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温泉だよ!クイズでドボン!=懐かしい再会のクイズラリー=
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スタンプの台紙を手に、同時にスタートする参加者達。
予め、最初に行きたい式霊の居場所だけ、由紀達からヒントを貰う事ができ、
シュラインは干支の順番に回れれば…と子の式霊の居場所のヒントを聞いてそちらに向かうことにした。
どんな問題が出るのかとかゲームをクリアする事ももちろん楽しみではあるのだが、
それぞれの式と久々に話を出る事がどちらかつと言うと楽しみかな、と思いながら…。
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『お久しぶりです…シュライン様…』
子々(ねね)は比較的わかりやすい場所、憩いの部屋と言う卓球台やらが置いてある部屋に座っていた。
和室の座布団に座っている姿を見るとまるで座敷童のように見える。
「元気そうで何よりだわ…あれからどれくらい経ったかしらね?皆の姿を見て安心したわ」
『その節は本当にお世話になりました…私も由紀も他の皆も感謝しております…』
「私もこうやって温泉に誘ってもらえて嬉しかったわ。それじゃあ、問題をお願いできるかしら?」
『はい…では…”鼠をモチーフにしたキャラクターで、”黄色”や”電気”と言えば何でしょう?”』
問題は別の誰かが考えたらしく、子々は手に持ったメモを読みながら言う。
「黄色いネズミのキャラクターと言えば…ピカチュウかしら?」
『正解です』
やんわりと微笑んで、子々は着物の袖からスタンプを取り出してシュラインのスタンプ台紙にポン、と判を押す。
しっかりと”子”の文字が一番最初のマスに記載された。
『これ以降から正解者には次に行きたい式霊の居場所のヒントを一箇所だけお教え致します…』
「それは助かるわね…それじゃあ、干支順で”丑”をお願いできるかしら?」
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『シュラインさん、お久しぶりです』
「あなたも元気そうね?表情もあの頃と違ってずいぶんと明るいわね」
丑の式霊、憂志(ゆうし)は蓬莱館の中庭でサッカーボールを転がしながら待っていた。
『まあ…あの時は俺も余裕が無かったですから…それじゃあ、問題行きますね』
「ええ、お願い。簡単だといいのだけど」
『簡単ですよ…ウシとカエルのコンビのお笑い芸人の名前は?』
「パペットマペットね」
『正解です』
憂志はクールに笑いながらスタンプを押した。今度は”丑”の文字が二番目のマスに押される。
『次はどこに行きますか?誰の所でもいいですが』
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『いらっしゃ〜い!待っとりましたで〜!』
寅の式霊、大河(たいが)は、何故か縦縞のユニフォームに黄色いハッピを着てメガホンを手に待っていた。
「凄いわね…その格好…まるで甲子園ね」
苦笑交じりに言うシュラインに、大河はニッと笑みを浮かべる。
『我らが阪神応援団の制服やー!気が引き締まりますで〜!』
「と言うことはもしかして問題も阪神関係かしら?」
『正解っ!!ほな問題いきますで!………我らが阪神タイガースの現在の監督は誰や!?』
「今は確か岡田監督ね」
『そのっ通ーり!大正解っ!偉いっ!さすがシュラインさんや!』
大河は何故かメガホンを叩きながら狂喜し、首から提げたストラップからスタンプをポンと押した。
『ほんなら正解者への特典や!次に行きたいんは誰ですかい?』
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『その節は大変お世話になりましたシュラインさま…月(つき)でございます』
「あまりあの時はお会いできなかったけれど…元気そうね」
改めて見る卯の式霊の月は、静かな物腰で神秘的な光を放っているようでやたらと神秘的に見えた。
まるでその名前そのものである月のような式霊だった。
『では早速問題を読ませていただきます…”兔シチュー”という単語が出てくるファンタジー映画のタイトルは?』
「そうね…なんだかファンタジー映画だとこの単語色々と出てきそうな気がするんだけど、
ロードオブザリングかしら?サムのセリフにあったと思うのよね、確か」
『正解です』
「二つの塔ね?映画があったからその前にちょっとDVD見たのよね」
『その通りです…お詳しいですね…ではスタンプを押させていただきますね…それから次のヒントを…』
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蓬莱館には何故か剣道場のような場所が渡り廊下で繋がって作られており、辰の式霊、達(たつ)はそこに居た。
老剣士のような風貌で正座したまま目を閉じ、シュラインが近づいてもまったく反応を示さなかった。
「失礼します…シュライン・エマと申します」
『エマ殿、その節は我々が大変ご迷惑をおいかけしました…問題はそちらに用意してあります…』
言われて見ると、壁に縦長の半紙に墨で書かれた問題がかけられていた。
”俳優、古谷一行の息子が所属していたミクスチャーバンドの名前は?”
