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<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


1.ネクロ・カウンター ――vsギルフォード

■八尾・イナック編【オープニング】

「――探偵。”満月に病める町”から、再びSOSが来ていますよ」
 ゲルニカ内の草間興信所にて。
 机で頬杖をつき、物思いにふけっていた少年探偵――探偵に、青年助手――助手は告げた。その手には、割られたばかりの言霊を持っている。
 探偵は助手に視線を合わせると。
「満月の夜に起こる、狂気的殺人事件?」
 それは以前にもあったことだった。そしてその事件を、探偵は一度解決している。
 助手はYesを飛ばして続けた。
「しかも多発、です。これは明らかに――ネクロ・カウントでしょう」
「ふん」
 探偵は鼻を鳴らして応える。
 ネクロ・カウント――それは死体の数を競うゲームだ。ただしプレイヤーは、自らの手を汚してはならない。あらゆる策を講じて、人を死に追いやってゆくのだ。
「しかし一体誰が”あいつ”と……」
 助手の表情が暗く沈んでゆくのを、探偵はただ眺めていた。
 ネクロ・カウントを楽しもうとする者など、”あいつ”しか考えられない。現に以前ネクロ・カウントが行われた時、それを競っていたのは”あいつ”と――医学探偵だった。しかし医学探偵は、そのゲームに負け既に殺されている。2人は互いの命を賭け、勝負していたのだ。
 助手の視線が、ゆっくりと事務所奥のドアへと移る。その部屋の中には、探偵のために命を賭けて”あいつ”を殺そうとした、医学探偵の遺体が飾られていた。
「――もう、僕のために命を賭けようなどというバカ者は、誰も残ってはいないのだ」
 助手の視線を引き戻すように、探偵は口を開いた。
「だから今回の事件は、本当にただ単純に、楽しんでいるのだろうさ。そしてだとしたら1人、思い浮かぶだろう?」
 探偵と目を合わせた瞬間、助手は閃いたように手を叩く。
「ギルフォード! ……さん、ですか?」
「ご名答」
 嬉しそうな顔をした助手に、探偵は苦笑を返した。
「邪魔をしに行くかね?」
「もちろんです!」
 ネクロ・カウントは、第3者にその策を見破られた時点でゲームオーバーとなる。つまり互いが死体の数を競っているのと同時に、その策の完成度をも競っているのだ。
 それを邪魔するということは、見破ろうとすること。それが狂気的殺人事件の解決にも繋がる。
 そしてこのゲーム自体、”あいつ”が今現在その町に存在しているという何よりの証拠だった。
 探偵は立ち上がり、机上の帽子を手に取った。
「――さあ、追いかけごっこを始めよう」



■旅立ち【都内某ビル:屋上】

(どうして私はここにいるんだろ?)
 そんなことすらわからないまま、私はその輪の中にいた。私がわかっていることといえば、その場所があらかじめ定められていた場所であり、そしてこの瞬間があらかじめ定められていた――
「――約束の時間ですね」
 そう、時間であったということ。
 それを口にした少年は、自らを囲む私たち――8人を見回した。手にしている銀時計が、キラリと光る。
「これからどこへ行くのか、わかっていますよね?」
 同じ声に、皆一斉に頷いた。私も一緒に頷いてから、そのおかしさに気づく。
(――あれぇ?)
 何故かわかっている。
 さっきまで自分がここにいる意味すら、わからなかったのに。
(これから、”ゲルニカ”に行くんだよね?)
 便宜的にそう呼ばれている世界。名づけたのはこの少年だという話だった。
(でも私、そんなこと知ってたっけ)
 勝手に増える知識を――楽しく思う。戸惑うことはない。そういう世界だと思えばいいのだ。
 少年は全員が頷いたことを確認すると、言葉をつけたした。
「自己紹介はいりませんよね? それも既に、わかっているはずです」
(おお)
 言われて人の顔を順に見ていくと、確かに少年の言うとおり私は”わかって”いた。この少年――桂(けい)のことですら。
「確認作業は無駄だというお達しのようです。こうしている間にもゲルニカは動いていますからね。早く、行きましょう」
 私たちを急かしながら、桂は銀時計で空間に穴を開けた。
(そうだ)
 あの時計は空間を移動するための物。私はそれを知っている。
『確認作業は無駄だというお達しのようです』
 その言葉の意味も、気づいていた。
(”あいつ”の意思ってワケか)
 ぞろぞろと穴の方へ向かう私たちを、最後に桂は振り返って。
「どうしても確認したいなら、後ろの方を見るといいですよ」
 そんなことを告げた。何人かが、後ろを振り返った。



