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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


その一言が
〜 ストーカーは死んでも治らない 〜

「実は、ストーカーで困っているんです」
依頼人の三沢優奈(みつさわ・ゆうな)の言葉に、草間は内心ほっとしていた。

ストーカーの正体を突き止めて追い払うなどというのは、普通の興信所にとってはかなりありふれた仕事のはずである。
だが、草間の所に転がり込んでくる依頼といえば、どれもこれも幽霊がどうの怪奇現象がどうのといったものばかりで、こういった「普通の仕事」には、久しくお目にかかっていなかったのだ。

「それで、一体どのような被害を?」
草間がそう尋ねると、優奈は少し考えてからこう答えた。
「それが、その……勝手に、人の夢枕に立つんです」
その返事を聞いて、草間は心の中で苦笑した。
(やれやれ、やっぱりこの手の依頼だったのか)





彼女の話によると、相手は一週間ほど前まではごく普通の(?)ストーカーだったらしく、彼女に何度も何度も電話をかけてきたり、時には家まで押し掛けてきたこともあったという。

そして、一週間ほど前のある日、優奈が非常に機嫌の悪いときに、そのストーカーから電話がかかってきた。
優奈が素っ気なく電話を切ろうとすると、ストーカーは叫ぶような声でこう言ったのである。
「どうして君は僕のことを見てくれないんだ。僕は、君のためなら死ねるくらいに、君のことが大好きなのに」
優奈は思わずカッとなって、受話器に向かって一言怒鳴った。
「じゃあ、お願いだから今すぐ死んで」
すると、ストーカーは「わかったよ」とだけ答えて、彼の方から電話を切った。

その次の夜から、男が夜な夜な優奈の夢枕に立つようになった。
最初の日は、「本当に君のために死ねただろう」と言い、彼女が知らないと言うと、彼は新聞をちゃんと見るようにとだけ言って消えた。
不安になった彼女が翌朝新聞を見てみると、かなり小さくではあったが、本当にそれらしい男の自殺の記事が載っていたのである。





「それ以来、眠ろうとするたびにその男が夢に出てきて……。
 夢の中でだけでも私を独占させろとか、あの世で一緒になろうとか言いだして……」
そう語る優奈の顔には、化粧である程度ごまかしてはいたものの、疲労の色がありありと見てとれた。





と、その時。
「ふぅん、それは大変だねぇ♪」
そう言いながら、優奈の後ろから一人の少年がひょっこりと顔を出した。
「お前、いつからそこに!?」
草間が驚いて問いかけると、その少年――水野想司(みずの・そうじ)は、にっこり笑ってこう答えた。
「いつからって、ついさっきだよっ☆
 何か面白いことはないかと思ってきたんだけど、ちょうどいいタイミングだったみたいだねっ♪」
そのお気楽な言葉に、ついこう聞き返す。
「ちょうどいいタイミングって、お前、なんとかできそうか?」
すると、想司は元気よく頷いた。
「もっちろん☆ この事件は僕に任せてよっ♪」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 魔法の呪文は…… 〜

優奈の住んでいる部屋は、草間興信所からほど近いアパートの三階にあった。
今年の春から、ここで一人暮らしをしているという。

「それで、一体どうやってあの男を追い払ってくれるの?」
優奈が心配そうに尋ねると、想司は返事の代わりにあるものを取り出した。
「じゃーんっ☆」
その「あるもの」を見て、優奈が呆気にとられたような顔をする。
「あ、あの、それは一体?」
無理もない。
想司が取り出したのは、派手に飾り付けられたステッキだったのである。
色は目の覚めるように鮮やかなピンク色で、先端には大きなハート型の飾りがついている。
普通に考えれば、この状況で突然こんなものを見せられて驚かない方がどうかしていた。

