コミュニティトップへ
高峰心霊学研究所トップへ 最新レポート クリエーター別で見る 商品別一覧 ゲームノベル・ゲームコミックを見る 前のページへ

<東京怪談ウェブゲーム 界鏡現象〜異界〜>


Laborious Labyrinth LV1

【オープニング】

「えーっと。初めまして、かな? このオンラインゲームのナレーターを務めさせて頂きます、羽山柚菜 (はやまゆな)といいます。まずは、システムを把握して下さいね!」

 オンラインゲームのモニターとして、少なくとも半分以上は強制的に連行され、訳のわからない機械を頭に取り付けられて、かなり怖々とゲーム世界に入った彼らは、いきなり目の前に広がったリアルな光景に、呆然と、しばし魅入った。

 そこは、薄暗い迷宮。
 硬い石床の感触。冷たい岩礫が幾重にも重なった、そそり立つような、人工の壁。天井は途方もなく高く、完全に暗闇に紛れて、一生懸命目を凝らしても、何も見えない。
 耳を澄ますと、ほんの微かに、川の流れる音がする。水の匂いが、漂う。
 迷宮の全てが、人の手によるものではないらしい。自然の洞穴を利用しているのだ。

 それにしても……広い。

「はーい。珍しいのはわかるけど、ちゃんと説明を聞いて下さいね! システムがわからないと、スライムにも負けちゃうよ? それって、ちょっと恥ずかしいでしょ?」
 確かに。
 ゲーム開始後、五分でスライムに負けたとあっては、かなり立つ瀬がない。四人は、神妙な顔をして、ナレーター役の少女の言葉に、耳を傾けた。
「まず、皆さんの目標は、このダンジョンの突破です! どこかにある出口を探してね! そして、ここで、注意事項が一つ。この迷宮内では、一切の特殊能力が使えません! 現実世界でどれだけ強くても、この世界では反映されません。気を付けて下さいね!」
 柚菜が、自分の左腕を高く掲げた。見て見て、と言うように、手首を仰ぐ。その時になって、四人は、自分の腕に見覚えのない腕時計がされていることに、初めて気付いた。
「これは?」
「このゲームの命です! コマンドを呼び出すアイテムね! 時計に似ているけど、時計じゃないの。装備とか、手に入れた道具の保管とか、これでコマンドを呼び出して行ってもらいます。とりあえず、装備からかな?」
 時計型のアイテムをいじると、ぴっ、と音がして、何もない空間に、青色の画面が広がった。
「これが、コマンド選択画面。道具を選択してみてね」
 中を確かめると、道具には、傷薬一つと、武器が三つ用意されている。
 ロングソード(攻撃12・重量7)
 ダガー(攻撃5・重量2)
 ショートボウ(攻撃8・重量5・遠距離攻撃)
「好きな物を装備できるよ。でも、途中で持ち替えは出来ないから、選択は慎重にね…………そして、いよいよ!」
 柚菜が手を振ると、コマンドが消えた。代わりに、赤い画面が現れる。柚菜が、その赤い画面に、何か素早く指示を出した。きらきらと輝く十個の宝石が、プレイヤーたちの前に、浮かび上がった。
「召喚石です。このゲームのプレイヤーさんには、初期状態では、特殊能力がありません。その代わり、この召喚石が与えられます。召喚石から、様々な能力を持った魔法族を呼び出せます。そして、一度呼び出した魔法族が使用した魔法は、プレイヤーさんも、次回から使用可能となるのです!」
 四人が、十個の召喚石に、手を伸ばす。柚菜が呼び止めた。
「えーっと。大変申し訳ないのですが、実は、召喚石には、ハズレもあります。全く、なーんにも能力のない魔法族もいるわけでして……それを引いてしまったら、諦めて下さいね!」
 おい。
 思わず、四人が、その姿勢のまま、固まる。つまり、ハズレを引いてしまったら、ピンチを切り抜けるどころか、足手まといが一人増えるという訳か。
「さぁ、選んで下さいね! 召喚石の選択が終了次第、ゲーム開始です!」
 武器の選択。
 召喚石の選択。
 プレイヤーたちが、自らの命運をかけるべき相棒を、選び始める。かなり不安を感じながら。
「選択、終了、かな?」
「終了!」
 全員が、答えた。柚菜が、ぱん、と、元気よく手を打った。
「りょーかい! それでは!!」



 GAME START!