「何かしら…Steddy…いえ、違うわね…今まで式霊に関係のある問題だったから…辰、竜、ドラゴン…Dragon Ashね」
『確かにその通り。では台紙をこちらに』
達はそれまでの式のスタンプと違って、やたらと高価で重そうな象牙のハンコを懐から取り出し、
台紙に朱肉を使ってゆっくりしっかりと”辰”の判を押した。
『では次はどこへ行かれますか?心して行かれよ…』
※
巳の式霊は、書庫と書かれた部屋で何故かのんびりと読書をしていた。
シュラインが声をかけると、軽く会釈をして、読んでいた本を閉じて別の本を差し出す。
それは幻想図鑑と書かれている本で、様々な空想上の動物をイラストにした本だった。
『ここに描かれている蛇のようで蛇でない太くて短い未だ見つかっていない幻の生物は何だ?』
「ツチノコに見えますけど…」
『簡単すぎましたね…その通り、ツチノコです』
ふう、と残念そうに大蛇は視線を落としてシュラインから台紙を受け取りスタンプを押す。
『他の者からすでにお聞きとは思いますが言わせていただきたい…その節はお世話になりました…
そのお礼と言うわけではないのですが、次に向かいたい式霊のヒントではなく場所をお教えしましょう…』
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『よーっし!来た来たっ!待ってましたっ!』
「宇摩(うま)君…相変わらず元気ねえ…」
『待ってるのめんどくせーんだけど…でもこういうゲームって楽しいからさ♪
じゃ、問題!これは簡単だな!連敗し続けて人気の高知競馬の馬の名前は…?』
「ウララちゃん好きなのよ、私…と言うことで、ハルウララね」
『正解!オレも好きなんだよな〜かわいいしさ』
そのかわいい、と言うのは恋愛対象としてかしら、と一瞬シュラインは思う。
しかしいくら干支の式霊とは言え、馬と言うわけではないのだから…そういうわけではないだろう。
『そんじゃ頑張って下さい!』
午の式霊、宇摩はニッと笑みを浮かべると手を振ってシュラインを見送ったのだった。
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終盤に差し掛かり、ちょっと休憩をとロビーに座っていると、目の前の廊下を見知った顔が横切っていく。
スタンプ台紙を手にしたその人物は、どうやらまだ全て終わっていないらしくきょろきょろと探している様子だった。
まだ休んでいたい気持ちもあるのだがゆっくりしていると負けてしまうかも…という思いにかられ立ち上がった。
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『こっちですよ〜シュラインさん!お疲れ様です』
「未来さんも色々と兼任してるみたいで大変そうねえ…ガイドもなかなか面白かったわ」
『ありがとうございます…わたしも楽しかったです。どうですか?ここまでの調子は?』
「タイムはわからないけれど、正解数で言えば今の所は全問正解よ」
『すごい!じゃあ温泉に入れますねきっと!それではわたしからの問題…ヒツジは英語でSheep、ではヤギは?』
「あら、英語問題なの?Goatよ」
『シュラインさんにはサービス問題ですよね…』
語学に長けている彼女にとって、この問題はあまりにも簡単すぎる。
未来は少し肩をすくめて微笑みながら、ペタリと”未”のスタンプを台紙に押して。
『干支順にまわってるみたいですね…次は焔でいいんですよね?』
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実に楽しそうな表情で待ち受けていたのは、司会でも張り切っていた焔だった。
『問題!”モンキーマジック”を歌ったバンドのメンバー名を最低二人答えてくれ!』
「あら?いきなり出題なのね?」
こんなに焔がテンションの高い青年だったとはシュラインも意外であった。
普段はどちらかつと言うと熱くはあるが落ち着いている雰囲気のある焔なのであるが、
どうやらお祭りごと、特に自分が考案の事に関しては熱くなるタイプのようだった。
「それにしても少し古いところついてきたわね、ゴダイゴなんて。
答えはタケカワ・ユキヒデ、ミッキー吉野、浅野孝己、スティーブ・フォックス、トミー・スナイダー」
『全員なんてさすがシュラインさん!おめでとうございます!正解!じゃあスタンプと次のヒントを…』
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『シュラインさん!こっちですよ〜♪』
酉の式霊の翼(つばさ)が居たのは裏庭にある大木の枝だった。
枝に腰かけて歌を歌っていたようだったが、シュラインの姿を見つけるとにこにこと手を振って。
『シュラインさんとはゆっくりとお話したいんですけど、時間もありますから問題にしますね』
「そうね。これが終わってから時間はあることだし、そのときにゆっくりとお話しましょうか?」
『はい!では問題です!2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルはなーんだ?』
「これはあまりにも有名ね、世界の一つだけの花」
『大正解♪さすがシュラインさん!じゃあスタンプと次のヒントをどうぞ♪』
