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<東京怪談ウェブゲーム 草間興信所>


心霊写真
◆行方知れずの影
「この写真なんですけど・・・」
依頼者の三須は、封筒から一枚の写真を取り出して机に置いた。
写真には大学生ぐらいのカップルが笑って写っている。
後は海で、カップルは崖の淵の手摺に腰かけているようだ。
「ここをみてください。」
三須が指差したのは、そのカップルの足元。
女の子の足元の暗がりに、よく見れば男の顔が写りこんでいる。
「これは・・・」
草間は写真を良くみて言葉を失う。
これは、俗に言う心霊写真と言う奴だ。
足元の影の中の顔。そんなところに人がいるはずもない場所。
この位置に顔を出すためには崖の向うに浮かんでいなくてはならない。
「これは、雑誌に投稿されていたものを俺が見つけて、編集部と投稿者の許可を受けて譲ってもらいました。」
三須は涙を滲ませて言った。
「ここに写っているのは行方不明の兄にそっくりなんです。手がかりはもうこの写真しかありません。どうか、兄の行方を探してください。」
「しかし・・・この写真は・・・」
草間は言葉を濁す。
心霊写真・・・死者の霊が写りこむ写真。
「はい・・・兄は死んでいるかもしれません。それでも、せめて亡骸を供養してやりたいのです。よろしくお願いします。」
三須はそう言うと深々と頭を下げた。
「特殊なご依頼なので、ご希望に添えるかどうかは難しいですが・・・できる限りのことはやってみましょう。」
草間はそう言うと、心霊写真を預かり、人探しを引き受けたのだった。


手がかりは心霊写真しかない人探し。
手伝ってくれませんか?

◆風の鳴く崖
「うわぁ・・・自殺の名所とかそういう感じの・・・如何にもって場所ですね。」
唐縞 黒駒は、風の強い崖から身を乗り出すようにして崖下を覗き込みながら言った。
高所恐怖症でなくても肝が竦むような高い崖の上だ。
「ちょうど、この足元のあたりか?」
唐縞の立つ足元と手に持った写真を見比べながら、武田 隆之が言った。
「確かに、その崖の向うに浮かんででもいない限り、ここに顔をのぞかせるのは不可能そうだな。」
「柵につかまってぶら下るって言うのも・・・とても無理そうですよ。」
崖は大きく海に向って張り出しており、崖の向うへ一歩出れば足元は10メートル下の水面まで何も無い。
しかも、常に強く海から風が吹いているので、何かにつかまっていても体を安定させているのは難しいだろう。
「じゃあ、コイツは間違いなく心霊写真だとして・・・考えられるのは、この場所で死んだ地縛霊なのか、それともこのアベックに取り憑いているのか、それとも・・・」
「撮影者に取り憑いている・・・とも考えられますわ。」
背後から声がかかり、唐縞と武田が振り返ると、そこには黒髪の美しい少女が立っていた。
「お二人も、草間さんからご依頼があっていらっしゃったのでしょう?」
少女・・・海原 みそのはにっこりと微笑むと言った。
「あぁ、そうだが・・・」
どことなく異質な気配を持つ少女に、武田は訝しげな目線を送りつつ答えた。
「私も、そのお手伝いに参りました。よろしくお願いいたします。」
海原は武田の目線は気にもとめず、何事も無かったかのように微笑んだ。

「それで、私も少し調べてきたのですけど・・・」
海原はそう言うと数枚の書類を取り出した。
どうやら心霊写真が掲載されていた雑誌のコピーのようだ。
とりあえず状況をまとめようと、三人は風の強い崖から離れ、展望台の喫茶室へ入る事にしたのだ。
「この写真は、ここに写っている女性の友人が撮影されて、足元に変な影が写っているので君が悪くなって雑誌の方へ投稿したそうです。」
海原は編集部で聞いてきた話を、唐縞と武田にする。
「写真に写っている方にも、撮影者にも、まったく心当たりの無い顔だそうです。」
「そうなると、撮影者に関する線は消えるわけか・・・」
武田は海原の作ってきたというお弁当のおむすびをつまみながら言った。
「あとは・・・地縛霊か、偶々この辺を通りかかった浮遊霊か・・・?」
唐縞は写真に写っているもので見逃しているモノはないかと、じっと光にすかして写真を眺めてみたが、何も見つけることは出来なかった。
「少し気配のようなものが残っていれば良いのですけど・・・ここは人が多すぎて、掴みきれません・・・」
海原はそう言うと、残念そうに崖の方を見やる。
観光地でもあるこの場所には常にたくさんの人がいて、一つの気配を探し出すのは相当困難な作業になっていたのだった。

