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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


奇怪!温泉植物の腹の中!?
〜お約束?ドッキリアクシデント☆〜

もくもくと道を歩いていく一行の中、約1名だけが渋い顔をしていた。
その人物とは―――ファルナ。
「…どうかしましたか、マスター?」
彼女を守るように前を歩きながら果物を取っていたファルファの問いかけに、ファルナが心配をかけてしまったのかと小さく苦笑を零す。
「別に大した事ではないんですけど〜…」
ぽつりとそう前置きしてから、ファルナは自分の着ている水着を摘んで少しだけ引っ張る。
「…ちょっと、汗をかいてしまったので…」
「汗、ですか?」
「えぇ、それとさっきから果物を食べてるから果汁も少し…」
だから、どこかで汗を流したいなって考えてただけなんです、と困り笑いの表情で見上げるファルナに、ファルファはなるほど、と納得したように頷いた。
「マスターがご希望のようなら、泉でも探しましょうか?」
「う〜ん…」
確かに汗を流したいが、わざわざ他の人たちに足を止めさせるのはは気が引ける。
どうしようかとファルナが考えていると、ふと木々の中でキラキラと光を反射する『何か』が視界に入った。
「……あら〜?」
よく目を凝らしてみると、それは泉。
木に囲まれた中、少しだけ開けた空間の中心に、澄んだ水が太陽の光を反射してキラキラと輝いている。
…それを見つけた瞬間、ファルナの頭から『迷惑』の2文字が消え去った。
他の面々が真っ直ぐ進んでいく中、1人だけ途中で蛇行し、泉のある方へと歩いていく。
ファルファは無言でファルナの後をついて行ったが、他のメンバーは気づかずにどんどん進んでいく。
しかしそれには見向きもせず、ファルナはご機嫌な様子で泉へと歩いていくのだった。

パシャ…。
「…ふぅ…気持ちいいです…」
水着を脱いで生まれたままの姿になったファルナは、ご機嫌な様子で泉に浸かっていた。
ひんやりとした水が気持ちよく、歩きつづけて火照った身体を冷やしてくれる。
綺麗で澄んだ水は腰くらいまでを浸からせていた。
「そうですか。それは何よりです」
その泉の岸で座って待機して注意深く周りを見張っているファルファが、ファルナの言葉に頷いて答える。
「うーん…どうせならファルファも一緒に入りませんか〜?」
それを見て少し首を傾げたファルナは、泉に入ったままファルファに手招きをした。
「え?いえ、私は此処で見張りをしていますから…」
戸惑ったようにファルファが答えるのを見、ファルナはやや不満そうにファルファのいる方へと水を掻き分けながら進んでいく。
「いいじゃないですか〜。折角ですし、一緒に入りましょうよ〜」
そしてファルファの目の前につくと、ぐいぐいと腕を引っ張って一緒に入るように促す。
「い、いえ、ですから私は…」
きっぱりと断るのも憚られ、困ったようにファルファが声を出したその時。

ガサガサッ。
「――ファルナさーん、ファルファさーん。どこにいらっしゃるんですかー?」
ようやくファルナ達がいないことに気づいた聡が捜しに来たらしく、草むらを大きく揺らして現れた。
「ファルナさ…」
―――ファルナの正面であり、ファルファの真後ろである、草むらから。
驚いてファルファの腕を掴んだまま硬直したファルナと同じく驚いて草むらから一歩足を踏み出した体制で固まる聡。
そして、ファルナに掴まれているため首だけを回すことしか出来ないファルファ。
「「「……」」」
そんな2人と1体の間に嫌な沈黙が落ちる。
「き…」
そして少しの間固まった後、ファルナがぎこちなく口を動かす。
「きゃああぁぁぁぁあああッ!!!!」
「うわぁぁぁあああっ!?!?!?」
そしてその直後に大声で叫んで身体を覆ってしゃがみ込むファルナと、それにつられて鼻を抑えながら真っ赤な顔で叫ぶ聡。
抑えられた聡の手から、ほんのり赤い液体が…多分、鼻血。
しかし聡のほうは相当驚いたらしく、大慌てしつつも「後ろを向く」とか「此処から離れる」とか言う選択肢が吹っ飛んでいるようでファルナを凝視したままだ。
「早く…ここから離れて下さいっ!!」
ドンッ!!
それを見たファルファが、怒りに震えて叫びながら…ロケットパンチを射出する。
―――ごすっ。
「ぐはっ!!」
ひゅぅぅぅ…どさっ。
それは過たず聡の顔面に直撃し、聡は鼻血を撒き散らしながら吹っ飛んで、地面とこんにちはをする事になったのだった。
「マスター、今のうちに急いで水着を着てください」
「は、はい…」
地面に倒れたままぐったりしている聡を一瞥したファルファは、すぐに振り返ってファルナに話し掛ける。
それに頷いたファルナは、急いで水着を着るのだった。

―――ちなみにその後。
   聡がファルナ達を連れて戻ってくるのを待っていたメンバーの前に現れたのは…。
   恥ずかしそうに苦笑しているファルナと、草で作った鼻栓をされて目を回している聡を背負ったファルファだったとか。


そして、聡が目を覚ましてから、一行はまた歩き始めたのだった。
…結局のところ、聡は得をしたのか損をしたのか…それは、本人にしかわからないことである。

終。

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■   登場人物                  ■
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【0158/ファルナ・新宮/女/16歳/ゴーレムテイマー】


【NPC/山川・聡】
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■         ライター通信          ■
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こんにちは。暁久遠です。
今回この話にご参加下さって、どうも有難う御座いました。

【ファルナ様】
共通では妙にのほほんとしたお惚けキャラになってしまいましたが…だ、大丈夫でしたでしょうか…?(滝汗)
ファルファさんと一緒が基本だったため、他のメンバー様方との会話が少ない状態になってしまって申しわけ御座いませんでした(汗)
果物の「はい、あーんv」シーンは…私の趣味で勝手作りました、ごめんなさい…!!(土下座)
個別は、「水浴び」がテーマです(見りゃ解るし)結局水浴びシーンを聡に目撃させてしまいましたが…如何だったでしょう?
とはいえ拙い表現手段しか持っていないので、きちんと満足いただけたかどうか…(汗)
何気に聡とファルファさん以外誰もきちんと出ていないと言う事についてはツッコまないでください…(死)

こんな話ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
またの機会がありましたら、またよろしくお願い致します。
それでは、失礼致しました。