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寝た子はだれだ?
●朝の光
「ん……」
部屋の中の眩しい光に、奏子は目を開けた。純和風とは言えない室内だが、ちゃんと一部には畳も敷かれてあり、奏子は体を起こした。
「っつぅ……」
頭が揺れるような鈍い痛みに奏子は顔を歪める。
「ここ、どこかしら? たしか……座敷で飲んでいたはずだけど」
そこまで思い出して、奏子は立ち上がり自分の体を見た。浴衣は特に乱れておらず、何かをされたという悪い事態も起こっていないようだ。
安堵の溜息をついた奏子は思い出したようにやって来た二日酔いの頭痛に頭を抑えた。
そうして、改めてゆっくり部屋の中を見渡す。
足元の畳には空になった酒瓶が2本。少し中身の残った瓶が一本。それに少しばかりの酒のつまみと灰皿一杯の煙草の吸殻。紙コップがつま先に当たり、奏子は少し足を引いた。
視線をゆるりと移動すると、誰かの足が目に入った。靴下に背広、緩めたネクタイをした人物は小さな寝息を立てている。
「影崎……さん?」
(なんで、影崎さんがここで寝ているのかしら?)
實勒を見ながら小さく首を傾げるが、奏子は不眠耐久バトルで寝た者のその後を思い出し、静かに畳の上に座った。
「ん……どうやら私、眠っちゃったみたいねぇ。一体、どんな人が憑依したのかしら?」
意識が無い間の出来事に興味を持ちつつ、奏子は優しく實勒の肩を揺すった。
「影崎さん……起きて、影崎さん」
何度か声をかけ揺すると、實勒は重たい瞼を開きしばらく視線を彷徨わせた後奏子を見た。
その仕草がいつもは冷静沈着で仏頂面な男を子供のようで可愛らしく見せ、くすくすと微笑み奏子は目を細めて實勒の前髪を梳いた。
「おはよう。影崎さん」
「……おはよう」
ゆっくり体を起こした實勒はじっと奏子の顔を見つめる。
「なあに? 私の顔に何か付いてるかしら?」
小さく首を振った實勒はいや……と短く言うと眉を顰めた。
「酔いは……冷めたようだな」
「えぇ、まぁ。ただ、少し頭が痛いけれどね」
と、苦笑しながら言った奏子に實勒は珍しく微かながらも微笑んだ。
「そうそう。聞いてもいいかしら?」
「……どうぞ」
「私に憑依していたのはどんな人だったのかしら?」
奏子にとっては好奇心。だが、實勒にとってはあまり思い出したくない事だった様で、殊更に渋い顔になる。
「……あまり、気にするような事じゃない。あれは、酔った所為なのだからな」
そう言った實勒を目を大きくして見た奏子は、次に笑い出した。
「……何がおかしい?」
「だ、だって……ま、そう言うところが影崎さんらしいんだけどね」
憮然とした表情になる實勒に奏子は口元に手を当ててくすくすと笑い続けた。
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■ 登場人物 ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【1650/真迫・奏子/女/20歳/芸者】
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■ ライター通信 ■
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今回は高峰温泉ダブルノベルにご参加頂き、有難うございます。
如何でしたでしょうか?
共通ノベルの方の犠牲者は、私の独断と偏見で決めさせて頂きましたので、怒らないで下さい。
えーっと……まずは、楽しんで頂けましたか??(汗)
眠った後の人格については、あまり深くツッコまないで頂けると嬉しいです(げふ)
にしても、ラブラブって難しいですねっ☆
……スミマセン。
では、ご縁がありましたらまたお会いできる日を楽しみにしております。
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