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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


温泉を支配する者たち!


 アインは満月のせいで強制的に銀狼状態になってしまっている大神の背中を洗ってやっている最中だった。彼は右半分を、そして風宮が左半分を担当していた。またこの毛並みというのがなかなか長くて、洗うにもそこそこの根性が必要だった。あんまりにも地味な作業なので自分の加速装置を使って高速で全身を洗ってやろうかとも考えたが、その時に発生するタオルやらなんやらの摩擦で大神の毛に火がついたらそれこそ大惨事になる。仕方なしに地味な作業をゆっくりと行っているのだった。
 そう言えば隣にいる風宮も超加速の使い手だったはずだ。ある事件で能力を開花させた男も超加速を身につけていたし、間違いないだろう。アインは彼がいったいどれくらい早く動けるのかを実験するために高くなった大神の耳元に向かって小さく囁いた。

 「あの、ちょっとお願いがあるんだけど……」
 「ああ〜〜〜、気持ちいい〜〜〜〜〜。あ、ああ、なんですか?」
 「ちょっとね……手が滑ったとか言いながら湯船に向かってせっけんを飛ばしてくれるかな?」
 「そんなことしたら、風宮さんに起こられますよぉ。」
 「これは実験だから。爪の長い君なら完全な言い訳ができるだろ。とにかくちょっとやってほしいんだ。」
 「わかりましたよ……いったい何を試したいんだか……」

 さすがにそこまで長々と喋っていると相手に勘付かれる……そう思ったアインは話を途中で切って作戦の実行を待った。すると意外にも早く大神は行動に移った。

 「あっ、しまった。」

 言うが早いか、せっけんは地面をスキーのように滑って湯船に向かって一直線。その勢いは止まらずそのままポチャンと落ちてしまうかと思われた。
 しかしその時、アインが加速装置でせっけんを追っていた! そう、彼は風宮との早さ比べをしたかったのだ! 今にも落ちそうなせっけんをつかもうとしたその瞬間、横から青く長い髪を揺らしながらわずかの差で風宮がせっけんをキャッチして元いた場所に落ちつこうとしているではないか……その早さは明らかにアインを凌ぐものだった!!

 「な、なんだって!!」

 「大神さま、もう少しでせっけんが湯船に入ってしまうところでしたよ。お気をつけ下さいね。」
 「は、はい。ごめんなさい……」

 アインはせっけんが転がったあたりで加速を止めてしまったため、ひとり湯船の近くにしゃがんでいた。しかし風宮は元の場所まで余裕で戻っている。その時、アインは風宮の能力のすべてを見切った。

 『違う、俺は勘違いをしていた。風宮の能力は正確には「加速」と呼べるものじゃない。周囲の時の流れを極限まで遅らせることで早く動いているように錯覚させているんだ。奴は何も早く動いていない……ただ普通に歩き、普通に戻っていっただけだったんだ。それに俺は負けた。風宮がどこまで時間を遅らせることができるかにも寄るが……俺は奴に勝てるのか?!』
 「アインさま、大神さまの右側の頭の方まで洗ってあげて下さいませんでしょうか。あ、シャボンが耳には入らないように気をつけて。」

 風宮に呼ばれたアインは不敵に笑った。いつか起こるであろう超高速バトルを前に、彼は密かに燃えあがっていた……


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■   登場人物                  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

2525/アイン・ダーウン   /男性/ 18歳/フリーター


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■         ライター通信          ■
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高峰温泉を舞台にした特撮ヒーロー系ダブルノベル、いかがだったでしょうか?
いつもとはがらっと趣向が変わってのんびりした感じが出てますね……(笑)

アカデミーの存在、幹部の能力など個別ノベルではいろいろと細工をして見ました。
皆さんの特徴やプレイングを生かしたものにしましたので、今後もお使い下さい!
ついに風宮の超加速に迫る情報を手に入れたアイン! 彼の速さに勝てるのか?!

今回は本当にご参加ありがとうございました! また依頼やシチュノベでお会いしましょう!