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温泉だよ!クイズでドボン!=向坂嵐・男の勝負!〜蓮には負けない〜=
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スタンプの台紙を手に、同時にスタートする参加者達。
予め、最初に行きたい式霊の居場所だけ、由紀達からヒントを貰う事ができ、
嵐はスタート地点を出た場所で一度立ち止まり、後ろから出てきた相澤・蓮にニッと笑いかけた。
「さっきも言ったけど…勝った方が負けた方を1日こき使える…わかってるよな?」
「いいのかなあ?そんな事言っちゃって!勝つのは俺って決まってってのに!」
「よっく言うぜ!お前、女の子の扱い上手いからな…ズルは無しだぜ?」
「もちろんだ!正々堂々と勝負してこその男ってもんだ!」
二人並んで言い合いをしながら廊下を歩く二人。
「あの…それは良いんですけど、もう他の皆さん行っちゃいましたよ?」
「…ああ?!チッ…蓮にだけは絶対に負けねぇからな!!」
「その言葉、名前だけ嵐に変えてそのまま返すぜ!」
苦笑いの由紀に背後からツッコミを入れられてはじめて、はっと現状に気付き二人は走り出したのだった。
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『お早いお着きで何よりです…いつもお世話になっております…卯の式霊、月(つき)と申します』
「ああ、君が卯の式霊の月ちゃん…初めて会うのかな」
卯の式霊の月は、静かな物腰で神秘的な光を放っているようでやたらと神秘的に見えた。
まるでその名前そのものである月のような式霊だった。
『はい。わたしはあまり外には出ておりませんので…またお会いできましたら宜しくお願い致します。
それでは早速、問題を読ませていただきます…”兔シチュー”という単語が出てくるファンタジー映画のタイトルは?”』
「え…いきなりマニアックな問題だな…まあ、ファンタジーって点でロードオブザリング…とか?」
『正解です』
「え?マジで…?」
『はい。ではスタンプを押させていただきますので台紙をいただけますか?
それから、これ以降、正解するごとに次に行きたい式霊の居場所のヒントを聞くことができますので…』
「なるほど…それなら探しやすいな…」
『お気をつけて行ってらっしゃいませ』
にこやかに微笑む月に、嵐も同じように笑みを浮かべて軽く手をあげて挨拶する。
そしてそのまま急ぎ足で次の目的の式霊の居場所へと向かった。
※
丑の式霊、憂志(ゆうし)は蓬莱館の中庭でサッカーボールを転がしながら待っていた。
嵐の姿を見つけるとふっと笑みを浮かべ、蹴っていたボールを足で止めて。
『どうも。向坂さんだっけ?…じゃあ早速問題を』
「簡単なのを頼むぜ…さっきはいきなり難しい問題だったからな…なんとか正解したけど…」
『テレビ見てたらわかると思う簡単な問題ですよ…ウシとカエルのコンビのお笑い芸人の名前は?』
「あ、それなら!パペットマペットだな?」
『正解』
たまに蓮と飲み中の話題にも出てきた事があるだけあって、あっさりと答える嵐。
憂志はクールに笑いながら、”丑”の文字を二番目のマスに押す。
『次はどこに行きます?一箇所だけヒント言えるけど』
※
巳の式霊、大蛇(おろち)は、書庫と書かれた部屋で何故かのんびりと読書をしていた。
嵐が声をかけると、読んでいた本を閉じて別の本を差し出す。
それは幻想図鑑と書かれている本で、様々な空想上の動物をイラストにした本だった。
『ここに描かれている蛇のようで蛇でない太くて短い未だ見つかっていない幻の生物は何だ?』
「え?これって…ツチノコ…ですか?簡単すぎて捻りあるかもしれないけど…」
『やはり貴殿も正解か…これはあまりにも簡単だったな…』
ふう、と残念そうに大蛇は視線を落として嵐から台紙を受け取りスタンプを押す。
「俺もって事は、すでにもう誰かここをクリアしたって事、ですか?」
『詳しい事は言えないのでね…さあ、次のヒントを教えよう。頑張って最後まで見つけてくれ…』
※
酉の式霊の翼(つばさ)が居たのは裏庭にある大木の枝だった。
枝に腰かけて楽しそうに歌を歌っている様子は、人間の姿をしてはいるが羽根を生やしていて鳥の囀りのように聞こえる。
思わずその様子に見惚れ、聞き入ってしまっていた嵐だったのだが…
『コケコッコー!』
「って…ええ?!に、ニワトリっ!?」
『あ。ごめんなさい!いらっしゃったんですね!やだもう…恥ずかしいなあ…声をかけてくれれば…』
「いや、あの…えっと…」
『ま、いっか!では問題!2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルはなーんだ?』
「これも簡単だな…世界に一つだけの花、で」
『大〜正解♪じゃあスタンプと次のヒントをお教えしますねvさ、次はどこに行きたいですか?』
※
実に楽しそうな表情で待ち受けていたのは、司会でも張り切っていた焔だった。