◆潮の流れ
「ひでぇ足場だな・・・」
黒月 焔は濡れて滑る上に、小さな岩の突端が出ているだけの崖の下にきていた。
武田達と同じく、草間に請われてやってきたのだ。
「話だとこの辺なんだが・・・」
この崖に来る前に、地元の警察でこの崖に関する話を少し聞き込んできた。
自殺者が多いこの崖は、年に十数体の遺体があがるという。
中には自殺とは思えないものも上がるが、それについての調査はほとんど進まずに終わる。
例え他殺だったとしても、この波の荒さが証拠を洗い流してしまうからだ。
黒月もうかうかしていると足元をすくわれそうになる。
濡れないための努力は当に諦め、とにかく海に引き込まれないように気をつけるしかない。
黒月は潮の流れの関係か、必ずこのあたりの海で死んだ人間が流れ着くという場所を目指していた。
上から見ると崖は絶壁で、人が降りる術などないように見えたが、少しはなれた場所からなら海へと降りる道があり、そこから水辺伝いに歩いてくると何とか崖の下まで来ることが出来るのだった。

「ここ・・・か?」
黒月がたどり着いたのは、崖の下にわずかに口を開けた岩の窪みだった。
崖の上からは死角になっていて、船では浅くて近寄れないような場所にそれはあった。
しかし、周りの岩場の荒々しさはなく、わずかではあるが砂浜になっていた。
頭上を見上げると、観光客の嬌声が聞こえる。どうやら展望台の真下のようだ。

「!」

その場所の観察をしていた黒月は、不意に背後に気配を感じて振り返った。
「・・・なんだ?」
黒月は少し身構えて、背後の波間に浮かんでいるモノと対峙する。
打ち寄せる波間に、首というか、顔の半分だけ出した男が黒月をじっと見ている。
もちろん、人間が潜れるほどの深さは其処にはない。
霊・・・だった。
「なんのようだ?貴様も自殺者か?」
対抗する術を持っているわけでもなかったが、黒月は気丈に言った。
こう言うときは気迫負けしたほうが負けなのである。
「俺も引っ張りこもうって言うのか?いい根性してんなぁ・・・」
『写真・・・』
「んぁ?」
波間からのぞく影は、黒月の胸元を指差して言った。
『殺した・・・男・・・』
黒月の胸元には、霊の心霊写真のコピーがしまわれていた。
「殺した男?お前が殺したのか?」
黒月は写真を取り出すと、影に見せるように突き出して訊ねた。
『殺した男・・・』
『殺した男・・・』
『殺した男・・・』
『殺した男・・・』
『殺した男・・・』
『殺した男・・・』

・・・

影は波間から無数に浮かび上がり、同じ言葉を繰りかえす。
殺した男。
それが何を意味するのかわからなかったが、報われぬ死を迎えた影たちは黒月にそれを告げると再び波間へと姿を消したのだった。

◆心霊写真の男
「こんな感じですかねぇ?」
心霊写真の男の顔の部分だけを紙に写し取った唐縞は、出来栄えを確かめるように武田と海原に見せた。
このあたりで男が死んだなら、もしかしたら生きていた頃の目撃があるかもしれない。
そう思った3人は、とりあえず心霊写真で人探しもなんなので、似顔絵よろしく別の紙に男の顔を写し取ったのだ。
「特徴は良くでていると思います」
海原も写真と絵を見比べて満足そうにうなずく。
これならば、目撃者にもわかることだろう。
「とりあえず、こいつを使って聞き込みってところだな。」
武田はそう言うと、側を通りかかった喫茶室の店員に声をかけた。
「なぁ、ちょっと話を聞きたいんだが・・・」
最初は訝しげな顔をしていた店員も、話を聞いているうちに興味を持ったようだ。
さすがカメラマンというべきか、モデルを口説き落とす話術が役立っているのかもしてない。

