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寝た子はだれだ?
●バトルの次の日の朝
「ん……」
顔を照らす眩しい光に、孔志はうっすら目を開けた。眩しさでしばらく何も見えなかったが、慣れてくると開けられた障子戸の先の窓から朝の清々しい風景が見えた。
気持ちの良い布団の中で耳に心地良い小鳥のさえずりを聞きながら、孔志は寝返りを打った。と、鼻っ面に何かがあたる。
「ん?」
目に飛び込んで来たのは男の胸板。
寝起きで状況が飲み込めない孔志は、自分の頭の下に男の腕がある事に気づき、布団を跳ね除け後退り、更に見たくもないものを見る。下着一つという姿の男と、何故か乱れた浴衣の自分。
「な、な、な……っ!?」
言葉にならない程動揺している孔志の前で男が身じろいだ。
「ん……もう朝か……」
起きた男は、不眠耐久バトルの参加者、柚品弧月。孔志に気づいた弧月と目が合うと、たちまち蒼白になり孔志は指をつきつけ怒鳴った。
「てめぇー! 俺の寝てる間に何をしやがった!?」
「え? 一体何の事です?」
「しらばっくれる気か! 大体なぁ、俺は座敷にいたはずだぞ? それが、なんでこんなところにてめぇといるんだ!?」
「ま、待ってください! お、落ち着いて……」
ぎりぎりと首を絞めてくる孔志に今度は弧月が慌てふためく。
「は、話し合いましょ……ね!」
必死で訴える弧月に孔志は渋々手を離した。
「はぁ……えっと、まずは何故二人でここにいるかと言いますと……」
まずは相手を刺激せず、順序立てて話そうとし始めた弧月なのだが、その続きが出てこない。
「なんだよ……何故なんだよ?」
憮然と尋ねてくる孔志に、弧月は苦笑を浮かべ頭を掻いた。
「何故なんでしょうね?」
「はぁ?」
「いや、分からないんですよ。俺も座敷で酒を飲んでいたはずなのに……」
不思議だ、と首を捻る弧月に孔志もだんだん冷静を取り戻し、そういえばと眉を顰めた。
「確か、余興してて……その最中に、あんたが……いや、あんたに憑依した奴がやって来て、それから……あーダメだ! 思い出せねぇ!!」
二人して腕組みし、必死に思い出そうとするが、寝ていたのだから何も覚えてるはずもない。
弧月はそうだ、と顔を上げると自分の下に敷いてある布団を見た。彼の能力のサイコメトリーで過去を見ようと、布団に手を触れた。
「おい、どうした?」
みるみる顔色が悪くなっていく弧月を訝しく思い尋ねると、彼は必要以上に驚き、顔を引き攣らせてじりじりと後ろに下がる。
「い、いえ……なんでもありませんよ。あなたは、知らない方がいいです……」
聞き捨てならない不穏な事を言いながら、廊下の襖まで下がった弧月はガタガタと大きな音を立てながら慌てて立ち上がった。
「おい! 一体、なんだよ!?」
「す、すみません! 失礼しました!!」
何も知らず、残された孔志だが、弧月のあの慌てぶりと嫌な捨て台詞に一つの想像をし、全身総毛だってしまった。
「……いや、いくらなんでもな。ありえねぇだろ。は、ははは……」
乾いた笑いを上げる孔志だが、一つだけしか敷かれてない布団に目が止まり顔を引き攣らせたのだった。
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■ 登場人物 ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【2936/高台寺・孔志/男/27歳/花屋:独立営業は21歳から】
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■ ライター通信 ■
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はじめまして、壬生ナギサと申します。
今回は高峰温泉ダブルノベルにご参加頂き、有難うございます。
如何でしたでしょうか?
共通ノベルの方の犠牲者は、私の独断と偏見で決めさせて頂きましたので、怒らないで下さい。
えーっと……まずは、楽しんで頂けましたか??(汗)
なんと言いましょうか……大丈夫です!貞操は失ってませんので!!(爆)
いや〜中年すぎてもラブラブってステキですよね(爽)
…………ゴメンナサイ。
でも、スペシャルなので怒らないで下さいね☆
では、ご縁がありましたらまたお会いできる日を楽しみにしております。
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