【先攻】

「かなり、ギャンブル要素が強いですね。この、召喚システムというものは」
 掌の中に収まる小さな三個の宝石を前に、セレスティ・カーニンガムが、そっと溜息を吐き出す。
 オンラインゲームの中という、極めて非常識な世界の中においても、リンスター総帥の輝くような美貌は、少しも損なわれてはいなかった。
 あらゆるものが、現実と同じく、非常に精巧に作られている。やや俯き加減に首をかしげた時に、さらりと流れた銀糸の髪の艶までもが、忠実に再現されていた。
「何が出てくるか、わからない……か。戦略の立てようがないな……」
 奥の暗闇に目を凝らし、相沢久遠が、同意する。現実世界の特殊能力は全く引き継がれていないものの、余程鈍くない限り、吹き付けてくる貪欲な魔物たちの飢えた気配を、感じないわけにはいかなかった。
「魔法……ってのが、どれほど効果を発揮するものか……頼りすぎるのは、危険かも知れない」
 行動をともにするメンバーを見回し、心の中で、俺だけか、と、守崎啓斗が、呟く。今回、このゲーム内にログインしたメンバーは八人いたが、振り分けられた第1パーティーの中では、彼だけが、前衛型の戦士だった。
 他は、魔法に強いタイプばかりだ。魔法とやらが、本当に役立つ代物なら、このメンバーも強力なのだが……如何せん、一抹の不安が少年の胸中を過ぎる。
 物理攻撃を、軽視しすぎていやしないか……?
「いきなり、戦闘で召喚石を使用するのは……止めた方が良いかも知れません」
 セレスティが、召喚石を取り出す。驚異的に魔力が高い彼は、聖、水、闇、の石を選択していた。お試し感覚で使うには、明らかに術者に負担がかかりすぎるレベルだ。森村俊介が、すかさず一つの提案をした。
「僕は、レベル1の召喚石を持っています。これなら、正直、惜しくはありませんよ。使ってみましょう」
 目を閉じる。全ての感覚を無に戻すと、掌の中の石が、ほんのりと熱を帯びていることに気付いた。頭の中に、いきなり、不思議な言葉が浮かび上がる。
 そうか。森村が、一人納得する。
 これが、召喚呪文、というものなのか。
 
「幻と惑わしを司る異形の者よ。我が魔力を導きとして、界の隔てより我が元に来たれ」

 石が、砕けた。全員が、ぎょっとする。思わず目を庇った森村の眼前で、空間が歪み、渦を巻いた。宙空に強引に穿たれた穴の奥から、何かが、顔を覗かせる。

 ぽん、と、緊張感のない音を立てて、その「何か」が、彼らの目の前に飛び出した。
「だ、だから、ボク、嫌だって言ったんですよぉ……。怖いよぅ……ひっく」
 小さな男の子だった。
 銀色の髪に、大きな緑の瞳。そして、頭の上からは、間違えようもない、三角形の動物の耳が。
 尻尾はないが、その場にいた全員が、思った。ポメラニアンに似ている……。つまり、ものすごく、可愛い。
「お名前は?」
 セレスティが尋ねる。ポメラニアンに似た男の子は、大きな目に涙を一杯浮かべ、鼻を啜りながら、答えた。
「獏……です」
 きょろきょろと、見下ろしてくる四人を見回す。召喚者の森村の足に、縋り付いた。どうやら、魔法族は、自分を呼び出した召喚者に対して、好意的になるものらしい。
「ボク、ボク、強くないけど、頑張るから……一緒に行ってもいい?」
 こんな可愛らしく小首をかしげて尋ねられて、否と言えるだろうか…………いや無理だ。
「無理に戦えとは言いませんよ。和み役として、同行して下さい」
 と、森村。セレスティまでもが、そうですねと頷く。
「危ないので、戦闘時には、その辺に隠れていて下さいね」
 やったー!と小躍りした獏少年の傍らで、久遠と啓斗が、ひっそりと溜息を漏らしたことなど……前の二人は、知りようもなかった。
「…………ゲーム開始後五分。早速、足手まとい一人追加か……」





【酸の魔物】

 石畳の床は、しばらく歩くと、やがて自然の土の地面に取って代わられた。
 ずずず、と、奇妙な音がする。
 今に始まったわけではなく、先程から、ずっと、この音が止まないのだ。
 全員、それには気付いていたが、あえて知らぬふりを決め込んでいた。目標は、ダンジョンの突破で、敵を撃破ではないからだ。
「…………来るぞ!」
 守崎啓斗が、腰のベルトに括り付けておいた短剣を引き抜く。右手に構え、いつもの癖で、次に左手に……と手を動かして、はっとする。
 そうだ。短剣は、一つしかないのだ。二刀流の啓斗には、大いなる誤算だった。
「仕方ない……!」
 ずずず、という音が、さらに間近に迫る。いきなり、天井の暗闇から、何かが滴り落ちてきた。腐ったゼリーのような、奇妙なぶよぶよの物体だった。
「な、何だ……?」
 青いコマンド画面が、その瞬間、頭上にぱっと表示された。

『アシッドスライム5体が出現!』

「ア、 アシッドスライム?」
 普通のスライムとは違うのか? 何か嫌な予感がしたが、啓斗は、まずは先手あるのみと行動した。この世界のこの体に、早く慣れてしまいたいという思いもあった。
「………っ!」
 ぶよぶよに見えたスライムは、だが、華奢な短剣の一撃を、容易に受けとめた。多少傷は付いたが、半液体の奇妙な体を揺すり立てると、傷が瞬く間に閉じてしまう。驚き狼狽する啓斗に、今度は、スライムの方が、攻撃を仕掛けてきた。
 口……らしきものが、がばりと開く。奥から、濁った黄色い液を吐きかけてきた。紙一重で避けた啓斗の背後の岩が、煙を上げて、溶けた。
「酸だ……!」
 
『アシッドスライムの特殊攻撃 酸の胃液 射程前後衛有効 啓斗はこれを回避 俊介はこれを回避 久遠はこれを回避』
『セレスティが回避失敗 後列配置のためダメージ半分 ダメージ16』