だが、そのあたりの常識が想司には決定的に欠けていた。
「見ての通り、魔法少女ステッキだよっ♪ ギルドからちょっと借りてきたんだ☆」
想司は当たり前のようにそう言うと、ステッキを二、三度バトンのように回してから、突然その場で踊り始めた。
「盆まめ盆米ぼんごぼう、摘蓼つみ豆つみ山椒……」
「それ、早口言葉?」
半ば唖然とした様子で、優奈が尋ねる。
想司はその問いには答えずに踊りを続けようとしたが、気が散ったせいか、それともただ単に舌が回らなかっただけか、途中でとちってしまって踊りを中断した。
「書写山のしゃしょうぞ……あぁ、間違っちゃった」
そう呟いてから、想司は先ほどの質問に答える。
「今のは魔法の呪文だよっ♪ これを間違えないように唱えないと、このステッキは使えないんだ☆」
「なんだか大変そうね」
「実際、結構大変だよっ♪ あの調子で、全部で二分くらいかかるからね☆」
「二分も……が、頑張ってね」
そう言って引きつった笑顔を浮かべる優奈。
想司は一度力強く頷くと、再び先ほどの踊りを再開した。
「盆まめ盆米ぼんごぼう、摘蓼つみ豆つみ山椒、書写山の社僧正、こごめのなま噛小米のなまがみ……」

そして、その約二分後。
「……小新発知小棚のこ下にこ桶にこみそがこ有ぞ、こ杓子こもって、こすくてこよこせっ!」
何とか呪文を唱え終わって、想司が魔法少女ステッキを真上に振り上げる。
すると、突然ステッキの先端のハートがまばゆい光を放ち、想司の身体を十代前半の少年のものから二十代前半くらいの青年のものへと変えていった。

目もくらむほどだった光は、だいたい二十秒ほどでゆっくりと消え始めた。
それに気づいて、優奈がゆっくりと目を開け……そして、息をのむようにして想司を見つめた。
「どう?」
想司が尋ねると、優奈は未だに目の前で起こったことが信じられないとでも言うように、半ば呆然とこう聞き返した。
「想司くん、だよね?」
「うんっ☆ これで、後は夜を待つだけだねっ♪」
想司はそう言ったが、よく考えてみれば「変身すること」と「夢の中の相手をどうにかすること」は、直接には結びつかない。
優奈もすぐにそのことに気づいて、慌てたように言った。
「でも、相手は夢の中なのよ?」
「大丈夫、夢の中に入る手段もちゃんと用意してあるからっ♪」
そう答えて、想司はにこやかに笑ってみせた。

その後、二人はしばらくとりとめもない話をしたり、優奈の作った夕食を食べたりして時間を過ごした。





そして、その夜。
話が一段落したところで、優奈が静かに席を立った。
「私、そろそろ寝ようと思うけど……想司くんはどうするの?」
その問いに、想司は笑顔でこう答える。
「どうするの、って、ストーカーの幽霊を追い払うんだよっ☆」
だが、どうやら優奈が聞きたかったのはそういう意味ではなかったらしい。
「そうじゃなくて。その……つまり、やっぱり私の近くにいた方がいいのかな、ってこと」
「なぁんだ。それなら、別にここでも大丈夫だよっ♪」
想司がそう答えると、優奈はほっとしたような、しかし少し残念そうな様子で、想司に微笑みかけた。
「あ、そうなんだ。それじゃ、おやすみ」
「おやすみなさい♪」

優奈の姿が寝室に消えるのを見届けてから、およそ十分後。
想司はおもむろに部屋の中央に座り込み、静かに目を閉じて瞑想に入った。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 夢の中へ 〜

夢は深層心理を映し出すという。
優奈の夢の中は、まるで彼女の恐怖や不安が具現化したかのような、真っ暗な闇に覆われていた。
文字通り、一寸先も見えないような真っ暗闇。
これでは、いくら職業柄暗闇に慣れている想司といえども、優奈の姿を視認することはとても不可能である。