■状況整理【ゲルニカ:草間興信所】

 草間興信所には、草間・武彦は存在しなかった。代わりに少年探偵と青年助手がいて、仕事をこなしているらしい。
「…………また、人が増えたな」
 事務所を訪れた私たちを見て、心底不快そうな顔で告げたのは探偵だ。
(ずいぶん陰気な感じだなぁ)
「”あいつ”なりに、多くの人との関わりを求めているんでしょう」
 さらりと答えた桂に、探偵はより鋭い視線を送る。
「――時計。君はこんな所にいていいのかね? 死体の数を数えるのは君の役目なのだろう?」
「!」
 その場にいた全員が、一瞬にして桂を捉えた。その視線の先で、桂はクスリと笑う。
「確かにボクは、審判としてゲルニカに来ています。完全なる傍観者は意外と少ないですからね。――でも、だからこそどこにいても”わかる”んですよ」
 その悟りは、きっとさっき私が”わかる”と感じた事象と同じ種類のものだろう。わからせているのは他の何でもなく、”あいつ”。
「……なるほど」
 今度は探偵が笑った。
 その隙をついて、助手が私たちを促す。
「さあ、立ち話もなんですから、皆さん座って下さい。”満月に病める町”で起こっている事件について、詳しく説明しましょう」
 その機会を、じっと窺っていたようだった。



 私も含めて、6人がソファに腰をおろした。テーブルを挟んで2つあるソファは、もちろんそれだけで満杯だ。桂は既にいない。そしてそれ以外に――
(2人、減っている)
 その事実を、いちいち口にする人はいない。
(私も”わかって”いる)
 この世界での行動はすべてが自由で。それは”あいつ”の手の平で踊らされていながらも、ある程度は保証されていた。
「――さて、僕としては早く向こうに行きたいのでね。質問は1人1つとさせていただこう」
 本来なら草間・武彦が座っているはずの場所に、偉そうに腰かける探偵。その探偵が切り出すと、即行問い掛ける声があがった。
「向こうというのは、”満月に病める町”のことですか?」
「そう。……君の権利はこれで消滅した」
「あ」
 迂闊に口を開いてしまったことを後悔しているのは、ヨハネ・ミケーレ。格好からもわかるとおり、神父である。
「現在の”満月に病める町”の状況は?」
 それをフォローするように問いかけたのは、セレスティ・カーニンガム。私の目には3つの肩書きが見えるけれど、それ以上に目立つのは彼が車椅子に乗っていたからだろう。
 探偵は軽く頷くと。
「満月のたびにかなりの人数が死んでいる。だがおそらく、”あいつ”とギルフォードのゲームは終わっているはずなのだ」
「?!」
 息を呑んだだけで、誰も喋らなかった。1度きりの質問のチャンスを、じっと窺っているようだ。
 そんな皆を見て、探偵は「ふん」と鼻で笑った。
「賢明な判断だな。続きは自動的なのだから」
 空気はピンと、張りつめたまま。
「結論から言おう。今回のネクロ・カウントには、複数の参加者がいるようだ。調査の結果ギルフォードは明らかに反則負け――それでも殺人が続いているところを見ると、そうとしか考えられない」
「……反則負け、ですか?」
 慎重に言葉を発したのは、アイン・ダーウン。置いた間から、それが考え抜かれた問いであることがわかる。
 するとそれに答えたのは、探偵ではなく助手の方だった。
「”ネクロ・カウントは第3者にその策を見破られた時点でゲームオーバーとなる”――こういうルールがあるのは当然ご存知でしょう? ですがギルフォードさんは、そのルールに最初から無頓着だったのですよ」
 その表現に、探偵は笑って傍らに控える助手を見上げる。
「無頓着、か。相変わらず面白い表現をするな、君は。まあ間違ってはいないがね」
 それからこちらに顔を戻して。
「ギルフォードが他人に人を殺害させる方法は、少し調べただけですぐわかるようなお粗末なものだったということだよ。どんな方法かは、君たちの目で直接確かめてみればいい。彼はまだその方法で、殺し続けている」
「な……っ、止めないんですか?!」
 思わず口走ったのは巽・千霞。口を抑えた時にはもう遅かった。
 ふっと笑う探偵の目には、少しだけ淋しさが見えた。
「残念ながら、警察は死体の片付けと身元確認作業で大忙しなのだ。――あと、犯人逮捕でね」
(ナルホド)
 私たちは大本の原因がネクロ・カウントを楽しむプレイヤーたちにあるのだということを知っている。それは他のすべてと一緒で、あらかじめ与えられていた情報だ(もちろん、”あいつ”によって)。
 でも実際にその渦中にある人たちから見たらどうだろ? 直接手を下した人が犯人でしかありえない。まずは彼らを捕まえるのが、確かに筋と言えるんだ。
「じゃあさぁ、探偵がどうにかしたらー?」
 警察ができないなら、既に答えを知っている探偵がやればいい。私は他に問いが思い浮かばなかったので、あっさりと口にした。
 すると探偵は。
「それも残念ながら、無理なのだよ。”探偵”の仕事は謎を解くことと犯人を暴くことだけなのだ。犯人を拘束したり裁いたりする権限はない。だからこそ自由に動けるし、間違いが許される存在でもあるのだがね」
 私の声に合わせるように、明るい声で答えた。これで、まだ質問をしていないのは――視線を移した。
(志賀・哲生、だけだねぇ)
 志賀は逡巡するよう視線を揺らしてから。
「――他に情報は?」
「いい質問だ」
 その問いに、本気かどうかもわからない言葉が返る。
「ネクロ・カウントが3人以上の手によって行われていると考える理由が、もう1つあるのだ」
 ゴクリと息を呑む間を、探偵は置いた。
「死体の出ない殺人――いや、もしかしたら消えた子供らは殺されていないのかもしれないがね。満月の夜に子供が消える事件も多発している。いなくなった子供たちはまだ、誰一人として見つかっていない」
(神隠し、か)
 それはある意味美しい現象。
 完璧な消失は、実はかなり難しいのだ。
(何かが燃えれば灰が残る)
 何かを消せばカスが出る。
 本当に美しい現象は、神秘に満ちているものだ。
「う〜〜〜〜」
 問いたそうに唸っているのは巽。
 探偵は当然それを察していて無視を決めこんでいたようだけれど。
「探偵、お2人にはチャンスを与えたらいかがですか?」
 同情を含んだ助手の声に、揺れる。
「――仕方がないなぁ。ならばさっさと言いたまえ」
「その子供が消える事件を起こしてるのが、”あいつ”さんだったりしないんですか?!」
(ギルフォードの方法は、既にわかっている)
 では”あいつ”の方法は?
 そう考えた時、巽の問いは自然なものだった。けれど探偵はゆっくりと――しかし確実に首を振る。
「”あいつ”はそんな生ぬるいことをしないのだよ。子供には手を出すかもしれない――が、だとしても僕を苦しめるために結果をばら撒くだろう」
 それは永い間”あいつ”と対立し続けている探偵だからこそ、出せた答えなのだろう。
「さてそこの神父。君が最後だ」
 急かすように、探偵は会話を進める。ヨハネは神妙な面持ちで、まるで作文を読む子供のようにゆっくりと口を動かした。最後の問いを、間違わないためかもしれない。
「えーと……僕たち、”満月に病める町”へ向かう前に、アトラス編集部に寄りたいと思っているんですけど……探偵さん、お付き合い願えますか?」
「!」
 それは多分、誰にとっても意外な問いだった。――いや、正しくはセレスティ以外にとって。彼が頷いたところを見ると、”僕たち”には彼が含まれているらしい。
「あはははは」
 探偵は突然大声で笑い出す。
「笑いすぎです、探偵」
 そう助手が諌めるほど、探偵は笑い続けていた。それでもやがて落ち着くと、涙(笑いすぎたための涙だ)を拭いながら。
「いいだろう。君たちが望むのであれば」