「カーニンガムさん!?」
 森村が振り返る。大丈夫、と、水の貴人が笑った。
「この小さな友人が、咄嗟に私を突き飛ばしてくれたので、直撃は免れました」
 青い顔をして、それでも、獏がこくこくと頷く。役立たず、なんて言って悪かったな、と、啓斗は思った。頑張りましたね、と、口下手な啓斗の代わりに、口達者な魔術師が、獏の頭を撫でてくれた。
「ボ、ボク、役に立った……?」
「大活躍ですよ」
「ほんと?」
 ほっと微笑んだ男の子の顔の輪郭が、揺らぐ。彼らの見ている前で、姿は見る間に薄まり、やがて消えた。
 呼ばれたものは、時間が経てば、いずれは還ってしまうのだ。
 還ってしまう前に、思わぬ役に立てたのだから、漠としては、これ以上の幸運はなかったことだろう。
「油断するな! 次が来る!」
 この中では、確実に最も戦闘慣れしている啓斗が、すかさず全員に渇を入れた。



「悪いが……二、三分、時間を稼いでくれないか?」
 スライムの猛攻を受け流しながら、久遠が提案する。酸の塊の敵に対し、有効な攻撃法も思い付かぬまま、無駄に時間ばかりが過ぎていた。じりじりと後退を繰り返し、せっかく来た道の半分近くを、既に彼らは後戻りさせられていた。
「埒があかない。このままじゃ。ったく、本気でイライラするな……」
 彼が手にしているのは、火、霊、聖、の魔法石。
 この先もどんな危険が待ち受けているかわからないため、なるべくなら、力を温存しておきたかったが……。
「鬱陶しい……」
 行く手を遮るものを、焼き尽くさずにはいられない、火の気性が、それを阻む。
「さぁ、出てこい。火の魔法族。我が名は久遠。魔焔の友にして、妖炎を司るもの」
 深紅の召喚石から、唸りを上げて、炎が吹き出す。この召喚石は、レベルが2だ。決して、高くはない。それなのに、周囲の気温までもが、久遠の声に随従して、煮立つように変化を見せる。
 おかしい、と、全員が思った。
 アシッドスライムが、怯えたように後ずさった。

『久遠の攻撃 火の召喚石使用』
『久遠の属性:火 召喚属性:火』
『同属性召喚行使! 同属性効果発動! 』

 砕けた赤い石の代わりに、まだ十代の少年が、現れる。
 引きずるような長い黒いローブに、老人が持つような、歪に曲がった杖。純朴そうな見かけとは対照的に、だが、少年を取り巻く熱波は、さらに力を増していく。
 長く目を開けているのが、辛くなるほどだった。だが、不思議なことに、その熱すらも……久遠には、心地良かった。
「お前が火の魔法族? 何だか、あまり強そうじゃないな」
 妖狐の青年が、正直な感想を漏らす。少年が、気を悪くした様子もなく、笑った。
「朝野時人っていいます。相沢久遠さん。……同属性の人が召喚してくれるなんて、思わなかったな」
「同属性? さっき、コマンドにも出ていたが。何なんだ、それは」
「うーん。一言で言うのは、難しいです……。つまりは……相性みたいなもので。僕は、新米の魔法使いですから、本来は大した魔法は使えません。でも、同属性の人が召喚してくれた時だけ、最大効果の魔法を使用できるんですよ」
「最大効果……」
 習うより、慣れろかな、と、久遠は思った。
 御託はいい。強ければ……それでいい。火を操るのは、容易い。火は、彼の体の一部分なのだ。

『初級魔法・ファイアーボールが、高位魔法・ファイアストームに変化!』
『属性:火 範囲:敵全員 威力:76』

 ごう、と、風が唸った。火が生き物のようにうねり、襲いかかる。スライムたちは既に明らかに逃走の意思を見せていたが、そんなものに、久遠が構ってやる義理もない。
 焼き尽くせ、と、久遠は命じた。火が、さらに、狂ったように哄笑した。

『アシッドスライム5体に152のダメージ! アシッドスライム5体を撃破!』
 
 四人を苦しめた酸の化け物は、久遠が放った火炎の渦の前には、完全に無力だった。もともと、スライム族は、物理攻撃に非常に強い。弾力のある体表が、並の刃など容易に弾いてしまうのだ。
 その反面、彼らは火に弱い。ファイアストームはそのままでも十分に恐ろしい広範囲攻撃魔法だが、さらに弱点属性を突かれ威力が倍増したのでは、もはや、生き残る術はなかった。

『経験値200 300ゴールド 獲得』
『久遠が火属性魔法・ファイアストームを取得』

「何となく……わかってきましたね」
 セレスティが、ほっと息を吐く。
「つまり、闇雲に高レベルの魔法石を持つより、自分や敵の属性、石の種類などを見極める方が、大切なのですね。レベル2の召喚石は、決して強力ではないはずなのに……同じ属性、という事実が、ここまでの威力をもたらしました」
 それなら、自分が、この石を使ったら?
 心の中で呟くセレスティの手には、レベル4の、水の召喚石が、しっかりと握られていた……。



