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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


温泉だよ!クイズでドボン!=天薙撫子・温泉への愛=



 スタンプの台紙を手に、同時にスタートする参加者達。
最初に、好きな式霊の居場所を一箇所だけヒントを聞いておけるという事で、
撫子は申のヒントを聞いた後、このゲームにおいてのルールをきっちりと頭に入れて、
不正を働いている者がいたなら止めるつもりでスタートを切った。
しかし、普段の彼女の雰囲気からは想像もつかないほどの気合というかオーラというかが取り巻いている。
 どうやら…かなりの温泉好きらしかった。


 実に楽しそうな表情で待ち受けていたのは、司会でも張り切っていた焔だった。
『問題!”モンキーマジック”を歌ったバンドのメンバー名を最低二人答えてくれ!』
「まあ…いきなり問題なんですね?臨むところですわ!」
 顔を見るなり出題する焔に、負けじと撫子は浴衣の袖を捲り上げた。
問題の内容は何と言うか少しばかりマニアックというか、時代を感じさせるものであるが…。
「ゴダイゴですわね?ミッキー吉野様とタケカワ・ユキヒデ様」
『正解です。それにしても撫子さん…ずいぶんと気合が入ってますね…』
「当然ですわ!トップでゴールして早く由紀ちゃんや皆様と温泉でゆっくりしたいですもの」
『…じゃあ頑張って下さい!えっと、正解者にはそれぞれが用意したスタンプと、
次に行きたい式霊の居場所のヒントを一つだけ教える事が出来るんだけど…』
「それは有り難いですわね…では、焔様から順番に、酉、戌と干支順にまわっていきますわ」

『撫子さ〜ん!こっちです、こっち!』
 酉の式霊の翼(つばさ)が居たのは裏庭にある大木の枝だった。
枝に腰かけて歌を歌っていたようだったが、撫子の姿を見つけるとにこにこと手を振って彼女を招いた。
「ずいぶんと広範囲ですのね…いえ、旅館の敷地内と言うことですから…この旅館の敷地が広すぎるんですわ」
『そうなんですよね〜!意外と広くって………あ、そんな事より問題いきますね!時間惜しいですし!』
「そうですわ!さあ、お願いします!」
『じゃあ問題行きます!2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルはなーんだ?』
「紅白は毎年必ず見ております…世界に一つだけの花ですわ!」
『ピンポーン♪それじゃあスタンプをぺたっと…あと、次のヒントは誰がいいですか?』
 にこやかに台紙にスタンプを押す翼に、撫子は次の目的地を告げ…。

『…お待ちしておりました…撫子さん』
「太郎様ですわね?人間の姿になっていらっしゃるのを見るのはずいぶんと久しぶりな気がしますわ」
『そうです。ここ最近はずっと犬…獣の姿で居る事が多かったですからね…』
「わたくしはどちらの太郎様も好きですわ」
『ありがとうございます…では早速ですが問題に入りますね?
 ”ポチたま”に出てくる名物犬(ラブラドール・レトリーバー)の名前は何でしょう?』
「わたくし、この番組実は好きですの…まさお君ですわ!」
『簡単でしたね?正解です。ではスタンプと、次のヒントをどうぞ…』

 亥の式霊、瓜亥(うりい)は、なんとも意外?な場所にいた。
それはスタート地点である部屋を出てすぐの場所にあったお手洗いの前。それはさながら花子さんのように見えた。
「まあ、最初の場所に戻ってきてしまいましたわね…」
『それが基本だし、面白いって焔にいが…』
「干支順に回れば確かに瓜亥ちゃんが最後になりますものね…それじゃあ瓜亥ちゃん、問題をお願いできますか?」
『あのね…瓜亥、よくわからないの…でも、焔にいがこれを見せろって言ったから…』
 そう言って差し出したメモに書かれていたのは…”イノシシの肉を使った鍋ってなんて言う?”という問題だった。
「…イノシシ…ボタン鍋かな?」
『正解ー…あのね、正解したらスタンプ押すの…だから紙…』
 にこっと微笑んで、瓜亥は嬉しそうに台紙を受け取るとポン!とスタンプを押して。
『それからね…正解したら次に行きたい式霊の場所をひとつだけ聞けるの。どこがいい?』

