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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


まったりしましょうよ。


 第二人格に身体をゆだねている汐耶は湯治が終わってもなかなか活動的だった。普段は表に出ない性格だけに、いざ外の世界に出てみると見るものすべてが珍しいようだった。特に本や雑誌などからしか得たことのない存在を生で感じることができるとあって、温泉のお湯は何度もすくってその効用やぬめりなどを確認していた。普段では気にもしないことをじっくり観察する彼女から学ぶ点は意外に多い……汐耶はそう考えていた。
 しかし、自分の持つ知識とイメージが合致しないものに関しては否定で関心が薄いようだ。さっき知り合いが乗って嬉しそうにしていたあの珍妙な形をしたマッサージ機がそれだった。知り合いの彼は『こんなに気持ちのいいものはこの世にない』と言っていたが……だいたい彼女にとってマッサージとは何ぞやというのが疑問だった。とりあえず試しに食べていたソフトクリームを平らげ、ゆっくりとその椅子に座る。確かに椅子は椅子だ。言葉の定義通りでごく当たり前のものだ。そしていよいよスイッチをオンにしてそれを動かし始める……

  ウィーーーム、ウィーーーム、ウィーーーーーーーム……………

 「肩と腰と……背骨のあたりを重点的に揉みほぐすのね。ただ……なんだかたくさんの手があってそれが動いてるようにも思えるわ。機械っぽいといえば機械っぽいけど……やっぱり彼の意見はあんまり重要視できないわね。なんてったって酔っ払いだったし。」

 しっかりと文句は言うものの、彼女はそこから離れようとはしない。そこそこ気に入ったらしく、しばらくそこでゆっくりすることにした。本当は周囲が寝静まらないうちにおみやげなどを物色するつもりなのだが、思った以上にこの感触が楽しいらしい。癒しを求める人間が買い求める旅行案内に目を通したことがあるが、なんとなく彼らの気持ちがわからないでもない。肉体的にも精神的にも一度に疲労が回復するのなら、やはりこういう場所は重宝されるのだろう。彼女は目を閉じながら自分なりの結論を導き出していた。

 「こういう場所はひとりで来てもいいものね。今回は知り合いがたくさんいてそれはそれでよかったけど。また静かな場所を選んで行きましょうか。」

 誰に向けて言ったセリフかはわからない……だが彼女はそう言うと少しずつウトウトし始めた。椅子に座るまではあれほどまでに警戒していた物体なのに、今ではもう虜である。そんな彼女のことを汐耶は面白そうに見ているのだった。


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■   登場人物                  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

1449/綾和泉・汐耶   /女性/ 23歳/都立図書館司書


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■         ライター通信          ■
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高峰温泉でのまったりの旅、参加された皆さんいかがだったでしょうか?
胸ときめく出会いあり、楽しい食事あり、ゆったりとした湯治ありと……いろいろありましたね。

今回は同時にご参加された場合でも、それぞれのノベルをご用意しました。
同じ内容でも視点が違ったり描写が違ったりします。その辺もお楽しみに!
汐耶さんはお知り合いに出会うし、いろんなものに触れられるし。貴重な体験できましたか?(笑)

今回は本当にご参加ありがとうございました! また依頼やシチュノベでお会いしましょう!