「召喚石……これは、このダンジョンに入った者全員が共有して、一度だけ使えるものだったんだな」
 守崎啓斗が、やや呆然と、呟く。
 彼の手の中にあった石が、いつの間にか、二つに減っていた。火の魔法石が、何処を探しても見つからないのだ。
「先程、相沢さんが、火の召喚石を使用したから……?」
 森村が、啓斗の手元を覗き込む。啓斗が頷いた。
「たぶん、火の魔法族を呼び出した時に、一緒に砕けたんだ……」
「一度だけ……ですか」
 もう、火の石は、無い。
 後二つの石が残っているが、これも、別の誰かが使ってしまったら、消えて無くなる。しかも、そのうちの一つは、レベル5の闇属性だ。さほど魔力が高くない啓斗には、正直、荷が重かった。
「まともに使える可能性があるのは、この、無の石だけか……」
 不安はある。
 だが、またも厄介な敵に遭遇した時には、必ず使ってみせようと、もはや、啓斗に迷いはなかった。





【魔鏡】

 ほとんど変化のない迷宮で、唯一、心和ませてくれるのが、止むことのないせせらぎの音だった。
 いつ敵が出てくるか、どこに罠が仕掛けてあるのかと、会話するのも忘れて黙々と歩く彼らだが、水の音を聞くと、ふっと、肩の力が抜けてくる。
 示し合わせたわけでもないのに、彼らは、その水音の方に進んでいた。人間の体の六割以上は、水で出来ているという……あるいはその原始の記憶が、人を、惹き付けてやまないのかも知れない。
 水の、元に……。
「何だ?」
 はっ、と、先頭を歩いていた守崎啓斗が、身構える。他の三人が、訝しげに、首を捻った。気配に気付いたのは、啓斗だけだった。圧倒的な敏性の高さが、少年に、奇襲を許さない。
「避けろ! 敵だ!!」

『イビルミラー7体が出現! イビルミラーの奇襲!』
『啓斗はこれを回避』
『俊介に13のダメージ 久遠に11のダメージ セレスティに25のダメージ』

「この……!」
「敵の数が多い……! 相沢さん、火の魔法を!」
「言われなくてもわかってる!」
 久遠が、片手を高く掲げる。火の召喚石は既に無いが、久遠自身の中に、火炎の渦の魔法が、記録として刻まれている。面倒くさい呪文は無用だし、指印にこだわる必要もない。
 ただ一言を、口にすればいい。
「ファイアストーム!」
 だが、先程とは、明らかに状況が違った。
 悪魔の鏡と呼ばれる魔物たちは、特殊能力として、魔法を跳ね返す性質を持っている。敵を焼き尽くすはずの業火の渦が、7体の鏡にことごとく跳ね返されて、唸りを上げて術者に襲いかかった。
 このリフレクトされた魔法は、回避が不可能な設定になっている。自分が放った魔法だけに、凄まじい威力が久遠を苦しめた。

『イビルミラーの魔法反射! 久遠に攻撃 火属性耐性によりダメージ半減 ダメージ38』

「…………っ!!」
「相沢さん、大丈夫ですか!?」
「さすがに、効いた……」
 久遠が、思わず膝を折る。隙をついて襲いかかってきたイビルミラーの一体を、俊介が弓で追い払った。
「魔法が使えない……」
 体が芯から冷えてゆくような、その衝撃。
 このメンバーのうち三人は、魔法型だ。久遠は魔法型にしてはやや攻撃力も高いが、それでも、前線に立つのは危険すぎる。第一、受けたダメージが、まだ回復していない。
 このゲームはリアルすぎるのだ。痛みも、苦しみも、その全てが、現実世界をあまりにも忠実に模写し過ぎている。
「どうする……」
 冷たい汗が、流れ落ちる。所詮は架空の世界と言っても、やはり、負けてしまうのは、悔しくてたまらなかった。
「使って下さい! 守崎さん! 無の召喚石を! それは、魔法ではありません!!」
 いつの間に現れたのか。
 叫んだのは、初めに出てきた、あのナレーターの少女。柚菜、と、言ったか。
 啓斗が、不思議そうに、首をかしげる。何て言った? 今、この、ナレーター役の女の子は。魔法ではない? 召喚石が、魔法ではない? では、一体、何だと言うのか。爆弾のように、投げつけたら破裂でもするというのか?
「早く!!」
 何でもいい、と、啓斗は思った。
 そうだ。何でもいいのだ。どのみち、これ以上、状況は悪くなりようがない。
 今、必要なのは何だ? 危険だからと尻込みすることか? そうではない。可能性を掴むことだ……!
「死んでたまるか……こんな所で!!」
 無の石が、砕けた。
 あの時の炎のように、不自然な風や熱の流れはない。悪魔の鏡に跳ね返されそうな、光や氷は、どこにも現れなかった。ただ……頭の奥に、声だけが、響く。
「望みは?」
「望み?」
「どうしたいというのですか。守崎さんは」
 まるで、揶揄するような、その響き。お前は、プレイヤーを助けるための魔法族だろうと、思わず怒鳴りつけそうになる。弟なら、きっと、そうしていたに違いない。だが、この期に及んで、兄は奇妙に冷静だった。
「誰だ。お前は」
「俺?」
「名前くらい名乗れ」
「知った所で、意味など無いのですがね。まぁ、いいですよ……俺は……」
 ヴン、と、頭上で音がした。また、コマンドが、開いていた。