視覚によって互いの姿を確認できないとなれば、想司がとるべき手段は一つだった。
「優奈君?」
想司の声が、闇の中に響く。
すると、その声が届いたのか、不意に想司の目の前の空間が微かに明るくなった。
「優奈君?」
想司がその光に向かってもう一度呼びかけると、光はゆっくりと広がっていき、その中に優奈の姿が現れた。
「想司くん!」
心底安心したような表情で駆け寄ってくる優奈を、想司はしっかりと抱き留めた。
「来てくれたんだね……よかった」
「もう大丈夫。あとは僕に任せてよ☆」
と、想司がそう言った時。
優奈が怯えたような顔で、想司の後ろを指した。

想司が振り返ってみると、そこには青白い顔をした一人の男が立っていた。
せっかく優奈を独占できると思っていた至福の時間を邪魔されて、男は至極ご機嫌斜めの様子であった。
「なんだよ、お前」
想司の方を睨み付けながら、低く、小さな声で呟くように言う男。
しかし、想司はそんなことは一向に意に介せず、男を睨み返してきっぱりとこう言った。
「君が、優奈君の言ってたストーカーだな」
その一言を聞いて、男がいきなり激昂する。
「優奈君って……なれなれしいぞ、お前! 一体何者なんだ!!」
その叫びに、想司は優奈の肩を抱き寄せながら素っ気なく答えた。
「見てわかんないかな?」
そして、想司の発言に驚いている優奈に、「話を合わせて」という意味を込めて、一度ウィンクしてみせる。
優奈は一瞬戸惑ったが、すぐに小さく頷いて、想司の胸に頭をもたせかけた。

そんな二人の様子を見て、男は獣のような叫び声をあげた。
「まさか、優奈さんが僕の方を見てくれなかったのは……お前かっ!? お前のせいなのかっ!?
 なぜなんだ! 僕はそんなヤツの何倍も優奈さんを愛してるのに!!」
血走った目でまくし立てる男。
想司はそんな彼を冷ややかに見つめると、こう言い放った。
「違うよ。押しつけは真実の愛なんかじゃない」
「うるさいっ! お前に僕たちの何がわかるっていうんだ!?」
「わかるさ。だって……彼女、こんなに苦しんでるじゃないか?」
「苦しんでる? 優奈さんが? どうして!? 苦しんでいたのは僕の方だ!!」
「君が苦しんでいたかどうかは知らないよ。
 でも、優奈君は確かに苦しんでた。嘘だと思うなら、優奈君を見てみなよ。
 こんな優奈君を君は欲しかったの?」
想司を信用してはいても、やはり怯えを隠しきれずに、小さく震える優奈の細い肩。
男の位置から見ても、彼女が苦しんでいることは明らかなはずだった。

だが。
「う、うるさい、うるさぁいっ!!」
それを認めたくないのか、男は半狂乱になって叫んだ。
想司は一度ため息をつくと、優奈の肩を離し、彼女を後ろにかばうような態勢をとって、男にこう宣告した。
「そっか。これでも止まれないのなら……僕が君の暗黒面を否定してあげるっ♪」
「なんだって!?」
「分かりやすくいうならば、愛の為に自害できるほどの精神力は十分猛者の証だから、僕と死合えっていう事だよっ☆」
不審そうな顔をする男に、想司はそう説明する。
けれども、想司の思考パターンを知る人間ならばともかく、想司とは今回が初顔合わせの男には、その説明では不十分だったようだ。
「なんだよ、全然わかりやすくねぇし、何言ってるのかさっぱりわかんねぇよっ!」
はっきりとそう言われて、想司はどうしたものかと首をひねった。
するとその時、優奈が想司の後ろからひょっこりと顔を出して、何かを期待するような表情でこう尋ねた。
「ね、ねぇ、それって、一言で言うと『私を賭けて決闘』ってこと?」
「まぁ、そういうことになるかな?」
想司があっさりと肯定すると、それでようやく男も納得してくれたらしく、二、三度地団駄を踏んだ後、覚悟を決めて、というよりはむしろ逆ギレして「死合い」に応じる様子を見せた。
「くそおっ! 優奈さんをお前なんかに渡せるかよっ!!」
想司はそれを見て一度大きく頷くと、背中から短い棒のようなものを取り出した。
「さあ、君が正しいのか僕が正しいのか……ギリギリの瀬戸際で語り合おうっ☆」
その言葉とともに、棒の先から緑色の光が伸びる。