■捜査開始【ゲルニカ:満月に病める町――道端】

 何の目的もなく、ただ理解の追いつくまま。
 ここへやってきた私は1つの狂気を見つけた。
(――ギルフォード)
 彼に会ってみたい。
 いや、一応追いかけてみたいと、考えた方がいいのだろう。
(それは多分)
 単純な興味。
 私の研ぎ澄まされた感覚が惹かれる。
 近づけばきっと、私は新しい何かを知れるだろう。
 そんな気がしていた。

     ★

 探偵とヨハネ、そしてセレスティとは別れて、私たちは一足先に”満月に病める町”へと来ていた。
 私たちを率いているのは――助手だ。
「――それにしても、ちょっと意外だったなぁ。助手は探偵と一緒にしか行動しないと思ってたよ」
 私は思ったことをそのまま口にした。だって助手が探偵に依存していることは、誰の目にも明らかだったから。
 すると助手は淋しそうな苦笑を見せ。
「私はいつもできる限り傍にいたいと思うのですけどね。探偵が望むのであれば別々に行動することもありますよ」
「ふぅん……あなたも複雑なんだねぇ」
 我ながら、感情のこもらない声だと思った。
(そういう関係、好きじゃないからかな?)
 探偵が死ねと言ったら死ねる?
 きっと助手は頷くのだろう。
 それが本当は探偵のためでなくとも。
(そんなのは――)
 あまりにも、バカバカしいよね。
 冷めた感覚で、そんなことを思った。
「ところで助手さん、次の満月はいつなんですか?」
 顔をしかめながら問った巽を、助手は不思議そうに見る。
「明日――ですね」
「やっぱり! なんか皆、酷く焦っているんです。あと恐怖と……そういう気持ちでこの辺がいっぱいです」
 巽には残された感情すら読み取る力があるんだろう。もしかしたら私の冷めた感情すら、読まれているかもしれない。
(それはそれで、面白いけどね)
「実際に人がいるわけじゃないのに、こんなに強く感じるなんて……」
 呟く巽の声は、不安に満ちている。
(――そう)
 たどり着いた町は酷く静かだった。
 人一人見えない。その理由は、既に明らかになっている。
(満月は明日)
 誰もが恐れているんだ。
 狂気的殺人事件を。その被害者になってしまうことを。――あるいは、加害者になってしまうことを。
 誰も――独りではないから。



