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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


CHANGE MYSELF!〜出現、スーパー暴走族!〜


 金曜日の夜……仕事という名の戦いから解放されたサラリーマンやOL、勉強が仕事と言われる身分である学生たちがストレス発散のために繁華街へと足を運ぶ。彼らを分け隔てなく受け入れる街に時の流れは関係ない。いつもこの界隈は不夜城と呼ばれている。イケメンホスト集団がかわいい娘を狙って歩き回る姿も、名もなき画家がその成果を路上で発表する姿も……すべてがここにあってしかるべきものばかりだ。ここには何があっても構わない。
 しかし、この世界には『音』というものが存在する。人間は決して繁華街の風景ではない。この街の中で音なくして生きられない。肩が触れただのと些細なケンカでいい年をした親父が周囲に怒号を響かせる時もあれば、彼女に振られたショックで痛飲し路上で嗚咽する若者もいる。さすがの繁華街もすべての面において心地よい空間ではない。そして今日もすさまじい威力を持った音を振りかざし、道路を跋扈する集団が来る……


 彼らはこの界隈を縄張りにしている、自称『最強の暴走族軍団ムスタング』である。東京の中では最大規模の集団で、暴力団が後ろ盾になっていることで有名だった。返り血と荒馬のシルエットをチームカラーにしているのか、誰もが血の飛び散ったような跡のある特攻服に袖を通している。それが本当の血かどうかはわからない。
 そして今日も荒馬のペイントを施したバイクが群れをなしてやってくる……彼らは爆音で周囲の人間を振り向かせたらまず満足なのだろう。道路工事も驚きの騒音で人々を自分たちに振り向かせるのだ。だが、彼らが振り向いてみたところでメンバーが特にいい表情を見せてくれるわけでもない。その代わりに、酔っ払ったお父さんにもわかりやすい罵声を浴びせるだけだ。彼らにしてみれば、その行為自体が振り向いてくれたことへのお礼と感謝の気持ちなのかもしれないが……

 世の中には物好きというものが存在する。この『ムスタング』は社会からレッテルを貼られた不良少年の集まりだったが、なぜか女子高生たちに人気があった。それは携帯メールを通して広まった『ムスタング』のリーダーに関する伝説が原因だった。列のど真ん中を悠然と走っている丸坊主の男がリーダーの谷だ。

 元々『ムスタング』は歴史の浅い暴走集団で構成人数も少なかった。その頃、この地域には多くの暴走族集団が乱立し、この地の覇権を握るために日々お互いのメンツを賭けて血みどろの抗争を続けていた。谷はしばらくそれを静観していたが、自分にも火の粉が降りかかるのは時間の問題だった。メンバーも彼自身も複数の人間から標的にされ、ただでさえ少ないメンバーがどんどん病院送りになっていった……
 ある日、谷が純白の特攻服に身を包んで金属バット片手にたったひとりで他の縄張りに斬りこんだ。リーダーの決死の思いが綴られた下手な字の置き手紙読んだメンバーは慌てて彼の後を追いかけた。だが、彼らはその先で信じられないものを目にする。なんと谷はすでに暴力で敵を屈服させていたのだ。バットは血に染まり、彼自身もおびただしい量の返り血を浴びて真っ赤だった。
 メンバーの推測から谷の強さは超人的と表現されたのをきっかけに、彼の名はどんどん他の勢力にも広まっていった。そんな評判もどこ吹く風といった感じで、それを機に谷は狂ったように暴れまくり、彼らにさらなる恐怖を植え付けていく。鬼のような男を目の当たりにして尻ごみした連中は「病院行くか、谷に従うか」と仲間たちや敵だったはずの男たちと相談し始める始末。結果的に、谷はこの界隈を治める親分として半ば周囲の力で頂点へと押し上げられたのだ。こうして『ムスタング』が大勢力になった時、その組織力に目をつけたある暴力団の組長が谷と取り引きをしたのだ。

 だが、女子高生たちには『谷がこの地を統一するまで着用していた特攻服はたくさんの血を吸い、ついには真紅に染まった』という部分だけが広まり、それが武勇伝として語り継がれていた。そんな彼に黄色い声援を送る路上の女子高生たち。それに鼻の下を伸ばして答えるリーダーたちはご機嫌な様子だった。


 彼女たちに広まった部分的な『伝説』はある意味で的を射ていた。しかし、誰もそれに気づかない……
 リーダーの谷が着る血染めの特攻服は緩やかにその模様を変え、さらに小さなうめき声をあげているのだ。だが彼を見てもバイクで移動するわ爆音を鳴らすわしているのでそれに気づくものはいない。この界隈でのアピールに飽きたのか、谷は近くにいた幹部に号令を出し、群れを首都高に向かわせることにした……騒音を撒き散らし、周囲の不安を煽りながら鋼鉄の暴れ馬たちは前へと進む。