かくして、戦いは始まった。





現実での戦いとは異なり、夢の中での戦いでは「精神力」が重要となる。
「自分は強い」「自分は勝てる」という自信や、「自分は勝たなければならない」という執念といったものが、非常に大きく影響してくるからである。
そういった点で、男はなかなか手強い相手だった。
「このやろおぉっ!!」
戦術的にはまるで洗練されていない、力任せで荒っぽい攻撃。
しかし、死してなお優奈を追い続けるだけの執念が込められたその攻撃は、想司の想像した以上のものだった。

だが、それでも想司の力は男を大きく上回っていた。
想司にあるのは純真にして絶大なる自信と、ただ「死合い」を楽しむ心のみ。
「自分が負けるかもしれない」などという恐れは、一片たりともなかった。
「まだまだ甘いよっ♪」
想司の横薙ぎの一撃に、男はかろうじて反応する。
けれども、そんなとっさの防御では攻撃の勢いを殺しきれず、男は大きくはじき飛ばされた。
「くっ、まだまだっ!」
それでも、男は諦める様子を全く見せない。
倒れても、倒れても、何度でも立ち向かってくる男。
その様子を見て、想司は心の中でほくそ笑んだ。
(やっぱり、僕の読み通りだねっ☆)

それから、どれくらい経っただろうか。
男は不意に大きく後ろに跳ぶと、回れ右をして逃げ出した。
「っきしょぉっ! きょ、今日はこれくらいで勘弁しておいてやるっ!」
ご丁寧に、定番の捨てゼリフまでつけて、である。
もちろん、想司とて相手が逃げることを一切想定していなかったわけではない。
しかし、何度も何度も向かってくる男との「死合い」を続けているうちに、逃走防止用に張っておいた闘志の結界に向けられる意識は、自然と減少していた。

そのことに想司が気づいたときには、男はすでに結界に穴を開けて逃げ去っていた。
「ここで待ってて。絶対に追いついて、懲らしめてくるからねっ♪」
優奈に一言そう言うと、想司はすぐに男の後を追って穴に飛び込んだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 夢から夢へ夢渡り!? 〜

気がつくと、想司は何かのコックピットのようなところにいた。
目の前のモニターには、宇宙空間で戦いを繰り広げている人型ロボットの姿が映し出されている。
(どうやら、別の誰かの夢の中に迷い込んじゃったみたいだねっ)
そんなことを考えながら、想司は自分の機体を前へと進めた。
操縦方法は、なぜか体が覚えていた。

と、その時。
想司の機体に向かって、一気の黒い機体がものすごいスピードで向かってきた。
(あいつだ)
直感的に、想司は悟った。
黒い機体は手にしていたマシンガンを構え、想司に向かって発砲する。
想司は素早くそれをシールドで防ぐと、そのまま一気に間合いを詰め、右手の剣で黒い機体を両断した。

だが、それでも戦いは終わらなかった。
真っ二つになった黒い機体の中から、脱出ポッドのようなものが飛び出したのである。
(そうこなくっちゃ♪)
想司はその脱出ポッドを追って、ブラックホールの中に飛び込んだ。





次に気がついたとき、想司は着流しを着て、大小の刀を差した侍の姿になっていた。
その想司の前に、忍び装束に身を包んだ男が現れる。
「お命頂戴する!」
そう言うやいなや、男は想司に向かって斬りかかった。
想司はその一撃を難なくかわすと、抜き打ちに男の右腕を切り落とした。
「ぬうっ!」
男は一声呻くと、懐から煙玉を取りだし、地面に叩きつけた。

煙が晴れたとき、想司はいつの間にか学生服姿でどこかの校舎裏にいた。





その後も、二人の戦いは延々と続いた。
プレートアーマーを纏って馬上槍試合を戦い、西部劇の世界で早撃ち対決をし、サッカー天皇杯の元日決勝でPKを蹴り、武道館で電流金網デスマッチを戦い、時計台の針の上や、飛行機の翼の上、巨大生物の背中に五条大橋などを転戦し……。