『啓斗の攻撃 無の召喚石使用 召喚成功率87パーセント 召喚成功!』
『レベル3召喚石 特性:憑依召喚 効果:全ステータス強化!』
『啓斗:腕力+20 体力+0 魔力+0 敏性+20』

 レベル3の召喚石は、敵に向かう攻撃術ではない。自らを強化する、完全補助魔法なのだ。
 力が、漲る。腕が、足が、貪欲に、敵の殲滅を求めて、勝手に動く。意識したわけではないのに、風が生まれた。刃を携えた手が、危険な凶器と化して、舞うように閃く。

『啓斗の攻撃 無属性スキル発動 連撃!』
『啓斗の攻撃 無属性スキル発動 瞬殺!』

 連撃が発動すると、一度に、複数回の攻撃が可能となる。さらに、瞬殺は、敵の残りHPに関係なく、一撃で敵を葬り去る、恐るべき暗殺剣だ。どちらも、敏性の高さがものを言う特技である。啓斗だからこそ、ここまでの効果を招いたと言うべきだろう。
「凄いですね……」
 鏡の化け物が、次々と、破壊されて行く。他の三人は、もはや傍観者として隅に寄るしかなかった。手を貸す必要など無い。敏性が大幅強化されている啓斗に、イビルミラーの攻撃は一切当たらない。回避率が、100パーセントになっていた。

『啓斗の攻撃 イビルミラーに56のダメージ! イビルミラー7体を撃破!』
『啓斗が無属性スキル:連撃を取得』

 最後の魔物が粉々に砕けると、辺りに、急速に、静寂が訪れる。
 自分の中に留まっていた力が、全身から染み出していくように消えつつあるのを、啓斗は感じた。どうやら、憑依召喚は、一度の戦闘でのみ有効な術らしい。
「待ってくれ」
 啓斗が、呼びかける。自分の中に憑依した誰かの、その名前くらいは、知っておいてもいいと思った。
「まだ、名前を、聞いていない」
「名前? 知ってどうするというのですか」
「どうもしない。行動の全てに、意味がある訳じゃない。ただ……何となく、だ」
「通りすがりの、ただの、ゲームの登場人物ですよ」
 気配が、消えた。
 二度目の問いに答える声は、無い。
「行くか」
 久遠が、歩き始める。そう言えば、怪我をしたはずだ。大丈夫か、と、声を掛けるべきなのだろうか。啓斗は、あれこれと考える。考えて、ただ、黙って……自分の道具袋から薬草を取り、差し出した。
「……俺に?」
「俺は、まだ、ダメージを受けていない」
「この先どうなるか、わからないぞ」
「このゲームは、予想外に、厳しい。味方が一人いなくなったら、それだけクリアが難しくなる」
「借り一つか」
「恩一つだ」
「恩かよ……面白い奴だな」
「なぜか、よく、そう言われる」
 仲間意識と呼べるほどのものではないが…………全員で出口を見たいと、この時、誰もが考えたのは、きっと、紛れもない事実だろう。





【地底湖にて】

 求めていた水の音の出所に、ようやく、辿り着いた。
 巨大な地底湖が、目の前に広がっている。ざあぁ、と、波の音がした。あるいは、これは、滝の音か。洞窟の内部に反響し、音は、ねじれ歪んで、ひどく聞き取りにくかった。
「行き止まり……か?」
「行き止まり、ですね」
 とりあえず、地底湖へと近付く。なぜか、周囲はほんのりと明るく、物を見るのに不自由はなかった。岩壁に、びっしりと光苔が張り付いている。天然の外灯が、青白い仄かな光を、澄んだ水面にそっと投げかけていた。
「出口……ではないな」
「戻りましょうか」
 後ろで、がらがらと、不吉な音がした。
 驚いて全員が振り返る。彼らが通ってきた通路が、崩れ落ちていた。注意が一瞬それたその間に、事態は恐るべき速度で急変を迎えた。
 静かだった水面に、泡が立つ。黒く揺らめき、濁りを増す。地の底から響くような呻き声に、足の爪先から髪の一筋まで、誰もが、心の底から戦慄せずにはいられなかった。

『危険! 危険! 危険!』

「な、何だ!?」
 盛り上がった水面の奥から、何かが、ぬっと現れる。触手が蠢き、その巨体からは想像も付かぬ速度で、大気を薙いだ。
 全員が、激しく壁に叩きつけられる。ただ一撃で、生命力の半分近くを、根こそぎ奪われていた。それほどの衝撃だったのだ。
「化け物……!!」

『クラーケンが出現! クラーケンの攻撃! 連撃!』
『クラーケンの攻撃! 毒霧!』

 久遠が、咄嗟に前に飛び出す。無理だ、と、全員が思った。とても、一人でどうこう出来る相手ではない。
 だが、皆の不安と久遠の意図は、全く別のところにあった。戦おう、等とは思わない。無謀に単身突っ込んでいくような、馬鹿でもない。
 火の属性を持ちながら、久遠は、一方で、ひどく冷静だった。とりあえず、有効な回復魔法を持たない彼らにとって、毒霧は致命的な攻撃法だ。まずはこれを防がなければ!
 