 しかし、そんな無法が世の中で認められるはずがない。市民の生活を守る警察官はこの動きを常に監視していた。この日は偶然にも、ムスタング掃討作戦が実行されることになっていた。彼らの動向をキャッチした司令官役の警部は高速機動隊に連絡し、首都高の封鎖と集団の一斉検挙のためのバリケード作りを指示した。己の存在を誇示するムスタングは、常に低速で走っている。それを逆手に取り、十分な用意をするのが彼らの目的だった。

 そんな市民の目には見えない静かな戦いが繰り広げられる中、あるひとりの青年が路肩にバイクを止めてたたずんでいた。ヘルメットをすっぽりとかぶった彼の表情までははっきりとは見えない。彼は何も言わずに真っ暗な空を見る……そこには丸い月が静かに世界を照らしていた。その光を浴びた青年は赤い瞳に月を映す。ヘルメットからわずかに覗く銀色の髪はそのやさしい光を浴びてわずかに輝く。


 「わずかに欠けてるな……」


 一言発したかと思うと、彼は動き出す。座席の中に突っ込んだリュックの存在を確認するとバイクにまたがり、そのまま暴走族の追跡を始めた。彼は暴走族に何かしらの恨みがあるのだろうか。その動きに迷いがない。バイクはここより暗い場所へと彼を誘う。そう、彼も暴走族を狙っているひとりなのだ……



 ムスタングが現れるであろう首都高は静まり返っていた。急な閉鎖にも関わらず、通行車両は実に素直にその指示に従った。いつもは東京の大動脈としての機能を果たすここも、今はパトカーや白バイがバリケードを作る即席の要塞と化していた……赤色灯が無数に回り、機動隊員の持つ透明な盾や金属の警棒すべてを真っ赤に照らす。それは彼らがチームカラーにしているあの血の色を想像させる。絶対に逮捕するという気合いもあってか、その場を物々しい雰囲気が包み込む。決戦の時はまもなくだった。

 まっすぐに伸びる道路の果てしなく向こうに、無数のヘッドライトが揺らめく……爆音とともにやってきたのは、間違いなくムスタングだ。一斉に身構える機動隊……彼らからもきっとこちらの光景は見えているだろう。その影はだんだんと大きくなり、次第にその姿が明らかになってくる。先陣を切っているのは、なんとリーダーの谷だった。手にはあの金属バットを持ち、真紅の特攻服を風で揺らしながら取り巻きたちの士気を上げている。バイクのいななき、メンバーの雄叫びが高架を響かせる中、なぜか地の底から聞こえてきそうな奇妙なうめき声がかすかに混じって聞こえる……


 衝突の時はやってきた。バリケードを近くに来てもマシンのスピードを緩めないムスタングの行動を見た隊員たちは、勇猛果敢にも谷を止めるために警棒を振りかざす。それをバイク上から見た谷が不敵に笑う……そして声高に叫んだ。


 「不死鳥と呼ばれたこの谷の前に立つなんて、お前ら命知らずだぜぇ! この真っ赤に燃える特攻服、伊達じゃねぇことを思い知らせてやるぜぇぇ!」


 谷はひとりの隊員めがけてバットを振りかぶった! 隊員はその一撃を盾で受け流そうと構える……しかし次の瞬間、信じられない出来事が彼を襲う!


 「うおぉぉぉりあぁぁっ! 吹っ飛んじまえっ!」

 「なっ、なんだこの威力……おうわあぁああぁぁっ!!」


 金属バットが盾と接触すると、隊員の身体に恐ろしいまでの衝撃が伝わる! その威力は隊員の身を浮かし、近くに停車していたパトカーまで吹き飛ばした! かろうじて高架からの落下を逃れた隊員だったが、生身で車にぶつかって無事なわけがない。彼はそのまま力なく崩れ落ちる……他の隊員たちが思わずそれを視線で追ってしまった。その隙を谷が見逃すはずがない。バットを横に出し、直線上にいる隊員たちを次々と狙う!


 「俺たちムスタングのぉぉ、行く手を遮るんじゃねぇ!!」


 真っ赤に染まった牙が隊員たちを容赦なくなぎ倒していく……後ろからは親衛隊が同じように迫ってきた。人間離れした力を発揮するムスタング軍団とは対照的に、機動隊は大混乱に陥った。メンバーは谷ほどの力を発揮するわけではなかったが、それでも訓練された隊員を凌駕する力を備えており、不恰好に武器を振るっても力押しで勝ってしまうことがさらに状況を悪化させた。リーダー以下、メンバーの血は妖しい光を放っている。

 谷は金属バットでパトカーの後部を殴りつけると、車はスピンしながらビリヤードの白球のように飛んでいく。それを見た機動隊員たちは悲鳴を上げながら逃げ惑うばかり。これ以上ない混乱に陥る機動隊を尻目に、谷はバリケードの先を悠然と走り去ってしまう。それを見たメンバーも隊員との戦闘もそこそこにエンジンを吹かしてそこを離れてしまった……今の機動隊に彼らを追うだけの元気はない。自分たちの後ろで惜別するかのように、空しく輝く赤い光を見てムスタングは勝ち誇る。


