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温泉だよ!クイズでドボン!=石神月弥・クイズの旅=
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スタンプの台紙を手に、同時にスタートする参加者達。
予め、最初に行きたい式霊の居場所だけ、由紀達からヒントを貰う事ができ、
月弥はそのヒントを元に、とりあえず干支を逆から回ってみることにした。
温泉にはそうこだわりがあるわけでもなく、館内をゆっくりと見て回ったり、
懐かしい人たちと話が出来ればそれで…そう思いながらのスタートだった。
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亥の式霊、瓜亥(うりい)は、なんとも意外?な場所にいた。
それはスタート地点である部屋を出てすぐの場所にあったお手洗いの前。それはさながら花子さんのように見えた。
「やあ、久しぶりだね、瓜亥」
『あ〜!月弥だ〜!つくも神の月弥〜!』
「元気そうで安心したよ…あれから会ってなかったから…気にはなってたんだけどね」
『大丈夫。瓜亥、忙しいのはわかる…でも、問題の事はよくわからないの…焔にいがこれを見せろって…』
そう言って差し出したメモに書かれていたのは…”イノシシの肉を使った鍋ってなんて言う?”という問題だった。
「…ボタン鍋?」
『あ、そう!それー!月弥一番に正解ー…あのね、正解したらスタンプ押すの』
にこっと微笑んで、瓜亥は嬉しそうに月弥から台紙を受け取るとポン!とスタンプを押して。
『それからね…正解したら次に行きたい式霊の場所をひとつだけ聞けるの。どこがいい?』
「そうだな、どうしよっかな…やっぱり最初の予定通り干支の逆順で…」
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『…お待ちしてましたよ…お久しぶりです、石神さん』
「俺のこと知ってたっけ?えっと…誰だろ…式霊の中の一人って事は確かなんだけど…えっと…」
『あはは…やっぱり人間の姿だとわかりませんか?太郎です…戌の式霊の太郎です』
「えっ?!って、あの子犬だったり怪獣並みに大きくなったりした…あの?!」
『…はい、その太郎です…その節は本当にお世話になりました…。では早速ですが問題に入りますね?
”ポチたま”に出てくる名物犬(ラブラドール・レトリーバー)の名前は?』
「それならいつも見てるよ…まさお君だよね」
『正解です。ではスタンプと次のヒントをどうぞ…』
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月弥は必死で次の酉の式霊の翼(つばさ)を探したのだが、いくら探しても見つからなかった。
きちんともらったヒントを元に探してもみたのだが…やはりどこにみ見当たらなかった。
右往左往としているうちに、いつの間にやら酉を通り越して…
※
「あれ…?焔さん…」
行き着いた先で実に楽しそうな表情で待ち受けていたのは、司会でも張り切っていた焔だった。
『ご苦労様!じゃあ問題!”モンキーマジック”を歌ったバンドのメンバー名を最低二人答えてくれ!』
「えっ!それってもう問題に入ってる?!」
顔を見るなり出題されて、月弥は一瞬戸惑って問題を聞き逃しそうになった。
しかしまあ問題の内容は聞き取れたのだが少しばかりマニアックというか、時代を感じさせるものである。
「西遊記の曲のだよね…って事はゴダイゴだから…トミー・スナイダーとスティーブ・フォックス」
『石神さん、なかなかマニアなとこ突いてきましたね?正解!』
「思いついたのがその二人だったから…」
『それじゃあスタンプと…次の式霊の場所だけど…誰がいい?』
※
『お久しぶりです石神さん!そしてお疲れ様です』
「えっと、未の式霊の未来さんだったよね。浴衣とてもよく似合ってるね…」
