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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


囚われの女神を助けてくださいませんか? 〜in高峰温泉〜

ACT.SPECIAL■石神月弥さま接待企画〜弁財天宮にようこそ〜

 高峰温泉帰還後の、某月某日。
 石神月弥は、弁天から一通の招待状を受け取った。
 要約すれば、『何が何でもおぬしを接待したいので、弁財天宮に出頭するように』という内容である。読みようによっては脅迫状とも受け取れる文面だ。
 しかし、弁天の性格を考慮して判断するに――これは勇者の報酬の値下げを目論んだ企画ではないだろうか。やはり接待の案内が来たというシュラインからは、「くれぐれも気をつけて」という忠告があった。
 月弥としては、報酬の有無はどちらでもかまわない。しかし、弁天の接待は面白そうだ。アイテムを借りた幻獣を、接待要員として呼んでくれるという話も聞いている。
 そんなわけで月弥は、弁財天宮に向かったのだった。
 
=====蓬莱館・偽(期間限定)=====

 弁財天宮前に立てられた看板を見て、月弥がくすりと笑ったとき。
 どこかで見たような衣装を身につけた弁天が現れた。
「おお、月弥。よく来てくれたのう。さあ、こちらへ」
「弁天さま……。それって、蓬莱さんの来てた服じゃ……? もらったんですか?」
「いいや。これは特注で似せて作ったのじゃ。実はあの後、蓬莱館のリスクマネージメントの不備を盾に、蓬莱と高峰沙耶にねじこんでみたのじゃがの。蓬莱の衣類は渡せぬと言われた。けちじゃのう」
 ……どっちが? とは言わない、優しい月弥であった。
 
 弁財天宮地下1階接待用客室『宝石の間』には、思っていたとおりの幻獣が待っていた。
 賢者の石に呪文を刻んで作られた、イシュア・アーダムである。
 ストーンゴーレムの騎士は、胡蝶蘭を飾った白いテーブルを背に、月弥に礼を取った。
「月弥さん、ようこそ」
「イシュアさん!」
「どうぞ、お掛けください。松の特Aスペシャルは、お役に立ちましたでしょうか?」
「はい、ありがとうございました」
 あの日は満月で、月弥の能力は最高潮に達していた。それでもデュークの古傷を癒すには、賢者の石のかけらが必要だったと思う。
「さてと。ああそうか、飲み物を持ってこなければ」
「そんな。悪いですよ」
「いいえ。今日の私は月弥さん専用のホストですので」
「……うむうむ。楽しそうじゃのう」
 そぉーっと弁天が、扉の外から室内の様子をうかがっている。
 どうやら、報酬値下げの交渉をする機会を計っているらしい。
「弁天さま。どうぞお気遣いなく。私が月弥さんの接待をしますから」
 さりげなく弁天にクギをさして、イシュアは月弥に向き直る。
「せっかくの機会ですし、今日は、私たちが亡命してきたときのいきさつでもお話しましょうか? 私の話は長いとよく叱られますが、それでも宜しければ」
 
 イシュアの話を微笑んで聞きながら、しかし月弥は思うのだ。
(何もイシュアさんに、蓬莱館の浴衣をコピーしたものを着せなくてもいいのに……)
 
 本日、ストーンゴーレムの騎士が着た浴衣は、『男性用浴衣7番(偽)』であった。
 


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■   登場人物                  ■
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【2269/石神・月弥(いしがみ・つきや)/無性/100/つくも神】

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■         ライター通信          ■
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こんにちは。神無月です。二度目のご参加ありがとうございます、と言ってみたり。
この度は、とんでもないシナリオに勇気をふるってのご参加、まことにありがとうございます。
月弥さまには、本来はこれが初めてのご参加ですのに、作品内の時系列に合わせました関係で、いろいろと面識がある描写になっております。ややこしくてごめんなさい。
回復役、お疲れさまでございました!