 「サツがなんだ! 何にもできねぇじゃねぇか!!」

 「谷さんがいりゃあ、俺たちぁなんでもできるぜぇぇ!!」


 メンバーがバイクの上で獲物を天に振りかざす。恐ろしいスピードと力を機動隊に見せつけ、彼らは勇ましく無人の野で名乗りを上げる。その時ムスタングは『自分たちに挑戦するバカはもういない』と勝手に信じこんでいた。ウイニングランを飾るべくスピードを上げようとしたその時、オレンジ色に包まれた道路の向こうにひとりの青年が立っているのをあるひとりのメンバーが見つけた。その青年はヘルメットをすでに脱ぎ、自分のバイクのミラーに残していた。彼の瞳は燃えるように赤く、その銀色の髪は勢いのある風に揺れている……彼はなんと、たったひとりでそこにいた。

 さすがのメンバーたちもこれには苦笑いするしかない。適当に威嚇すれば路肩に逃げていくだろうと思い、いつも通りに騒音を撒き散らす……そのリズム感のない重低音の振動は青年の身体に容赦なく襲いかかる。二者の距離が狭まり、その音と衝撃はだんだん大きくなっていく。それを黙って聞いていた青年は、ついに怒りの表情を露骨に出す!


 「人の安眠を邪魔しやがって……まったく。いくぜ、魔狼覚醒!」


 そう叫ぶ青年の横を無数のバイクが通り過ぎる……さすがに丸腰の青年に危害を加えるのは心苦しかったのか、ムスタングのメンバーは誰ひとりとして武器を振るわなかった。何のためにいたのかさえわからずに通りすぎたメンバーたちは一様に首を傾げる。ひとりの幹部がその疑問を近くのメンバーに話す。


 「なんだったんだ、今のボケは。何がしたかったんだ?」

 「ボケ……だとぉ? もっぺん言ってみろよ、このバカ!!」

 「ああん、てめぇいつからそんな口聞けるほど立派になったんだよ……って、何だぁぁぁ、こりゃぁ!!」


 幹部が憤ったのはほんの一瞬だった。自分にケチをつける勇気あるメンバーに制裁を加えようとして武器を片手に振り向いたその時、信じられない光景を目にした! 自分の横にはけしからん三下ではなく、銀色の毛に包まれた狼人間がいたからだ! その男の全身は銀色に輝く毛並みが覆っていた……幹部は血相を変える。その獣人はさっき道の真ん中に立っていた青年と同じズボンをだった! しかも彼は、猛スピードで走るバイクに併走してついて来るではないか!


 「ててて、てめぇ何もんだぁ!!」

 「大神 蛍だ……これで満足か?」

 「ばっ、化け物め……とっととくたばりやがれぇぇ!」


 血染めの木刀がうめき声を上げながら、大神の頭を叩き割ろうと襲いかかる! 彼はその一撃を一瞬の跳躍で難なく避けた。その時、魔狼の超感覚であの声を耳にした……大神の心の中でわずかな疑問が膨らみ始めていた。


 『ヘタクソな振り方と風を切る音が一致しないのは……もしかして、あの叫び声が原因なのか?』


 考えを巡らせることに必死になっていた大神が顔を上げた時、敵が徐々に自分を取り囲み始めているのを知った。今度は幹部の号令でさまざまな武器で狙われる大神。しかし彼はそれを巧みに避け、ついでに狙いすまして放った幹部の攻撃を軽く受けてしまう。さっきの機動隊同様、ムスタングにも動揺が走る。


 「みっ……見た目も力も化け物だ……!」

 「てめぇ……てめぇそれ返せ! それは俺の獲物だぁ!」


 攻撃の手が緩んだ隙に、大神は幹部が持っていた木刀をじっと見つめる……するとその血は不気味に蠢き、奇妙な声を発しながら何らかの力を発しているではないか!


 「こ、これは……これは血の怨念だ! ムスタングに負けた連中の血が彼らに力を与えている……のか? そんなバカな、怨念が恨むべき相手に力を貸すなんて……とにかく危険だ、早くこいつらを止めないと!!」


 大神が彼らの力の秘密に触れた時から、暴走族のメンバーの笑い声の中に奇怪なものを感じるようになった。心の奥にゆっくりと染み込む気持ちの悪い何かが大神を苛立たせる……それとは裏腹に、身体は集団を追うために風を切って走り続けていた。しかし、ひとりで遮るのは難しい状況だ。いかんせんメンバーの数が多すぎる。大神は彼らを止めるための作戦をいろいろと考えていたが、周囲を包み込む騒音で集中することができない。