「さて、どのように捜査しましょうか……」
 頼りない声で、私たちを見回す助手。いつもは探偵に指示されたことをやればいい立場にあるのだから、ある意味仕方のないことかもしれないけれど。
「俺の出番はどうやら明日がメインのようですから、今日は皆さんに付き合いますよ」
 そう応えたのは、さきほどからやけに周りを警戒していたアインだった。
「明日がメインって、何をするつもりですか?」
 問い掛けたのは巽。
「もちろん殺人をとめますよ。そんなことさせたくないですから。でも俺、大した推理ができるわけじゃないから、とりあえずはプレイヤーを見つけしだい攻撃してみようと思ってます。そうしたら何かボロを出すかもしれないし」
「ずいぶんと攻撃的なんだねぇ」
 勇ましい言葉に、私は思わず笑った。
「私はギルフォードを追ってみたいかな」
「……なんでだ?」
 意外に思ったのか口を挟んだ志賀に、私は笑顔だけを返す。
(多分――)
 狂気に触れてみたいんだ。
 そんなことは口にしない。
「じゃあとりあえず、捜査の基本・現場検証と訊き込みから始めましょうか。どちらにしても現場はそこかしこに存在しますから、かなりの労力になると思いますけど……」
(とりあえずは、付き合うよ)
 ギルフォードに繋がる何かがあるかもしれない。
 皆に合わせて頷くと、助手は安心したように息をひとつ吐いた。

     ★

 家々を回って訊き込み――を担当したのは、私とアインと助手だ。何故なら現場検証には、志賀と巽が適任だったから。
 ちょっと見ただけでもどの現場にも大した違いはなく、重要なのは目に見えない情報であると判断したのだ。
(志賀は)
 ”死”に関するものを”匂い”として感じることができるらしい。
 そして巽は、その場所に残された感情を読み取ることができた。
 ちなみに助手がこちらについたのは、相手を信用させるためだ。正しい情報を引き出すには、まず相手に信頼されなければならない。その点助手さんは曲がりなりにも探偵の助手なので、肩書きで信用を得るには十分だった。
 2人のあとにくっついて、話を聞く。
「――あの、満月の夜に起こった狂気的殺人事件のことについて訊きたいんですけど……」
「わたしが見た奴はもうとっくに捕まってるよ」
「どんな様子でした?」
「どんなって……その瞬間までは普通に会話してたのにさ、突然ナイフを取り出したかと思うと隣に座っていた友人を刺したんだ」

