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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


混浴露天風呂を探せ!


 指先で二つ折りのカードを弄んでいた真名神慶悟はカードの送り主を脳裏に浮かべた。
 送り主は高峰心霊学研究所の所長高峰沙耶(たかみね・さや)。 彼女は謎の多い女性で彼女の謎は数え上げれば切りが無い―――寧ろ彼女自身が『謎』そのものなのかもしれない。
 そんな高峰の所有する『蓬莱館』なる温泉旅館への招待状がつい先ほどいろいろなDM等と一緒に慶悟の自宅に届いていたのだ。
 それがただの温泉旅館とはとても思えない。
 招待状を読むと、昔から浸かると不老長寿がかなうと言われている秘湯中の秘湯であるらしい。
 高峰が言うとその台詞も冗談や軽口に聞こえない。
 だが、招待と言うからにはただで温泉を楽しめることには違いないだろう。
「……」
 慶悟がまじまじとその招待状を眺めていると、部屋の中央、ガラスのローテーブルの上にあった上着がヴーンヴーンという低い唸るような音と小さくガタガタという音をさせていた。
 昨夜というより今朝未明、いつものショットバーからほろ酔いで帰ってきて上着をそこに置いたまま眠ってしまったため、携帯電話も胸ポケットに入れたままになっていたのだった。
 思ったよりも大きいバイブレーションの振動でテーブルに置いてあった灰皿が微妙に端の方へずれていく。
 フローリングとはいえ、てんこ盛りになっている煙草の吸殻を床にぶちまけるのはありがたくない。
 慶悟が慌てて灰皿を持ち上げた途端に、携帯の動きと音がぴたりと止まった。
 どうやら電話ではなくメールの着信を知らせていたようだ。
 慶悟はとりあえず灰皿を一時避難させると、胸ポケットから携帯電話を取り出した。
 ディスプレイを見るとやはりメールのマークが表示されている。
 片手で折りたたみ式の携帯電話を開いてメールを確認した。
「……慧那か」
 送信者は陰陽師である慶悟の弟子夕乃瀬慧那(ゆのせ・けいな)からであった。
『家に高峰心霊学研究所の高峰さんから温泉への招待状が届いていたんですけど……師匠のところにも高峰さんの温泉旅館への招待状届きましたか?』
と、書いてあった。
「慧那の所にも届いたのか―――」
 慧那のところにまで届いたということは、どうも高峰は相当数の人間に招待状を出したのではないだろうか。
 画面をスクロールさせると慧那のメールにはまだ続きがあった。
『私、お友達の楓香ちゃんに誘われたので行くつもりなんですけど、良かったら師匠も一緒に行きませんか?』
 全文を読んだ慶悟は思わずこめかみを押さえた。
 いくら師匠と弟子の関係とはいえ年頃の娘が赤の他人の異性を一緒に温泉旅行に誘うとは―――慶悟が思わず頭痛を覚えたのも無理はない。
 そんなふしだらな弟子に育てた覚えはないぞ、などと口走ろうものなら立派な頑固一徹のオヤジである。
 まぁ、もちろん慧那に全くそんな意図がないことは判りきっていたが。
 いくら慧那が無自覚とは言え、一緒に行くわけには当然行かない。
 痛む頭を押さえつつ、慶悟は慧那に返事のメールを返した。


『慧那は友人と一緒に行くといい。俺は独りでビールでも飲んで寝ながら行く』

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■   登場人物                  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【0389 / 真名神・慶悟 / 男 / 20歳 / 陰陽師】

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■         ライター通信          ■
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真名神慶悟PL様

 こんにちは、遠野藍子です。
 いつもお世話になっています。そして、今回の期間限定イベント高峰温泉ダブルノベルへの発注もありがとうございました。
 真名神PL様には『赤褌のサンタクロース』以来、通常依頼の参加、シチュエーションノベル(ツイン)の発注を度々頂きまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 ここ2回ほど通常依頼ではシリアスタッチの依頼が続いていましたが、今回は期間限定イベントの企画ノベルということもあり久しぶりにコメディの香り漂うOPをあげさせて頂きました。
 こちらのスケジュール上、当初予定していた人数から減らしたので、お弟子さんの夕乃瀬慧那PCさんとそのお友達の丈峯楓香PCさんというここ最近参加していただいた遠野のノベルではお馴染みの女子高生コンビと3人ということになっていますので―――まぁ、
なんとなく予想はしていただけるかと。
 個別文章は共通文章の前のオープニングという感じで書かせていただきました。
 続けて共通文章の方も楽しんでいただければと思います。
 ありがとうございました。