「意外とテンポ良く進みましたわね!さあ、次は子の式霊の…」
『お待ちしておりました、天薙様』
「子々様もご苦労様でございますわ」
 子々(ねね)は比較的わかりやすい場所、憩いの部屋と言う卓球台やら雑誌やらが置いてある部屋に座っていた。
和室の座布団に座っている姿を見るとまるで座敷童のように見える。
『色々とお話をしたい所ですが…時間の事もありますし、問題を出させていただきます。
鼠をモチーフにしたキャラクターで、”黄色”や”電気”と言えば何でしょう?』
 問題は別の誰かが考えたのか、子々は手に持ったメモを読みながら言う。
「ピカチュウですわね?」
『正解です…それではスタンプとヒントをどうぞ…温泉に入れるように頑張って下さいませ』

 丑の式霊、憂志(ゆうし)は蓬莱館の中庭でサッカーボールを転がしながら待っていた。
撫子の姿を見つけるとふっと笑みを浮かべ、蹴っていたボールを足で止めて。
『お久しぶりです、天薙さん…じゃあ早速問題を』
「相変わらずサッカーがお好きのようですわね?はい!問題、どんと来いですわ!」
『あははっ!張り切ってるなあ…簡単な問題ですよ…ウシとカエルのコンビのお笑い芸人の名前は?』
「簡単ですわ!パペットマペット、ですわね?」
『その通り、正解です』
 憂志はクールに笑いながら、”丑”の文字のスタンプを押す。
『次はどこに行きます?一箇所だけヒント言えるけど』

『いらっしゃ〜い!待っとったで〜!』
 寅の式霊、大河(たいが)は、何故か縦縞のユニフォームに黄色いハッピを着てメガホンを手に待っていた。
「相変わらずですわね…大河君は」
『やっぱこのカッコが一番気が引き締まるで〜!ほんなら問題行くで?はよせな追い抜かれるやろ?』
「そうですわね!負けられませんわ!」
『そや!負けられん!ほな問題!同じく負けられん我らが阪神タイガースの現在の監督は誰や!?』
「ふふっ…少し予想はしていましたわ…岡田監督ですわね」」
『大正解っ!さすがや撫子はんっ!偉いっ!』
 大河は何故かメガホンを叩きながら狂喜し、首から提げたストラップからスタンプをポンと押した。
『ほんなら正解者への特典や!次に行きたい式は誰や?』

 終盤に差し掛かり、ちょっと休憩をとロビーに座っていると、目の前の廊下を見知った顔が横切っていく。
スタンプ台紙を手にしたその人物は、どうやらまだ全て終わっていないらしくきょろきょろと探している様子だった。
まだ休んでいたい気持ちもあるのだがゆっくりしていると負けてしまうかも…という思いにかられ立ち上がった。

「ここまではなんとか順調ですわね…えっと…次は確かこのあたりに卯の式霊の…」
『撫子さま、こちらです』
「月様!やはりこの辺りで正解だったのですね…」
『この度は参加いただき嬉しく思います。由紀さんも喜んでおります…
では早速問題を読ませていただきます…”兔シチュー”という単語が出てくるファンタジー映画のタイトルは?』
「わたくし、こう見えて映画は色々と見ますの。大学のお友達ともお話しますし…
セリフも比較的記憶している方ですの…ですから、この問題の答えはロードオブザリングですわね」
『正解です…おめでとうございます。ではスタンプと次のヒントを…』

 蓬莱館には何故か剣道場のような場所が渡り廊下で繋がって作られており、辰の式霊、達(たつ)はそこに居た。
老剣士のような風貌で正座したまま目を閉じ、撫子が近づいてもまったく反応を示さなかった。
「失礼致します。お久しぶりでございます…天薙・撫子です」
『よく来た…問題はそちらに用意してある…』
 言われて見ると、壁に縦長の半紙に墨で書かれた問題がかけられていた。
”俳優、古谷一行の息子が所属していたミクスチャーバンドの名前は?”
「…古谷様と言えば…わたくし、ドランゴンアッシュしか存じておりません」
『それで正解だ…相変わらず様々な知識が豊富じゃな、撫子は』
「達様ほどではございません…わたくしなど、剣術においてはまだまだでございますから」
『まだそなたは若い…焦らず己の師匠からゆっくりと教われば良いのだから…さあ、台紙を』
 達はそれまでの式のスタンプと違って、やたらと高価で重そうな象牙のハンコを懐から取り出し、
台紙に朱肉を使ってゆっくりしっかりと”辰”の判を押した。 

 巳の式霊、大蛇(おろち)は、書庫と書かれた部屋で何故かのんびりと読書をしていた。
撫子が声をかけると、読んでいた本を閉じて別の本を差し出す。
それは幻想図鑑と書かれている本で、様々な空想上の動物をイラストにした本だった。
『ここに描かれている蛇のようで蛇でない太くて短い未だ見つかっていない幻の生物は何だ?』
「簡単すぎますが…どう見てもツチノコですわね…?」
『正解だ…あまりにも簡単だったな…』
 ふう、と残念そうに大蛇は視線を落として撫子から台紙を受け取りスタンプを押す。
『…さあ、次のヒントを教えよう。あと少し、頑張って最後まで見つけてくれ…』

