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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


温泉だよ!クイズでドボン!=西王寺莱眞・愛のスタンプラリー=



 スタンプの台紙を手に、同時にスタートする参加者達。
予め、最初に行きたい式霊の居場所だけ、由紀達からヒントを貰う事ができ、
莱眞はしばし考えた後で行く順番をしっかりと決めた。
「さあ…せっかくの式霊達が揃っているんだ…麗しい女性陣に会うのは後の楽しみにしておこうか」
…そう、実に彼らしい順番の決め方である。


「と、言うわけで焔君…さくっと答えさせてもらうよ」
『うわっ!来るの早っ!よ、よーし…問題!”モンキーマジック”を歌ったバンドのメンバー名を最低二人答えてくれ!』
「吉野光義に武川行秀。ちなみに最年少は吉沢洋治だ」
『凄っ…公式見ても載ってないベーシストの吉沢さんまで…!』
 問題の内容は何と言うか少しばかりマニアックというか、時代を感じさせるものだったのであるが、
莱眞はいともあっさりと、しかもマニアックに回答したのだった。
『いきなりやられたなあ…正解!』
「当たり前だよ。早く美しいレディ達とお話がしたいからね」
『ま、それでこそ莱眞さんらしいな…それじゃあ、正解者にはそれぞれが用意したスタンプと、
次に行きたい式霊の居場所のヒントを一つだけ教える事が出来るんだけど…』
「それじゃあ次は巳をお願いしようか」

 巳の式霊、大蛇(おろち)は、書庫と書かれた部屋で何故かのんびりと読書をしていた。
莱眞が静かに声をかけると、読んでいた本を閉じて別の本を差し出す。
それは幻想図鑑と書かれている本で、様々な空想上の動物をイラストにした本だった。
『ここに描かれている蛇のようで蛇でない太くて短い未だ見つかっていない幻の生物は何だ?』
「ツチノコですね」
『正解だ…簡単すぎたな…』
 ふう、と残念そうに大蛇は視線を落として莱眞から台紙を受け取りスタンプを押す。
『…さあ、次のヒントを教えよう。頑張って最後まで見つけてくれ…』

『お疲れ様です…お待ちしておりました』
 莱眞が近づくと、一人の青年がすらっと立ち上がって頭を下げる。
便利屋には頻繁に通っている方の莱眞であっても、見慣れぬその青年の姿ではあったのだが…
「その声、君は戌の式霊の太郎君だね」
『おわかりですか?さすが西王寺さんですね』
「普段は愛らしい犬の姿をしているけれど、そうか…列記とした男性だったんだね」
『残念そうですね…では問題に行きます…”ポチたま”に出てくる名物犬(ラブラドール・レトリーバー)の名前は?』
「わかるよ、まさお君だね?」
『正解です。それではスタンプとヒントをどうぞ…』

『よーっし!来た来たっ!待ってましたっ!
って言うか待ってるのめんどくせーんだけど…でもこういうゲームって楽しいよな♪』
 実に楽しそうな満面の笑みで莱眞を手招きする午の式霊、宇摩(うま)。
「さあ、問題をお願いするよ」
『了解!簡単だぜ!”連敗し続けて人気の高知競馬の馬の名前は…?”』
「ハルウララ…彼女はとてもキュートだね…」
『正解っ!ってか西王寺さん、馬も…あ、いや…いいや!そいじゃスタンプとヒントな!』
 宇摩はニッと笑みを浮かべると、莱眞に「頑張れ!」と手を振って彼を見送ったのだった。

 蓬莱館には何故か剣道場のような場所が渡り廊下で繋がって作られており、辰の式霊、達(たつ)はそこに居た。
老剣士のような風貌で正座したまま目を閉じ、莱眞が近づいてもまったく反応を示さなかった。
「失礼します」
『よく来た…問題はそちらに用意してある…』
 言われて見ると、壁に縦長の半紙に墨で書かれた問題がかけられていた。
”俳優、古谷一行の息子が所属していたミクスチャーバンドの名前は?”
「ドラゴンアッシュですね」
『その通り。台紙をここに』
 達はそれまでの式のスタンプと違って、やたらと高価で重そうな象牙のハンコを懐から取り出し、
台紙に朱肉を使ってゆっくりしっかりと”辰”の判を押した。 
『うむ、では次はどこへ行かれる?…心して行かれよ!』