『ありがとうございます…褒めてもオマケはありませんからね?』
くすっと微笑んで未来は一つ咳払いをして。
『それではわたしからの問題です…ヒツジは英語でSheep、ではヤギは?』
「Goatだね?」
『正解です!それじゃあスタンプと、ヒントを…』
楽しそうに台紙にスタンプを押す未来を見ながら、月弥も楽しくなってくる。
初めて出会った時は事件絡みの出会いで、こんな風にのんびりとする事など出来なかったのだ。
だから余計に、楽しみと嬉しさが混ざったような気分になっていた。
※
『よーっし!来た来たっ!待ってましたっ!って言うか待ってるのめんどくせーんだけど…
でもこういうゲームって楽しいよな♪じゃ、問題!』
実に楽しそうな満面の笑みで月弥を手招きする午の式霊、宇摩(うま)。
「宇摩ってストレートだよな、相変わらず」
『曲がった事は嫌いだぜ?なんてな!じゃあ問題!”連敗し続けて人気の高知競馬の馬の名前は…?”』
「これ間違えたらちょっとね…答えはハルウララ」
『その通り!正解っ!そいじゃスタンプとヒントな!』
午の式霊、宇摩はニッと笑みを浮かべると月弥に「頑張れ!」と手を振って彼を見送ったのだった。
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巳の式霊、大蛇(おろち)は、書庫と書かれた部屋で何故かのんびりと読書をしていた。
月弥が声をかけると、読んでいた本を閉じて別の本を差し出す。
それは幻想図鑑と書かれている本で、様々な空想上の動物をイラストにした本だった。
『ここに描かれている蛇のようで蛇でない太くて短い未だ見つかっていない幻の生物は何だ?』
「ツチノコ」
『正解だ…あっさりと答えたな…あまりにも簡単だったか』
ふう、と残念そうに大蛇は視線を落として月弥から台紙を受け取りスタンプを押す。
『…さあ、次のヒントを教えよう。そろそろ後半のようだな…』
※
蓬莱館には何故か剣道場のような場所が渡り廊下で繋がって作られており、辰の式霊、達(たつ)はそこに居た。
老剣士のような風貌で正座したまま目を閉じ、月弥が近づいてもまったく反応を示さなかった。
「何か見える?俺は目を閉じると月が見える事があるよ…綺麗な蒼い月がね」
『我が目には今は何も…よく来て下さった…その節は世話になった…問題はそちらに用意してあります…』
言われて見ると、壁に縦長の半紙に墨で書かれた問題がかけられていた。
”俳優、古谷一行の息子が所属していたミクスチャーバンドの名前は?”
「ドラゴンアッシュ?」
『その通り。さすが…答えに迷いが無い…さあ、台紙をここに』
達はそれまでの式のスタンプと違って、やたらと高価で重そうな象牙のハンコを懐から取り出し、
台紙に朱肉を使ってゆっくりしっかりと”辰”の判を押した。
『…次は誰の元へ向かうか?心して行かれよ!』
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『その節は大変お世話になりました石神さま…月(つき)でございます』
「やあ…あの時は助けて貰ったよね…覚えてるよ」
改めて見る卯の式霊の月は、静かな物腰で神秘的な光を放っているようでやたらと神秘的に見えた。
まるでその名前そのものである月のような式霊だった。
『では早速問題を読ませていただきます…”兔シチュー”という単語が出てくるファンタジー映画のタイトルは?』
「ロードオブザリング」
『…簡単でしたか?』
「こないだうちの保護者が借りてきたDVD見たとこなんだ…あれだよね、二つの塔だね」
『はい。その通りです…ではスタンプを押させていただきますね…それから次のヒントを…』
※
『いらっしゃ〜い!待っとったで〜!』
寅の式霊、大河(たいが)は、何故か縦縞のユニフォームに黄色いハッピを着てメガホンを手に待っていた。
「大河の周辺だけ、まるで甲子園だね」
『おー!ええ事言うなあ石神さんっ!甲子園はもっと凄いけどな!でもさすがや!
