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混浴露天風呂を探せ!
ある日、高峰心霊学研究所の所長高峰沙耶(たかみね・さや)から夕乃瀬慧那(ゆうのせ・けいな)の自宅へ1通の手紙が届いた。
「何かなぁ」
その封筒を空ると中にはカードが1枚。
そのカードを開こうとした時、慧那の携帯が鳴った。
それは、
『慧那ちゃん慧那ちゃん、温泉一緒に行かない?』
友人の丈峯楓香(たけみね・ふうか)からのお誘いのメールだった。
「なんで、急に温泉なんだろう?」
疑問に思いつつふと視線を落とすと―――
「あ……これね」
高峰からのカードは、彼女が所有する富士山麓にある温泉旅館への招待状であった。
慧那はすばやく、了承のメールを返信した。
「はぁ……」
慧那は流れていく窓の外の景色を眺めながら溜息をついた。
ぺたりとおでこを窓ガラスにくっつけていた為、慧那の溜息がガラスを白く曇らせる。
そんないきさつで慧那はこうして高峰沙耶が所有する温泉旅館『蓬莱館』へ楓香と一緒に向かうことになった。
慧那の軽く2倍はあるのではないかという荷物でパンパンに膨らんだ楓香の鞄の中身や、毎度お馴染みの楓香の恋人探しの暴走妄想特急な話でひとしきり騒いだ後―――
「そういえば、慧那ちゃんのお師匠様のところにも届いてたんでしょ、招待状?」
向かい合せの席に座り車内販売で買った釜飯弁当を食べながら楓香は慧那が慶悟にもメールを送ったと言っていたのを思い出して、そう言った。
楓香へ返事を送った後、
「まってよ、あたしや楓香ちゃんの所にもこの招待状が届いたって言うことはもしかして―――」
ある可能性に気付いて、
『家に高峰心霊学研究所の高峰さんから温泉への招待状が届いていたんですけど……師匠のところにも高峰さんの温泉旅館への招待状届きましたか?』
と、慧那は彼女の陰陽道の師匠である陰陽師真名神慶悟(まながみ・けいご)へメールを送ったのだ。
楓香は楽しいはずの旅行なのに慧那が溜息をつく原因はこれしかないと確信の上でそう尋ねたのだ。
どうやら、やはりそれは楓香の予想通り大当たりであったらしく、
「それがね、師匠ってば『慧那は友人と一緒に行くといい。俺は独りでビールでも飲んで寝ながら行く』とか言って独りで言っちゃったんだよ! 酷いよね、薄情過ぎだと思わない!?」
と、慧那はむくれた顔をして楓香に同意を求めてきた。
「んー。でも、真名神さんらしいよねその返事」
そう言われて、それはそうだけど……と言いつつも、
「でも絶対、師匠に一言物申してやるんだ」
と言う慧那を、
「本当に言えるの、慧那ちゃん?」
楓香は含み笑いを堪えながら慧那の顔を覗き込む。
「う、うん。当たり前じゃない」
慧那は大きく頷く。
「そぉお? まぁ、慧那ちゃんが言うって言ってるんだからそうなんだろうけどねぇ」
まだ何かを含んだように楓香はそう言うと、
「ほら、慧那ちゃんも食べようよ」
と、一緒に買ったお弁当を差し出した。
結局慧那は楓香の予想通り、実際に慶悟を前にしてしまえばそんな事を言える筈もなく、
「えーと…」
と、口篭もってしまったのだった。
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■ 登場人物 ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】
【2521 / 夕乃瀬・慧那 / 女 / 15歳 / 女子高生・へっぽこ陰陽師】
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■ ライター通信 ■
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夕乃瀬慧那PL様
こんにちは、遠野藍子です。
いつもお世話になっています。そして、今回の期間限定イベント高峰温泉ダブルノベルへの発注もありがとうございました。
夕乃瀬PL様には今年最初の『おサルの神社』以来、シチュエーションノベル(ツイン)も度々発注頂きまして、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
今回は久しぶりにコメディタッチで尚且つ、お師匠様の真名神慶悟PCさん、ご友人の丈峯楓香PCさんと一緒に御参加ということで、なんだかシチュエーションノベル(グループ3)のような感じでこちらとしても楽しく執筆させていただきました。
今回、個別文章は共通文章の前のオープニングという感じで書かせていただきました。
続けて共通文章の方も楽しんでいただければと思います
今後もますますのご活躍楽しみにしております。
本当にありがとうございました。
またお会い出来ることを楽しみにしています。
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