 「くっそーっ、各個撃破するしかないか……!」


 考えることを放棄した大神は手に持っていた木刀を握りつぶし、全身でその怒りを表現する。そして自分の周りにいる敵を鋭く長い爪で薙ごうと右腕を静かに振りかざすそうとした瞬間……彼の耳に暴走族の騒音の隙間から後ろから迫ってくる車の音が飛び込んできた! 大神は思わず後ろを振り返る……メンバーはここぞとばかりに怖気づいたのかなどと、彼を懸命に罵り始めた。


 「じょ、冗談じゃない……あの車、このまま突っ込んでくるつもりか!!」

 「なんだぁ〜〜〜っ、あれはてめえのお仲間かぁ〜〜〜?」

 「仲間も何も、お前ら運転席を見ろよ……誰もいないだろっ! いっ、今だ、今ジャンプしないと巻き込まれる!!」


 暴走族の群れめがけて突っ込んでくる弾丸を避けるために是非もなくジャンプした大神は、取り巻きを大きく飛び越えてアスファルトのフェンスに着地する。バイクの上からは罵詈雑言が飛び交うが、それはすぐに悲鳴へと変わる……後ろから迫ってきた車は急にスピードを上げ、暴走族のしんがりめがけて飛んで来たのだ!


 「なんだ、ありゃ……き、急にスピードがぁ!」

 「よ、避け……う、うわあぁぁーーーーーっ!」


 猛スピードで走る自動車の風圧に負けたのか、次々とバイクから振り落とされるメンバーたち。中には後ろから追突されてしまい、バイクとは思えないような動きで宙を舞うものもあった。弾丸と化した車はそのままの勢いでフェンスにぶつかり大破炎上する……



 「あーあーまったくお元気な野郎ですねー。そのエネルギーをもうちょっと別の所で生かしてくれねえかな。」


 派手に爆発した車を物珍しそうに眺めながら、暴走族への不満をぶちまける黒スーツの男……倒れたバイクを必死に起こすメンバーたちは急に現れた男に向かって変わりばえのしないセリフで向かえる。


 「て、てめぇか、車ぶつけて俺たちにケンカを売ろうってのは!」

 「はいはい、この藍原 和馬さんがそのケンカを買いますよ。男ばっかりだから買います、仕方なしに。はあぁぁあっ!」


 藍原と名乗った男は両手に力を込め、短く気合いを入れるとその姿を異形のものへと変える! その姿を見て、大神もムスタングのメンバーと同じ驚きの声を上げる! 藍原の姿がなんと自分と同じ狼の姿へと変貌したからだ!


 「俺と……同じ力!」

 「あらら、お友達発見。念のため聞くけどさ、君はあいつらの何?」


 大いに驚く大神とは対照的に、極めて軽く話す藍原。そんな彼の態度がさらに大神を戸惑わせる。


 「何って……あいつらの敵ですけど……」

 「なら、俺の味方?」

 「あなたがあいつらの敵になるなら、そうなるかもしれませんね……」

 「決まり、君は俺の味方ね。足止めはできたから、ザコは適当にやりましょうかー。」


 「うるせぇ、さっきからごちゃごちゃと……俺のマシンを地に這わせた罪は重いぜぇぇぇ! うりゃあああ!」


 ふたりののんきな会話に腹を立てたのか、バイクを失ったメンバーたちが血のついた武器をかざしてそれぞれに襲いかかってきた! 藍原はそんな彼らの腹に目にも止まらぬ早さで重いパンチを繰り出す!


 「ぐげっ……!」

 「おごあっ……!」


 「……まぁ、こんな風にやっていきましょ。」


 強烈なパンチで気を失い、その身体を藍原に向かって傾ける……藍原はそれを嫌がり、もう一発パンチを食らわせて男を地面に叩きつけた。それを合図に大規模な戦闘が始まった。約半数のメンバーがふたりに向かって一斉に攻撃を仕掛ける。藍原は向かってくる相手を適当に殴り、大神はトリッキーな動きで敵を翻弄しながら鋭い爪で背中を切り裂いていく……同じ狼の姿を取る彼らにとって、敵の動きは止まっているも同然だった。メンバーは怒りに任せてただ闇雲に武器を振るうだけになってしまっていた。


 そんな軍団の劣勢を立て直すため、前を走っていたリーダーの谷が残りのメンバーを引き連れて戦いの場に引き返していた。まだかなり距離がある状態だったが、谷はそのままバイクでふたりを轢き殺そうと、藍原が突っ込ませた車のような猛スピードでマシンを走らせる!


