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<東京怪談ウェブゲーム ゴーストネットOFF>


和泉先生の実験教室

オープニング

題名:助手募集
投稿者:和泉 楓
本文:今回書き込ませてもらったのは、助手募集のため
    一日でいいから誰か私の助手をしてくれないかしら?バイト代は五万円払うわ。
    ご飯もちゃんと出すし、休憩もあるわ。晩御飯は腕を振るってトラフグをご馳走しちゃう(無免許だけど…)
    じゃあ。ここに連絡先を書いておくから実験体…いえいえ、助手をしてくれる人は連絡してきてね♪


和泉 楓、28歳。
恋愛よりも科学を愛するマッドサイエンティスト。実験にされた人は数え切れないほどで、その中には
人間をやめさせられた人もいるらしい。
その科学者の元へと助手をしにいく勇気ある者ははたしているのだろうか?



視点⇒門屋・将紀

「このバイト、めっちゃええな。フクザワさんが5人や。うん、この仕事に決めよ」
 将紀はパソコンのモニターに向かって何やら一人ぶつぶつ言っている。将紀は8歳のくせに『フクザワさん』が超がつくほど大好きな子供。まぁ、子供にあらずフクザワさんは誰にでも好かれているのだが。
「フグは食べられるし、至れり尽くせりやんか…。善は急げや、早速電話しよ」
 そう言って将紀は電話のある場所まで走っていき、書き込みに書いてあった電話番号に電話をかける。
「あ、書き込み見たんやけど助手の募集はまだしてる?」
『えぇ、してるわよ?助手希望なの?』
 電話の相手は甲高い声の持ち主だった。
「うん、ボク助手のバイトしたいねん。子供は大丈夫なん?」
『え?子供!?』
 まさか子供から助手希望の連絡がくるとは思っていなかったのだろう。かなりの慌てぶりだ。
「え!子供はあかんの?ええやん、ボク、フクザワさんないと生活でけへんねん。細かい事は気にしなや」
『まぁ、あたしは構わないけど?』
「よっしゃ、じゃあ明日さっそく来るな!」
 そう言って将紀は電話を切る。
「あ、りれきしょ書いたほうがええんかな?」
 一日限りとはいえ、きちんとした仕事だ。だからりれきしょもいるだろう。
「よし、書いたで、明日が楽しみやなぁ、待っててや、フクザワさ〜ん…」
 将紀はベッドの中でも夢に『フクザワさん』が出てきたらしく一晩中呟いていたとか…。