「突然あいつが襲い掛かってきて……」

「俺のために死んでくれって叫んでたぞ。突然な」

 ――けれど俺は、やがて飽きた。



(やっぱりダメだなぁ)
 私は団体行動に向いていない。そしてあんなに、シリアスにもなれない。
(楽しくない、ワケじゃないけど……)
 とにかく性に合わないのだ。
 2人から離れて、適当に町をさまよい始めた。
 怖くはなかった。
(満月は明日だから?)
 ――違う。私は”死”そのものが、まるで怖くない。
(この世界では、何度でも生き返れるから?)
 それも違う。たとえもう2度と戻れなくとも……
 そんなふうに思うのは多分、”私”が一度死んでいるからだ。殺されたはずだったからだ。
(思いもしない事態は)
 いつでも起こりうる。
(それなら常に楽しく生きておかなきゃ)
 嘘でしょ?
 そして楽しく生きるために、私は独りを選んだ。
  ――どんッ
「わっ」
「おおっとーー!」
 考えごとをしながら歩いていた私は、角を曲がって走ってきた誰かと正面衝突した。相手は手からこぼれ落ちたガラス玉を――ナイスキャッチ。
「大丈夫? ごめんねー、ちょっとぼーっとしてて」
「いえいえ、こちらこそ。急いでいたものですから」
 見ると、その人は郵便屋さんのような格好をしていた。不意に、知識がわいてくる。
「――言霊屋さん?」
「ええ、そうです」
「こんな時期でも配達しなきゃないんだ。皆家から出てこないのに」
「こんな時期だから、ですよ。内容は安否を気遣ったり注意を促すものばかりです」
「ナルホド」
 当の言霊屋自身に、怖がっている様子はなかった。もしかしたら殺されないと、決められているのかもしれない。職業的にいなくなると困るからだ。
 私はふと、言霊屋の手の中にあるガラス玉に目をやる。言霊屋は人に言霊を届けるのが仕事だ。だとしたらこれが言霊なのだろう。
(それにしても――)
「その言霊、ずいぶん小さくなーい? もっと大きいもんだと思ってたけど……」
「ああ、これは子供たちの間ではやっている、ミニ言霊ですよ。容量は少ないですが、遊ぶだけなら十分なようで。値段も安いですしね」
「ふーん」
 まるで柄のないB玉――いや、これは完璧な球だからA玉か。歪んでいるかどうか、私は見ただけでわかる。
 それはとても美しい物だった。
「……ねぇ、よかったら、いくつか譲ってくれない? お金とかないんだけど」
「芸術家さんなら大歓迎ですよ。その代わり、こっちの言霊にいくつか絵を入れて下さいな」
「そんなことならおやすいご用♪」
 何故私が芸術家だとわかったのか。それは考えるまでもないことだった。
(私も見てわかった)
 探偵であれ、助手であれ、この言霊屋であれ。それにこちらの世界の人は、誰もあちらの世界の人を名前で呼ばない。どうも肩書きがすべてのようだった。
 私は言霊(ミニではなく普通サイズの方だ)に絵を入れる。芸術家たるもの、創作に必要なものはいつも携帯していた。私の場合はいつでも路端で店が開けるように、いくつかの手作りアクセサリーも持ち歩いているけれど。
「ほぅ、やっぱりうまいもんですねぇ」
 花を描く。
 鳥を描く。
 空を描く。
 これまでに私が見たことのある、すべての風景を。感銘を受けた景色を。
(――それは多分)
 この言霊たちがいずれは壊されることを、知っていたからだ。
(言霊の消失は、美しくない)
 無残に散らばる欠片。
 ならば一時でも、最高の美しさを――
 別れ際、約束どおり私は美しさの欠片を手に入れた。



■商売開始【ゲルニカ:満月に病める町――公園】

 手に入れたミニ言霊をもてあそびながら、私はまださまよっていた。探しているものは”人通り”。けれど明日の満月を警戒してか家に閉じこもっている町民たちに、それを求めるのはとても難しいようだった。
(でも路上するためには、お客さんがいないとねぇ)
 他にすることもないし……と、人を探して歩き続ける。
(――お?)
 するとやがて、どこからか子供たちの声が聞こえてきた。足をそちらに向けると、どうやら公園のようだ。
 何人かの子供が、元気に走り回っている。
(親は……?)
 まさか子供だけにはしないだろう。まして子供が消えるという事件が多発している今。
 キョロキョロと辺りを見回すと、公園を囲んで建つ家々の窓から、しっかりと監視の目が光っていた。
(――どこの世界でも、そんなもんか)
 出てきて一緒に遊ぶくらいの覚悟がなきゃ、本当の意味で子供を守ることなどできないのに。
 俺は公園の隅にドカリと座ると、目の前に小さな布を広げた。そして持ってきた手作りアクセサリーを並べて、それから先ほど貰ったミニ言霊のことを考えた。
(この数ならネックレスは無理かぁ)
 ブレスレットならなんとか……
 言霊に穴を開けることはできないけれど、穴を開けずとも輪にする方法はいくらでも知っていた。
 慎重に作業しながら、頭ではまた別のことを考える。
(コレと”共鳴”を利用して、なんか便利に使えないかねぇ)
 たとえばまったく同じ言霊を2つ用意して、一方に衝撃を与える。そしたらもう片方も共鳴して壊れるんじゃないか。
 それは風船を利用して離れた位置でも会話できるという原理と同じだった。
(もしそれが可能なら、通信機みたいに……ん?)
 考えごとにすっかり夢中になっていた私は、自分が子供たちに囲まれていることに――今気づいた。
「兄ちゃん何やってんのー?」
「うわっ、このミニ言霊の手首にやるやつめっちゃキレ〜」
「バカね、ブレスレットっていうのよ!」
「あはは。いらっしゃい」
 そう声をかけると、子供たちは途端に”お客様”気取りになった。
「どれがオススメかしら?」
「そうですねぇ、こちらの指輪なんかいかがですか?」
 私も付き合って接客する。
 女の子たちは色々なアクセサリーに興味を示していたけれど、男の子たちは皆ミニ言霊のブレスレットに夢中のようだった。
「なぁなぁ、コレ譲ってくれねぇ?」
「一応私はこれで生計を立ててるからね。タダというわけにはいかないな」
「なんだよー金取るのかよ」
「いや、もっと現実的なものでいいよ」
「ゲンジツテキナモノ?」
 私はニヤリと笑った。
「何か面白いこと、知らないかな?」
 子供からお金を取ろうなどとは最初から思っていない。ただ大人よりも子供の方が正直で、そして本当に面白いことを知っていると思ったのだ。
 子供たちは戸惑い、互いの顔を見合う。
 そしてやがて、交渉をした男の子が不安そうな顔で問ってきた。
「――兄ちゃんって、大人?」
「いや……年齢的に言えば、子供かな」
 一応ひとりで生計を立てているのだから、そういう意味では大人なのかもしれない。けれど19歳という年齢を考えれば、成人の一歩手前だ。多分まだ、大人ではない。
(それに――)
 子供でなければいけないようだしね。
 私の答えに、子供たちは安心したのか一斉に息を吐いた。
「ならこれあげるっ」
 ポケットから飴玉――ではなく、ミニ言霊を取り出す。それは七色に光る球。私がもらった物よりも数段美しかった。
「これは……?」
「聴けばわかるよ。明日その場所に来てね! そしたらぼくたちにそのブ、ブ」
「ブレスレット!」
「それ! ちょうだい? ぼくたちが持ってたら壊しちゃいそうだから……」
「――わかったよ。商談成立だ」
 本当は何もわかっていなかったが、きっとそれはこのミニ言霊を聴けばわかるのだろう。そう思ったから、私は答えた。
「やったぁ」
「やったね」
「絶対喜んでくれるよ」
「うんうんっ」
 子供たちはそう言いながら、私から離れていく。その理由を、私はすぐに気づいた。
(やっと、か)
 子供たちと会話する私を不審に思ったのか、親たちが迎えに来たからだ。子供たちは私に迷惑がかからないようにと、離れたのだろう。
「またね!」
 母親に無理やり手を引かれながら、男の子が手を振る。
「いでっ」
 ゴツンと殴られた。
(あんな調子で)
 明日家から出れるのか?
 どこかで会おうとするのなら、絶対に出なければならないのに。
(でも――)
 明日も私と会うということは、少なくともあの子たちは失踪しないということだろう。
 私は少し、安心した。
 最後の目撃者になるのでは、あまりにも後味が悪いから。



