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囚われの女神を助けてくださいませんか? 〜in高峰温泉〜
ACT.SPECIAL■奉丈遮那さま接待企画〜弁財天宮にようこそ〜
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前略 奉丈遮那どの
高峰温泉より帰還後、如何お過ごしか?
さて。用件は他でもない。
某月某日某分。弁財天宮に来るように。
わらわとハナコが美しく装って、おぬしを心ゆくまで接待しようほどに。
良いか! 1分たりとも遅れずに来るのじゃぞ!
では、待っておる。
by弁天(はぁと)
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「脅迫状……?」
その文面の第一印象からそう思ったとしても、いったい誰が遮那を責められようか。
しかし、よくよく見れば『接待』の文字がある。
弁天と井の頭動物園の管理者に装われて侍られても、嬉しいかどうかは見解の分かれるところであろうが、少なくとも遮那はそんなマニアックではない。
だが、断ると後が怖そうではある。
仕方なく、遮那は某月某日某分きっかりに、井の頭公園へと出向いたのであった。
「おお、遮那。よく来てくれたな。さあ、そこにお掛け。今、飲み物を持ってこようほどに。何が良いかの?」
「やっほー。初めましてー。ハナコでーす。ねえ、遮那くんってなぞなぞとか好き?」
弁財天宮の前には、『蓬莱館・偽』という看板が立てられていた。
そして看板の横に、いきなり弁天とハナコがいたのである。
遮那は思わず引いたが、勇気をふりしぼって中に入った。
そして通されたのは、地下1階接待用客室『タロットの間』。
接待役は、蓬莱のコスプレをした弁天。
これだけでも何だかなーなのに、ハナコまでもが……小さな身体に蓬莱の衣装をつけているのであった。
『ちび蓬莱』と、ハナコは主張している。
(……帰りたい)
そう思っても、口には出せない。しかし遮那には、この接待の目的がわかっていた。
「あのう、弁天さま。勇者の報酬の件なら、絶対ダンピングに応じちゃいけないって、シュラインさんから言われてます……」
「ほおう」
弁天はぴくりと眉を動かしたが、また笑顔を作った。
「……楽しくないかえ?」
「なぞなぞ、きらい?」
「わらわの接待では不満か?」
「ねー。ハナコ、可愛くなーい?」
「そ、そんなことないです。あの、ハナコさん。先日は世界象のショールをありがとうございました」
ぺこりと頭を下げる遮那に、弁天は含み笑いをする。
「無理せずとも良い。恋する少年は、最愛の彼女以外の女性は目に入らぬものじゃ。たとえそれがヴィーナスもかくやとばかりの女神でもな」
「はあ……」
「好きな娘御がいるのであろう?」
「え、あ。はいっ」
反動で答えてしまい、遮那は真っ赤になる。
「可愛い子なのじゃな」
「はいっ!!!」
「ラブラブになりたいと思わぬか?」
「それは……思います」
「うむ! それではわらわが全力でプッシュしてしんぜよう」
弁天はぐいと遮那に詰め寄った。
「その娘御のデータを教えるが良い。髪の色や瞳の色や肌の色や、体型に身長に口調、特殊能力隠し能力などじゃ。ちなみにバストアップ写真はあるのかえ?」
「えっと。たしか、全身写真なら……。あと、一緒に撮ったピンナップも持ってます」
「よろしい。それではわらわが、恋をかなえる100の方法を逐一指南しようぞ」
――遮那くん、ピーンチ。
どうか、弁天の魔の手から逃げられますように。
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■ 登場人物 ■
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【0506/奉丈・遮那(ほうじょう・しゃな)/男/17/占い師】
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■ ライター通信 ■
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初めまして。神無月です。
この度は、とんでもないシナリオに勇気をふるってのご参加、まことにありがとうございます。
遮那さまがお召しになった浴衣、一番女の子っぽい色合いですよね。お友だち(?)の遊び心がうかがえます。
勇者業務、お疲れさまでした!
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