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『お疲れ様です…お待ちしておりました』
シュラインが近づくと、ひとりの青年がすらっと立ち上がって頭を下げる。見慣れぬ姿ではあったのだが…
「もしかして太郎さんかしら…?」
『ええ、戌の式霊の太郎です』
「犬の姿しか見た事が無かったから少し驚いたわ」
『よく言われますよ…では問題に行きますね?”ポチたま”に出てくる名物犬(ラブラドール・レトリーバー)の名前は?』
「ポチたまは見てるのよ…仕事が無い時だけど、だからこれはわかるわ…まさお君ね」
『正解です。ではスタンプを…もしかして次で最後ですか?頑張って下さい』
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最後の式霊、亥の瓜亥(うりい)は、なんとも意外?な場所にいた。
それはスタート地点である部屋を出てすぐの場所にあったお手洗いの前。それはさながら花子さんのように見えた。
『あー、シュラインねえだー…』
「こんにちわ、瓜亥ちゃん。お久しぶりね?」
『うんー!あのね、あの時のことありがとうってずっと言いたかったの、瓜亥』
「そう…でも私達だけの力だけじゃないのよ?瓜亥ちゃんや他の皆、全員の力あっての事なんだから」
『瓜亥、よくわからないけど…。あ、あのね、問題…焔にいがこれを見せろって言ったから…これ』
そう言って差し出したメモに書かれていたのは…”イノシシの肉を使った鍋ってなんて言う?”という問題だった。
「瓜亥ちゃんに答えればいいのね?牡丹鍋」
『そうー、正解ー。全部正解ー!』
にこっと微笑んで、瓜亥は琉人の台紙にポン!とスタンプを押して。
『えっとね、それとね、ゴールはね、スタートと同じ場所なんだって』
「わかったわ。ありがとう」
シュラインは微笑んでスタンプ台紙を受け取ると、スタート地点へと駆け出した。
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温泉入浴後の宴会前に、宴会場にて全ての結果が貼り出された。
今回のクイズでドボン!のランキングは以下である。
:Rnking:
1位*西王寺・莱眞(12問中12問正解)
2位*シュライン・エマ(12問中12問正解)
3位*天薙・撫子(12問中11問正解)
4位*向坂・嵐(12問中11問正解)
5位*石神・月弥(12問中11問正解)
6位*冠城・琉人(12問中9問正解)
7位*相澤・蓮(12問中8問正解)
8位*如月・縁樹(12問中8問正解)
9位*新堂・愛輔(12問中7問正解)
10位*松岡・吾郎&夢野千尋チーム(12問中4問正解)
ルールに則り、10位と9位の3人は温泉には入ることが出来ず、
罰ゲームとして部屋に備え付けのお風呂に入ることとなったのだった。
まあ、それはそれで思い出にはなったのかもしれないが…。
→→→GotoMainStory…
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■ 登場人物 ■
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【0086/シュライン・エマ/女性/26歳/翻訳家・幽霊作家+草間興信所事務員】
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■ ライター通信 ■
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こんにちわ。この度は【高峰温泉〜神城便利屋番外編〜】に参加いただきまことにありがとうございました。
異界でのお話の番外的なお話だったのですが、多くの方に参加いただけて嬉しかったです。
特に、お世話になっている方々と集ったり懐かしい方との再会もでき、ライターとしてもNPC達としても喜んでおります。
個人的に今回のお話は番外、と言うことで色々とハメを外す感じで遊び心満載で書かせていただきました。
キャラ違う!という方もいらっしゃるかもしれませんが…番外と言うことでお許し下さいませ。
何はともあれ、楽しんでいただけていたら幸いです。
それから、これは謝罪になるのですが、オープニングの文章のクイズにおいて、
◇酉:2003年の第24回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
…と、記載しておりましたが、正しくは…
◇酉:2003年の第54回紅白歌合戦で白組のトリを飾った曲のタイトルは?(難易度低)
です。お詫びと共に訂正を記載させていただきます。惑わせてしまいまして申し訳ありませんでした。
また、皆様とお会いできるのを楽しみにしております。
:::::安曇あずみ:::::
※今回は文字数の事を考え個別のコメントではなく共通のコメントにさせていただいております。(一部を除く)
※誤字脱字の無いよう細心の注意をしておりますが、もしありましたら申し訳ありません。
※ご意見・ご感想等お待ちしております。<(_ _)>
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