 丑の式霊、憂志(ゆうし)は蓬莱館の中庭でサッカーボールを転がしながら待っていた。
莱眞の姿を見つけるとふっと笑みを浮かべ、蹴っていたボールを足で止めて。
『どうも、西王寺さん。急ぎだろうから早速問題に行きますね…ウシとカエルのコンビのお笑い芸人の名前は?』
「パペットマペット」
『正解』
 迷う事もなくさらりと答える莱眞。憂志はクールに笑いながら、”丑”のスタンプを押す。
『次はどこに行きます?一箇所だけヒント言えるけど』

『莱眞は〜ん!こっちやこっち〜!待っとったで〜!』
 寅の式霊、大河(たいが)は、何故か縦縞のユニフォームに黄色いハッピを着てメガホンを手に待っていた。
「やあ…男性陣のラストは君にと決めていたんだよ…それにしても張り切っているね?」
『このカッコは気が引き締まるで〜!ほんなら問題!我らが阪神タイガースの現在の監督は誰や!?』
「岡田監督だろう?」
『大・正・解ー!それでこそ莱眞はんや!偉いっ!』
 大河は何故かメガホンを叩きながら狂喜し、首から提げたストラップからスタンプをポンと押した。
「うん、今のところ予定通りだ」
『凄いなあ〜男連中はコンプリートやな…じゃあ次は誰に行きたいんや?』

 終盤に差し掛かり、ちょっと休憩をとロビーに座っていると、目の前の廊下を見知った顔が横切っていく。
スタンプ台紙を手にしたその人物は、どうやらまだ全て終わっていないらしくきょろきょろと探している様子だった。
まだ休んでいたい気持ちもあるがゆっくりしていると負けるという思いと、早く女性陣と出会いたい気持ちににかられ立ち上がった。

 亥の式霊、瓜亥(うりい)は、なんとも意外?な場所にいた。
それはスタート地点である部屋を出てすぐの場所にあったお手洗いの前。それはさながら花子さんのように見えた。
莱眞は満面の笑みを浮かべて、瓜亥の視線に合わせて腰を落とし。
「やあ…可愛いレディ…頑張っているね?問題を出してくれるかい?」
『あのね…瓜亥、よくわからないの…でも、焔にいがこれを見せろって言ったから…』
 そう言って差し出したメモに書かれていたのは…”イノシシの肉を使った鍋ってなんて言う?”という問題だった。
「牡丹鍋だね」
『正解ー…あのね、正解したらスタンプ押すの…だから紙…』
 にこっと微笑んで、瓜亥は嬉しそうに台紙を受け取るとポン!とスタンプを押して。
『それからね…正解したら次に行きたい式霊の場所をひとつだけ聞けるの。どこがいい?』

『お待ちしておりました、西王寺様』
「子々(ねね)さんですね…」
 子の式霊は比較的わかりやすい場所、憩いの部屋と言う、卓球台やら雑誌やらが置いてある部屋に座っていた。
和室の座布団に座っている姿を見るとまるで座敷童のように見える。
『色々とお話をしたい所ですが…時間の事もありますし、問題を出させていただきます。
鼠をモチーフにしたキャラクターで、”黄色”や”電気”と言えば何でしょう?』
「ピカチュウだね?」
『正解です…それではスタンプとヒントをどうぞ…温泉に入れるように頑張って下さいませ』
「ゆっくりと話をしていたいけれど…キミの応援に応える為にもがんばるよ」

『莱眞さん!こっちですよ〜こっち!上です、上』
 酉の式霊の翼(つばさ)が居たのは裏庭にある大木の枝だった。
枝に腰かけて歌を歌っていたようだったが、莱眞の姿を見つけるとにこにこと手を振って彼女を招いた。
「ああ、そんなに動くと危険だよ?でもキミはその名の通り綺麗な翼があるんだったね…」
『そんなあ…綺麗だなんて…でも、ありがとうございます♪じゃあ問題いきますね!時間惜しいですし!』
「俺にはキミと話している時間が流れ去るのが惜しいけれど…ね」
『えへへ…では問題!2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルはなーんだ?』
「世界に一つだけの花…キミのように、ね?」
『ピンポーン♪もー!莱眞さんったら恥ずかしいじゃないですかー…
ええっと、それじゃあスタンプをぺたっと…あ、もうすぐ終わりですね!次のヒントは誰がいいですか?』