「あれ、この人・・・見たことあるわ・・・」
店員は似顔絵をみて首をかしげる。
「え?本当ですか?いつ?どこでですか?」
食いつくように質問を重ねる唐縞に少し苦笑しながら、店員は言った。
「あ、そうだ。これ、この先のおみやげ物屋さんの長男よ。さっき会ったばかりだもの、間違いないわ。」
「「「!?」」」
店員の答えは意外なものだった。
「間違いなく、その店の長男?よく見てくれよ?観光客とかと間違ってない?」
武田が念を押すように確かめたが、店員の返事は変わらなかった。

それどころか、その近辺で聞き込みをしたところ、ほとんどの人間が「みやげ物屋の長男」だと答えたのだった。

◆殺した男
「殺された男ではなく・・・殺した男?」
霊たちの言葉の意味がわからないまま、とりあえず崖の上に上がってきた黒月は写真を片手にぼんやりと歩いていた。
この写真に写っているのは殺されて写っているのではなく、殺した男が写っているということか?
それならば、この写真のアベックのどちらかが?
言葉の意味が良くわからないままに、展望台の方へふらりと足を向けると、武田たち三人に出会った。
同じ写真を持っていたので、彼らも草間に頼まれたのだとすぐにわかった。
「おい、あんたら・・・」
黒月が声をかけると、三人は驚いて顔を見合わせたが、黒月の手に例の写真があるのを見ると、ホッとしたように笑った。
「実は・・・」
海原は黒月に、自分たちが聞き込みした結果を伝え、黒月は三人に今自分が見てきた話を伝えた。
「写真の男は実は生きていて・・・殺した男・・・」
海原は眉をひそめるとつぶやくように言った。
別々ではわからないものの、四人の話をあわせれば、何となく嫌な一致が見えてくる。
「とりあえず、そのおみやげ物屋さんへ行って見ましょう。そこでその人に会って見てから・・・それからじゃないですか?」
唐縞が少しのほほんとした様子で言った。
緊張感がないようにも思えたが、実際に話は動かないことにはどうにもまとまらないのだ。

話に聞いたみやげ物屋へ行くと、話にあった長男は留守だといわれてしまった。
「いつ頃戻られますか?」
唐縞がそうたずねると、その店の主らしい男はぶっきらぼうに「知らん」と答えた。
「あ、あと少し伺いしたのですが・・・弟さんのことについて・・・」
海原が依頼人について訊ねようとすると、もっと奇妙な反応が返ってきた。
「弟の方は随分昔に海の事故で死んじまった。お陰で、母さんが祐一を甘やかしちまった所為で、ろくに家の手伝いもしない馬鹿息子になっちまったがな。」
「え・・・?」
確か、依頼人は兄を探していると聞いた。
あまりにも話が違いすぎる・・・。

みやげ物屋を出て、4人は溜息まじりに顔を見合わせた。
あまりにも話が違いすぎる。
心霊写真に写っている生きた男。
生きている兄。
死んでしまった弟。
そして、幽霊たちの訴えた「殺した男」
情報だけが手に溢れ、どうにもパーツが組み立てあがらない。
「気分が悪いな・・・」
思わず武田が呟いた。
それは他の3人も同じだった。
まるでわざと組み間違えたシナリオに踊らされているような・・・そんな感じだった。
「どっちにしろ、鍵はこの男か・・・」
写真をパンッと叩いて、武田は言った。

写真に写っている男・祐一。

とにかくこの男を捜さなくてはならないのだ。

◆捜索・・・そして。
「そんなに遠くへ出かけたとは思えないのですが・・・」
あたりを見回して海原は言った。
みやげ物店のものだろうと思われる車は、店の駐車場に止まっている。
それに喫茶室の店員はついさっき会ったばかりだと言っていた。
ならば、このあたりにいる可能性が高いのではないだろうか?
「しかし、この辺にはみやげ物屋とあの喫茶室くらいしか・・・」
4人はそれぞれに男の姿を捜し求めるが、狭い展望台に男の姿は見当たらない。
「ここ以外にどこか・・・」
人の行きそうな場所はないだろうかと思ったその時、ふと海原が声を聞きつけた。
「波が・・・」
海原は波の音に呼ばれたような気がした。
確かな言葉ではないが、崖の下から聞こえてくる波の音が、海原を呼んだ様な気がしたのだ。
海に深く関わる海原だからこそ聞こえたのかもしれない。
そのくらいささやかな声だった。
「黒月様、確か、この崖の下に何か場所があると仰ってましたよね?私を・・・そこへ連れて行って下さいませんか?」
今までの少しほんわかとした様子から変わって、海原は真剣に黒月に願った。
「か、かまわないが・・・」
そう言うと、自分の上着の袖をぎゅっと掴んでいる少女を連れて、黒月は崖を降りる道へと足を進めた。
武田と唐縞もその後に続く。
打てる手は尽きはじめていた。こうなったら女の子の第六感でも頼りたいところだったのだ。