 −そして、次の日。

「…ここが和泉先生の家かぁ…でか…」
 そう言って将紀は目の前の門を見上げながら呟いた。そして意を決したようにインターホンを鳴らす。
『誰〜?助手希望の子は勝手に入ってね、新聞、宗教の勧誘はお断りよ!』
 それだけ言うとブツンと切られた。昨日の女性と同じ声で後ろからは何かの叫び声みたいなものも聞こえた。
「…フクザワさん五人じゃ少なすぎたかもしれんな…」
 将紀は何やら危険を感じ取ったのかポツリと呟いた。とりあえず突っ立てるのもなんなので屋敷の中に入る事にした。
「結構綺麗にしてるんやな…」
 屋敷の中に入ると科学者が住む家にしては意外と綺麗だった。高そうな絵画や壷などが飾られている。
「えっと、どこに行ったらええんかな」
 将紀が周りをキョロキョロしてるとすぐ近くの部屋から女の人が出てきた。
「あら、昨日電話してきた助手希望の子?本当に子供だったのね」
 冗談かと思っていたわ、とクスクス笑いながら将紀を見る。
「あ、ほい、これ」
 将紀がバッグから大きな茶封筒を和泉 楓に渡す。
「あら、何?」
「りれきしょ、いるんやろ?」
 楓は将紀が差し出した封筒を開け、中を見ると一枚の紙が入っていた。その紙は履歴書らし字は、良く言えば子供らしい字、悪く言えば汚い字で電話番号や住所などが書かれている。
「門屋…将紀君ね。さっそくで悪いけどこっちに来てくれるかしら?」
 そう言って楓は先程までいた部屋に将紀を呼び寄せる。
「うん、ええけど実験って何するん?」
「実験もだけど、、まずはお茶いれてもらえる?ノドが渇いちゃって」
 意外とマトモな仕事に将紀は目を丸くした。
「どうかした?」
「いや、別に何でもあらへん」
 やはり相手は子供という事で実験はナシなのだろうか?もし、そうだとしたら自分に何も危険な事はなくてフクザワさん五人GETという事だ。
(ラッキーやんか)
 将紀は心の中でガッツポーズを取った、が数秒後にそれは打ち崩される事になる。
「あ、お茶入れたら実験するからね〜」
(……やっぱ実験するんやな)
 はぁ、と溜め息をついて将紀はお茶を入れ始める。料理はできないがお茶くらいだったら何とかなるだろう。
「…と、届かへん」
 将紀は手を伸ばしてお茶のパックをとろうと試みるが無理だった、仕方がないので椅子を持ってきてパックを取る。
(子供にこないな重労働させて…これだけでもフクザワさん五人分に匹敵するで…)
 くそぅ、と小さく呟きながらもフクザワさんを減らされたら適わないので楓には愛想を振りまく事にする。
「お茶、まだ〜?」
 隣の部屋から楓の声が響いてくる。
「今、いくて〜」
 将紀はトレイにお茶を乗せて楓のところにいく。お湯を沸かそうにも台所がどこなのか知らないので水を代用する。
「ほい、お茶」
「ありがとう、悪いわね〜」
 悪いわね、と言いながらも全然悪いと思っていなさそうな楓に将紀は小さく溜め息をつく。
「それで、実験って何するん?」
 にっこりと子供らしい笑顔を楓に見せながら聞く。
「あ、そうね。説明がまだだったわね。簡単よ。これ飲めば良いの」
 そう言って楓は白衣のポケットから小さな小瓶を取り出した。
「…何やの?これ」
「貴方にしてもらうのはこれを飲むだけ。毒物投薬してもらうわ。貴方が死ねば実験成功!めでたく五万円あげるわ」
「おぉ、それは簡単やな、……え?どくぶつとうやく??」
 確かに簡単だと思いながら返事をした将紀だが、何かが違うと思い楓の言葉を思い返してみる。
「…ってボク実験台になるのは嫌や」
 将紀がそういうと楓は『困ったわねぇ』と溜め息を漏らした。
「せやから、ボクの代わりにこれで【せいたいじっけん】してな。おっちゃんとkの台所におったんを捕まえてきたんや」
 そう言って将紀はバッグからゴキブリやネズミ(生きてます)を楓に差し出した。その途端、楓の叫び声が屋敷中に響き渡る。近くにいた将紀が鼓膜が破れてしまうのではないか?というくらいの大きさだった。
「そ、そ、そ、そんなもの持ってこなくていいわよ!!」
 逃げながら楓は将紀に叫んだ。
「あれ?なんで逃げるん?実験せぇへんの?」
 遠ざかっていく楓に将紀はおきな声で話しかける。すると返ってきた返事は『実験どころじゃないわよ!』という言葉だった。
「あ〜あ。手っ取り早く金が入る良い話しやったんに、先生がせぇへんならフクザワさんは入ってこないやん」
 心底残念そうに呟く将紀は楓の悲鳴が響き渡る屋敷を後にした。



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■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
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【整理番号/PC名/性別/年齢/職業】

2371/門屋・将紀/男性/8歳/小学生

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■         ライター通信          ■
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門屋・将紀様>

初めまして、瀬皇緋澄です。
今回は『和泉先生の実験教室』に発注をかけてくださいましてありがとうございます!
『和泉先生の実験教室』はいかがだったでしょうか?
少しでも面白いと思っていただけたら幸いです^^
それでは、またお会いできる機会がありましたらよろしくおねがいします^^

           ―瀬皇緋澄