『久遠の攻撃! ファイアストーム! 毒霧を相殺!』
『クラーケンの弱点属性:火 威力152にUP! クラーケンにダメージ102!』

 競り勝った……!
 思わず、光明が見えてくる。触手を焼かれた巨大な軟体動物の化け物が、苦しさのあまり、のたうち回った。洞窟全体が、悲鳴を上げる。天井から、ぱらぱらと、無数の石礫が降ってきた。
「……あれは……!」
 壊れて降ってきた岩の雨の帳の向こうに、眩い光が、煌めく。洞窟を飾る薄暗い植物の明かりではない。本物の、紛れもない、地上の太陽の輝きだった。
 そうか、と、森村が、呆然と呟く。ダンジョンの出口。探し求めていたそれが、まさか、こんな所にあるとは!
 見つけたと喜ぶよりも、森村は、むしろ絶望的な思いに囚われた。どうしろというのだ? よりにもよって、クラーケンの頭の真上に、出口があるなどと……!
「このゲームの主催者は、どうやら、ゲームオーバーを望んでいるようですね」
 セレスティが、苦々しげに笑う。森村も、唇の端をわずかに持ち上げて、苦笑に、皮肉っぽい微笑で応じた。
「その意図を汲む気は?」
「ありませんね」
「同感です。むしろ、最後の最後まで、悪足掻きをしてやりたくなりますね」
「方法を、考えましょう。とりあえず、今のターンを凌がなければ!」
 セレスティが胸の前で掲げる掌の中で、青い涙色の召喚石が、無数の細かな結晶となり、飛散する……!

『セレスティの攻撃 水の召喚石使用』

 どれほどの力を見せてくれるのか?
 レベル4の、水の結晶石は。
 広大な湖の水が、不自然な揺れ方を見せる。徐々に、しかし確実に、岸の味方の方へと不気味な触手を伸ばしていた怪物が、何か大きな力に押されて、明らかに後ずさる。
 砕けた石の欠片が、煌めきながら集まり、一つの人型を象った。クラーケンなどとは到底戦えそうもない、セレスティと比べても、小柄で華奢な女が、穿たれた異界の入り口の向こうに、現れた。
 黄金の瞳は静かな神秘を湛えていたが、とても、彼女を盾にする気にはなれない。これは、もしかして、ハズレ石かと…………セレスティは、正直、かなりの不安に見舞われた。
「何じゃ何じゃ。呼ばれて来てみたら、何という騒ぎじゃ。あの化け物は何ぞや?」
 まさか、お助けキャラの魔法族に、敵の名前を問われるとは。それでも、元来が真面目なリンスター総帥のこと。つい、律儀に、答えてしまった。
「クラーケンという、大蛸の怪物です」
「ふぅむ。悪趣味な。あんな怪物、わらわの公園でも引き取れぬぞ。ますますもって、ボート乗り場から人が遠離ってしまうではないか」
「はぁ……」
 別に、誰も、引き取ってくれとは言っていない。あんなものが現実世界にお目見えしたら、それこそ、迷惑千万である。
「仕方ない。おぬしは水の属性で、わらわと相性も良さそうじゃ。特別出血大サービスで、便利な魔法を進呈して進ぜようほどに。わらわの公園に足を向けて寝てはいかんぞよ」
「あ、ありがとうございます……」
 何だか、素直に喜べないのは、何故だろう?
「おお、そうじゃ。忘れるところじゃった。わらわは、弁財天宮に祀られているもの……そう、弁天じゃ。フレンドリーに、弁天様と呼んでくれて良いからの」
「え、ええ。わかりました。弁天様、ですね」
「それでは、長話は終了じゃ!」

『セレスティの属性:水 召喚属性:水』
『同属性召喚成功』
『高位魔法:クリスタルレイン 範囲:敵1グループ 威力:132 付加効果:凍結』

 湖の水が、不自然な盛り上がりを見せる。水は洞穴の空間の中程にまで浮かび上がると、そこで、無数の透き通った剣へと変化した。
 軽く百は越える優美な水晶剣が、綺麗な半弧を描き、一斉に、鋭利な刃を下方へ向ける。遙か頭上から差し込む表の明かりに照らされて、幾重にも、燦然と光を弾いた。
 
「カーニンガムさん、そのまま、二分だけ、凌いで下さい!」
「!?」
 今まさに行使しようとした魔法を、セレスティが、意思の力で押しとどめる。森村が、クラーケンとリンスター総帥の間に、素早く割って入った。
「地底湖の化け物相手に、水属性は、効果が薄い可能性があります。たぶん、僕の考えが正しければ……」
 森村の手元にあるのは、魅了と闇の召喚石。このうち、レベルの低い魅了属性は、ボス級の敵が相手ではあまりに分が悪い。確実に効果が期待できるとしたら、最高レベルの「闇」だけだ。
 だが、この石を行使するのは、何故か嫌な予感がして、森村は、懐に仕舞い込んだままだった。ほとんど存在を忘れていたと言っても良い。これほどの窮地に見舞われなければ、顧みることすら、きっと無かったはずである。
 理屈ではなく、勘だった。彼もまた、「闇」に属する者だからこそ、その内側に秘めたる力に、鋭く警告を発せずにはいられなかったのだ。
「主催者の思惑に従い、ゲームオーバーになるよりは、マシですからね」