『莱眞さん、お疲れ様です』
「やあ未来さん…ガイドの服のキミも素敵だったけれど、浴衣姿のキミも実に美しい…」
『ありがとうございます…どうですか?ここまでの調子は?』
「今のところは全問正解しているよ…」
『じゃあ温泉に入れますね、きっと!それではわたしからの問題です…ヒツジは英語でSheep、ではヤギは?』
「英語の問題だね?簡単さ…Goat」
『莱眞さんにはサービス問題みたいなものですよね…正解です』
 未来はにこにこと微笑みながら、ペタリと”未”のスタンプを押して。

「…さて月さん…キミで最後だね?」
『お早いですね、西王寺さま。いつもお世話になっております』
「式霊さん達とゆっくり話をしていたいのだけれど、とりあえず勝負中だからね…最善を尽くすよ」」
『…では早速問題を読ませていただきます…
”兔シチュー”という単語が出てくるファンタジー映画のタイトルはなんでしょう?』
「最後の問題…キミの問いの答えはロードオブザリング…だね」
『正解です…全問正解ですね。おめでとうございます』
 にっこりと微笑んで、月は”卯”の判をペタリと莱眞の台紙に押す。
「この俺に解けぬ問題はないよ…だけど俺にも解けない事がある…」
『西王寺様にも解けない事とはなんでしょう?』
「…キミの瞳を見つめると、どうしてこの胸が震えるのか…」
 莱眞は月の透き通る程の白く細い手をそっと取り、微笑みを向ける。
『まあ…』
 月は少し笑みを浮かべると、そのまま二人…背景にピンク色の花が飛んでいそうな雰囲気でしばし見つめ合う。
女性とならば何分でも何時間でも見詰め合っていられる自信のある莱眞と、
ただ、見つめられているから純粋に見つめ返している月。二人の見つめ合いは、第三者の足音が近づくまで続いたのだった。
「いけない!このままだと誰かに追い抜かれてしまうね…名残惜しいけれど、ゴールに向かわせてもらうよ」
『お疲れ様です。スタート地点に戻ってくださればゴールとなりますので…』
「ありがとう…それじゃあ、また後で…ね?」
『お気をつけて』
 莱眞は月の手に紳士的なキスをすると、にこやかに微笑んでゴールへと駆け出した。



 温泉入浴後の宴会前に、宴会場にて全ての結果が貼り出された。
今回のクイズでドボン!のランキングは以下である。

:Rnking:
1位*西王寺・莱眞(12問中12問正解)
2位*シュライン・エマ(12問中12問正解)
3位*天薙・撫子(12問中11問正解)
4位*向坂・嵐(12問中11問正解)
5位*石神・月弥(12問中11問正解)
6位*冠城・琉人(12問中9問正解)
7位*相澤・蓮(12問中8問正解)
8位*如月・縁樹(12問中8問正解)
9位*新堂・愛輔(12問中7問正解)
10位*松岡・吾郎&夢野千尋チーム(12問中4問正解)

 ルールに則り、10位と9位の3人は温泉には入ることが出来ず、
罰ゲームとして部屋に備え付けのお風呂に入ることとなったのだった。
まあ、それはそれで思い出にはなったのかもしれないが…。


→→→GotoMainStory…



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■   登場人物                  ■
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【2441/西王寺・莱眞(さいおうじ・らいま)/男性/25歳/財閥後継者/調理師】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちわ。この度は【高峰温泉〜神城便利屋番外編〜】に参加いただきまことにありがとうございました。
異界でのお話の番外的なお話だったのですが、多くの方に参加いただけて嬉しかったです。
特に、お世話になっている方々と集ったり懐かしい方との再会もでき、ライターとしてもNPC達としても喜んでおります。
個人的に今回のお話は番外、と言うことで色々とハメを外す感じで遊び心満載で書かせていただきました。
キャラ違う!という方もいらっしゃるかもしれませんが…番外と言うことでお許し下さいませ。
 何はともあれ、楽しんでいただけていたら幸いです。

それから、これは謝罪になるのですが、オープニングの文章のクイズにおいて、
◇酉:2003年の第24回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
…と、記載しておりましたが、正しくは…
◇酉:2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
です。お詫びと共に訂正を記載させていただきます。惑わせてしまいまして申し訳ありませんでした。

また、皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

:::::安曇あずみ:::::

※今回は文字数の事を考え個別のコメントではなく共通のコメントにさせていただいております。(一部を除く)
※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>