『問題!”モンキーマジック”を歌ったバンドのメンバー名を最低二人答えてくれ!』
「いきなり問題かっ!?」
顔を見るなり出題して、嵐は一瞬戸惑って問題を聞き逃しそうになった。
しかしまあ問題の内容はまたしても少しばかりマニアックというか、時代を感じさせるものである。
「…ゴダイゴか…じゃあタケカワ・ユキヒデとミッキー吉野…かな?」
『正解っ!おめでとう!じゃあスタンプと次のヒントな…と、そういえば…相澤さんさっきクリアして行ったぜ』
「なんだとっ?あいつ…どの順番で行ってるんだ…」
『まあ俺は知ってるけどルール上言えないからな…とりあえず頑張れ!』
「…ああ…蓮だけには絶対に負けねえからな…」
※
『向坂さん、お疲れ様です』
「あれ?ああ、そうか…未来さんも式霊だから居て当然か…ガイドと兼任、大変だな…」
『楽しいですから。でもお気遣いありがとうございます。どうですか?ここまでの調子は?』
「一応、全問正解」
『凄いですね!それではわたしからの問題です…ヒツジは英語でSheep、ではヤギは?』
問われた瞬間、嵐はピシっと固まった。
今までのようなエンターテイメント的なクイズ問題なら得意ではある嵐だが…
「え゛!?英語問題ッ?!……や、ヤギ?…ヤギだろ…待てよ…ヤギと言えば…ユキちゃん…?」
『…アルプスの?せっかく全問正解だったんですけど残念ですけど不正解です』
「ま、まあそうだろうな…まさか英語問題が出るなんて…」
『ごめんなさい…あ、でも向坂さんにはお世話になっていますから特別に次のヒントだけはお教えしますね』
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『お疲れ様です。お待ちしておりました』
嵐が近づくと、一人の青年がすらっと立ち上がって頭を下げる。
「あ、えーっと…もしかして戌の式霊?」
『太郎と申します』
「どうも、向坂です」
『では問題に行きますね?”ポチたま”に出てくる名物犬(ラブラドール・レトリーバー)の名前は?』
「これも貰った!ポチたまは、たまに見てるんだよ…答えは”まさお”だな」
『正解です。スタンプとヒントをどうぞ…』
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終盤に差し掛かり、ちょっと休憩をとロビーに座っていると、前方の渡り廊下を蓮が横切っていく。
スタンプ台紙を手にした蓮は、どうやらまだ全て終わっていないらしくきょろきょろと探している様子だった。
まだ休んでいたい気持ちもあるのだがゆっくりしていると負けてしまうかも…という思いにかられ立ち上がった。
※
亥の式霊、瓜亥(うりい)は、なんとも意外?な場所にいた。
それはスタート地点である部屋を出てすぐの場所にあったお手洗いの前。それはさながら花子さんのように見えた。
「あれ?確かこないだの仕事で…」
『そう。瓜亥。知ってるよ。嵐にいの事…』
「やっぱりそうだよな…じゃあ瓜亥ちゃん、問題頼むぜ?」
『あのね…瓜亥、よくわからないの…でも、焔にいがこれを見せろって言ったから…
そう言って差し出したメモに書かれていたのは…”イノシシの肉を使った鍋ってなんて言う?”という問題だった。
「…イノシシの肉と言えばボタン鍋か?」
『そうだよ』
にこっと微笑んで、瓜亥は嬉しそうに嵐の台紙にポン!とスタンプを押して。
※
『よーっし!来た来たっ!待ってましたっ!って言うか待ってるのめんどくせーんだけど…
でもこういうゲームって楽しいよな♪じゃ、問題!』
実に楽しそうな満面の笑みで嵐を手招きする午の式霊、宇摩(うま)。
「え、偉くテンションが高いな…」
『楽しいからな♪問題は簡単だぜ!”連敗し続けて人気の高知競馬の馬の名前は…?”』
「っしゃあこれも頂き!ハルウララ!」
『正解っ!そいじゃスタンプとヒントな!』
午の式霊、宇摩はニッと笑みを浮かべると嵐に「頑張れ!」と手を振って彼を見送ったのだった。
※
「次は子だな…って事は…」
『お待ちしておりました向坂様』
「やっぱり子々ちゃんだったな」
子々(ねね)は比較的わかりやすい場所、憩いの部屋と言う卓球台や雑誌やらが置いてある部屋に座っていた。
和室の座布団に座っている姿を見るとまるで座敷童のように見える。
『先日は本当にお世話になりました…では問題を出させていただきます。
鼠をモチーフにしたキャラクターで、”黄色”や”電気”と言えば何でしょう?』
「黄色い電気ネズミと言えば…答えは…ピカチュウだろ…?」
『正解です…それではスタンプとヒントを…もう少しですね、頑張って下さいませ』
※
蓬莱館には何故か剣道場のような場所が渡り廊下で繋がって作られており、辰の式霊、達(たつ)はそこに居た。
老剣士のような風貌で正座したまま目を閉じ、嵐が近づいてもまったく反応を示さなかった。
「あの…向坂って言うんだけど、出題はあんたが…?」
『よく来た…問題はそちらに用意してある…』
言われて見ると、壁に縦長の半紙に墨で書かれた問題がかけられていた。
”俳優、古谷一行の息子が所属していたミクスチャーバンドの名前は?”