■言霊は囁く【ゲルニカ:満月に病める町――神社】

 翌日の夕方。
 私は”満月に病める町”の中にある神社へとやってきていた。
 昨日あの男の子から貰った七色に光るミニ言霊を、割るのは本当に忍びなかったんだけど。聞かなければどこに行けばいいかもわからないし、だからといってこの取り引きをフイにするわけにはいかなかった。
 記念にと軽くそれをスケッチしてから、いよいよ割ってみた。
『これは【”満月に病める町”の子供だけ】の秘密。神社の巫女様は恥ずかしがり屋で子供好き。夕暮れにこっそり会いに来てくれた子には美味しいお菓子をくれる。お友だちに広めて一緒に遊びに行こう。絶対大人に気づかれないように』
 囁くような、けれど決して聞き取りにくいわけではない、優しい声音でそう流れた。
(だから私は、やってきた)
 神社の場所なんて知らなかったけれど、それは問題なかった。何故なら夜が近づくにつれ、少しずつ外にも人が見られるようになってきたからだ。私はただ、訊ねればよかった。
(これってやっぱり、神隠しに関係あるのかなぁ?)
 神社の境内にひとりぽつんと座って、考える。
 子供たちがこんな言霊を貰ったら。大人になんて絶対に言わないだろう。”満月に病める町”の子供”だけ”の秘密なのだから、その噂が町外に広がることもない。
(だったら、わかるワケないんだよね)
 子供は自分たちだけの秘密をたくさん持っている。それは秘密の通路であったり基地であったり遊びであったり……本当はそれを駆使すれば、大人に見つからず何かを成し遂げることなんて、簡単なんだ。普段は”怒られるから”、あまりしないだけで。
(でも今日は、違うもんねぇ)
 普通じゃない。大人たちは自分の保身で精一杯だ。何をしたって――子供が大人を殺さない限りは――怒られないだろう。子供にだってそれくらいの打算はある。
(ギルフォードを追うつもりが)
 どうやら違う方引いちゃったみたいだな。
 私はひとり笑っていた。
 ――そこへ。
「兄ちゃん何笑ってんの? 気色わりぃ〜」
「わ、ホントにいる! やったぁ」
「あのぶれすらったー持ってきた?」
「ブレスレットだってば! 何回言わせるのよ」
 賑やかな子供たちがやってきた。
(これだけ騒いでいて)
 よく大人に見つからなかったものだ。
「ちゃんとここにあるよ」
 私は自分の手にはめているそれを示す。
「おお〜」
「何度見てもキレイだね!」
「私は昨日のあの七色のやつで作った方が、もっとキレイだと思うんだけどね」
(もしあれがもっとあるなら、作ってあげよう)
 私も出来上がりが見たいからそう告げたのだけど、子供たちは残念そうに顔を見合わせた。
「たしかにそーだけど……昨日兄ちゃんにあげたのがサイゴだったんだ。数に限りがあるからね」
 一丁前なことを言う。
「限り?」
「うん。蝶さんが運んできた分しかないから」
「――蝶さんって、ちょうちょ?」
「当たり前じゃん」
 当たり前と言われても、普通の蝶は言霊を運んだりしないだろう。
 そう考えてから、改める。
(ゲルニカだもの)
 蝶だって、普通じゃないかもしれない。
 とりあえずそのことには納得して、私は話を変えることにした。
「――で、皆はこれから巫女に会いに行くんだよね?」
「うんっ」
「おうよ」
「お菓子楽しみだなー♪」
「私も中までついていっていいのかな?」
「兄ちゃん”子供”なんだろ? だったらいいと思うけど……」
「行ってみてダメだったら、お留守番だねー」
 子供たちが声を揃えて笑った。
 それからぞろぞろと移動を始める。
「あれ? 中ってこっちじゃないの?」
 境内に座っていた私は、賽銭箱の方を指差した。すると子供たちはまた笑って。
「兄ちゃんなんも知らねーのな。おれたちより子供じゃん?」
「しんせーな巫女さまだから奥のシンデンにいるんだよ〜」
 私は肩をすくめて。
「神聖の意味、知ってる?」
「そ、そんなん知らなくたって生きていけるやいっ」