いや、あの時はほんま、お世話になりました…早速、問題行きまっせ!我らが阪神タイガースの現在の監督は誰や!?』
「岡田彰布」」
『フルネームッ!!石神さん最高やで!兄貴と呼ばせてもらいたいッ!大正解っ!偉いっ!』
「そんな大袈裟な…」
大河は何故かメガホンを叩きながら狂喜し、首から提げたストラップからスタンプをポンと押した。
『ほんなら正解者への特典や!次に行きたいんは誰や?』
※
丑の式霊、憂志(ゆうし)は蓬莱館の中庭でサッカーボールを転がしながら待っていた。
月弥の姿を見つけるとふっと笑みを浮かべ、蹴っていたボールを足で止めて。
『あの時はお世話になりました…お陰でこうして皆、楽しんだりできています』
「皆そう言ってくれるけど、あれは俺だけの力じゃないからね…」
『それでも感謝してます…では問題に行きますね?ウシとカエルのコンビのお笑い芸人の名前は?』
「パペットマペット」
『正解』
憂志はクールに笑いながら、”丑”の文字のスタンプを押す。
『もしかして次で最後ですか?頑張って下さいね…』
※
『お待ちしておりました、石神様』
「えっと確か子々さんだったっけ?」
子の式霊の子々(ねね)は比較的わかりやすい場所、憩いの部屋と言う卓球台やらが置いてある部屋に座っていた。
和室の座布団に座っている姿を見るとまるで座敷童のように見える。
『あの時のことやお礼や色々とお話をしたい所ですが…時間の事もありますし、問題を出させていただきます。
鼠をモチーフにしたキャラクターで、”黄色”や”電気”と言えば何でしょう?』
問題は別の誰かが考えたのか、子々は手に持ったメモを読みながら言う。
「黄色い電気ネズミって…どれだ…ピカチュウ?ライチュウ?それともピチュー?もしかして…」
『ピカチュウで正解です。ではスタンプを…』
子々は台紙にスタンプを押すと、全てを確認して。
『翼が見つけられなかったようですね…時間内であればもう一度探しに行かれても構いませんので…
もしこれで終わるのなら、ゴールはスタートと同じ場所です…いずれにせよ頑張って下さい』
「そうだね…ありがとう」
月弥は台紙を手にすると、しばしどうするか悩む。
翼を再度探しに出ても良いのだが、ゴールしてのんびりとしていたい気持ちの方が僅かに勝っていた。
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温泉入浴後の宴会前に、宴会場にて全ての結果が貼り出された。
今回のクイズでドボン!のランキングは以下である。
:Rnking:
1位*西王寺・莱眞(12問中12問正解)
2位*シュライン・エマ(12問中12問正解)
3位*天薙・撫子(12問中11問正解)
4位*向坂・嵐(12問中11問正解)
5位*石神・月弥(12問中11問正解)
6位*冠城・琉人(12問中9問正解)
7位*相澤・蓮(12問中8問正解)
8位*如月・縁樹(12問中8問正解)
9位*新堂・愛輔(12問中7問正解)
10位*松岡・吾郎&夢野千尋チーム(12問中4問正解)
ルールに則り、10位と9位の3人は温泉には入ることが出来ず、
罰ゲームとして部屋に備え付けのお風呂に入ることとなったのだった。
まあ、それはそれで思い出にはなったのかもしれないが…。
→→→GotoMainStory…
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■ 登場人物 ■
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【2269/石神・月弥(いしがみ・つきや)/男性/100歳/つくも神】
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■ ライター通信 ■
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こんにちわ。この度は【高峰温泉〜神城便利屋番外編〜】に参加いただきまことにありがとうございました。
異界でのお話の番外的なお話だったのですが、多くの方に参加いただけて嬉しかったです。
特に、お世話になっている方々と集ったり懐かしい方との再会もでき、ライターとしてもNPC達としても喜んでおります。
個人的に今回のお話は番外、と言うことで色々とハメを外す感じで遊び心満載で書かせていただきました。
キャラ違う!という方もいらっしゃるかもしれませんが…番外と言うことでお許し下さいませ。
何はともあれ、楽しんでいただけていたら幸いです。
それから、これは謝罪になるのですが、オープニングの文章のクイズにおいて、
◇酉:2003年の第24回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
…と、記載しておりましたが、正しくは…
◇酉:2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
です。お詫びと共に訂正を記載させていただきます。惑わせてしまいまして申し訳ありませんでした。
※石神様のプレイングに、酉に関しての回答の記載がありませんでしたので、
今回は見つけられなかったとして執筆させていただきました。
もし、上記の記載が原因での欠落でしたら本当に申し訳ありませんでした。(汗)
また、皆様とお会いできるのを楽しみにしております。
:::::安曇あずみ:::::
※今回は文字数の事を考え個別のコメントではなく共通のコメントにさせていただいております。(一部を除く)
※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>
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