『俊介の攻撃 闇の召喚石使用』
『召喚成功率:64パーセント』

 洞穴全体を覆う、奇妙な闇よりも、もっと濃く、強く、視界を覆い尽くして広がる…………得体の知れない、気配。
「僕を、呼ぶとはね」
 笑い声が聞こえる。今、目の前にある、巨大な地底湖の魔物よりも、遙かに邪悪で不吉な嘲笑。悪い予感が、足下からざわざわと這い上がる。
 闇。闇か。
 たかがゲーム。架空の世界。けれど、それでも、「闇」は、手を出してはいけない領域だったのでは……?
 その時、ふと見上げた水晶剣の輝きが、励ますように、強さを増した。
 
『俊介の属性:闇 召喚属性:闇』
『同属性効果! 必要魔力低下 召喚成功率100パーセントに上昇! 暴走召喚を回避!』
 
「くっ……」
 闇の中の声が、微かに、揺らいだ。舌打ちの音も、聞こえたような気がする。広がりつつあった黒霧が、一つ所に凝集を始めた。凄まじい力の波を、森村が、自身の魔力で強引にねじ伏せる。
 闇は、扱いにくい。そんなこと、おそらくは物心付く以前から、魔術師は知っていた。
「従わせる気か……この、僕を……っ!」
 闇の中に揺らめく姿は……まだ、年端もいかぬ、少年のもの。この上もなく冷徹な無表情に、この上もなく邪悪な狂気を滲ませて、森村を見つめる。
 魔術師は、無視した。無視できるだけの余裕が、彼には、あった。

『ダリア召喚 属性:闇』
『ダリアの攻撃 闇属性禁呪:ディザスター 攻撃:287 付加効果:生命力吸収』

 透き通った水晶の剣が、闇色に……染まる。

『クリスタルレインがディザスターにより属性変化:闇』
『啓斗が自ターンを久遠に譲渡 久遠の再攻撃 ファイアストーム 二重属性変化:炎』
 
 紅蓮の炎が、闇色の剣を、更に取り巻く。
 
『セレスティと俊介と久遠の同時魔法攻撃!』
 
 漆黒に色を変えた無数の刃が、炎を纏ったまま、魔物の体に振り下ろされる。大気を切り裂く風の唸り声が、遠くにいる彼らの元までも、届いた。魔物から滴り落ちる鮮血が、瞬く間に、湖を深紅に染める。
 飛び散る血の紅。
 燃え盛る火の赤。
 景色全体が、朱色の膜を翻して、あり得ないほど歪んで見えた。

『クラーケンに574のダメージ! 付加効果:生命力吸収が発動 全員が287ポイント回復!』

 クラーケンが、咆吼する。四肢をバタバタと動かし、高い天井を幾度も激しく打ち付けた。崩れる、と、全員が、最悪の事態を予想した。地鳴りが、確実に、酷くなる。
「まだ……まだ、生きています!」
「何て奴だ……」
 打つ手無し、か。
 ほとんど全員が、この時、魔力を使い果たしていた。物理攻撃でクラーケンに傷を負わせることが出来るのは、この中では、啓斗だけだ。だが、その啓斗も、先程、久遠に攻撃機会を譲ってしまった。誰も余力を残していない。
 不意に、コマンドが開いた。

『啓斗の無属性スキル:連撃が発動 啓斗の再行動』
 
「再行動……!?」
 思わぬ朗報だったが、事態は、決して、良くなったわけではない。啓斗一人が行動したところで、クラーケンを仕留めることなど、到底不可能な話なのだ。そもそも、あの地底湖の主は、努力とか根性とかで倒せるような雑魚敵ではない。
 どうする、と、啓斗は、無謀に突っ込んでいく前に、まずは考えを巡らせた。
 目の前には、手負いの化け物。逃走手段はない。
 何が出来る?
 武勇を振るうばかりが、戦いではない。考えろ。考えろ。どうする? 何が最も効果的だ? 進むべき、道は……。
「カーニンガムさん! 貴方なら……貴方の魔力なら、クリスタルレインの連続使用が出来るはずです!」
 森村が、叫ぶ。何かを思い付いたらしい。セレスティが、はっとして頷いた。
「まさか……」
「さすが、聡い人間は、説明の手間が省けて助かる」
 久遠が、笑った。啓斗が、この洞穴に入って初めて、構えを解いた。
「俺の行動権を、もう一度、譲る。…………後は、頼む」

『啓斗の再行動 啓斗がセレスティに攻撃を譲渡』
『セレスティの再攻撃』
 
 魔物が、傷だらけの体を引きずりながら、少しずつ、近付いてくる。圧倒的な質量と、威圧感。生臭い血の風。
 慌てては、駄目ですね。セレスティが、自らに言い聞かせる。
 タイミングが肝心だ。この作戦は。
 これもゲームの醍醐味かと、リンスター総帥の口元に、有るか無きかの微笑が揺れる。おとなしやかな顔に似合わず、セレスティは、乗るか反るかの大勝負が、好きだった。好きでなければ、大財閥の頂点になど、何時までも君臨し続けていられるものではない。