 「死ねやぁ、このボケどもがぁ!」

 「り、リーダー、後ろからすっげぇ早さのバイクがこっちに……!」


 谷の威勢のいいセリフも幹部の言葉で遮られる。彼が後ろを振り向く頃には、そのバイクは最後尾にたどり着きそのまま群れの中へと突っ込んだ! その猛烈な勢いで10人くらいをバイクから振り落とすと、超絶バイクに乗っていた若い男は誰に伝えるわけでもなくこうつぶやいた。


 「お前ら、最強なんだってな。」

 「おお、最強の暴走族軍団『ムスタング』だぁあ!」


 彼らの自尊心を軽くくすぐるような言葉で挑発する青年の表情は少しも変わらない……しかし、穏やかな顔の奥には彼にしかわからない感情が蠢いていた。暴走族が『最強だ』と答えたのを聞き、彼は不敵に笑った後、返事をしたメンバーに鋭い視線を向ける。


 「なら、この俺を……高千穂 忍を楽しませろ……変身!」


 『変身』と叫んだ男の姿は瞬時にしてバッタ人間へと変わった……! 高千穂は走るために生まれた特殊バイク・ウインドスラッシャーを巧みに操り、華麗なウィリーを披露しながらバイクの前輪で相手を殴り倒したり、高速回転のタイヤを相手のタイヤにぶつけて弾き飛ばしたりして、次々とメンバーを堅いアスファルトの地面に叩き落していく。暴走するためだけにバイクを使う人間と戦うためにバイクを使う人間のバイクテクニックの差は歴然としていた。

 なす術もなく地面を転がっていく敵を見て、高千穂は鼻で笑う。しかし、その表情は決して明るくはない。彼の表情は実につまらなさそうだった。


 「もういい。お前らじゃ退屈なだけだ。勝手にするといい。」


 そう言い残すと高千穂はそのままの姿でウインドスラッシャーからジャンプし、首都高の近くに建っている背の高いビルへと姿を消した……主人のいなくなったバイクはなんとそのまま自走して走り去ってしまう……さすがの谷もこれには驚いた。彼は首を何度か横に振って気を確かにする。そして前を見ると、視界にはふたりの狼が戦いを繰り広げている場面が広がる。高千穂に奪われた勢いを瞬時に取り戻し、エンジンを吹かして特攻を試みようとする暴走族たち!


 「踏み潰してやるぜぇぇええっっ!!」


 周囲のザコに気を取られている大神と藍原を狙って、鋼鉄の荒馬が鋭いいななきを響かせる! だが、その目の前にまたもひとりの男性が現れる……そのシーンからメンバーが嫌な雰囲気を感じ取るには十分だった。銀髪の青年が静かに構えると、高千穂と同じような特殊なスーツを身にまとった戦士がそこに現れる!


 「……だいたい徒党を組んで、しかも後ろ盾をもって我が物顔というところが震えがくるほど気に食わん。人に迷惑をかける者にはそれなりの罰を与えなければならんな。今日はこの鳴神 時雨がその役目を買って出よう。」


 鳴神と名乗る青年はひとりそうつぶやくと、金属鞭を備えたスクレイパーというアタッチメントアームをセットし、それを自在に操る! 目に見えない早さで繰り出されるそれが狙った場所はバイクのタイヤだった! 大神たちを轢くためにある程度のスピードを出していたバイクは豪快なパンク音とともに大暴れし、乗っている者を豪快に振り落とす。それは幹部も谷も例外ではなかった!


 「あ、ああっ、リーダーああぁっ!!」

 「う、うわあぁあぁっ!」


 結局、戦いの輪の中に引きずり込まれるだけの結果となったメンバーはそれぞれに武器を取り、異形の戦士たちに戦いを挑む。ひとり残らずバイクから振り落とされた暴走族はもはやただのケンカ集団と化していた。いくら常人よりも強くとも、彼らが大神たちに勝てるはずはない。冷たいアスファルトに無数のバイクとボコボコにされたメンバーたちが次々と放り出されていく……



 そしてついに幹部もやられ、リーダーの谷だけが路上に立っていた。狼の姿をした大神と藍原、そして特殊スーツを着た鳴神がブレードを備えた別のアタッチメントアームをつけながら彼と対峙した。周囲から暴走も奇声もなくなった今、谷の力の正体がはっきりと見えた。


 「ん〜〜〜、あの特攻服に秘密があるわけね。呪術の部類に属する能力だとは思うけど……まぁ、一般市民が粋がるには十分過ぎるパワーはあるわな、大神くん。」

 「ええ……藍原さん。でも裏を返せば、あの特攻服を破ればすべてが終わるってことなんじゃないですか?」

 「ま、そう考えるのが正解だろうな。俺もそれを考えてた。さて……確か鳴神 時雨だっけ、あんた。変身した後の名前は聞いてないけど、ちょっとこっちの手伝いをしてくれな」


 「暴走族の頭に容赦する必要はないだろう……ということで、俺は能力を存分に行使させてもらおう。とぅわっ!」


 「って人の話、ぜんぜん聞かねぇんだから、まったく……大神、適当に合わせてくれ。あのおっさん、たぶん無茶苦茶するぞ。」

 「合わせろって、いったい何をですか……」

 「谷にとどめを刺せるくらいにお願いするわ。うおぉぉぉっ!!」


 鳴神が高くジャンプし、谷に向けて右足を突き出す。そこから鳴神が着地点となる谷の背後まで重力制御を行い、彼を釘付けにした! 恐ろしい重圧が谷の体を襲う……その時、赤い特攻服は怨念の叫びを今まで以上にあらわにし、ついにはそこから邪霊が吹き出し、谷の周囲を渦巻き始めた!!