「こっちだ。」
足場の危ういところを支えてやりながら、黒月と海原を先頭に4人は崖を降りていった。
先ほどと違って日も暮れはじめ、足元は更に危なくなっている。
「こんな先に人がいるんですかねぇ・・・?」
唐縞は自分たち以外に人の気配の無い道を、危なっかしい足取りで何とか降りながら言った。
「わからんがあのお嬢ちゃんは何か感じてるようだ。」
武田も崖の斜面にしがみつくようにして、濡れた岩場を伝ってゆく。
二人に比べて、黒月と海原はまるで明るい日向を歩くようにすいすいと進んでゆく。
これも霊感のある無しに関わるのだろうか?
「あっ・・・悲鳴・・・」
波の音が大きく響く中で、海原が不意に足を止めて言った。
「悲鳴が聞こえました・・・」
「悲鳴?」
他の者も足を止めるが、波の音ばかりで何も聞こえない。
「気のせいじゃないのか?」
「いいえ、確かに・・・悲鳴でした。」
聞きなれた波の音以外のものを海原が聞き間違えるはずがなかった。
「急いでください!」
海原に急かされ、黒月は海原の手をしっかりと握ると先を急いだ。
武田、唐縞もいぶかしみながらもその後に続く・・・。

そして。

「あ、あれ・・・」
岩陰の暗闇に、ちらりと光が動いたような気がして、4人は足を止めた。
「誰かいる・・・」
岩場から黒月が体を伸ばして、岩場の窪みを覗き込もうとした時。
今度は明らかに人の声だとわかる悲鳴が聞こえた。
「!」
黒月は海原を抱えて、砂浜まで一気に駆け下りるとその場に海原を置き、岩場の窪みに飛び込んだ!
「どうしたっ!!」
そこには予想だにしていなかった光景が広がっていた。

破れた服に血を滲ませた少女。
そして、その少女を馬乗りになって押さえつけている刃物を握り締めた男。

「この野郎っ!」
黒月は少女のから男を引き離すために、男に飛び掛ったが、男は寸前の所で避けた。
「大丈夫かっ!?」
武田と唐縞も相次いで飛び込んでくる。
唐縞は自分の上着を少女にかぶせてやると安全な場所までその腕を引いた。
「ふざけんなよ!この痴漢野郎!」
武田の遠慮ない一撃が男の腹に決まる。
だが、男はその一撃に耐え、黒月と武田のいるほうへ突進した!
「うおっ!」
二人が刃物を持った男の突撃をかわすと、男はそのまま海の中へと足を踏み入れた。
「畜生逃がすかっ!」
しかし、地元でもなく、海の様子を知らぬ武田と黒月がこの暗闇で海に入るのは自殺行為だ。
「あんなところにボートを繋いでやがる!」
浜辺から見ている間にも、男はどんどん沖へと泳ぎ、岩場に止めてあるボートへと向って泳いでゆく。
「畜生・・・」
悔しそうにみやる黒月と武田の前に、すっと黒い影が横切った。
海原である。
「あ、おい・・・」
黒月が制止するのもかまわず、海原は膝まで海に入ると、静かに何事か呟いた。
それがなんだったのか、他の人間には聞き取れなかったが、囁くような優しげな声が、波の音に混じって歌のように響いた。
「!」
すると、穏やかに波打っていた波が急に泡立つように激しくうねり、白い角を立てて泳ぎ去る男のほうへと向ったのだ。
男は異様な気配に一瞬振り向いたが、必死の形相でボートへと泳ぎつづける。
しかし、その白波の勢いは風のように早く、あっという間に男を捕らえてしまった!
「うわぁっ・・・」
男は短く悲鳴をあげたが、すぐに波に飲み込まれ、その暗がりに姿を消してしまった。
「し、死んじゃったのですか?」
様子をじっと見ていた唐縞が、顔色を失って海原にたずねた。
「いいえ、すぐに波が連れてきますわ。」
海原はそう言って、海の波のように風に波打つ黒髪をかきあげると、にっこりと微笑むのだった。

