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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


奇怪!温泉植物の腹の中!?
〜食べ物いっぱい♪〜

「すっごーい!ここ、色んな果物がいっぱいあるんだね〜!!」
「えぇ、そうですね」
ジャングルを探索している間中、アールレイは次から次へと目に入る、南国の果物から、ジャングルとは全く関係ない果物まで沢山あるものを見て目を輝かせていた。
隣を歩いている聡も、やや苦笑気味に微笑みながら頷く。
アールレイはきょろきょろと辺りを見回し、果物を物色していた。
その中で特に目を惹いたのは…バナナ。
ふとあることを思いついたアールレイは、聡の服の端をくいくいと引っ張る。
聡が不思議そうに振り向くのに合わせてにっこりと笑ったアールレイは、バナナのなっている木を指差して、こう言った。

「…ねぇ、お兄ーさん、バナナ取ってきてもいい?」

「……へ?」
きょとんとした聡が間抜けな声で聞き返すのにくすりと小さく笑ってから、アールレイはもう一度口を開いた。
「あのバナナ、美味しそうだから取ってきてもいい?」
「あ、あぁ…そう言う事ですか。
 はい、勿論いいですよ」
ただ、気をつけてくださいね?と微笑みながら付け足した聡に、アールレイははーい、と行儀良く返事をして木へと走り寄る。

そして木の根元に立つと、高い身体能力を生かし、一気に地面を蹴って飛び上がった。
そのまま高い位置にある木に手をかけて身体を引き上げ、太い枝に着地する。
「わー、おいしそー♪」
嬉しそうに手をぱむ、と叩き合わせ、アールレイはバナナの葉っぱを何枚か纏めてとり、その中の1枚にバナナを包むようにして集め始めた。
「えへへ、いっぱい取れた♪」
バナナの葉がいっぱいになったのを満足げに見た後、近くにあった蔦を掴んで毟り、それを紐の代わりにしてしっかりと篭状に縛ると腰に括りつける。
「ついでにもう少し取っていこっと♪」
ついでとばかりに更に何本かを毟り取り、腕に抱えて飛び降りた。
一瞬慌てた聡を他所に、アールレイはスタッ、と見事に着地。
「見てみて、こんなにいっぱいバナナ取れちゃった♪」
そう言って沢山バナナが入った葉の篭を見せたアールレイに、聡は感心したように微笑む。
「本当ですね。凄いなぁ、アールレイさん。
 僕木登り苦手なんですよね…」
そう言って苦笑する聡に、アールレイは楽しそうに笑う。
「だったらお兄ーさんの分もアールレイがいっぱい取ってあげる♪」
「え?いいんですか?」
「勿論♪」
アールレイの言葉に顔を輝かせた聡に満足そうに頷いたアールレイは、「あげるね」とバナナを聡に1本手渡すと、小走りで進み出す。
次から次へと視界に入る果物を指差しながら、アールレイは楽しそうに声を上げた。

「ねぇねぇ、あんなところにパイナップルがあるよ!
 あ、あっちにはオレンジ!!
 うわぁ、あそこにドリアンの木もあるー!!!」

「…ど、ドリアンはやめましょうね…?」
いくら果物の王様と言えどもあの匂いはできるだけ勘弁してもらいたい。
冷や汗を浮かべながら拒否を告げた聡に、アールレイは残念そうにちぇー、と呟きながら他の果物を取りに走るのだった。

―――数分後。
聡の隣を歩くアールレイの背中には、大量の果物を包んだバナナの皮が背負われていた。
あちこちの果物を取り捲っていたら、何時の間にかこんな量になったらしい。
「沢山取れましたねぇ…」
「うん、いっぱい取れたー♪」
一緒にもくもくとバナナを食べながら笑い合う2人。
なんだかこの2人だけやけにほのぼのしてるような…。
「あ、この果物甘ーい」
「ホントですね。甘くて美味しいです」
にこにこと微笑みあいながら果物を食べる2人の頭上を、ピンクと赤のまだら模様をした鳥が飛んでいく。
ちなみに鳴き声は『ホンゲギョー』だ。…流石と言うか何と言うか、珍生物だなぁ…。
「うわぁ、凄い色の鳥ー」
「…なんだかうちの植物の皆さんを思い出しますねぇ…」
そりゃ聡にとっちゃ変わった珍鳥と同じくらいの珍生物は日常茶飯事的に見てるわけだからさして驚きはないだろうな。
2人揃って頭上を旋回する鳥を見上げていると、アールレイがぽつりと呟いた。

「―――――狩ったら美味しいかなぁ?」

「……それは止めて下さいね?」
食べたら絶対腹を壊す気がする。というか下手したら生命にも関わりそうだ。
ほんのり顔色を青くしながら脱力気味に呟いた聡に、アールレイは不思議そうに首を傾げるのだった。

そんなこんなで、ここを脱出する頃には、アールレイの背中に背負われている果物を包んだバナナの葉はもう一塊増えていたりしたのだった。




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■   登場人物                  ■
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【2797/アールレイ・アドルファス/男/999歳/放浪する仔狼】


【NPC/山川・聡】
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■         ライター通信          ■
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こんにちは。暁久遠です。
今回この話にご参加下さって、どうも有難う御座いました。

【アールレイ様】
共通では聡に懐いていると言う事で聡と一緒に、を念頭に置いて書かせて頂きましたが…い、如何でしょうか…?(自信皆無)
他のメンバー様方との会話があまりない状態になってしまって申しわけ御座いませんでした(汗)
個別は、「果物を取って遊ぶアールレイ様と保護者風聡」がテーマです(見りゃ解るし)
とはいえ拙い表現手段しか持っていないので、きちんと満足いただけたかどうか…(汗)
何気に聡以外のメンバーが全然出ていないと言う事についてはツッコまないでください…(死)

こんな話ですが、楽しんでいただけたら幸いです。
またの機会がありましたら、またよろしくお願い致します。
それでは、失礼致しました。