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<期間限定・東京怪談ダブルノベル>


混浴露天風呂を探せ!


 高峰心霊学研究所の所長高峰沙耶(たかみね・さや)が所有する『蓬莱館』なる温泉への招待状をしっかりとカバンの中に入れて、丈峯楓香(たけみね・ふうか)は電車に揺られていた。
 ガタンガタン、と定期的な電車の揺れと一緒に楓香の隣に置いてある丸々とパンパンになった鞄が揺れる。
「楓香ちゃん……すごい荷物だね」
 同じく高峰沙耶から届いた招待状を眺めていた友人の夕乃瀬慧那(ゆのせ・けいな)が自分の倍ぐらいある楓香の鞄を見つめてそう言った。
「いっぱい色々持ってきたんだから。UNOでしょ、トランプでしょ、花札でしょ、それにおやつにスケッチブックに―――」
と言いながら楓香は鞄の中身を指折り数えながら1週間も前から厳選した鞄の中身を一つ一つ改めて確認するように指折り数える。
「随分色々持ってきたんだね」
「だってすっっっっごく楽しみにしてたんだよ!」
 楓香はそう言って向かいの席に座る慧那に身を乗り出しながら力説した。
 あまりの楓香の力説に微妙に引き気味にしながらも、慧那も大きく頷いて、
「うん、実はあたしもすごく楽しみで随分前から準備してたんだ」
と、小さく舌を出した。
「旅行はやっぱり良いよね♪ 日常から離れたら素敵な出会いがあるかもしれないし!」
―――旅先での運命の出逢い……新しい恋! でも当然一緒に帰る事は出来なくて、切ない気持ちを押さえながら離れ離れになる2人……
「―――メールと電話だけのやりとり。会えない時間が2人の想いをどんどん昂ぶらせて……」
 結局はソレなのね……と、慧那が力なくそう呟くが、全く聞こえていないようだ。
 最初は頭の中で描いていた願望を通り越した妄想が暴走して、いつのまにかどっぷり自分の世界に浸っていた楓香は、自分がその妄想をはっきりと大きな声で喋ってしまっていることには気付いておらず、同席していた慧那が周囲の視線に耐えかねて延々と妄想を語る楓香の口を慌てて塞ぐ。
「―――楓香ちゃん、声、押さえて……」
「くぉふぇんくぉふぇん(ごめんごめん)」
 これ以上妄想が暴走すると、自分の周囲に居る人間の精神に自分の精神世界を投影させる特異能力―――楓香曰くの『楓香の世界』までもが一緒に暴走しかねない。
 ただ楓香の少女漫画かメロドラマ並の妄想が投影されるだけならまだ良いが、投影されるのは楓香の凄まじく前衛的な美的感性がそのまま投影されてしまう為それは犯罪級である。
 当然楓香にはそんな意識はさらさら無い。
 とりあえず、慧那のおかげで車両内地獄絵図は避けられた。
 そこへ良いタイミングで車内販売のワゴンが来てくれたおかげで、車両の人たちは爆裂妄想娘の願望から駅弁へと意識を移す。
「腹が減っては戦は出来ぬ―――って言うものね! あ、お姉さん、その釜飯弁当とお茶下さーい」
 どうも、楓香の中ではいつのまにか『運命の恋=戦』の図式になってしまっていた。

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■   登場人物                  ■
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【整理番号 / PC名 / 性別 / 年齢 / 職業】

【2152 / 丈峯・楓香 / 女 / 15歳 / 高校生】

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■         ライター通信          ■
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丈峯楓香PL様

 こんにちは、遠野藍子です。
 いつもお世話になっています。そして、今回の期間限定イベント高峰温泉ダブルノベルへの発注もありがとうございました。
 『海賊募集中』以来毎回御参加頂きまして……この場を借りて改めて御礼申し上げます。
 楓香ちゃんの元気なプレイングはもちろん、ここ2作ほどは少しシリアスめいた話での依頼人への思いやりに溢れたプレイングもとても楽しみにしています。
 今回は久しぶりにコメディタッチで尚且つ、最近同じく連続して参加頂いている夕乃瀬慧那PCさん、真名神慶悟PCさんと一緒にということで、なんだかシチュエーションノベル(グループ3)のような感じでこちらとしても楽しく執筆させていただきました。
 今回、個別文章は共通文章の前のオープニングという感じで書かせていただきました。
 続けて共通文章の方も楽しんでいただければと思います
 今後もますますのご活躍楽しみにしております。