「…古谷…?ドラゴンアッシュか…?」
『その通り。台紙をここに』
達はそれまでの式のスタンプと違って、やたらと高価で重そうな象牙のハンコを懐から取り出し、
台紙に朱肉を使ってゆっくりしっかりと”辰”の判を押した。
『うむ、次で最後のようだな…心して行かれよ!』
※
『嵐ぃ〜!遅かったやないかー!待っとったで〜!』
寅の式霊、大河(たいが)は、何故か縦縞のユニフォームに黄色いハッピを着てメガホンを手に待っていた。
「最後にと思ってたんだよ…それよりお前…その格好…他球団のファンが居たら怒るだろ?」
『気が引き締まるで!大丈夫やって!ほんまの野球ファンはそれっくらいで怒らへんって!
ほんなら問題行くで?我らが阪神タイガースの現在の監督は誰や!?』
「我らがって…まあでも、これは簡単だな…岡田監督」
『さすが嵐ー!それでこそ俺の心の友やー!大正解っ!偉いっ!』
大河は何故かメガホンを叩きながら狂喜し、首から提げたストラップからスタンプをポンと押した。
『これで終わりやな?ほんならゴールはスタートの場所やから…』
「あ、なあ大河。蓮の奴はもうここは通ったのか?」
『相澤さんなら早い段階で来てたで?二番目にここに来たみたいやったからなあ…』
「そうか…だったら今の場所はわからないって事だな…サンキュー!じゃあゴールに向かうぜ」
『おう!応援しとるでー!レッツゴーアラシッ!」
やたらテンション高くメガホンを打ち鳴らす大河に苦笑いを浮かべつつ、嵐はゴールへと走り出したのだった。
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温泉入浴後の宴会前に、宴会場にて全ての結果が貼り出された。
今回のクイズでドボン!のランキングは以下である。
:Rnking:
1位*西王寺・莱眞(12問中12問正解)
2位*シュライン・エマ(12問中12問正解)
3位*天薙・撫子(12問中11問正解)
4位*向坂・嵐(12問中11問正解)
5位*石神・月弥(12問中11問正解)
6位*冠城・琉人(12問中9問正解)
7位*相澤・蓮(12問中8問正解)
8位*如月・縁樹(12問中8問正解)
9位*新堂・愛輔(12問中7問正解)
10位*松岡・吾郎&夢野千尋チーム(12問中4問正解)
ルールに則り、10位と9位の3人は温泉には入ることが出来ず、
罰ゲームとして部屋に備え付けのお風呂に入ることとなったのだった。
まあ、それはそれで思い出にはなったのかもしれないが…。
→→→GotoMainStory…
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■ 登場人物 ■
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【2295/相澤・蓮(あいざわ・れん)/男性/29歳/しがないサラリーマン】
【2380/向坂・嵐(さきさか・あらし)/男性/19歳/バイク便ライダー】
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■ ライター通信 ■
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こんにちわ。この度は【高峰温泉〜神城便利屋番外編〜】に参加いただきまことにありがとうございました。
異界でのお話の番外的なお話だったのですが、多くの方に参加いただけて嬉しかったです。
特に、お世話になっている方々と集ったり懐かしい方との再会もでき、ライターとしてもNPC達としても喜んでおります。
個人的に今回のお話は番外、と言うことで色々とハメを外す感じで遊び心満載で書かせていただきました。
キャラ違う!という方もいらっしゃるかもしれませんが…番外と言うことでお許し下さいませ。
何はともあれ、楽しんでいただけていたら幸いです。
それから、これは謝罪になるのですが、オープニングの文章のクイズにおいて、
◇酉:2003年の第24回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
…と、記載しておりましたが、正しくは…
◇酉:2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
です。お詫びと共に訂正を記載させていただきます。惑わせてしまいまして申し訳ありませんでした。
また、皆様とお会いできるのを楽しみにしております。
:::::安曇あずみ:::::
※今回は文字数の事を考え個別のコメントではなく共通のコメントにさせていただいております。(一部を除く)
※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>
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