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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


囚われの女神を助けてくださいませんか? 〜in高峰温泉〜

ACT.SPECIAL■海原みなもさま接待計画〜弁財天宮にようこそ〜

 高峰温泉より帰還後の、某月某日。
 井の頭公園内の弁財天宮を訪れた、ひとりの少女がいた。
 
 =====蓬莱館・偽(期間限定)=====
 
 看板を見てにっこり微笑み、声をかける。
「弁天さま。お招きありがとうございます」
「おお、みなも。よく来てくれたな。ささ、こちらへ」
 みなもを出迎えたのは、蓬莱のコスプレをした弁天であった。
 普通の人間ならば、一礼して去り、何もなかったことにするところだが、我らが人魚姫はそんな小物ではない。
「わあ。お似合いです、弁天さま」
「――そう言ってくれるのはおぬしだけじゃ」
 弁天なりに、ちょっと無理があるとは思っていたようである。
「今日はホステスつきの宴席を設けてあるゆえ、楽しんでいくがよいぞ」
 弁天はみなもを、弁財天宮地下1階接待用客室『コスプレイヤーの間』に案内した。
 入るなり、薔薇の香りに満ちた女性たちの歓迎を受ける。
「みなもー。いらっしゃーい」
「お疲れさま。よく頑張ったわね」
「今日は制服なのね?」
 彼女らは、夢魔とスキュラとラミア。エル・ヴァイセの後宮にいたのだが、内戦中に闇のドラゴン陣営に身を寄せ、共に亡命した幻獣たちである。正確な名前はこの世界では発音不能なため、弁天が勝手に、アケミ、シノブ、ミドリと命名している。
「アケミさん、シノブさん、ミドリさん。この前は、素敵な指輪と腕輪と首飾りを、ありがとうございました」
 ぺこりと頭を下げたみなもを、3人はそれぞれに頭を撫でる。
「どういたしまして。役に立って良かったわ」
「良かったら、あげるわよ」
「ほらほら、座って座って。今日は弁天さまの大盤振る舞いなんだから。何から飲む?」
 よしよし、接待の出だしは順調……と、弁天はほくそえむ。
(和やかに談笑が進んだところで、頃合いを見計らい、おもむろに報酬の値下げを頼むのじゃ。可愛いみなもに策を弄するのは気が引けるが……許せ)
 しかし。
 弁天は、思いがけないところでつまずくことになる。

「ねえ。露天風呂で弁天さまと水芸したんですって? どうだった?」
 
 アケミはさりげなく言い、みなもも明るく答える。
「楽しかったですよ。あのね、弁天さまが……」
「わー。わー。し〜〜〜〜っ。それはみなもとわらわだけの秘密じゃ!」
 後ろから慌てて、みなもの口を塞く。
 弁天は水芸のさい、芸の神としてあるまじき失敗をしたのである。さいわい、ギャラリーには感づかれず、知っているのはみなもだけなのだが。

『女性用2番(偽)』の浴衣を着た赤い髪の夢魔と、『女性用1番(偽)』の褐色の髪のスキュラと、『女性用5番(偽)』を選んだ緑の髪のラミアに怪訝な目で見られ、ダンピング交渉どころではなくなった弁天であった。


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■   登場人物                  ■
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【1252/海原・みなも(うなばら・みなも)/女/13/中学生】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは。神無月です。いつもありがとうございます。
この度は、とんでもないシナリオに勇気をふるってのご参加、まことにありがとうございます。
初期の予定では二手に分かれるつもりでしたが、みなもさまには戦闘を避けていただきたいと思い、水路を進んでいただきました。
……水芸で何があったのかは、ライターにも謎です(笑)