『よーっし!来た来たっ!待ってましたっ!って言うか待ってるのめんどくせーんだけど…
でもこういうゲームって楽しいよな♪じゃ、問題!』
 実に楽しそうな満面の笑みで蓮を手招きする午の式霊、宇摩(うま)。
「宇摩君も相変わらず元気ですわね…良い事ですわ」
『撫子さんも相変わらず綺麗だね!』
「まあ、いつからそんな事を言うようになりましたの?」
『へへっ!それじゃ問題な!簡単だぜ!”連敗し続けて人気の高知競馬の馬の名前は…?”』
「これは今では常識問題ですわね…ハルウララ、ですわ」
『簡単すぎかー!その通り正解っ!そいじゃスタンプとヒントな!次の未で最後かー!』
 午の式霊、宇摩はニッと笑みを浮かべると、撫子に「頑張れ〜!」と手を振って見送ったのだった。

『天薙さん、お疲れ様です!』
「未来様こそガイドに由紀ちゃんのサポートに色々と大変でございましょう…」
『大丈夫ですよ。楽しいですから。どうですか?ここまでの調子は?』
「こちらで最後ですの…今のところは全問正解しておりますわ」
『じゃあ温泉に入れますね、きっと!ではわたしからの問題です…ヒツジは英語でSheep、ではヤギは?』
「え、英語ですの?ヤギ…ヤギですわね?ヤギは…Capricornですわ!」
『ああ〜!残念です…山羊座でしたらそれで正解だったんですけど…』
「ち、違いましたの?!無念ですわ…全問正解できませんでしたのね…わたくし…」
『でも温泉は硬いですよ!タイムも早そうですし!』
 未来はにこにこと微笑みながら、ペタリと”未”のスタンプを押して。
『ゴールはスタートと同じ場所ですので、そちらに向かって下さい』
「わかりましたわ。最後で不正解は残念ですけれど、温泉にさえ入れればそれで良いのですから!
せめてタイムは早く行きますわ!では未来様、この後も頑張って下さいませ…』
 撫子は丁寧に頭を下げると同時に、急ぎ足でスタート地点へと向かったのだった。



 温泉入浴後の宴会前に、宴会場にて全ての結果が貼り出された。
今回のクイズでドボン!のランキングは以下である。

:Rnking:
1位*西王寺・莱眞(12問中12問正解)
2位*シュライン・エマ(12問中12問正解)
3位*天薙・撫子(12問中11問正解)
4位*向坂・嵐(12問中11問正解)
5位*石神・月弥(12問中11問正解)
6位*冠城・琉人(12問中9問正解)
7位*相澤・蓮(12問中8問正解)
8位*如月・縁樹(12問中8問正解)
9位*新堂・愛輔(12問中7問正解)
10位*松岡・吾郎&夢野千尋チーム(12問中4問正解)

 ルールに則り、10位と9位の3人は温泉には入ることが出来ず、
罰ゲームとして部屋に備え付けのお風呂に入ることとなったのだった。
まあ、それはそれで思い出にはなったのかもしれないが…。


→→→GotoMainStory…



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■   登場人物                  ■
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【0328/天薙・撫子(あまなぎ・なでしこ)/女性/18歳/大学生(巫女)】

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■         ライター通信          ■
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 こんにちわ。この度は【高峰温泉〜神城便利屋番外編〜】に参加いただきまことにありがとうございました。
異界でのお話の番外的なお話だったのですが、多くの方に参加いただけて嬉しかったです。
特に、お世話になっている方々と集ったり懐かしい方との再会もでき、ライターとしてもNPC達としても喜んでおります。
個人的に今回のお話は番外、と言うことで色々とハメを外す感じで遊び心満載で書かせていただきました。
キャラ違う!という方もいらっしゃるかもしれませんが…番外と言うことでお許し下さいませ。
 何はともあれ、楽しんでいただけていたら幸いです。

それから、これは謝罪になるのですが、オープニングの文章のクイズにおいて、
◇酉:2003年の第24回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
…と、記載しておりましたが、正しくは…
◇酉:2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
です。お詫びと共に訂正を記載させていただきます。惑わせてしまいまして申し訳ありませんでした。

また、皆様とお会いできるのを楽しみにしております。

:::::安曇あずみ:::::

※今回は文字数の事を考え個別のコメントではなく共通のコメントにさせていただいております。(一部を除く)
※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>