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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


寝た子はだれだ?

●帰りの廊下で
 實勒は目の前で蓬莱館の宿泊者らしき女性を口説いている、見知った人物を見て額を押さえた。
「……真迫嬢」
「おっ。キミは座敷で会った……あぁ、待ってくれ。愛しき人〜!」
 奏子の意識が實勒へと向いた一瞬の隙をつき、一目散に逃げ出した女性の背に未練たらしく呼びかける知人の姿に實勒は頭を振った。
「止さないか真迫嬢……嫌がる者を無理に引きとめたところでどうする」
「どうするって、決まっているじゃあないか。二人で甘い夜を過ごすのさ」
 うっとりとした口調で甘く囁く奏子。ますます大きく實勒は首を振った。
「まだそんな事言っているのか……一体、何杯飲んだんだ?」
「何杯? ボクは今夜はまだ一杯も飲んではいないよ」
 小さく首を傾げた奏子に實勒は眉間の皺を深くした。
「何を言っているんだ。さっきの座敷で飲んでいただろう……」
「座敷? あぁ、それはきっとこの体の女性だね。ボクじゃあないよ」
 事も無げにそういった奏子に實勒の動きがしばし止まる。
「酔っ払いというのは時に言動共に普段では考えられないような事をしだすからな……」
 小さく溜息をついた實勒は目を閉じながら立っている女性に言った。
「……大体、目を瞑っていて何故なんの障害もなく行動できるのだ?」
 もっともな疑問に奏子はしばし考え
「……そういえばそうだね。考えた事もなかったよ」
 唇を笑みの形に変えながら、でも、と奏子は続けた。
「まぁ、あえて言うなら……気合かな?」
 はっはっはと笑う女性に、實勒は本格的に頭が痛くなってきたらしい。
「気合で、どうにかできるような問題ではないだろう……?」
 苦虫を噛み潰したような顔で言った實勒の肩をぽんぽんと奏子は叩いて、明るく笑んだ。
「まぁまぁ。どうにかなるもんだって。それより、どうだい? 今から一杯やろうじゃないか」
 自分とこの女性とはこれほど考え方が違うのかと、半ば呆れながらもそれが別に苦ではない。……厳密に言うならば、奏子に憑依している男性との見解の差なのだが……實勒に説明したところで、あーだこーだと屁理屈こねては論理のすり替えで結局は現象を受け入れないのだろうが。
 實勒は苦笑すると、自分の部屋へと繋がる廊下を顎で示しながら言った。
「だったら俺の部屋に来るか?」
「良い酒は、勿論あるんだろうね?」
 ニッと笑んだ奏子は歩き出した。
「やれやれ……溜息をついたところで何も変わらんか」
 先を歩いていた奏子が振り返り、實勒を待っている。實勒は歩き出した。



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■   登場人物                  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0965/影崎・實勒/男/33歳/監察医】

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■         ライター通信          ■
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初めまして、壬生ナギサです。
今回は高峰温泉ダブルノベルにご参加頂き、有難うございます。
如何でしたでしょうか?
共通ノベルの方の犠牲者は、私の独断と偏見で決めさせて頂きましたので、怒らないで下さい。

えーっと……まずは、楽しんで頂けましたか??(汗)
イマイチ、影崎さんの人間像を上手く捕らえられず終わってしまったような……不完全燃焼感たっぷりです。
……スミマセン。

では、ご縁がありましたらまたお会いできる日を楽しみにしております。