 『オオオオオオオオ! オオオオオオオオオ……………オォォ!!』

 「おっ、おごっ……こ、こんな重力なんかに負けはしねぇ! 俺はヘッドだ、選ばれた人間だぁぁっ! なめんじゃねぇぇぇ!」


 しかし、鳴神が発した重力は谷を足止めするだけではなく、自らのキックの威力を倍増させるための武器でもあったのだ! 鳴神は雄叫びをあげながら、谷に渾身の一撃を放つ!!


 「食らえぇぇぇーーーーーーーーーーーーっ、でりゃああぁぁぁっ!」


 「ま、守れぇ、無念の魂たちよぉぉ!!」


 鳴神の一撃は周囲の邪霊を巻きこんだ! その威力に負けたのか、半分以上の霊が四散してしまう……もちろん谷もただでは済まない。特攻服の妖しい揺らめきは緩やかになり、その色もいくぶん褪せたように見える。そして谷本人の表情にも余裕がなくなっていた。そう、彼の目の前に藍原が爪を構えて立っていたからだった……!


 「なるほど、軍団を大きくしたのは最初からお前の力じゃなかったんだ。そんな谷くんは追いはぎの刑ね〜。」

 「ふざけ、うごあっ……あがあぁ……」


 相手に文句を言わせる暇も与えず、藍原もその両手にある鋭い爪を谷に見舞う! 爪は身体と伝説の金属バットを切り裂くと、それぞれの中から不浄の霊が天に向けて立ち昇る……その力を徐々に失っていく谷はよろめきながら立っているのがやっとだった。そんな彼のうつろな目が最後に見たのは、大神の魔狼・フェンリルの力だった。藍原が攻撃を仕掛けた直後、彼は地を走る猛烈な冷気を打ち出していた! 谷が気づいた時にはすでに足を凍らされており、無理やり立たされているという皮肉な結果になっていた。大神は両手を突き出したポーズを崩し、胸の前で腕を重ね、敵にとどめを刺すべく自分のもうひとつの力を覚醒させる!


 「鬼神、覚醒っ! うおぉおおぉぉっ!!」


 大神はその身を赤く燃える鬼の姿へと変化した……額にはそれを象徴するふたつの角が生え、魔狼とは違った雰囲気を醸し出す。鬼神は静かに腕を上げ、その力を発揮するために大声で叫ぶ!


 「こいつでトドメだ! 燃えろぉぉ!」

 「ぐ、ぐあわぁ、勝手に、勝手に俺の大事な特攻服に火が! こ、これが燃えたら……あぎゃああぁぁっ!!」


 谷は思わず肌に強烈な熱さを感じて悲鳴をあげる。その炎の強さは足元にある氷を溶かすほどだった。力の元である特攻服が灰になっていく様を見て、さすがに意識を取り戻して慌てる谷。しかし、その炎が収まる頃には特攻服も谷の精神力も燃え尽きてしまう……四散する霊の姿を見た谷は魂の抜けたような情けない顔を戦士たちにさらして、ついに自分も地面に崩れ落ちた。



 そんな戦いの様子を伺っているひとりの男がいた……そう、最強の暴走族を名乗る連中に愛想を尽かした高千穂だった。彼はバッタ人間の姿のまま、谷との戦闘を見ていたのだ。3人の戦い振りを見て、その声は弾む。


 「……あいつらなら、俺を楽しませてくれそうじゃねえか。」


 そう言いながらゆっくりと拳を握り締めた……ザ・グラスホッパーは新たなる獲物を見つけてご機嫌だった。



 ある意味無人となった首都高上では、藍原と鳴神がメンバーたちの衣服などを見ていた。大神が谷にとどめを刺した時点で周囲に転がるメンバーの装備やバイクからも霊が去ったようで、それぞれについている血の跡に邪な力の存在は見られなかった。一件落着とばかりに藍原が大きくため息をつく……そして思い出したかのように鳴神の仮面を睨みつける。


 「大神ぃ〜、こっちはオッケーだわ。一応これで終わりかな……って、そういやこのおっさん、いきなりやっちまうんだもんな。フォローする方の身になってほしいね。これだから無粋な男ってのは……ぶつぶつ。」

 「そういう貴様も、自分でとどめを刺す気でいたのではないか。その顔がそれを如実に語っていたぞ。」

 「……まぁ、そういう問題はもうちょっとデリケートに扱ってほしいな、鳴神クン。あんまりせっかちだと女の子に嫌われるぞ?」

 「心配するな、まだ貴様の活躍の機会はありそうだ……誰だ、貴様?」


 鳴神が仮面の青い瞳をあらぬところに向ける。その男は3人の中心に降り立っていた。そして不敵な笑みとともに言葉を紡いだ。


 「俺は……ザ・グラスホッパー。キミたちとゲームを楽しみたいと思ってね。最強を名乗る暴走族が大した力を持っていなくて、非常に不快な思いをした。だが、キミたちなら大丈夫だ。俺の期待に応えてくれるだろう……」