そして、もう何人の夢の中で戦ったか、想司にもさっぱりわからなくなってきた頃。
二人は、真っ暗闇の世界に戻ってきた。

三沢優奈の、夢の世界に。





「この……一体どこまで追ってくる気だよ! しつこいヤツだな!!」
明らかにイラついた様子で、男が叫ぶ。
その言葉に、想司はこう言い返した。
「君ほどじゃないよっ☆ 優奈君を追い回し続けた君ほどじゃねっ♪」
その的を射た反論に、男が言葉を失う。
「そろそろ、追い回される方の気持ちも分かったんじゃない?
 自分が大好きな人にこんな気持ちをさせて、それで君は嬉しいの?」
想司がそう諭すと、男は放心したようにその場に崩れ落ちた。
「そうか……僕は、知らないうちに優奈さんをこんな目に」
その瞳から、じわりと涙があふれる。
「そこまでわかってるなら、もう、どうすればいいかわかるよね?」
想司のその言葉に、男はこくりと小さく頷いた。
「わかったよ。もう二度と、優奈さんの夢の中に現れたりしない」
そう答えると、男はゆっくりと立ち上がり、想司に背を向けて立ち去っていった。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

〜 その後 〜

「と、こんなことがあったんだけどさっ♪」

事件解決から一週間ほど後。
想司は、同級生の森里しのぶに今回の事件のことを話した。
「ふぅん、想司くんが関わったにしちゃ、結構丸く収まったじゃない」
しのぶは笑顔でそう答えると、想司に一言尋ねた。
「で、それっていつの話?」
「確か、一週間くらい前の話だったと思うけど」
想司がそう答えたのと、しのぶの笑顔がかすかにひきつっていたことに気づいたのはほぼ同時だった。
次の瞬間、しのぶのハリセンの一撃が想司に炸裂する。
「な、なんで!?」
わけもわからず想司がそう叫ぶと、しのぶは不機嫌そうにこう答えた。
「なんで、じゃないわよ。人の夢を土足で踏み荒らしておいて。
 あの時は、せっかくいい夢を見てたのに」
「いい夢って、一体どんな夢だったの?」
その想司の問いに、しのぶは突然真っ赤になった。
「べ、別に、想司くんには関係ないでしょ」
「そっか☆ それもそうだねっ♪」
確かに、しのぶがどんな夢を見ていようと、別に想司には関係ない。
そう考えた想司は、その話はやめにして、優奈のことに話を戻した。
「でね、この話には続きがあってね☆
 その後、優奈さんの夢の中に男が出てくることはなくなったんだけど。
 その代わり、優奈さん、次の日子犬を拾ったらしいんだ☆」
それを聞いて、何かに気づいたようにしのぶが言う。
「子犬? ねぇ、ちょっと、それって、まさか?」
「うん☆ 子犬に取り憑くなんて、よく考えたよねぇ♪」
笑顔で頷く想司に、しのぶは大きなため息をついた。
「よく考えたよねぇ、じゃなくて。
 それじゃ、根本的解決になってないんじゃないの?」
「どうして?
 優奈さんはぐっすり眠れるようになったし、ストーカーの方ももう追い回したりしなくてもすむようになったし。
 みんな幸せになったんだから、これで一件落着だよっ♪」
想司はきっぱりとそう答えたが、しのぶは何か釈然としない様子だった。

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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
0424/水野・想司 /男性/14/吸血鬼ハンター

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■         ライター通信          ■
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いつもご参加ありがとうございます、撓場秀武です。
ギャグがご希望とのことでしたので、「魔法少女ステッキ」や「夢の中での戦い」といった部分を中心にわりとコテコテにしてみたつもりですが、いかがでしょうか?
もし何かありましたら、遠慮なくツッコミいただけると幸いです。

それでは、よいお年をお迎え下さいませ。