■神隠される【ゲルニカ:満月に病める町――神殿】

 神殿の前には、意外にも見張りが何人か立っていた。
(――いや、意外じゃないのか)
 本当に神聖な場所ならば、見張りがいて当然だ。逆に見張りがいるからこそ、巫女は確かにこの神殿の中にいると言える。
「どうするの?」
 神殿脇の茂みに隠れたまま、小さな声で問った。
「もちろん、抜け道があるに決まってるでしょ!」
「ははは……」
(こりゃマジで)
 大人が気づくはずもない。
(――あれ?)
 ふと、私はおかしなことに気づいた。
「前にも来たことがあるの?」
 だとしたら、消えた子供が戻っていないというのは嘘になる。
「えー? 毎日お菓子貰いに行くのはなんかがめつい気がしてさ。おいらは2日に1回くらいかな」
「あたしもー」
「おれ毎日……」
「え」
(満月だけじゃない……?)
 そういえば――と、言霊の内容を思い出す。
『これは【”満月に病める町”の子供だけ】の秘密。神社の巫女様は恥ずかしがり屋で子供好き。夕暮れにこっそり会いに来てくれた子には美味しいお菓子をくれる。お友だちに広めて一緒に遊びに行こう。絶対大人に気づかれないように』
(! 満月に来いなんて、言ってないや……)
 一体どういうことだ?
 私が悩んでいると。
「兄ちゃん超らっきーなんだぜ。今日は満月だから、巫女さまの”とっておきのお菓子”がもらえるはずなんだv」
(それかぁ)
 なるほど定期的に来させておいて、その上で罠をはったのだ。巧妙に仕組まれた罠を。
「そろそろ行こ♪」
「おう!」
「突撃ぃ〜」
 軽快に走っていく子供たちに、置いていかれぬよう追っていった。

     ★

(こんな所、来なければよかった)
 それとまるで逆のことを、私は思っていた。
 子供たちに囲まれ、楽しそうにしている巫女を見ている。
(あれは本当に巫女――なのか?)
 格好は確かに巫女装束で、手には錫杖を握っていた。けれどその顔には――
「巫女さままたお面してるねぇ?」
「まだお顔見せられないんだ?」
 それに対し巫女は、何も答えない。けれど微笑んでいるんだろうことは、雰囲気からわかった。
(――そう)
 その巫女は面をしていた。能面を。普通の子供なら怖がる子もいるかもしれないけれど、この巫女はお菓子をくれる優しい巫女だ。そういう刷り込みが事前にあるからこそ、怖がっているような子供は誰一人いなかった。
(こんな所、来なければよかった)
 また、逆のことを考える。
(何故?)
 何故私は、こんなにもこの巫女を”美しい”と感じるのだろう。この空間を切り取って、とどめておきたい。そう思うのだろう。
 気がつくと、私は筆を執っていた。
 遊んでいる子供を無視して、巫女だけを描き出す。
(そして、気づいた)
 この巫女は、ミロのヴィーナスだ。
 欠けているからこそ。想像の余地があるからこそ、完成される美。愛される芸術。
 子供たちがこの巫女に懐いているのは、お菓子のせいだけじゃなく。子供たちも巫女の素顔を想像して、楽しんでいるからではないだろうか?
 夢中になって小さな紙に巫女の姿を描きとめようとしていた私は、描き終わるまで子供たちが倒れていることに気づかなかった。
「――! あれ……?」
 目の前には巫女がただ、立っている。その手には、お菓子が握られていた。”とっておきのお菓子”だろうか?
「あなたも、いかがですか?」
 初めて発せられた声は、その能面からは想像もつかぬほど心地よい、澄んだ音をしていた。
 そこで私はふと、思い出す。自分の腕から例のブレスレットを外した。
「これ、子供たちから、あんたにって」
「まあ」
 手渡すと、触れた指がやけに冷たかった。
「――ところで、死んでるの? これ」
 転がっている子供たちに目をやる。
「これから殺すことも、できましょう」
 それは直接の返事ではないが、まだ死んでいないということだ。
「殺すの?」
 その問いには、答えなかった。ただ手の中のお菓子を差し出す。
(食べろって?)
 食べたら殺さないというのだろうか。それとも、食べて一緒に死ねというのだろうか。わからなかったけれど、今この瞬間選べるものはひとつしかない気がした。
 ゆっくりと手を伸ばして、そのクッキーらしきものを受け取る。
(眠るのも、悪くない)
 足元の子供たちは皆、幸せそうな顔をしていたから。美しい夢を、見ているのだろうか。