 「あ、あなたの目的はいったい……いったい何ですか!?」


 大神が突如現れたグラスホッパーなる戦士に向けて、場違いともとれる言葉を発する。しかし高千穂はそれに軽く返答する。


 「戦うことに決まってるだろう。まさかキミは、この俺の殺気を感じていないわけではあるまい……?」


 その言葉の正しさは藍原と鳴神の姿が物語っていた。長く伸びた爪とブレイカーがオレンジ色の光を浴びて煌く……ふたりはすでに戦いを覚悟していた。大神はそれを見て半ば諦めたように赤く染まった腕を胸のあたりで構える。

 
 「でもさっき、あなたは確か暴走族を……」

 「俺は別に正義を気取るつもりはない。俺も正義を振りかざすつもりはない。ここに集うものが、必ずしも正義の使者である必要はない。違うかな?」


 「すばらしい……さすがはテクニカルインターフェイス・ジャパンのエース、高千穂忍さま。その発想がすばらしい。」


 高千穂の言葉に拍手と最大級の賛辞を贈り、ひとりの男が歩み寄ってきた。長く青い髪は腰まで伸び、わずかな動作でそれは優雅に揺れる。黒いタキシード姿に白い蝶ネクタイをした男は静かに気が張り詰める輪の中に入ってくる。その姿や動作から英国の執事を思わせる。その穏やかな表情からはわずかな微笑みが混じる……そして彼は、ただ静かに周囲を見据えた。


 「貴様、いつの間に……」

 「ちっ……無粋な奴がまたひとり増えやがった……」


 気配すら感じさせずに現れたタキシードの男に不快感を示すふたり。そんな彼らにうやうやしく礼をする男は相手に断って自己紹介を始める。


 「お忙しいところ、失礼します。私、『アカデミー』の主任をしております、風宮 紫苑と申します。このたびは我が『アカデミー』の生徒がお世話になりまして……」

 「それじゃあ、風宮さんがこの暴走族を指揮していたんですか?!」

 「それは違います、大神さま。彼は異能の力に目覚め、それを世間にアピールするためにこのような行為をしたまでです。『アカデミー』ではその行為は容認する方向でいますので、特に警告などはいたしませんでした。世間の皆様にはご迷惑をおかけしたことは確かです。しかし、それは私ども『アカデミー』にとりましては重要な活動の一部と認識しておりますので……」

 「おい、風宮とやらよ……ちょっとその辺を詳しく話せよ。おっさん、しばらくの辛抱だ。話を聞いたら好きにすればいい。」

 「貴様に言われずとも、そのつもりだ。」


 変身を解くことなく、そのままの姿で主任と名乗る風宮の話を聞く戦士たち。戦いに飢えていた高千穂も思うところがあってか、力のこもった拳をゆっくりと下ろす。しかし、そんな状況でも風宮の緊張は解けなかった。


 「ありがとうございます、藍原さま。私ども『アカデミー』はこの世界に埋もれている異能力者たちを覚醒させることに全力を注いでおります。彼らは有能な力を持ちながら、それを眠らせたままで現代社会を生きている……それは世界的損失ともいえるでしょう。そんな皆様の才能を開花させ、広く世間にアピールすることが、我が『アカデミー』の最大の喜びです。日本においても古代から平安、鎌倉の時代、我々のような存在は時の権力者たちにその才能を認められ、その多くは要職に就くことができた。そう、我々の価値が正当に評価されていた時代です。現代の社会でもこれを取り入れれば、非常に完成された世界が構築できる……我々は常にそう考えております。」


 「だから貴様はあのような無法者に血の怨念の力を与えたのか。」

 「それは違います、鳴神さま。あの力は彼が生まれ持っていた才能です。それを私が指導して目覚めさせ、その使い方を教授しただけです。皆様に倒されるまで、彼は立派な『アカデミー』の生徒でした。きっと彼は社会復帰してもその力を発揮してくれるでしょう。」

 「何だって……それじゃ、あなたたちはただ犯罪者を増やしてるだけじゃないか!!」

 「犯罪者であれ正義の人であれ、その存在が増えていけば社会は我々を見過ごせなくなる。その時に我々『アカデミー』は社会に貢献できる……世界は異能と呼ばれる力を持つ異端者が主役になることができるのです。今は憤っておいでの大神さまも、とても過ごしやすい世の中にな」


