻き込んで倒れこんだ。すると何かヤバそう
な煙が立ち上り始めたので、影崎はラボを飛び出した。
後ろの方でさっきよりも大きな爆発音が聞こえてきたが無視して影崎は
階段を上り始めたその時、女性の、志神の悲鳴が遠くで聞こえた。そう
思った瞬間、それと同時に屋敷が大きく揺らぎだし、影崎は慌てて上へ
と向かった。すると上って直ぐの所で二階から下りて来た二人とバッタ
リと出くわす。カイが居ない事に気がついたオベは、二人を置いて慌て
て地下へと下っていった。残された二人はお互いの顔を見た

「な、何したんですかっ?影崎さんっ!!」

「つーかあんたこそなんかしただろっ?!って、言ってる場合じゃねぇ
逃げるぞ!」

そう言って影崎は玄関の扉を打ち破って外への脱出路を確保した。そこ
から志神は影崎の後について走って走って、ようやく研究所の敷地内か
ら抜け出した。
そして一呼吸置いて後ろを振り向くと、建物が倒壊していくのが見えた。

「あ〜あ…すげえな。」

「博士さんとオベさんは大丈夫でしょうか…」

「ま、大丈夫じゃねぇの?ほら、あそこ。」

影崎が指差した先に二人の人影が煙の向こうに見えた。それに安堵した
志神だったが、突然「あっ!」と小さな声をあげた。

「私、取材ノート忘れてきちゃった!」

そのセリフに影崎も声を詰まらせた。

「……俺もカメラ置いてきた」(←本当は壊した)

二人は互いに顔を見合わせ無言で深い溜息を吐いた。またあそこへ戻っ
て…とは二人とも遠慮したい気分だった。
そして心の中で小さく同じ様な事を呟いていた。

(でもなんで…世界征服するのに猫型ロボだったんだ…?)

「とにかく、覚えてる限りの事書いて提出しなきゃな。」

「そ、そうですね。頑張りましょう!」

二人は何とか気を取り戻すと、現場を後にした。
しかし、編集部へ帰るのが何となく少し怖い気がする二人であった。


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■          登場人物           ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

 0249 : 志神・みかね : 女 : 15 : 学生
 0843 : 影崎・雅   : 男 : 27 : トラブル清掃業+時々住職

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■         ライター通信          ■
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こんにちわ、おかべたかゆきです。
今回のご参加ありがとうございました。
すっごく遅くなってしまい、申し訳ありませんっ!(滝汗)
しかも微妙にギャグ系だし…( ̄- ̄;ゞ
長い文章の割には内容が薄くって…リベンジ希望かも…。
何故かオマケつきです(爆)

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(おまけ)
倒壊した屋敷を目の前にカイは大袈裟に溜息をついた。
「オベ君、地下ラボは無事としても地上にあった書斎が全滅だな。」
「ふっ。大丈夫ですよ、先輩。」
振り向くとオベは眼鏡をキラリと光らせ、その口元には微笑が浮かん
でいた。
「こんな事態も想定してちゃんと対策は取っています。」
胸ポケットからカードを取り出すと『ピッ』とスイッチを入れた。す
ると…倒壊した柱や壁が動き出し『巻き戻し』よろしく、元の屋敷の
形へと戻っていく。細かい諸原理等はこの際無視だ。
「僕が考案した『形状記憶建築』です!如何ですか?」
「素晴らしい!さすがは我右腕っ!!」
その技術、もっと違う事に使えよ、というツッコミを入れる者はこの
場に誰もいなかった。(当然)
…やはりゴキブリと何とかはトドメを指さないといけない様だ。
そして今日も博士の高笑いが閑静な住宅街に響き渡るのであった…。

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