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奇怪!温泉植物の腹の中!?
〜銅像抹殺計画(ぇ)〜
「……」
ジャングルを歩き続けていたジャングル組一行は、早くも巨大な障害物に行く先を阻まれていた。
どーんと其処に鎮座するのは―――謎の銅像。
縦も横も何十メートルと言うスペースを取っていて、直進するにはちと辛い。
天辺が雲に差し掛かってる辺り相当の高さなのだろう。
…しかしこの銅像、ずっと昔のアニメに出てきた髪が3本しかないお化けにさりげなく似てる気がする…。
タラコ唇なところとか、なんか白い服みたいなのを着てるようにしか見えないところとか。
「…困りましたねぇ…迂回、します?」
横にも縦にも派手にスペースを取っているこの銅像は、とてもじゃないが乗り越えるには危険過ぎる。
時間はかかるが、大回りして通り抜けた方が安全度は高い。
…が。
当然と言えば当然だが、聡の意見に異を唱えたものがいた。
―――龍也だ。
「…邪魔なモンは壊せばいいんだよ」
「え?」
龍也が呆れたように銅像を見上げながら言った言葉に、聡がきょとんとして龍也を見た。
「…だから。
こう言う無駄に邪魔なモンは…ぶち壊せばいいんだッ!!」
龍也がそう言いながらバッ!と手を横に凪ぐと、ギィンッ、と金属同士がぶつかり合うような音を立て、空中に無数の剣が出現する。
「え?えぇぇええっ!?」
驚いて目を見開く聡を他所に、龍也は特になんでもないようにその剣を見ると―――銅像をすっと指差した。
―――――瞬間。
ドドドドドドドッ!!!
まるでそれが合図だったかのように、宙に浮いていた無数の剣は、一直線に銅像に突き刺さった。
「うわわわわわっ!?!?」
ある剣は銅像の頂点へ。ある剣は唇のような場所へ。
まるで雨のように次から次へと銅像に降り注ぐ剣は、みし、と言う音が僅かに耳に届くと同時に、ぴたりと一旦その動きを止める。
「…どうしたんですか?」
「どこかにヒビが入ったみたいだから、そこを集中的に狙って一気に壊す」
労力の削減のためにもな、と肩を竦めながら、急に攻撃の手を止めたことを不思議そうに問い掛けた聡に、龍也はそう答えた。
そして再度銅像へ視線を戻し、ヒビが入っている場所を確認する。
銅像の…恐らく丁度眉間辺りに、一本の亀裂が走っていた。
カラリ…と石が銅像にぶつかって落ちるような音がして、目の前を小さな石の欠片が横切る。
「…とっとと終わらせるか」
すっかり傍観者に徹するつもりらしく、離れた場所から応援するように自分に手を振る恋人…圭織に微笑みを返してから、龍也は銅像に鋭い視線を向けた。
ヴ…ン、と低い音がして、空中に一際大きく、鋭い剣が現れる。
その剣はまるで誰かに握られているかのように緩く上下に揺れると、銅像の亀裂へとその切っ先を向け…一気に貫いた!
―――ドッ!!!
剣は過たず亀裂へとその刃をめり込ませた。
みし、と言う音が一層大きく響き、直にそれはビキビキと小刻みに亀裂が入っていく音へと変化する。
剣が埋まっている場所を中心に、ヒビは銅像全体を侵食するかのように枝分かれしながらあちこちへと広がっていく。
そしてそのヒビが銅像の全身に行き渡った瞬間…。
―――ビキッ。
…ガラガラガラ…。
一際大きな亀裂音を発し、ガラガラと崩れていった。
降って来る石の欠片に当たらないように離れた一行の目の前で、銅像はただの岩石へと変わっていく。
1分もすれば、そこには普通に上を歩いていけるような程度の石の段差へと成り果てていた。
「…こんなモンでいいだろ」
「……」
石の段差を見て満足げに鼻を鳴らす龍也に比べ、呆然と龍也と岩石を見比べる聡のなんと間抜けなこと。
「さっすが龍也ねっ!
カッコよかったわよ♪」
離れた場所で見ていた圭織が、嬉しそうに龍也に走り寄って勢い良く抱きつく。
それを平然と受け止めた龍也は、不適に口の端を持ち上げ、圭織の頭を撫でながら囁いた。
「―――当前」
その自信満々な態度も、龍也が言うと妙に決まっている気がする。
「ふふっ、それもそうねv」
ぎゅっと一層強く龍也の腕に抱きつく圭織を引き連れ、龍也は悠々と歩き出す。
他の面々もその後についていき、その場に残ったのは聡だけ。
ぽつーん、と言う擬音が似合いそうな状況で、聡はぽつりと呟いた。
「…なんていうか…凄い人だなぁ…」
その呟きは、幸か不幸か、龍也には届く事はなく。
そんなこんなで、一行は目印を捜す為に確実に進んで行くのだった。
終。
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■ 登場人物 ■
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【2953/日向・龍也/男/27歳/何でも屋・魔術使い】
【2313/来城・圭織/女/27歳/弁護士】
【NPC/山川・聡】
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■ ライター通信 ■
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こんにちは。暁久遠です。
今回この話にご参加下さって、どうも有難う御座いました。
【龍也様】
共通では圭織さんとイチャイチャと言う事で頑張ってみましたが…い、如何でしょうか…?(自信皆無)
他のメンバー様方との会話があまりない状態になってしまって申しわけ御座いませんでした(汗)
個別は、「障害を能力の剣で退ける」がテーマです(見りゃ解るし)
とはいえ拙い表現手段しか持っていないので、きちんと満足いただけたかどうか…(汗)
何気に聡と圭織さん以外のメンバーが全然出ていないと言う事についてはツッコまないでください…(死)
こんな話ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
またの機会がありましたら、またよろしくお願い致します。
それでは、失礼致しました。
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