 「お前に……お前に俺の何がわかる!!」


 大神が自分を信じて発した言葉は全身に力を沸き上がらせた! その言葉に呼応するかのように、藍原も鳴神も下ろした腕を構え直す。


 「あーあ、話をちゃんと最後まで聞こうとした俺がバカだったよ。なぁ、おっさん?」

 「右に同じだ。俺が平和な時を過ごしているうちに、こんな組織が幅を利かせていたとはな。これはこれで気に食わん。」


 「皆様ならわかっていただけると思っていたのですが……少し残念です。でもご心配なく。皆様が後からでも我々に心を開いて頂けるのなら、いつでもお待ちしております。その時にまた伺いましょう……」


 3人の姿を見て戸惑いの表情を見せる風宮。だが高千穂は一回だけゆっくりと首を回すと、彼に一声かけた。


 「キミは……彼らよりも強いな。この俺を楽しませてくれそうだな。」

 「いえいえ、同じ理想の元に集う仲間たちの中において、力など何の価値もありません……」

 「俺と遊ばないか……命を賭けたゲームをしよう。とぅわあっ!!」


 突然小さくジャンプして、ショートレンジで強烈なキックを放つグラスホッパー! そんな彼を呆然と見上げる風宮……その蹴りはあっけなく命中するかのように見えた。大神たちも攻撃を仕掛けるために猛然と間合いを詰める。しかし、高千穂の足が風宮を粉砕しようとした瞬間、彼は残像となって煙のように消えてしまう! とっさに着地する高千穂は目で標的を追う。大神も急ブレーキをかけ、周囲を見渡した。


 「なんだ……と?」

 「消えた……どこだ……あっ!」


 「実に……皆さんはすばらしい身体能力の持ち主だ……」


 大神が指差す先は高架を囲うフェンスの上だった。そこには確かに強風に髪をなびかせる風宮の姿があった……!


 「大神さま、私を察知するスピードはすばらしい。それは天性のものです。ぜひ『アカデミー』に活かして頂きたいものです……」

 「返事は……さっきしたはずだけど?」

 「人間の心は変わりやすいものです。また会う時には、いい返事をお待ちしております。それでは……いずれまた。」


 また風宮がうやうやしく礼をすると、残像とともにその場から消えてしまった……好敵手に逃げられた高千穂はゆっくりと身を起こし、静かにつぶやく。



 「何かが……動き出したようだな。ふふふ、これはこれで面白くなってきた。楽しい、ゲームの、始まりだ……」



 彼が言う『楽しいゲーム』の意味は、大神や藍原、そして鳴神にも容易に理解できた。それは果てしない戦いの始まりを意味している……大神の心の中にさまざまな思いが浮かんでは消えていく。



 彼らがその場に立ち尽くしていると、ようやく体勢を立て直した高速機動隊が暴走族の追跡を開始したらしく、遥か彼方からサイレンを鳴らしてこちらに向かっていた。その音は戦士たちの別離を意味していた。高千穂は誰にも声をかけず、再び大きく跳躍し夜の闇へと消えていく。大神は置き去りにしたバイクを回収しなくてはならないことに気づき、急いで再び魔狼に変身しふたりに適当な挨拶をする。


 「あの、皆さん。俺、バイクをあっちに止めてるんでもう行きますね。藍原さん、今日はどうもありがとうございました。」

 「いいよいいよ、さっきの男の言葉を借りるなら、また会えるらしいしね。どうせそっちのそっけない兄ちゃんとおっさんもセットでついてくるだろうし。さっさとバイクを取りに行った方がいいよ。」

 「わかりました、じゃあ……また。」


 再会を約束するおかしさに吹き出しつつも首を傾げながら、大神は来た道をダッシュで戻っていく……まっすぐな道を、彼はただひたすらに走り続けた。ただ、ひたすらに……


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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

2078/大神・蛍   /男性/  17歳/高校生(退魔師見習い)
1533/藍原・和馬  /男性/ 920歳/フリーター(何でも屋)
1323/鳴神・時雨  /男性/  32歳/あやかし荘無償補修員(野良改造人間)
2138/高千穂・忍  /男性/  26歳/大学生


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■         ライター通信          ■
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皆さんこんばんわ、市川 智彦です。今回は『特撮ヒーロー系異界』の記念すべき第1話です。
冒頭はこの異界らしからぬ始まり方でしたが、後半はバリバリ特撮です。
シナリオは参加してくれたキャラクターが所狭しと動き回ってます。ぜひ楽しんで下さい!


大神くんは魅力的なふたつの変身を持っているので、とにかく両方出すことを心がけました。
でも同じ形をした獣人・藍原さんがいらっしゃったので、彼との掛け合いも多くしてあります。
ある程度連続性のあるシナリオになるかと思いますのでこういう出会いも盛り込みました。


なお、今回は他の皆さんとの描写が決定的に違います。特撮ヒーロー系異界ですから!(笑)
どこがどう変わっているのかを楽しんで頂けたら幸いです。物語の数だけ楽しめるようがんばります。
今回は本当にありがとうございました。また別の作品や通常の依頼でもお会いしましょう!