◆不本意な海の死人
海原の言葉のとおり、男は間もなく波に打ち上げられ砂浜へと運ばれてきた。
男は気を失っており、その様は打ち上げられた死体のようであった。
「崖の下を案内してあげるって言われて・・・ついて来たらいきなり襲われたんです・・・。」
襲われた少女は恐怖にいまだ震える唇で語った。
「とんでもねぇ野郎だな。」
気を失い横たわったままの男の顔を、黒月はつま先で小突いた。
『その男が殺した・・・』
「!?」
波に混ざって低く声が聞こえて、四人は驚いて海のほうを振り返る。
「ひっ!ゆ、幽霊!?」
そこに見えたものに驚き、唐縞が引きつった悲鳴をあげた。
そこには一人の男が膝から下を波に濡らし立っていた。
『僕はこの海で兄に殺されました・・・その後も兄は何人もの人を殺して・・・金品を奪っていたのです・・・』
ずぶ濡れの男はそう言うと濡れた服のポケットから写真を取り出した。
それは4人も持っている例の心霊写真だった。
『兄を見つけてくださってありがとうございました・・・。』
そして、その男の声に重なるように、真っ暗な海の中でなお黒く、波間から幾つモノ顔がこちらを見ていた。
『その男が殺した・・・。』
『殺して金を奪った・・・。』
『海に捨てられ・・・。』
『その男に殺された・・・。』
『ありがとう・・・。』
『ありがとう・・・。』
『ありがとう・・・。』
波間からのぞく顔は、口々にそう言うと波間に消えた。
そして、依頼者の男もゆっくりと頭をたれると、静かに海の中へと溶けるように消えていったのであった。

その後、4人は犯人・祐一を警察に引渡し、祐一は襲われた少女の証言もあって、強盗殺人の罪で厳しく取り調べられることとなる。

「結局・・・最初に殺された弟さんが、兄に仕返しするために人探しを依頼したってことなんですかねぇ?」
夜も明け始めた崖の上で、唐縞は海を見つめながら言った。
「さーな、本当のところなんざわからねぇよ。」
黒月はくわえ煙草で空を仰ぎながらだるそうに言葉を返す。
武田はさっきからポラロイドカメラを取り出して崖の方を懸命に撮影し、海原は車で眠り込んでいた。
「海原がいたから殺さなかったのかもな・・・あのお嬢ちゃんがなんか海に言ってなかったら、あの男殺されてたのかもしれないぜ?」」
武田はカメラから吐き出されたポラ写真を眺めながら言った。
「ほら、見ろよ。」
そう言って渡されたポラ写真を黒月と唐縞が覗き込む。
「これって・・・」
そこには海から突き出された無数の手。
「奴らはあわよくば海に引きずり込もうとしてんのかもしれないな。」
武田はそう言うとポラ写真を海へと投げ捨てた。

海は、静かに波打ちながら、ポラ写真をゆっくりと飲み込んでいったのだった。


The end ?
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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

1466 / 武田・隆之 / 男 / 35 / カメラマン
0418 / 唐縞・黒駒 / 男 / 24 / 派遣会社職員
1388 / 海原・みその / 女 / 13 / 深淵の巫女
0599 / 黒月・焔 / 男 / 27 / バーのマスター

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■         ライター通信          ■
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今日は。今回は私の依頼をお引き受けくださりありがとうございました。
そして、締め切りを当に過ぎてしまってからの納品、申し訳ありませんでした。
長くお待ちいただいてしまった分も、きっちり気持ちを込めて書かせていただきましたが・・・どことなく嫌な感じの展開でごめんなさいです。

心霊系のスキルがあると、割と簡単に見破られちゃうかなと思ったのですが、意外と正攻法と言うか実地に頼った調査だったので、中盤までは心霊色の薄い展開でした。
逆に心霊系のスキルが少なかったので、兄が死なずに警察に突き出されるようになりました。心霊系の影響が大きかった場合は、海坊主ならぬ海幽霊たちがそれを利用して陸に上がることも考えていたので、最初考えていた感じとは色々な意味で変化が出て、書き手としても楽しかったです。

今回は本当に参加ありがとうございました。
機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
また、どこかでお会いできることを願っております。
お疲れ様でした。