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高峰温泉名物?・謎の船盛り
<お土産は小瓶の中>
我が家へと帰り着いた柚品弧月(ゆしなこげつ)は、少々疲れていた。
いつの間にか終わっていた温泉旅行。
思い出を作る暇もあればこそ、ましてやお土産すら買う暇は全くなかった。
自分がなぜ温泉で倒れていたのかも皆目見当がつかない。
とりあえず、暇だけが残った。
ひとまず、服でも着替えてお茶でも入れようか・・・。
突然の空白の時間を、柚品はひとまずお茶を飲みながらどう過ごすかを考えることにした。
ジャケットを脱ぎ、ベット代わりのソファへと投げる。
と、パラパラと何かが落ちる音がした。
「?」
ジャケットに何か入れた覚えはないが・・・柚品は投げたジャケットを拾い上げ、床を調べた。
拾い上げたジャケットの下に、きらりと光るものがあった。
「・・・うろこ?」
少し硬い銀色に光る小さな物体。
ジャケットのポケットを探ったが、意外にもそれが落ちてきた場所はどうやら袖口の内側からだったようだ。
振るとまだパラパラと落ちてきた。
魚と戯れた覚えはない。
だが、もしかしたらこのうろこが柚品の途切れた記憶を知っているのかもしれない。
柚品はそれをそっと手で包み静かに目を閉じた。
流れてくる記憶・・・。
ツアー参加者の功刀渉(くぬぎあゆむ)・郡司誠一郎(ぐんじせいいちろう)・観巫和(みかなぎ)あげは・丈峯楓香(たけみねふうか)の姿。
みな一様に銀色のうろこを半身にまとい、温泉の中を泳いでいる。
その中には、自分の姿も・・・。
柚品はぼんやりと思い出していた。
高峰沙耶はなんと言っていただろう?
確か・・・『不老不死の伝説がたくさんある』と言ってはいなかっただろうか?
そして、この銀色に光るうろこの記憶。
半身が魚の、自分の顔をした人魚・・・。
柚品は立ち上がり、入れ物を探した。
小さな小瓶を見つけると、うろこをその中へと詰めた。
キラキラと光るうろこが小さな瓶の中に秘密を抱えた。
「不老不死伝説のある温泉宿のお土産としては、なかなか冗談が効いてるかな?」
柚品はその小さな瓶にふたをして、どこからともなく持ってきた金具を器用につけた。
1人分の小さなお土産が出来た。
柚品はその小さな瓶を光にすかしながら、これをあげたら喜ぶだろうか? と、考えていた・・・。
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■ 登場人物 ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
2346 / 功刀・渉 / 男 / 29 / 建築家:交渉屋
1582 / 柚品・弧月 / 男 / 22 / 大学生
2152 / 丈峯・楓香 / 女 / 15 / 高校生
2129 / 観巫和・あげは / 女 / 19 / 甘味処【和(なごみ)】の店主
2412 / 郡司・誠一郎 / 男 / 43 / 喫茶店経営者
1657 / 二見・桐香 / 女 / 16 / 女子高校生(隠れ魔族)
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■ ライター通信 ■
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柚品弧月様
またお会いでき、嬉しい限りです。
このたびは『高峰温泉名物?・謎の船盛』へのご参加ありがとうございました。
コメディ傾向・・・だったはずだったんですが、どこをどう間違ったのか・・・?(^^;
今回はライター側としても少々いつもと勝手が違い、試行錯誤でこのような形となりました。
こちらのノベルは後日談という形になっております。
完全にプレイングからは外れてしまっておりますので心配ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。
そして、唯一のお土産は誰の手に行くのか・・・?
それは柚品様のお気持ちしだいということで。(^^)
それでは、またお会いできる日を楽しみにしております。
とーいでした。
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