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●願い事が叶えば・・。
〜番外編〜 一人の時間も大切に・・。
自由行動で散歩をしていた焔寿だが、宴会も終わり、皆が宿で休んでいる間に、再び散歩へと出かけていた。
知らない道をチャームと一緒に散策しながら一人の時間を満喫する。
精霊の気配を感じる体質ではないが木に手を当て、焔寿は目を閉じて、心の中で木に話しかけてみる。
聞こえないはずの声も、なんとなく聞こえたようにも感じ、幸せな気分になる。
最後に、桜並木を歩きながら神社へと向かう。
綺麗に舞う桜を見上げ、楽しみながらチャームと共にゆっくりと賽銭箱へと向かう。
「さー、チャーム、鐘を鳴らすから一緒にお願い事しましょうね」
理解したように軽く「「ニャー」」と鳴きながら首を軽くかしげ、焔寿を見上げると、焔寿は軽く微笑みながら財布から5円玉を取り出す。
金額に拘らない焔寿だが、ただ何となく縁起がいいし、定番でもある為、5円玉を賽銭箱に投入れる。
その後は軽快に鐘を鳴らす。
「「ジャラジャラ・・・・・」」
手を合わせ焔寿は願い事を心の中に告げる。
「(皆といつまでも仲良しでいられますように・・・)」
ささやかな願い事を神社の前で願う。
そっと目を開けると、チャームが焔寿の足元に近づき、顔を1・2回摺り寄せた後に焔寿を見上げる。
「今日は楽しかったですね・・」
焔寿に抱き上げられ、暖かい焔寿の腕の中でチャームは軽く欠伸をする。
「くすくす・・・チャームは少し疲れちゃいましたか?」
「にゃ・・・」
うとうとした顔を見せたかと思えば、チャームは焔寿の心地よい腕の中であっという間に眠ってしまった。
「そろそろ、戻りましょうか・・」
チャームが目覚めてしまわないように、ゆっくりと景色を見ながら戻る事にした。
「あっ!焔寿お姉さん!!」
焔寿を探していた銀と樹が焔寿を発見し、先に発見した銀が声をかける。
「銀君・・」
口元に人差し指を当て、チャームを起こさないようにと、小声で話すように頼む。
「チャーム、寝ちゃったんだね・・」
「ええ、気持ちよさそうに眠っています」
銀が覗き込むと、幸せそうな雰囲気で目を閉じて眠っているチャームの姿が窺える。
いい夢を見ているに違いない。
「ふわぁ〜・・」
「くすくす、樹ちゃんも眠たくなってきた見たいね」
「・・んっ・・少しだけ」
チャームの姿を見て、ますます眠気が襲ったらしく、目をこすりながら、樹はうとうと、とした表情を見せる。
銀と樹の手をとり、ゆっくりと桜並木を楽しみながら帰り道を再び戻っていく。
「二人共、今日は早く寝ましょうね。きっと、いい夢が見られると思いますよ」
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