 魔物が、咆吼した。
 絶叫した、と言った方が、近いかも知れない。
 今だ。
 セレスティの手が、唇が、動く。
 
『クリスタルレイン発動!』
 
 水晶の剣が、魔物の身を貫く。もちろん、まだ、死なない。だが、セレスティの顔には、確かに微笑があった。これでいい。死んだら困る。狙いは……「死」ではないのだから。
 
『付加効果:凍結』
 
 高く、仰け反ったような姿勢のまま、魔物の動きが、ぴたりと止まる。水晶剣が着水した箇所から、音を立てて冷気が広がっていった。
 巨大な化け物が、悪趣味な氷のオブジェと化して、道を作った。天井に穿たれた出口まで、魔物の体が、触手が、真っ直ぐに伸びて、階段の役割を果たす……。
 
「行きましょうか」
 セレスティが笑った。
「ゲームクリア、だな」
 啓斗が、いち早く、魔物の背をよじ登る。
「滑りますよ。気を付けて」
 その後を、のんびりと、森村が追いかける。
「本当に、このゲーム、レベル1なのか?」
 久遠が、いやに現実的な疑問を口にした。
 
 
 


【後日】

 このオンラインゲームを開発した、何とかいう会社から、参加者に向けて、手紙が送られてきた。
 お詫び状、と銘が打ってあるそれを、非常に嫌な予感を覚えつつ、封を切る。

「拝啓。この度は、我が社の誇るオンラインゲーム『Laborious Labyrinth LV1』へのモニター参加、まことにありがとうございます。こちらの些細な手違いで、LV1ではなく、いきなりLV20への参加と相成りましたこと、深くお詫び申し上げると共に……中略……つきましては、次回作にも、ぜひ皆様のお力をお貸し頂きたく……」

 二度と御免だ。

 このゲームに参加した全員が、間違いなく、そう思った。
 「Laborious Labyrinth LV∞」が、発売される日は…………たぶん、永遠に、来ないのかもしれない。





□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■   登場人物(この物語に登場した人物の一覧)  ■
□■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
【 名前 / 腕力 / 体力 / 魔力 / 敏性 / 属性 / 取得技能 】
先攻
【 守崎・啓斗 / 高 / 普 / 低 / 最高 / ? / 連撃:行動回数が増える】
【 森村・俊介 / 低 / 普 / 高 / 普 / 闇 / ディザスター:禁呪文。一度しか使えないが威力は破壊的】
【 相沢・久遠 / 普 / 普 / 高 / 普 / 炎 / ファイアストーム:低魔力、高威力の専用魔法。連発が可能】
【 セレスティ・カーニンガム / 低 / 最低 / 最高 / 低 / 水 / クリスタルレイン:高威力の水系攻撃魔法だが消費魔力が高い】

後攻
【 柏木・アトリ / 低 / 普 / 高 / 普 / 聖 / ディバインレイ:高威力の回復魔法だが消費魔力が高い】
【 槻島・綾 / 高 / 普 / 普 / 普 / 霊 / 衝破:自分の周囲に霊属性の衝撃波を放つ】
【 藤宮・蓮 / 高 / 普 / 最低 / 最高 / ? / 属性変化・破魔:死霊幽鬼系に特攻】
【 イヴ・ソマリア / 最低 / 低 / 高 / 高 / 魅了 / アミュレット:魔力を高める道具】

NPCさん
1:召喚レベル1・属性〜幻惑(獏くん・にしき様)
2:召喚レベル2・属性〜炎(朝野時人くん・浅葉里樹さま)
3:召喚レベル2・属性〜魅了(妖精さん’s・日向葵さま)
4:召喚レベル3・属性〜無(夜倉木有悟さん・九十九一さま)
5:召喚レベル3・属性〜破魔(橘兄弟・残間恒太さま)
6:召喚レベル3・属性〜霊(神威天征さん・紫苑西都さま)
7:召喚レベル4・属性〜聖(ユリウスさん・海月里奈さま)
8:召喚レベル4・属性〜水(弁天さま・神無月さま)
9:召喚レベル5・属性〜雷(篠原藤也さん・天瀬たつき様)
10:召喚レベル5・属性〜闇(ダリアさん・深海残月さま)

□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□
■         ライター通信          ■
□■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■□

ゲームです。ゲームの感覚でお読み下さい。普通のノベルではありません……。
最初から最後までバトルしています。それだけです。それ以外に何もありません……。
各PCさんの能力値は、こちらで割り出した数値を元に、決めました。
五段階評価です。「最低・低・普・高・最高」です。
ノベルは、実は、この数値に基づいて進んでいます。また、選んで頂いた三個の石の中で、最も相性の良い物を、使用召喚石としてライターの方で決めました。

ちなみに、このNPCさんたちの位置付けは、完全にパラレルワールドです。
今回のノベルの内容が、それぞれのNPCさん達の本来の物語に影響を与える事は、ありません。
夢物語として、流して下さい。

最後に、このどうしよーもない依頼に参加して下さったPCの皆様、どうしよーもない書き手に大切なNPCさんたちを快くお貸し下さったクリエイターの皆様に、心よりお礼申し上げます。
本当に、ありがとうございました。