 私はそれを口にした。
 そして永い永い、眠りについた――。



■ゲームの終わり【ゲルニカ:草間興信所】

 ――はずだったのだが。
「あ、イナックさん! よかったぁ、目を覚まして」
(あれ?)
「ホント、もう起きないかと思っちゃいましたよ」
(皆?)
 私は応接コーナーのソファに寝かされているようで。皆が心配そうな顔をして私を見下ろしていた。
「心配していたんですよ、イナックさん。一体今までどこにいたんですか?」
「どこって、神殿に――」
(そうだ)
 私は神殿にいたはずだ。それが何故……
「神殿? ――そうか、解いたのは君か」
 割り込んできた声は、探偵のものだ。私は上半身を起こすと、探偵と顔を合わせた。
「あそこは警察ですら入れない場所なのだ」
「神聖な場所だから?」
 問い掛けた私に、探偵は笑った。
「子供たちにとっては、な」



 どうやら私は、無意識のうちにもう1人のネクロ・カウンター(あの巫女?)の”方法”を解いてしまっていたらしい。それにより、初めから反則負けが決まっていたギルフォードと、もう1人が失格となり、結果”あいつ”が勝ってネクロ・カウントは終了したそうだ。
 で、私はといえば。
 ここ――事務所へと戻ってきた皆が帰ろうとドアを開いた時、そこに倒れていたのだという。
(常識的に考えれば)
 おそらくあの巫女が運んでくれたのだろう。
 でも何故?
 何故私はすぐに目覚めたんだろう。
 何故あの巫女は、私を殺さなかったんだろう。そして子供たちを。
(そう)
 倒れていた子供たちは、結局全員無事だったそうだ。それだけじゃない、これまで行方不明になっていた子供たちは、全員無傷で帰ってきたという。
(だから)
 私は思った。
 これはあの巫女の、美しいゲームだったのではないかと。

■終【1.ネクロ・カウンター】



■登場人物【この物語に登場した人物の一覧:先着順】

番号|P C 名
◆◆|性別|年齢|職業
2151|志賀・哲生(しが・てつお)
◆◆|男性|30|私立探偵(元・刑事)
2086|巽・千霞(たつみ・ちか)
◆◆|女性|21|大学生
0164|斎・悠也(いつき・ゆうや)
◆◆|男性|21|大学生・バイトでホスト
1883|セレスティ・カーニンガム
◆◆|男性| 725|財閥統帥・占い師・水霊使い
2525|アイン・ダーウン
◆◆|男性|18|フリーター
2266|柚木・羽乃(ゆずき・はの)
◆◆|男性|17|高校生
1286|ヨハネ・ミケーレ
◆◆|男性|19|教皇庁公認エクソシスト(神父)
2457|W・1105
◆◆|男性| 446|戦闘用ゴーレム
2430|八尾・イナック(やお・いなっく)
◆◆|男性|19|芸術家(自称)



■ライター通信【伊塚和水より】

 この度は≪闇の異界・ゲルニカ 1.ネクロ・カウンター≫へのご参加ありがとうございました。
 今回は皆さんの行動の幅が広く、人によってはまったく違う行動をとっていらっしゃる方もおりますので、長くて読むのが大変かもしれませんが、他の方のノベルも読んでみるとより楽しめると思います。
 さて、八尾・イナックさま。初めてのご参加、ありがとうございます。独特な雰囲気をもったキャラクターですね。書く前は難しそうだなと思っていたのですが、書き始めたら結構はまりまして、とても楽しく書かせていただきました。イメージに合っているといいのですが……。
 それではこの辺で。またこの世界で会えることを、楽しみにしています。

 伊塚和水 拝